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もう、だめだ……
「そ、それ、本気なのか?」
「もちろんですよ、そんなことで大智さんに嘘なんてつきません」
「だって、こっちに異動したらそう簡単には帰れないんだぞ。私だって数年は……」
「だからですよ。大智さんと数年も遠距離恋愛なんて無理です」
「無理?」
「あ、そういう意味じゃなくて、私が大智さんと離れていることが耐えられないんです。ずっとこうやって手が届く位置にいてくれないと、甘やかせないでしょう?」
ギュッと抱きしめられると、透也くんの温もりと鼓動を感じる。
「それに、大智さんだって……あんなに幸せそうに寝ていたのに、私が隣にいなくて耐えられるんですか?」
「――っ、それは……っ」
確かにこれを知ってしまったら、ひとりで過ごせる自信がない。
こっちにきてしばらくは一人で暮らしていたのが嘘みたいに、ここ数日が濃密すぎたからだ。
透也くんと離れ離れになる?
この温もりが消えてしまう?
俺はそれに耐えられるのか?
思わず、透也くんの服をきゅっと掴むと、透也くんの大きな手が俺の髪を優しく撫でる。
「大智さんの気持ちはわかりました。やっぱり私たちに遠距離恋愛なんて耐えられません。今回の出張が終わるまであと約二ヶ月。その間に申請して、一度は帰国しますが、すぐに帰ってきます。絶対に異動させてもらいますから」
「で、でも……そんなにうまくいくか?」
「ふふっ。大丈夫ですよ。大智さんは心配しないで。私の言うことだけ信じてくれたらいいですから」
――嘘だろ? ずっと真に受けてたわけ?
そう言って、嘲笑ったあいつとは違う。
そう思っても、誰かを信じるなんて怖いと思ってた。
また裏切られて傷つくのが嫌だったから。
でも……透也くんのことは信じたい。
俺は言葉を出せない代わりに、透也くんの胸に顔を擦り寄せて抱きついた。
「ふふっ。どんどん甘えてくれていいですよ。可愛い大智さん、大好きです」
そんな甘くて優しい言葉かけてくれるのも透也くんだけだ。
だからつい心の声が漏れてしまった……。
「透也くん……好きだ……」
「――っ!! い、いま……っ」
「えっ?」
「大智さん、今……私のこと好きって言いましたよね?」
「――っ、えっ、あっ、ちが――っ、えっと、ちが、くは、ない……けど……きこ、えた?」
「はい。バッチリ聞きましたから、もう訂正できませんよ」
嬉しそうな顔で真っ直ぐに俺を見つめる。
その目に嘘はなさそうだけど、でも本当に付き合うなら今度はちゃんと聞いておきたい。
「訂正は、しないけど……本気で男の私と付き合うつもりなのか?」
「今更ですね。あんなに真剣に告白したのに、まだ信じられないですか?」
「いや、そうじゃなくて……透也くんは彼女がいたって……。それって別にわざわざ男を選ばなくても、女性を愛せるってことだろう? 私は……ゲイだから、男しか好きになれない。だから、男女両方愛せる人とはうまくいかないんじゃないかって……」
「なるほど。大智さんが傷ついていたのは、それが理由ですか?」
察しのいい透也くんなら、すぐに気づくと思ってた。
だから、俺はただ頷いた。
――俺、バイだから、男だけってわけじゃないけどそれでも良いなら付き合って。
あの時は何も考えずにOKしてしまったけれど、今思えば、あれは最後には女性を選ぶからってことだったんだろうな。
宏樹のことは一気に冷めてどうでも良くなったけれど、もし……透也くんが最終的には女性と結婚することを考えているのなら、まだ傷の浅いうちにやめておいた方がいいかもしれない。
いや、今でも十分深くはまりこんでいるけれど、一日でも早い方がまだ立ち直れるかもしれない。
そう思った。
「大智さん……私は、生半可な気持ちで大智さんに告白したわけじゃありません。確かに私は以前女性とお付き合いもしたし、今まで女性が恋愛対象だと漠然と思っていました。でも、大智さんに出会ってわかったんです。私は、男も女も興味がないんです」
「えっ……」
「私にとって興味があって、心から付き合いたい、離れたくない、一生そばにいたいと思えるのは、この世界中で大智さんただ一人です。あなたさえそばにいてくれたら、他の人間なんて何もいらない。逆を言えば、あなたがいなければ、誰も一緒です。特別な存在なんて誰もなれない。私の特別は大智さん、あなただけなんですよ」
「透也くん……」
「あなたを傷つけた愚かな男は絶対に許せない。ですが、その男が手放してくれたおかげで大智さんが私の元に来てくれたのであれば、感謝はしませんが良かったとは思いますよ。そんなくだらない人間のために、大智さんがこれ以上無駄な時間を過ごさずに済んだことはね。でも、大智さん……あなたが私の元から離れたら、私のこれからの人生は一生無駄な時間として過ごすことになりますよ。私にそんな思いをさせたいですか?」
「そ、れは……いや、だ」
「ふふっ。でしょう? だから、何も考えずに私のそばにいてください。大智さんはただ私のそばで笑顔を見せてくれていたらいいんです」
ああ、なんで透也くんはこんなに俺を安心させるようなことばかり言ってくれるんだろう。
こんなに嬉しいことばかり言われたら、もう落ちるしかないじゃないか。
「もちろんですよ、そんなことで大智さんに嘘なんてつきません」
「だって、こっちに異動したらそう簡単には帰れないんだぞ。私だって数年は……」
「だからですよ。大智さんと数年も遠距離恋愛なんて無理です」
「無理?」
「あ、そういう意味じゃなくて、私が大智さんと離れていることが耐えられないんです。ずっとこうやって手が届く位置にいてくれないと、甘やかせないでしょう?」
ギュッと抱きしめられると、透也くんの温もりと鼓動を感じる。
「それに、大智さんだって……あんなに幸せそうに寝ていたのに、私が隣にいなくて耐えられるんですか?」
「――っ、それは……っ」
確かにこれを知ってしまったら、ひとりで過ごせる自信がない。
こっちにきてしばらくは一人で暮らしていたのが嘘みたいに、ここ数日が濃密すぎたからだ。
透也くんと離れ離れになる?
この温もりが消えてしまう?
俺はそれに耐えられるのか?
思わず、透也くんの服をきゅっと掴むと、透也くんの大きな手が俺の髪を優しく撫でる。
「大智さんの気持ちはわかりました。やっぱり私たちに遠距離恋愛なんて耐えられません。今回の出張が終わるまであと約二ヶ月。その間に申請して、一度は帰国しますが、すぐに帰ってきます。絶対に異動させてもらいますから」
「で、でも……そんなにうまくいくか?」
「ふふっ。大丈夫ですよ。大智さんは心配しないで。私の言うことだけ信じてくれたらいいですから」
――嘘だろ? ずっと真に受けてたわけ?
そう言って、嘲笑ったあいつとは違う。
そう思っても、誰かを信じるなんて怖いと思ってた。
また裏切られて傷つくのが嫌だったから。
でも……透也くんのことは信じたい。
俺は言葉を出せない代わりに、透也くんの胸に顔を擦り寄せて抱きついた。
「ふふっ。どんどん甘えてくれていいですよ。可愛い大智さん、大好きです」
そんな甘くて優しい言葉かけてくれるのも透也くんだけだ。
だからつい心の声が漏れてしまった……。
「透也くん……好きだ……」
「――っ!! い、いま……っ」
「えっ?」
「大智さん、今……私のこと好きって言いましたよね?」
「――っ、えっ、あっ、ちが――っ、えっと、ちが、くは、ない……けど……きこ、えた?」
「はい。バッチリ聞きましたから、もう訂正できませんよ」
嬉しそうな顔で真っ直ぐに俺を見つめる。
その目に嘘はなさそうだけど、でも本当に付き合うなら今度はちゃんと聞いておきたい。
「訂正は、しないけど……本気で男の私と付き合うつもりなのか?」
「今更ですね。あんなに真剣に告白したのに、まだ信じられないですか?」
「いや、そうじゃなくて……透也くんは彼女がいたって……。それって別にわざわざ男を選ばなくても、女性を愛せるってことだろう? 私は……ゲイだから、男しか好きになれない。だから、男女両方愛せる人とはうまくいかないんじゃないかって……」
「なるほど。大智さんが傷ついていたのは、それが理由ですか?」
察しのいい透也くんなら、すぐに気づくと思ってた。
だから、俺はただ頷いた。
――俺、バイだから、男だけってわけじゃないけどそれでも良いなら付き合って。
あの時は何も考えずにOKしてしまったけれど、今思えば、あれは最後には女性を選ぶからってことだったんだろうな。
宏樹のことは一気に冷めてどうでも良くなったけれど、もし……透也くんが最終的には女性と結婚することを考えているのなら、まだ傷の浅いうちにやめておいた方がいいかもしれない。
いや、今でも十分深くはまりこんでいるけれど、一日でも早い方がまだ立ち直れるかもしれない。
そう思った。
「大智さん……私は、生半可な気持ちで大智さんに告白したわけじゃありません。確かに私は以前女性とお付き合いもしたし、今まで女性が恋愛対象だと漠然と思っていました。でも、大智さんに出会ってわかったんです。私は、男も女も興味がないんです」
「えっ……」
「私にとって興味があって、心から付き合いたい、離れたくない、一生そばにいたいと思えるのは、この世界中で大智さんただ一人です。あなたさえそばにいてくれたら、他の人間なんて何もいらない。逆を言えば、あなたがいなければ、誰も一緒です。特別な存在なんて誰もなれない。私の特別は大智さん、あなただけなんですよ」
「透也くん……」
「あなたを傷つけた愚かな男は絶対に許せない。ですが、その男が手放してくれたおかげで大智さんが私の元に来てくれたのであれば、感謝はしませんが良かったとは思いますよ。そんなくだらない人間のために、大智さんがこれ以上無駄な時間を過ごさずに済んだことはね。でも、大智さん……あなたが私の元から離れたら、私のこれからの人生は一生無駄な時間として過ごすことになりますよ。私にそんな思いをさせたいですか?」
「そ、れは……いや、だ」
「ふふっ。でしょう? だから、何も考えずに私のそばにいてください。大智さんはただ私のそばで笑顔を見せてくれていたらいいんです」
ああ、なんで透也くんはこんなに俺を安心させるようなことばかり言ってくれるんだろう。
こんなに嬉しいことばかり言われたら、もう落ちるしかないじゃないか。
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