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番外編
幸せな新婚生活
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久しぶりの巧巳視点。ほぼ巧巳の一人語りで最後の方に佑介が出てきます。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
<side巧巳>
部署異動を認めてくれていればあの会社に留まっていたかもしれない。だって、あの仕事は好きだったから。けれど、会社側は営業部からの異動は認めてもらえず、佑介さんと話をして俺はあの会社を辞めることにした。上層部からはかなり引き留められたけれど俺の決心は揺るがなかった。
最後の出社日に同時に有給休暇を取得したけれど、今まで使っていなかったこともあり有休は約40日ほど溜まっていた。その間は、佑介さんが家でのんびり過ごせばいいと言ってくれて、俺は社会人になって初めての超長期休暇にかなり浮かれてしまっていた。
俺が毎日休みだということもあって、平日休日関係なく、夜はたっぷりと佑介さんに愛された。もちろん、佑介さんは仕事があるから、翌日動けなくなるほど愛されたのは数日だったけれど、それでも毎日身体の奥まで愛された。そして、佑介さんと抱き合いながら朝を迎える。
もう毎日が幸せすぎておかしくなりそうなくらいだ。
仕事に向かう佑介さんを見送るのは寂しさもあったけれど、俺が正直に昼間会えなくて寂しいというと、佑介さんが仕事の空き時間にビデオ通話をしてくれるようになり、昼間にも佑介さんの顔を見ることができて寂しさは随分と緩和された。
自炊は苦手ではないけれど、今まで忙しくてあまりしたことがなかった。それでもコンシェルジュの末廣さんに頼めば、完成された食事だけでなく、食材も用意してくれるから、動画を見ながら慣れないながらも料理を始めた。
最初こそ難しいと思ったけれど、意外と料理の才能があったようで、自分でも美味しいと思える料理が作れるようになってきた。俺が素直に頑張ろうと思えたのは、佑介さんが俺の料理を楽しみにしてくれるからだ。
佑介さんの方がずっとずっと料理は上手だけれど、俺がどんなものを作っても美味しいと言って褒めてくれる。だからこそ、もっと美味しいものを食べさせてあげたいと思うようになって、きっと上達したんだと思う。やっぱり愛の力って偉大いだ。
由夏には何か買ってあげたり、連れて行ってあげたり何か喜ぶことを必死に考えていた気がする。でも佑介さんは俺がどんなことをしても喜んでくれる。だから、もっともっとしたいと思うようになるんだ。だから、やっぱり俺は由夏のことを本気で好きじゃなかったんだろうな。
佑介さんと愛し合うようになってそれがよくわかった。
今日も佑介さんのためにキッチンに立つ。何を作ろうかと考えて、ロールキャベツを作ってみようと考えた。俺の好きなトマト煮込みのロールキャベツ。佑介さんに美味しいと言ってもらえたら、もっと好きになるかもしれない。
末廣さんが届けてくれるものは、顔を合わせずに内側から取ることができる。顔を見てお礼を言いたいけれど、防犯上そういう造りになっているのだから仕方がない。それに以前、佑介さんのマンションで由夏に押し入られた時の恐怖がまだ忘れられないから、一人の時は極力家から出ないことにしている。佑介さんもそれでいいと言ってくれているから、今はそれに甘えておこう。
早速食材を頼んで料理作り。いろんな料理動画があるけれど、俺の使っている動画は佑介さんに教えてもらったアプリの動画。その中でこの人の作る料理がドンピシャなんだ。早速この人の動画を探すとやっぱりロールキャベツがあった。
その動画を流しながら料理を始める。動画を見ながら作るのは簡単でいい。わからなくなったら止めることもできるし、前に戻すこともできる。丁寧にわかりやすく作ってくれるから初心者の俺にはもってこいだ。
和洋中全ての料理を網羅していて、声も出さないし料理用の手袋している上に、手元しか写らないから男性だというのはわかるけれど日本人かどうかもわからない。だけど、なんとなく雰囲気が佑介さんに似ている気がする。そんなところもお気に入りの動画だ。
きっと佑介さんは嫉妬するから料理がお気に入りとだけ伝えているけれど。
兎にも角にも今日もこの動画で美味しそうなロールキャベツが出来上がった。
ああ、早く佑介さん。帰ってこないかなぁ。
しばらくして、ポーンという音が響いた。
これは俺たち専用のエレベータがー動いた音。もうすぐ佑介さんが到着するサインだ。
ガチャっと鍵が開く音が聞こえて、俺は玄関に駆け出した。
「佑介さん、お帰りなさい!!」
「巧巳! ただいま!」
エプロン姿のまま、スーツ姿の佑介さんに飛び込むとよろめくこともなくがっしりと抱きしめてくれる。
「んんっ……っ!!」
軽いキスというよりはもう少し激しいキスに身体の奥がすぐに疼いてしまう。
「巧巳……このまま寝室に行っても?」
「でも、ロールキャベツが……」
「後で二人で食べよう。先に巧巳が食べたい……」
「佑介さん……はい。連れて行って……」
こうしていつものように俺は佑介さんに抱きかかえられて寝室に向かう。でも、それもまた幸せなんだ。
<おまけ>
「社長。次は何を作りますか?」
「そうだな、ロールキャベツにしようか。巧巳はロールキャベツが好きだから、きっと作ってくれるはずだ」
巧巳と付き合えるようになった時のために、私は秘書の富永くんと社長室にあるキッチンでこうしてせっせと料理の動画を撮り続ける。
その思いが報われて、巧巳がこの動画を見ながら料理を作ってくれるまで、あと半年……。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
<side巧巳>
部署異動を認めてくれていればあの会社に留まっていたかもしれない。だって、あの仕事は好きだったから。けれど、会社側は営業部からの異動は認めてもらえず、佑介さんと話をして俺はあの会社を辞めることにした。上層部からはかなり引き留められたけれど俺の決心は揺るがなかった。
最後の出社日に同時に有給休暇を取得したけれど、今まで使っていなかったこともあり有休は約40日ほど溜まっていた。その間は、佑介さんが家でのんびり過ごせばいいと言ってくれて、俺は社会人になって初めての超長期休暇にかなり浮かれてしまっていた。
俺が毎日休みだということもあって、平日休日関係なく、夜はたっぷりと佑介さんに愛された。もちろん、佑介さんは仕事があるから、翌日動けなくなるほど愛されたのは数日だったけれど、それでも毎日身体の奥まで愛された。そして、佑介さんと抱き合いながら朝を迎える。
もう毎日が幸せすぎておかしくなりそうなくらいだ。
仕事に向かう佑介さんを見送るのは寂しさもあったけれど、俺が正直に昼間会えなくて寂しいというと、佑介さんが仕事の空き時間にビデオ通話をしてくれるようになり、昼間にも佑介さんの顔を見ることができて寂しさは随分と緩和された。
自炊は苦手ではないけれど、今まで忙しくてあまりしたことがなかった。それでもコンシェルジュの末廣さんに頼めば、完成された食事だけでなく、食材も用意してくれるから、動画を見ながら慣れないながらも料理を始めた。
最初こそ難しいと思ったけれど、意外と料理の才能があったようで、自分でも美味しいと思える料理が作れるようになってきた。俺が素直に頑張ろうと思えたのは、佑介さんが俺の料理を楽しみにしてくれるからだ。
佑介さんの方がずっとずっと料理は上手だけれど、俺がどんなものを作っても美味しいと言って褒めてくれる。だからこそ、もっと美味しいものを食べさせてあげたいと思うようになって、きっと上達したんだと思う。やっぱり愛の力って偉大いだ。
由夏には何か買ってあげたり、連れて行ってあげたり何か喜ぶことを必死に考えていた気がする。でも佑介さんは俺がどんなことをしても喜んでくれる。だから、もっともっとしたいと思うようになるんだ。だから、やっぱり俺は由夏のことを本気で好きじゃなかったんだろうな。
佑介さんと愛し合うようになってそれがよくわかった。
今日も佑介さんのためにキッチンに立つ。何を作ろうかと考えて、ロールキャベツを作ってみようと考えた。俺の好きなトマト煮込みのロールキャベツ。佑介さんに美味しいと言ってもらえたら、もっと好きになるかもしれない。
末廣さんが届けてくれるものは、顔を合わせずに内側から取ることができる。顔を見てお礼を言いたいけれど、防犯上そういう造りになっているのだから仕方がない。それに以前、佑介さんのマンションで由夏に押し入られた時の恐怖がまだ忘れられないから、一人の時は極力家から出ないことにしている。佑介さんもそれでいいと言ってくれているから、今はそれに甘えておこう。
早速食材を頼んで料理作り。いろんな料理動画があるけれど、俺の使っている動画は佑介さんに教えてもらったアプリの動画。その中でこの人の作る料理がドンピシャなんだ。早速この人の動画を探すとやっぱりロールキャベツがあった。
その動画を流しながら料理を始める。動画を見ながら作るのは簡単でいい。わからなくなったら止めることもできるし、前に戻すこともできる。丁寧にわかりやすく作ってくれるから初心者の俺にはもってこいだ。
和洋中全ての料理を網羅していて、声も出さないし料理用の手袋している上に、手元しか写らないから男性だというのはわかるけれど日本人かどうかもわからない。だけど、なんとなく雰囲気が佑介さんに似ている気がする。そんなところもお気に入りの動画だ。
きっと佑介さんは嫉妬するから料理がお気に入りとだけ伝えているけれど。
兎にも角にも今日もこの動画で美味しそうなロールキャベツが出来上がった。
ああ、早く佑介さん。帰ってこないかなぁ。
しばらくして、ポーンという音が響いた。
これは俺たち専用のエレベータがー動いた音。もうすぐ佑介さんが到着するサインだ。
ガチャっと鍵が開く音が聞こえて、俺は玄関に駆け出した。
「佑介さん、お帰りなさい!!」
「巧巳! ただいま!」
エプロン姿のまま、スーツ姿の佑介さんに飛び込むとよろめくこともなくがっしりと抱きしめてくれる。
「んんっ……っ!!」
軽いキスというよりはもう少し激しいキスに身体の奥がすぐに疼いてしまう。
「巧巳……このまま寝室に行っても?」
「でも、ロールキャベツが……」
「後で二人で食べよう。先に巧巳が食べたい……」
「佑介さん……はい。連れて行って……」
こうしていつものように俺は佑介さんに抱きかかえられて寝室に向かう。でも、それもまた幸せなんだ。
<おまけ>
「社長。次は何を作りますか?」
「そうだな、ロールキャベツにしようか。巧巳はロールキャベツが好きだから、きっと作ってくれるはずだ」
巧巳と付き合えるようになった時のために、私は秘書の富永くんと社長室にあるキッチンでこうしてせっせと料理の動画を撮り続ける。
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