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第三章
口か中か……
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<sideフィデリオ>
マクシミリアンがヴェルナーを満足させてやれていないのかもしれない。
本当に我が孫ながら情けないことだ。
いつルーディーさまやクレイさまと話をする機会を作ろうか。
今回アズールさまやティオさまとお話ししたことで、マクシミリアンが不甲斐ないことに気づいたヴェルナーに見限られでもしたらマクシミリアンはきっと、いや絶対に立ち直れないことだろう。
ああ、早くなんとかしてあげなければ……。
この歳になって、孫の閨事で心配することになるとは思っても見なかったが孫が幸せになるためだ。
やるしかないな。
そんなことを思っていると、突然
「ねぇ、爺ーっ!!」
と可愛らしいアズールさまの呼び声が聞こえた。
何事かと慌てて駆け寄れば、話を聞いていたかと尋ねられる。
私としたことがマクシミリアンのことで頭がいっぱいで何も聞いていなかった。
素直に謝罪すると、アズールさまはにっこりと可愛らしい笑顔を浮かべて私に聞きたいことがあると仰った。
お三人方で盛り上がっていらしたというのに、私にどのような質問だろうか?
だが、アズールさまのご質問には年長者としてしっかり答えなければならない。
なんでもお答えしますと告げた瞬間、アズールさまは私に向かってぴょんと飛び込んできた。
ああ、なんて可愛いんだ。
私の腕の中にすっぽりとおさまる姿といつもより少し垂れた耳が言葉にできないほど可愛らしい。
キラキラと目を輝かせ無邪気な笑顔を見せながら、アズールさまは私に質問を投げかけた。
「あのね、爺は口に咥えられるのより、中に出す方が好き? 熊族はみんな同じなの?」
はっ?
私は今、何を聞かれたのだ?
口に咥えるより、中に出す方が好き?
それはどのことを言っているのだ?
この言葉の意味がしっくり来るものを私は一つしか知らないのだが……。
いやいや。まさか、アズールさまがそんなことを私にお聞きになるわけがない。
こんな純粋なお顔でそんなこと……っ。
そうだ、私の耳が耄碌してしまったに違いない。
マクシミリアンのことばかり考えていたからありもしない幻聴が聞こえてしまったのだ。
「あ、あの……申し訳ありません。アズールさま、今のご質問をもう一度お伺いしてもよろしいですか?」
「うん、だからねー。爺のおっきぃのを口に咥えられるより、中で蜜を出す方が好きなのかなって聞きたかったの」
「――つ!!! えっ……あの、なぜそれを私に聞きたかったのかお伺いしても?」
「あのね、ヴェルがマックスのおっきぃのを咥えたことがないって言ってたの。どうしてなのかなって理由聞いたら、マックスがお口よりも中で出す方が好きみたいだっていうから、もしかしたら熊さんたちはみんなそうなのかなって思ったの。ほら、ルーもお兄さまも狼さんでしょう? 熊さんとは違うのかなって、だから爺に聞いてみたの。もしかして、聞いちゃだめ、だった?」
「えっ、いいえ。そんなことはっ!」
「ふふっ、よかった」
あまりにも悲しげなお顔でダメだったかと尋ねられて、思わず条件反射のように違うと言ってしまった。
だが、アズールさまのあの表情を見てだめだと言えるものはおそらくこの世の中に一人としていないだろう。
違うと言ってしまった以上、アズールさまのご質問に答えないわけにはいかないな。
「あの……口か中かは、その……同じ熊族と言えども、それは人それぞれではないかと存じます。その、私はどちらも好きですが……小さな口に咥えてもらうとしたら、先端だけでも十分かと……入らなければ、舐めてもらうだけでも十分ですが……ただ、マクシミリアンに関して言えば、好き嫌いというわけではなく、ヴェルナーを気遣っているのではないかと思います」
「マクシミリアンが、私に気遣い? フィデリオさま、それはどういう意味でしょうか?」
私の言葉にヴェルナーが前のめりになって尋ねてくる。
やはり気になっていたようだ。
「上官でもあるし、年上でもあるし、咥えてもらうことに抵抗を感じていたりするかもしれないということです」
そういうと、ヴェルナーはハッと何かに気づいたようで考え込み始めた。
「ヴェルもマックスを気遣っていたし、マックスもヴェルを気遣ってたってことなんだね。すごーい! やっぱりヴェルとマックスはお似合いだね」
アズールさまは無邪気なお顔でニコニコと笑いながらそんなことを仰った。
ああ、本当にアズールさまは心に思ったことをそのまま口になさるお方だ。
嘘偽りもない、全てが正直なお方なのだ。
ものすごい質問をされて驚いてしまったけれど、隠し立てすることなくお伝えしてよかったのかもしれない。
もしかしたら、マクシミリアンとヴェルナーの関係にもひと肌脱げたのかもしれないな。
それからしばらくして扉を叩く音が聞こえ、急いで扉を開けるとそこにはルーディーさまとクレイさま、そしてなぜかマクシミリアンの姿まであった。
さっきまで話題にあがっていたからか、孫とはいえ少し気恥ずかしいが、ここはポーカーフェイスを貫かねばな。
マクシミリアンがヴェルナーを満足させてやれていないのかもしれない。
本当に我が孫ながら情けないことだ。
いつルーディーさまやクレイさまと話をする機会を作ろうか。
今回アズールさまやティオさまとお話ししたことで、マクシミリアンが不甲斐ないことに気づいたヴェルナーに見限られでもしたらマクシミリアンはきっと、いや絶対に立ち直れないことだろう。
ああ、早くなんとかしてあげなければ……。
この歳になって、孫の閨事で心配することになるとは思っても見なかったが孫が幸せになるためだ。
やるしかないな。
そんなことを思っていると、突然
「ねぇ、爺ーっ!!」
と可愛らしいアズールさまの呼び声が聞こえた。
何事かと慌てて駆け寄れば、話を聞いていたかと尋ねられる。
私としたことがマクシミリアンのことで頭がいっぱいで何も聞いていなかった。
素直に謝罪すると、アズールさまはにっこりと可愛らしい笑顔を浮かべて私に聞きたいことがあると仰った。
お三人方で盛り上がっていらしたというのに、私にどのような質問だろうか?
だが、アズールさまのご質問には年長者としてしっかり答えなければならない。
なんでもお答えしますと告げた瞬間、アズールさまは私に向かってぴょんと飛び込んできた。
ああ、なんて可愛いんだ。
私の腕の中にすっぽりとおさまる姿といつもより少し垂れた耳が言葉にできないほど可愛らしい。
キラキラと目を輝かせ無邪気な笑顔を見せながら、アズールさまは私に質問を投げかけた。
「あのね、爺は口に咥えられるのより、中に出す方が好き? 熊族はみんな同じなの?」
はっ?
私は今、何を聞かれたのだ?
口に咥えるより、中に出す方が好き?
それはどのことを言っているのだ?
この言葉の意味がしっくり来るものを私は一つしか知らないのだが……。
いやいや。まさか、アズールさまがそんなことを私にお聞きになるわけがない。
こんな純粋なお顔でそんなこと……っ。
そうだ、私の耳が耄碌してしまったに違いない。
マクシミリアンのことばかり考えていたからありもしない幻聴が聞こえてしまったのだ。
「あ、あの……申し訳ありません。アズールさま、今のご質問をもう一度お伺いしてもよろしいですか?」
「うん、だからねー。爺のおっきぃのを口に咥えられるより、中で蜜を出す方が好きなのかなって聞きたかったの」
「――つ!!! えっ……あの、なぜそれを私に聞きたかったのかお伺いしても?」
「あのね、ヴェルがマックスのおっきぃのを咥えたことがないって言ってたの。どうしてなのかなって理由聞いたら、マックスがお口よりも中で出す方が好きみたいだっていうから、もしかしたら熊さんたちはみんなそうなのかなって思ったの。ほら、ルーもお兄さまも狼さんでしょう? 熊さんとは違うのかなって、だから爺に聞いてみたの。もしかして、聞いちゃだめ、だった?」
「えっ、いいえ。そんなことはっ!」
「ふふっ、よかった」
あまりにも悲しげなお顔でダメだったかと尋ねられて、思わず条件反射のように違うと言ってしまった。
だが、アズールさまのあの表情を見てだめだと言えるものはおそらくこの世の中に一人としていないだろう。
違うと言ってしまった以上、アズールさまのご質問に答えないわけにはいかないな。
「あの……口か中かは、その……同じ熊族と言えども、それは人それぞれではないかと存じます。その、私はどちらも好きですが……小さな口に咥えてもらうとしたら、先端だけでも十分かと……入らなければ、舐めてもらうだけでも十分ですが……ただ、マクシミリアンに関して言えば、好き嫌いというわけではなく、ヴェルナーを気遣っているのではないかと思います」
「マクシミリアンが、私に気遣い? フィデリオさま、それはどういう意味でしょうか?」
私の言葉にヴェルナーが前のめりになって尋ねてくる。
やはり気になっていたようだ。
「上官でもあるし、年上でもあるし、咥えてもらうことに抵抗を感じていたりするかもしれないということです」
そういうと、ヴェルナーはハッと何かに気づいたようで考え込み始めた。
「ヴェルもマックスを気遣っていたし、マックスもヴェルを気遣ってたってことなんだね。すごーい! やっぱりヴェルとマックスはお似合いだね」
アズールさまは無邪気なお顔でニコニコと笑いながらそんなことを仰った。
ああ、本当にアズールさまは心に思ったことをそのまま口になさるお方だ。
嘘偽りもない、全てが正直なお方なのだ。
ものすごい質問をされて驚いてしまったけれど、隠し立てすることなくお伝えしてよかったのかもしれない。
もしかしたら、マクシミリアンとヴェルナーの関係にもひと肌脱げたのかもしれないな。
それからしばらくして扉を叩く音が聞こえ、急いで扉を開けるとそこにはルーディーさまとクレイさま、そしてなぜかマクシミリアンの姿まであった。
さっきまで話題にあがっていたからか、孫とはいえ少し気恥ずかしいが、ここはポーカーフェイスを貫かねばな。
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