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番外編
楽しみでたまらない
千鶴の妊娠を伝えられた時の大智視点のお話。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
<side大智>
定時で仕事を終え、透也の運転で自宅に戻ってきてすぐ、俺のスマホが着信を告げた。
画面表示には妹、千鶴の名前が出ていた。
石垣島での結婚式&披露宴を三か月後に控えて、忙しい日々を過ごしているだろう。
もしかしたらその関連の連絡なのかもしれない。
「俺は食事の準備をしていますから、大智はゆっくり千鶴さんの話を聞いてあげてください」
透也はそう言って、俺の唇にキスを落とすとキッチンに向かった。
さらりとそんなことをしてくるから照れてしまう。
千鶴からの電話がビデオ通話ではなかったことにホッとしながら、電話をとった。
ー千鶴、どうした? そっちは今は忙しい時間じゃないのか?
東京との時差は十六時間。
日本は午前十一時前。あの店はガッツリ系のランチはないが、コーヒーと一緒に軽食を食べる人が多くて昼間は結構忙しいと聞いていた。
ーすみません、お義兄さん。理人です。
てっきり千鶴だと思い込んで話をしていたから、急に長瀬さんの声がして驚いた。
ーえっ? あっ、すみません。千鶴かと思って……
ーいえ、前もってメッセージを送ってからにしたらよかったです、紛らわしくてすみません。
ーそれで、どうして千鶴の携帯で長瀬さんが? もしかして千鶴に何かあったんですか?
ーあの、それが……お伝えしておかなければいけないことができまして……
声がすごく真剣でどきっとする。
いったい何があったんだろう?
ー三ヶ月後に予定していた結婚式と披露宴を延期、というか一旦中止にすることになりました。
ーえっ? 結婚式を、中止? なんでそんなことに?
つい先日、千鶴から電話が来たときは、いいドレスが見つかったと大喜びしていたのに。
ー実は……千鶴さんのお腹に赤ちゃんができたんです。
ーえっ……あ、かちゃん?
思いもかけない言葉が聞こえて、鸚鵡返しをするとその声が聞こえていたのか、キッチンから透也が駆け寄ってきた。
「大智、今のって……千鶴さんが、おめでたってことですか?」
「た、多分。聞き間違いじゃなかったら……」
透也は茫然とする俺からスマホを取り、スピーカーにした。
ーもしもし、透也です。
ーあ、透也さん。長瀬です。あの今、お義兄さんに……
ーはい。ちらっと聞こえたんですけど、赤ちゃんって千鶴さんがおめでたですか?
ーそうなんです。昨日病院で調べてもらったら妊娠がわかって……
ーおめでとうございます。長瀬さんもパパになるんですね。
ーありがとうございます。それで、三ヶ月後は一応安定期には入ってるんですが、それでも飛行機での長距離移動はさせたくなくて……
ーそれで結婚式が中止というわけですね。
透也が俺の手をそっと握る。
中止の理由がわかってホッとする。
ーそうなんです。それで無事に出産が終わって千鶴さんと子どもの体調が落ち着いたら改めて、西表のイリゼホテルで結婚式と披露宴をしようかと……
ーそれがいいですよ。ねぇ、大智。
透也が俺に話を振ってくれる。
千鶴の妊娠を聞いたまま何も言わずに透也に代わったから長瀬さんも気にしているだろう。
驚いただけだってちゃんと伝えないとな。
ー長瀬さん。おめでとうございます。千鶴がお母さんになるなんて、びっくりして……すぐに反応できなくてすみません。でも俺……すごく嬉しいです。
ーお義兄さん……その言葉を聞いたら千鶴さん、喜ぶと思います。
ー千鶴は? 今、どうしてるんですか?
ー少しつわりが始まったみたいで休んでます。店もしばらくは千鶴さんの体調を見て、不定休にするつもりです。
ーうちは母親もつわりが酷かったと聞いてます。もしかしたら、千鶴も似ているかも……
ーそうなんですね。それじゃあより一層千鶴さんの体調には気をつけますから安心してください。
安心感のある長瀬さんの言葉が本当に心強い。千鶴も赤ちゃんもホッとしているだろうな。
ー何かあったらいつでも連絡してください。俺たちにできることならなんでもしますから。
ーありがとうございます。
長瀬さんのホッとした声を聞きながら電話は終わった。
「千鶴が、母親か……」
いつかはそうなるかもと思っていたけれど、やっぱり現実になると不思議な気がする。
「大智が伯父さんになるんですね」
「甥っ子か姪っ子か……どっちだろうな。いや、どっちでも楽しそうだ」
「でも、つわりが酷いなら心配ですね」
何か食べやすいものでも送ろうか、それとも……と考えている間に、千鶴から追加情報が来て、お腹の子どもが双子だとわかった。
水分の多い果物ならなんとか食べていると聞いて、透也が日本にいるおじいさんとお義父さんに千鶴に果物を送るように頼んでくれた。
ベルンシュトルフホールディングスのツートップの二人にそんなことを頼んで申し訳ないと思ったけれど、お二人は千鶴と長瀬さんの子どもはひ孫と孫と同じだと思ってくれているようだ。本当にありがたい。
千鶴と長瀬さんからはその後、美味しい果物へのお礼の言葉をもらい、特に苺が美味しかったと感想をもらった。
近いうちにまた苺をたっぷりと送ろう。
可愛い甥っ子か姪っ子、もしくは両方のために。
ああ、生まれてくる日が楽しみだな。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
<side大智>
定時で仕事を終え、透也の運転で自宅に戻ってきてすぐ、俺のスマホが着信を告げた。
画面表示には妹、千鶴の名前が出ていた。
石垣島での結婚式&披露宴を三か月後に控えて、忙しい日々を過ごしているだろう。
もしかしたらその関連の連絡なのかもしれない。
「俺は食事の準備をしていますから、大智はゆっくり千鶴さんの話を聞いてあげてください」
透也はそう言って、俺の唇にキスを落とすとキッチンに向かった。
さらりとそんなことをしてくるから照れてしまう。
千鶴からの電話がビデオ通話ではなかったことにホッとしながら、電話をとった。
ー千鶴、どうした? そっちは今は忙しい時間じゃないのか?
東京との時差は十六時間。
日本は午前十一時前。あの店はガッツリ系のランチはないが、コーヒーと一緒に軽食を食べる人が多くて昼間は結構忙しいと聞いていた。
ーすみません、お義兄さん。理人です。
てっきり千鶴だと思い込んで話をしていたから、急に長瀬さんの声がして驚いた。
ーえっ? あっ、すみません。千鶴かと思って……
ーいえ、前もってメッセージを送ってからにしたらよかったです、紛らわしくてすみません。
ーそれで、どうして千鶴の携帯で長瀬さんが? もしかして千鶴に何かあったんですか?
ーあの、それが……お伝えしておかなければいけないことができまして……
声がすごく真剣でどきっとする。
いったい何があったんだろう?
ー三ヶ月後に予定していた結婚式と披露宴を延期、というか一旦中止にすることになりました。
ーえっ? 結婚式を、中止? なんでそんなことに?
つい先日、千鶴から電話が来たときは、いいドレスが見つかったと大喜びしていたのに。
ー実は……千鶴さんのお腹に赤ちゃんができたんです。
ーえっ……あ、かちゃん?
思いもかけない言葉が聞こえて、鸚鵡返しをするとその声が聞こえていたのか、キッチンから透也が駆け寄ってきた。
「大智、今のって……千鶴さんが、おめでたってことですか?」
「た、多分。聞き間違いじゃなかったら……」
透也は茫然とする俺からスマホを取り、スピーカーにした。
ーもしもし、透也です。
ーあ、透也さん。長瀬です。あの今、お義兄さんに……
ーはい。ちらっと聞こえたんですけど、赤ちゃんって千鶴さんがおめでたですか?
ーそうなんです。昨日病院で調べてもらったら妊娠がわかって……
ーおめでとうございます。長瀬さんもパパになるんですね。
ーありがとうございます。それで、三ヶ月後は一応安定期には入ってるんですが、それでも飛行機での長距離移動はさせたくなくて……
ーそれで結婚式が中止というわけですね。
透也が俺の手をそっと握る。
中止の理由がわかってホッとする。
ーそうなんです。それで無事に出産が終わって千鶴さんと子どもの体調が落ち着いたら改めて、西表のイリゼホテルで結婚式と披露宴をしようかと……
ーそれがいいですよ。ねぇ、大智。
透也が俺に話を振ってくれる。
千鶴の妊娠を聞いたまま何も言わずに透也に代わったから長瀬さんも気にしているだろう。
驚いただけだってちゃんと伝えないとな。
ー長瀬さん。おめでとうございます。千鶴がお母さんになるなんて、びっくりして……すぐに反応できなくてすみません。でも俺……すごく嬉しいです。
ーお義兄さん……その言葉を聞いたら千鶴さん、喜ぶと思います。
ー千鶴は? 今、どうしてるんですか?
ー少しつわりが始まったみたいで休んでます。店もしばらくは千鶴さんの体調を見て、不定休にするつもりです。
ーうちは母親もつわりが酷かったと聞いてます。もしかしたら、千鶴も似ているかも……
ーそうなんですね。それじゃあより一層千鶴さんの体調には気をつけますから安心してください。
安心感のある長瀬さんの言葉が本当に心強い。千鶴も赤ちゃんもホッとしているだろうな。
ー何かあったらいつでも連絡してください。俺たちにできることならなんでもしますから。
ーありがとうございます。
長瀬さんのホッとした声を聞きながら電話は終わった。
「千鶴が、母親か……」
いつかはそうなるかもと思っていたけれど、やっぱり現実になると不思議な気がする。
「大智が伯父さんになるんですね」
「甥っ子か姪っ子か……どっちだろうな。いや、どっちでも楽しそうだ」
「でも、つわりが酷いなら心配ですね」
何か食べやすいものでも送ろうか、それとも……と考えている間に、千鶴から追加情報が来て、お腹の子どもが双子だとわかった。
水分の多い果物ならなんとか食べていると聞いて、透也が日本にいるおじいさんとお義父さんに千鶴に果物を送るように頼んでくれた。
ベルンシュトルフホールディングスのツートップの二人にそんなことを頼んで申し訳ないと思ったけれど、お二人は千鶴と長瀬さんの子どもはひ孫と孫と同じだと思ってくれているようだ。本当にありがたい。
千鶴と長瀬さんからはその後、美味しい果物へのお礼の言葉をもらい、特に苺が美味しかったと感想をもらった。
近いうちにまた苺をたっぷりと送ろう。
可愛い甥っ子か姪っ子、もしくは両方のために。
ああ、生まれてくる日が楽しみだな。
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