婚約者に裏切られたのに幸せすぎて怖いんですけど……

波木真帆

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番外編

恋人との再会

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『不感症の僕が蕩けるほど愛されちゃってます』の智&暁との食事会を書こうとして、敦己が帰国したんですが久々の再会に誉と敦己がいちゃついてしまったので、ちょっと長くなります(汗)
おそらく智&暁との食事会は次回になります。
楽しんでいただけると嬉しいです♡


  *   *   *

「敦己っ!」

「誉さん!!」

成田空港の到着ロビーに着いた途端、ずっと聞きたかった声が飛び込んできた。

「おかえり!」

ギュッと抱きしめられて、そのまま唇が重ねられる。
誉さんが日本に帰ってから毎日のようにビデオ通話もしていたし、メッセージも送りあっていたけれど、やっぱりずっとこうやって抱きしめられたかったんだ。
誉さんの温もりも匂いも安心する。


「見て! あの人たち、キスしてる!」
「本当だ! もしかしてなんかの撮影?」
「めっちゃイケメン二人だけど、あんな俳優いたっけ?」
「どっちでもいいよ、あんなイケメン二人のキスシーンとか萌える~!!」
「確かに~!!」


「――っ!!」

周りのざわざわとした声に僕はようやくそこが空港だったことを思い出した。

慌てて誉さんの胸元に顔を隠すと、

「ふふっ。可愛いな、敦己は」

と優しく頭を撫でてくれる。

「誉さん……」

「敦己、あっちに車を止めてるから行こうか」

僕をギュッと抱き寄せながら、僕のキャリーケースをさっと引いてくれそのまま駐車場へ向かった。

車に荷物を乗せ、助手席を開けて僕を座らせてくれ、誉さんは運転席に颯爽と乗り込んだ。
それだけでカッコ良すぎて困る。

「敦己……やっと帰ってきてくれたな」

「はい。僕もずっと会いたかったです」

さっき人前でキスしてしまったのに、どちらからともなくまた唇が重ねられる。
それくらい僕も誉さんもお互いの熱に飢えていたんだと思う。

しばらく熱いキスを交わしていると、

「このままじゃ、ここで押し倒したくなるから家に帰ろうか」

と冗談混じりに誉さんが言ったけれど、目は真剣そのものに見えて僕は頷いた。

「わぁー、なんだかすごく懐かしく感じる」

車がようやく動き出し駐車場を出て久しぶりの日本の景色に思わず声が出た。
つい、半月ほど前に一時帰国してみたばかりの景色だけど、やっぱりあの時はかなり気持ちが下がっていたからか、正直何も覚えていない。

今は心が晴れやかだから、景色も楽しく見えるのかな。
隣にずっと会いたかった人もいるし。

「飛行機ではよく眠れた?」

「はい。誉さんがまたファーストクラスに変更してくださったから、もったいないと思いながらほとんど寝てました」

「ははっ。長いフライトは寝るのが一番だよ。そうだ、今度どこか二人で遠出しないか?」

「わぁ、いいですね!! アメリカの他の地域に行ってみますか?」

「そうだな。アメリカもいいが、ヨーロッパや南の島でのんびりするのもいいな」

「それ、いいですね!」

英語は問題ないし、誉さんならどこでも安心してついていける。
そんな計画を立てられる相手がいるって幸せだな。


「そういえば、荷物は全て運び込んでるからな。あの彼女……君が部屋に鍵付きで置いていた時計のコレクションを売ろうとしていたみたいだ」

「えっ、本当ですか?」

僕の持ち物の中で唯一の高価なもの。
あれには父さんから成人祝いに贈られたものも入っている。
あの存在は由依には内緒にしていたのに……。
おおかた、僕がいない間に部屋に入って金目になりそうなものでも探していたんだろう。
本当に僕のことはお金でしかみてなかったんだな。

「ああ。買取業者に持ち込んだら、シリアルナンバー入りでかなり高価なものだったから盗品の疑いがあるってことで買い取ってもらえなかったらしい。私が彼女たちと会った日に、仕事帰りに別の業者に売りに行くつもりで持ってきていたのを回収しておいた。専門のクリーニング業者に綺麗にしてもらったから、大丈夫。心配しなくていいよ
敦己の部屋に保管しているから」

「よかった……。あれが無くなっていたら本当に立ち直れないところでした。誉さん……ありがとうございます」

「他の荷物は大丈夫だと思うが、家に着いたら一応無くなっているものがないかも確認してくれ」

「はい。わかりました」


マンションに着くと、すぐにコンシェルジュさんが駆け寄ってきた。

「おかえりなさいませ。上田さま、宇佐美さま。お荷物をお運びいたします」

「ああ、ありがとう。前にも話しておいたが、今日から彼が私の部屋に住む。登録を頼む」

「承知いたしました。こちらへどうぞ」

誉さんに手を取られ、僕のキャリーケースを手にスタスタと歩いていくコンシェルジュさんの後をついていく。

「あ、あの……登録ってなんですか?」

「ああ、エレベーターに乗ったり、部屋に入ったりするための鍵となる指紋を登録しておくんだ。登録しておけば指紋をかざすだけで鍵が開くから楽なんだよ。このマンション内にある施設も全て指紋認証でサービスを受けられるから、お金も持ち歩く必要はないよ」

このマンション内の施設は、ジムやBAR、プールにシアタールーム、リラクゼーションルームまであるらしい。
そんなところに一人で近づく気はさらさらないけど、指紋認証で確認できるのは安心・安全でいいよね。

コンシェルジュさんの差し出した機械に手を置くとあっという間に登録が完了した。

「これでいい。羽鳥はとりくん、ありがとう。これから頼むよ」

ここのマンションは数階ごとに担当のコンシェルジュさんがいて、この羽鳥さんが僕たちの階の担当らしい。
人当たりの良さそうな穏やかな人でよかった。

エレベーターの入り口までキャリーケースを運んでもらい、二人で部屋に戻る。

「さぁ、今日から敦己の家だよ」

「え、えっと……ただいま……」

お邪魔しますと言いかけて、ただいまというと、誉さんは嬉しそうに笑った。

「ああ、おかえり」

玄関に入ってすぐに抱きしめられ、そのまま激しいキスが始まった。

さっきまで優しいキスだったから、ちょっと物足りなかったんだ。
そんなことを思ってしまうのも、誉さんとの激しく深いキスにもうすっかり溺れてしまっているからだろう。

クチュクチュといやらしい音を耳に感じながら、しばらく誉さんの甘いキスの感触に浸っていると、そのまま抱き上げられ寝室へと連れて行かれた。

「先に風呂に入ろうか?」

「あ、いえ……機内でシャワーを浴びてきたので……あの、だから……」

「そうか」

誉さんは嬉しそうにそう呟くと、そのまま僕をベッドに押し倒した。
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