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思わぬ事実
ーすみません。こんな遅い時間に。とりあえず一番の難所は乗り越えられて、明日には全て解決できそうなので、先にご報告をと思って。
ーいや、そっちのことが気になっていたから教えてくれて助かるよ。さすがだな、五日はかかるかと思っていたけれど、早く解決できるなんて。
ーいえ、みんなが協力して頑張ってくれたおかげです。あの、それで帰国なんですけど変更して早く帰ったほうがいいですか? 一応座席は空いているみたいなんですけど……
ー元々、明後日の夕方の飛行機だったろう? それは予定通りで構わないよ。せっかく日本に帰ったんだし、婚約者さんも宇佐美くんに会えるのを楽しみにしているんじゃないか?
ー実は、今回の帰国のことはまだ何も言ってないんです。
ーえっ? そうなのか?
ーはい。会える時間が取れるかわからなかったので、ぬか喜びさせることになったら申し訳なくて……
ーああ。それは確かにそうだな。じゃあ、明日会いに行くのか?
ーはい。でも、まだ何時に終わるかはわからないんでこっそり行って驚かせてやろうと思ってます。
ーははっ。宇佐美くんにもそんなところがあるんだな。日本では残業続きだったんだろう? 久しぶりにのんびり過ごしてくるといい。
ーはい。ありがとうございます。
宇佐美くんの電話の声。
すごく晴れやかで嬉しそうだった。
一仕事終えてもうすぐプレッシャーから解放される安心感と、婚約者と久しぶりに会える喜びだろう。
考えてみれば宇佐美くんの婚約者さんは、二ヶ月以上も離れ離れでも文句一つ言わずに宇佐美くんの帰りをずっと待っているんだよな。
透也はすぐに帰ってくると言ってくれたし、俺を二ヶ月も待たせたりはしないだろう。
なら俺だって寂しいとか会いたいとか言って困らせたりしたらダメだよな。
我慢しないとな。
「今の電話、敦己からですか?」
「ああ。山場は超えたらしい。明日には解決しそうだからって先に連絡くれたんだよ。まぁ、帰国日のほうが気になって連絡してきたみたいだけどな。真面目な宇佐美くんらしいよ」
「ああ、確かに。敦己のことだから早く終わったら早く帰国しないととか思っていたんでしょう? こっちのプロジェクトも気になっているだろうし」
「そうみたいだ。でもせっかく帰国したんだから婚約者さんと会ってのんびり過ごしておいでって言っておいた」
「……そう、ですか」
俺の言葉に表情を曇らせた透也が気になって、
「何かあるのか?」
と尋ねると、言いにくそうにしながらも教えてくれた。
「いえ、実は……その、敦己の婚約者とされる子なんですけど、どうも敦己以外にも男の影があるみたいなんですよ」
「えっ? 男の影って……もしかして、二股ってことか?」
「こっちに調査内容が送られてきて、その調査によるとかなり長い期間その男との関係が続いているみたいですね」
「長い期間って、まさか……宇佐美くんがあっちにいる時からってことか?」
「はい。そのようです」
「そんな……っ」
他に相手ができて傷つけられた痛みを俺は知ってる。
まさかあの宇佐美くんがあの時の俺と同じような痛みに苦しめられるなんて……。
「嫌なことを思い出させてすみません」
「いや、俺は大丈夫。俺には透也がいるし、もう全部忘れたから。あっ、でも宇佐美くんは明日彼女に会いに行くって……止めたほうがいいか? でもなんて言えばいいんだ?」
「彼女に男の影があると言っても、真面目な敦己のことです。自分の目で見るまでは彼女のことを信じるはずです。とりあえず今はそっとしておきましょう。遅かれ早かれ敦己は知ることになるはずですから」
「頑張って仕事を終わらせて久しぶりに会いに行くっていうのに……っ」
「大智……」
透也が優しく俺を抱き寄せる。
「大丈夫ですよ。悪いことばかりにはならないはずです」
「そう、なのか?」
「はい。だから安心してください」
透也が調査しただけで終わらせるなんて思ってない。
しかもそんな結果が出たなら尚更だ。
透也の再従兄弟である宇佐美くんを傷つけられてそのまま終わるとは思えないし。
きっと何か考えてくれているんだろう。
それなら俺はただ黙って見守るだけだ。
宇佐美くんが傷ついた時に助けてあげられれば。
それが俺の役目だろうから。
ーいや、そっちのことが気になっていたから教えてくれて助かるよ。さすがだな、五日はかかるかと思っていたけれど、早く解決できるなんて。
ーいえ、みんなが協力して頑張ってくれたおかげです。あの、それで帰国なんですけど変更して早く帰ったほうがいいですか? 一応座席は空いているみたいなんですけど……
ー元々、明後日の夕方の飛行機だったろう? それは予定通りで構わないよ。せっかく日本に帰ったんだし、婚約者さんも宇佐美くんに会えるのを楽しみにしているんじゃないか?
ー実は、今回の帰国のことはまだ何も言ってないんです。
ーえっ? そうなのか?
ーはい。会える時間が取れるかわからなかったので、ぬか喜びさせることになったら申し訳なくて……
ーああ。それは確かにそうだな。じゃあ、明日会いに行くのか?
ーはい。でも、まだ何時に終わるかはわからないんでこっそり行って驚かせてやろうと思ってます。
ーははっ。宇佐美くんにもそんなところがあるんだな。日本では残業続きだったんだろう? 久しぶりにのんびり過ごしてくるといい。
ーはい。ありがとうございます。
宇佐美くんの電話の声。
すごく晴れやかで嬉しそうだった。
一仕事終えてもうすぐプレッシャーから解放される安心感と、婚約者と久しぶりに会える喜びだろう。
考えてみれば宇佐美くんの婚約者さんは、二ヶ月以上も離れ離れでも文句一つ言わずに宇佐美くんの帰りをずっと待っているんだよな。
透也はすぐに帰ってくると言ってくれたし、俺を二ヶ月も待たせたりはしないだろう。
なら俺だって寂しいとか会いたいとか言って困らせたりしたらダメだよな。
我慢しないとな。
「今の電話、敦己からですか?」
「ああ。山場は超えたらしい。明日には解決しそうだからって先に連絡くれたんだよ。まぁ、帰国日のほうが気になって連絡してきたみたいだけどな。真面目な宇佐美くんらしいよ」
「ああ、確かに。敦己のことだから早く終わったら早く帰国しないととか思っていたんでしょう? こっちのプロジェクトも気になっているだろうし」
「そうみたいだ。でもせっかく帰国したんだから婚約者さんと会ってのんびり過ごしておいでって言っておいた」
「……そう、ですか」
俺の言葉に表情を曇らせた透也が気になって、
「何かあるのか?」
と尋ねると、言いにくそうにしながらも教えてくれた。
「いえ、実は……その、敦己の婚約者とされる子なんですけど、どうも敦己以外にも男の影があるみたいなんですよ」
「えっ? 男の影って……もしかして、二股ってことか?」
「こっちに調査内容が送られてきて、その調査によるとかなり長い期間その男との関係が続いているみたいですね」
「長い期間って、まさか……宇佐美くんがあっちにいる時からってことか?」
「はい。そのようです」
「そんな……っ」
他に相手ができて傷つけられた痛みを俺は知ってる。
まさかあの宇佐美くんがあの時の俺と同じような痛みに苦しめられるなんて……。
「嫌なことを思い出させてすみません」
「いや、俺は大丈夫。俺には透也がいるし、もう全部忘れたから。あっ、でも宇佐美くんは明日彼女に会いに行くって……止めたほうがいいか? でもなんて言えばいいんだ?」
「彼女に男の影があると言っても、真面目な敦己のことです。自分の目で見るまでは彼女のことを信じるはずです。とりあえず今はそっとしておきましょう。遅かれ早かれ敦己は知ることになるはずですから」
「頑張って仕事を終わらせて久しぶりに会いに行くっていうのに……っ」
「大智……」
透也が優しく俺を抱き寄せる。
「大丈夫ですよ。悪いことばかりにはならないはずです」
「そう、なのか?」
「はい。だから安心してください」
透也が調査しただけで終わらせるなんて思ってない。
しかもそんな結果が出たなら尚更だ。
透也の再従兄弟である宇佐美くんを傷つけられてそのまま終わるとは思えないし。
きっと何か考えてくれているんだろう。
それなら俺はただ黙って見守るだけだ。
宇佐美くんが傷ついた時に助けてあげられれば。
それが俺の役目だろうから。
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