年下イケメンに甘やかされすぎて困ってます

波木真帆

文字の大きさ
67 / 137

幸せだよ

「透也、宇佐美くんの話は聞いたか?」

迎えの車に乗って早々どうしても気になって尋ねてしまった。

「そう尋ねると言うことは、大智も聞いたのですか?」

「ああ。今日宇佐美くんの代理人だという弁護士さんから連絡が来たんだ」

「弁護士さんから? わざわざ大智宛に?」

まさか弁護士さんからとは思わなかったのかな。
もしかしたら宇佐美くん本人から連絡が来たと思ったのかもしれない。

「宇佐美くんが頼んだらしい。婚約したと言う報告を受けていたからだろうな。解消したら報告しないといけないと思ったんだろう。本当に宇佐美くんは真面目だな」

「なるほど、そういうことですか。それで敦己の様子はどうだって言ってましたか?」

「うーん、あんまり詳しいことを俺の口から話していいのかはわからないんだけど……でも、思ったよりは大丈夫そうだよ」

「それなら良かったです」

透也に安堵の表情が見える。
あの調査内容をみてきっと心配していたんだろうな。

「透也は宇佐美くん本人から聞いたのか?」

「はい。<婚約解消になった、詳しくは会ってから話す>とそっけないメッセージだけでしたけど。まぁ、調査内容も知ってましたし、今回の帰国でそれを知ったんだろうなとはあたりをつけています。大智にも彼女に会いに行くと話をしていたでしょう?」

「ああ、やっぱり行かせなければ良かったって後悔してたんだ」

「大智のせいじゃありませんよ。あんなこといつまでも隠せることじゃありませんし、結婚前のこのタイミングで知って良かったんです。何も知らずに結婚していた方が辛いでしょう?」

「ああ、そうだな」

上田先生と同じことを言う。
やっぱりそうだよな。
後で知ったら、傷はもっと深くなるだけだ。

「なにかありましたか?」

「えっ? なんで?」

「なんだか嬉しそうな顔をしていたのが気になって」

「ああ、ちょっと思い出したんだ。今日の弁護士さんの言葉を。透也と同じこと言ってたなって。今は辛いだろうけど、これからの未来のために必要だったんだって言われて、俺もそうだなって思ったんだ。俺も知りたくない事実を知って傷ついたけど、あの時知ることができたから今こうして透也と幸せな時間を過ごせてるんだなって思ったら、真実を知るにはあながち悪いことではなかったんだなって思ったんだよ。だから、宇佐美くんにもきっとこれからいい出会いも、幸せな未来も訪れるんじゃないかってそう信じてる」

「大智……今、幸せですか?」

「何言っているんだ、そんなことわかってるだろう? 俺が幸せじゃないように見えるか?」

「大智の口から聞きたいんです」

ふふっ。きっと俺が弁護士さんの名前を出したから嫉妬してくれてるんだろうな。
俺には透也だけだってわかってるんだから、心配することなんてないのに。
でもちゃんと言葉にすることも大事だよな。

「透也と出会えて今だけじゃなくて、これから先も一生幸せだよ」

俺の言葉に嬉しそうに微笑む透也にもっと喜んで欲しくなって、ちょうど赤信号で止まったタイミングでチュッとほっぺたにキスをした。

「透也、愛してるよ」

「――っ!!! 大智っ!! ああ、もうっ! なんで今、運転中なんだ!!」

「と、とうや?」

「覚悟しておいてくださいね。大智が煽ったんですから」

「――っ!!!」

目の奥に欲情の火を灯しながら、ギラギラとした目で見つめられるだけで身体の奥が疼く。
ああ、もう俺は本当に透也なしじゃ生きていけないな。


透也にたっぷりと愛されつつも、挿入は一度だけで済ませてくれたおかげで――その分、中に挿入っている時間は長かったけれど――翌日は起き上がれないということがなくてほっとした。

流石にセックスしすぎで起き上がれないから休むなんてことを社会人がそんなしょっちゅうできるわけもないし、そんな理由は恥ずかしすぎる。

今日は宇佐美くんも出社することだし、俺もちゃんと出ないとな。
つくづくこの支社では内勤業務ばかりで良かったと思う。

「おはようございます!」

そう言って元気よく入ってきた宇佐美くんに驚く。
声もそうだけれど、表情もかなり明るい。
睡眠もよく取れているみたいで寝不足でもなさそうだ。

上田先生が吹っ切れたみたいだと話をしていたけれど、それは本当みたいだな。
自分が原因でもないことでずっと悩み続けるのは時間の無駄だもんな。
俺も吹っ切れたらそう思えるようになった。

とりあえず、宇佐美くんには俺が話を知っていると言うのを伝えておかないと上田先生が頼まれた仕事をしていないと思われたから困るからな。

来て早々で悪いけれどと声をかけながら、とりあえず防音設備のある会議室に連れて行ったけれど、宇佐美くんは俺からの突然の呼び出しに大体の見当はついているようだった。
感想 137

あなたにおすすめの小説

イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした

天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです! 元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。 持ち主は、顔面国宝の一年生。 なんで俺の写真? なんでロック画? 問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。 頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ! ☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。