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兄弟って似るんだな
「あっ、祥也さんっ!」
嬉しそうに駆け出していく姿は本当に可愛い子犬みたいだ。
俺は二人の再会を邪魔しないようにゆっくりと近づいたつもりだったけれど、祥也さんはすぐに俺に視線を向けて
「大智さん、今日は大夢の誘いにのってくれてありがとう」
と笑顔を見せてくれた。
その間ももちろん、高遠くんとピッタリ寄り添っている。
ふふっ。
そんなところはやっぱり兄弟なのかな。
透也によく似ている気がする。
「いえ、いつもお弁当を食べさせてもらってるお礼も言いたかったので声をかけてもらって嬉しかったですよ」
「ああ、あれは気にしないでいいよ。大夢の分だけ作るよりたくさん作ったほうが楽だし、それに透也にも頼まれてるからな」
「すみません、俺が料理苦手だから迷惑かけちゃって……」
「気にしないでいいって言ったろ? 大夢と一緒に昼食とってもらえて喜んでるんだから」
祥也さんの言葉に一気に高遠くんの顔が赤くなる。
「えっ? それってどういう?」
てっきり高遠くんは祥也さんと食事がしたいけど、僕のためにお弁当にしてるんだと思ってたのに。
「ふふっ。大夢は大智さんのファンだから、一緒に働けている間に仲良くなりたいって言ってたんだよ。でも昼食は透也とよくとっていただろう? 行き帰りも透也と一緒だったようだし、なかなか声がかけられなかったらしくてどうやって誘えばいいかってしょっちゅう聞かれてたくらいだよ……なぁ、大夢」
「もうっ、祥也さん! 全部バラさないでくださいよ。支社長に憧れてるとかファンとか知られて引かれちゃったらどうするんですか」
高遠くんの恥ずかしそうな様子に祥也さんの言っていることが本当なんだとわかる。
まさか高遠くんがそんなことを思ってくれていたなんて知らなかったな。
「そんな引くわけないだろう? そもそも高遠くんとは年も離れてるし、飲みに誘っても上司とは話なんて弾まないだろうと思っていたからさ」
「支社長、何言ってるんですか。みんな支社長に憧れてるんですよ。L.A支社に支社長が配属されるって聞いた時、本社から来てるみんながどれだけ喜んでたか。でもこっちには歓迎会とかそいうのが禁止されてるから支社長とはなかなか話すチャンスがなくて……落ち着いたら声かけようと思っていたら、とつぜん専属護衛みたいに透也くんと一緒に行動しだすし……だから、透也くんが帰国している今がチャンスだなって思ってたんです」
みんなそんな様子してたっけ?
ああでも、最初は俺も緊張してたし、前の支社長が残していったのが多すぎてバタバタしてたから周りを見る余裕がなかったんだよな。
帰宅が遅くなると危険も上がるし、もちろん外での飲酒も極力禁止されているし、だからここの支社だけでなく大体海外の支社は店での歓送迎会は禁止だもんな。
まぁランチなら認められるだろうけど、平日はみんなスケジュールも違うし、わざわざ休日に集まって歓迎会するほどでもないし。
そう考えたら日本って良くも悪くも上司と部下が食事に行ったりお酒飲んだりする機会は多いかも。
「そんなふうに慕ってくれて嬉しいよ。じゃあ今日はゆっくり話しようか」
「わぁっ! ありがとうございます!」
子どものようにはしゃぐ高遠くんを見守るような目で見つめる祥也さんの姿がなんだかすごくいいなと思った。
「それで今日はどこにいくのかな?」
「ああ、今日はうちに来てください」
「えっ? 高遠くんのお家?」
「というか、僕たちの家です」
高遠くんが少し照れくさそうに祥也さんを見上げると、
「一緒に暮らしてるんだ」
と嬉しそうに返してくれた。
「あっ、そうなんだ。すごいっ! ここからどれくらいなの?」
「車で10分くらいかな。そこに車止めているからそれに乗って」
「あっ、じゃあちょっと報告してくるから先に車に乗っていてください」
俺は急いで車で待っていてくれているジャックの元に駆け寄った。
透也がいない間の送迎を透也が早々にジャックに頼んじゃったんだよね。
この期間くらい歩きでも俺は全然良かったんだけどな。
そう言ったら、ものすごい勢いで透也にもジャックにも注意されちゃったからそれ以来何も言わないけど。
『今日は友人の家に招待されたから、大丈夫みたい』
『どちらのお方ですか?』
『えっと、あの田辺くんのお兄さんとその恋人さんのお家だよ』
『田辺さんのお兄さんなら安心ですね。承知しました。では私は帰りますので、何かあればご連絡ください。すぐにお迎えに参ります』
『ありがとう』
透也の信用度の高さってばすごいな。
いつの間にジャックからそこまでの信用を勝ち取っているんだろう。
俺なんて……まだまだな気がするのに。
そのままジャックを見送ろうと思ったのに、なぜかジャックは車から降り、
『じゃあお車までご案内しますね』
と祥也さんの車まで連れていってくれた。
この距離、ほんの数メートル。
これくらい大丈夫なんだけどな……。
やっぱり俺はまだまだなのかもしれない。
ジャックが俺を車に乗せると、さっと祥也さんが車から降り、ジャックに声をかける。
車の外で話をしているから内容まではわからないけれど、二人とも笑顔だから多分大丈夫だろう。
「お待たせ。じゃあ行こうか」
祥也さんが乗り込みジャックに見送られながら車は動き出した。
「祥也さん、さっき何を話していたんですか?」
俺が聞く前に高遠くんが聞いてくれたのはきっと高遠くんも気になったんだろう。
「ああ、帰りも送るから心配しないでいいって伝えたんだ。もし泊まることになったら連絡するよとも伝えておいたからのんびりしていって」
「あ、でもそんな泊まるのは流石に迷惑だろうから帰るよ。それに……」
「んっ? 何か用事でも?」
「あ、いや」
「ふふっ。どうせ透也からのビデオ通話でも来るんだろう?」
「えっ、なんでわかったんですか?」
「ははっ。やっぱりな。あいつのことだ。それくらいお見通しだよ」
ルームミラー越しに祥也さんのニヤリとした笑みが見える。
やっぱりこういうところ兄弟だな。
嬉しそうに駆け出していく姿は本当に可愛い子犬みたいだ。
俺は二人の再会を邪魔しないようにゆっくりと近づいたつもりだったけれど、祥也さんはすぐに俺に視線を向けて
「大智さん、今日は大夢の誘いにのってくれてありがとう」
と笑顔を見せてくれた。
その間ももちろん、高遠くんとピッタリ寄り添っている。
ふふっ。
そんなところはやっぱり兄弟なのかな。
透也によく似ている気がする。
「いえ、いつもお弁当を食べさせてもらってるお礼も言いたかったので声をかけてもらって嬉しかったですよ」
「ああ、あれは気にしないでいいよ。大夢の分だけ作るよりたくさん作ったほうが楽だし、それに透也にも頼まれてるからな」
「すみません、俺が料理苦手だから迷惑かけちゃって……」
「気にしないでいいって言ったろ? 大夢と一緒に昼食とってもらえて喜んでるんだから」
祥也さんの言葉に一気に高遠くんの顔が赤くなる。
「えっ? それってどういう?」
てっきり高遠くんは祥也さんと食事がしたいけど、僕のためにお弁当にしてるんだと思ってたのに。
「ふふっ。大夢は大智さんのファンだから、一緒に働けている間に仲良くなりたいって言ってたんだよ。でも昼食は透也とよくとっていただろう? 行き帰りも透也と一緒だったようだし、なかなか声がかけられなかったらしくてどうやって誘えばいいかってしょっちゅう聞かれてたくらいだよ……なぁ、大夢」
「もうっ、祥也さん! 全部バラさないでくださいよ。支社長に憧れてるとかファンとか知られて引かれちゃったらどうするんですか」
高遠くんの恥ずかしそうな様子に祥也さんの言っていることが本当なんだとわかる。
まさか高遠くんがそんなことを思ってくれていたなんて知らなかったな。
「そんな引くわけないだろう? そもそも高遠くんとは年も離れてるし、飲みに誘っても上司とは話なんて弾まないだろうと思っていたからさ」
「支社長、何言ってるんですか。みんな支社長に憧れてるんですよ。L.A支社に支社長が配属されるって聞いた時、本社から来てるみんながどれだけ喜んでたか。でもこっちには歓迎会とかそいうのが禁止されてるから支社長とはなかなか話すチャンスがなくて……落ち着いたら声かけようと思っていたら、とつぜん専属護衛みたいに透也くんと一緒に行動しだすし……だから、透也くんが帰国している今がチャンスだなって思ってたんです」
みんなそんな様子してたっけ?
ああでも、最初は俺も緊張してたし、前の支社長が残していったのが多すぎてバタバタしてたから周りを見る余裕がなかったんだよな。
帰宅が遅くなると危険も上がるし、もちろん外での飲酒も極力禁止されているし、だからここの支社だけでなく大体海外の支社は店での歓送迎会は禁止だもんな。
まぁランチなら認められるだろうけど、平日はみんなスケジュールも違うし、わざわざ休日に集まって歓迎会するほどでもないし。
そう考えたら日本って良くも悪くも上司と部下が食事に行ったりお酒飲んだりする機会は多いかも。
「そんなふうに慕ってくれて嬉しいよ。じゃあ今日はゆっくり話しようか」
「わぁっ! ありがとうございます!」
子どものようにはしゃぐ高遠くんを見守るような目で見つめる祥也さんの姿がなんだかすごくいいなと思った。
「それで今日はどこにいくのかな?」
「ああ、今日はうちに来てください」
「えっ? 高遠くんのお家?」
「というか、僕たちの家です」
高遠くんが少し照れくさそうに祥也さんを見上げると、
「一緒に暮らしてるんだ」
と嬉しそうに返してくれた。
「あっ、そうなんだ。すごいっ! ここからどれくらいなの?」
「車で10分くらいかな。そこに車止めているからそれに乗って」
「あっ、じゃあちょっと報告してくるから先に車に乗っていてください」
俺は急いで車で待っていてくれているジャックの元に駆け寄った。
透也がいない間の送迎を透也が早々にジャックに頼んじゃったんだよね。
この期間くらい歩きでも俺は全然良かったんだけどな。
そう言ったら、ものすごい勢いで透也にもジャックにも注意されちゃったからそれ以来何も言わないけど。
『今日は友人の家に招待されたから、大丈夫みたい』
『どちらのお方ですか?』
『えっと、あの田辺くんのお兄さんとその恋人さんのお家だよ』
『田辺さんのお兄さんなら安心ですね。承知しました。では私は帰りますので、何かあればご連絡ください。すぐにお迎えに参ります』
『ありがとう』
透也の信用度の高さってばすごいな。
いつの間にジャックからそこまでの信用を勝ち取っているんだろう。
俺なんて……まだまだな気がするのに。
そのままジャックを見送ろうと思ったのに、なぜかジャックは車から降り、
『じゃあお車までご案内しますね』
と祥也さんの車まで連れていってくれた。
この距離、ほんの数メートル。
これくらい大丈夫なんだけどな……。
やっぱり俺はまだまだなのかもしれない。
ジャックが俺を車に乗せると、さっと祥也さんが車から降り、ジャックに声をかける。
車の外で話をしているから内容まではわからないけれど、二人とも笑顔だから多分大丈夫だろう。
「お待たせ。じゃあ行こうか」
祥也さんが乗り込みジャックに見送られながら車は動き出した。
「祥也さん、さっき何を話していたんですか?」
俺が聞く前に高遠くんが聞いてくれたのはきっと高遠くんも気になったんだろう。
「ああ、帰りも送るから心配しないでいいって伝えたんだ。もし泊まることになったら連絡するよとも伝えておいたからのんびりしていって」
「あ、でもそんな泊まるのは流石に迷惑だろうから帰るよ。それに……」
「んっ? 何か用事でも?」
「あ、いや」
「ふふっ。どうせ透也からのビデオ通話でも来るんだろう?」
「えっ、なんでわかったんですか?」
「ははっ。やっぱりな。あいつのことだ。それくらいお見通しだよ」
ルームミラー越しに祥也さんのニヤリとした笑みが見える。
やっぱりこういうところ兄弟だな。
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