81 / 137
家族だから
「お待たせ――わっ! ごめんっ!」
「わぁっ!!」
何も考えずにリビングに戻ったら、大夢くんと祥也さんがキスしているところを目撃してしまった。
俺の驚きの声にびっくりさせてしまったのか、大夢くんの声も聞こえた。
咄嗟に後ろを向いたけれど、あまりの驚きにドキドキが止まらない。
考えてみたら、他の人がキスしているところ見るの初めてかも……。
一瞬だけだったけど、なんかすごく幸せそうだったな。
俺もあんなふうに透也とキス、してるんだろうか。
「大智さん、もう電話終わったの?」
「えっ、あ、はい」
俺がみてしまったのに全然気にしていない様子で祥也さんが声をかけてくる。
「ふふっ。顔赤いよ」
「それは……」
「ごめん、ごめん。二人っきりになったら我慢できなくて……でも、透也もそうだろう?」
そう言われたら、会社から帰って二人っきりになった途端、すぐにキスをしてくる透也を思い出す。
「ふふっ。図星みたいだな。恋人なんてみんな一緒だし、それに俺たち家族だから、恥ずかしがったりなんかしなくてもいいだろう?」
「家族だから……?」
「ああ。これからも透也も入れて4人で会うことだって増えるだろうし、それこそ旅行なんかにも行くこともあるかも。その間、キスはともかく、手を繋いだりイチャイチャもしないつもり? 俺は別に大夢と愛し合っているのを隠すつもりもないし、別に大智さんと透也がスキンシップ取ってても別に気にしないけど」
「そう言われれば……そうかも……」
「ふふっ。なら、恥ずかしがることもないよ。大体、仲がいいって良い事だろう?」
祥也さんに次々に言われると、それが正しいのかもという気になってくる。
確かにキスシーンはびっくりしちゃったけど、見慣れないだけかもしれないし。
他にイチャイチャしているのは気にならないしな。
見慣れてくるとキスしてても気にならなくなってくるのかもしれないな。
「ほら、中に入って」
持っていた空のお皿を俺の手から受け取ると、俺をリビングに行かせてくれた。
まだ少し顔の赤い大夢くんが座っているソファーの隣に腰を下ろすと、
「すみません、大智さん……」
と謝られてしまった。
「いや、気にしないでいいよ。見慣れなくてびっくりしちゃったけど、ここは大夢くんたちのお家だし、それに俺たち家族だから、ね」
「家族……はい、そうですね。大智さんと家族になれて嬉しいです!」
「ふふっ。俺もだよ。俺はずっとゲイなのを隠して生きてきたから、両親の前でもいつかバレるんじゃないかって緊張してたし」
「そう、だったんですか。じゃあ、ずっと一人で?」
「うーん、双子の妹と母方の祖母は多分薄々勘付いていたかも。口に出されたことはないけど、あの二人がいる時はちょっと楽に息ができてたかもな」
「そうなんですね。そういう人がいるだけで少しは違いますよね。僕は自分がゲイだって結構早くわかってて、中学生の時に母親にバレたんですけど……それからは結構大変でした。母親はそういうのを認めたくないタイプだったみたいで、そこからは家の中では空気みたいに扱われてて……それで大学に入ると同時に家を出たんですよ。もうそこからずっと実家には帰ってません」
「そうだったのか……苦しかったな」
大夢くんにそんな過去があったなんて……俺と違って順風満帆だとばかり思っていた。
だからこっちで働きたいという気持ちも強かったのかもしれないな。
俺が宏樹から離れたくてこっちに来たみたいに、大夢くんもここで家族から離れて第二の人生を歩みたかったのかも。
「そうですね、でも……祥也さんと出会って、今はこうやって幸せですから。大智さんみたいな家族もできましたし」
そう言って俺に優しい笑顔を向けてくれた瞬間、大夢くんの後ろから祥也さんがぎゅっと抱きしめた。
「わっ! 祥也さんっ、びっくりした」
「大夢が可愛い顔を大智さんに見せてるから嫉妬したんだ」
「嫉妬って……」
困った表情をしながらも、祥也さんから離れようとしない。
きっと嫉妬されて嬉しいんだな。
もし、これが俺なら……うん、離れないな。
「祥也さん……」
「ああ、いいよ。俺のことは気にしないで。それよりもちょっと大夢くんに聞きたいことがあったんだ」
「僕に聞きたいこと、ですか?」
「ああ。笹川コーポレーションにいた北原暁くんって知ってるかな?」
「えっ、はい。もちろんです。ものすごく優秀な事務員ですよ。彼がいるから、僕は安心してベルンシュトルフへの転職を決めたんです。でもどうして大智さんが彼のことを?」
「実は、彼が近々ベルンシュトルフの本社で働くことに決まったらしいんだ」
「えっ? 本社で? どうしてですか?」
そこが、気になるのは当然だよな。
とりあえず彼が被害者だということは伏せて話をしておくとしよう。
「実は――――」
俺は、笹川コーポレーションで不祥事が相次ぎ、ベルンシュトルフが吸収合併したこと、それに伴い透也が彼の実力を買って本社に配属するのを決めたと話をした。
「そうだったんですか。あまりにも突然のことで驚きましたけど、北原くんが本社に行くなら納得です。本当に彼の作る資料は素晴らしいですから」
「そうなんだ、大夢くんがそこまでいうなら本当にすごいんだろうな。それで、透也が本社に配属されるまで、彼をL.A支社に来させて働かせたいって話をしてて今度の三連休に北原くんを連れてくるみたいなんだよ。大夢くん、彼を頼んでもいいかな? 大夢くんなら一緒に働いていた仲だし、北原くんも安心すると思うんだ」
「それは全然構いませんよ。むしろ、北原くんと少しの間でも働けるなら楽しみです。あ、でも一人で来るんですか?」
「いや、それが恋人と一緒に来るらしいよ」
「えっ? 短期間なのに恋人同行ですか? それに北原くんに恋人なんて、いつの間に……」
大夢くんは北原くんが本社にやってくるということよりも、恋人がいるということに一番の驚きの表情を見せていた。
「わぁっ!!」
何も考えずにリビングに戻ったら、大夢くんと祥也さんがキスしているところを目撃してしまった。
俺の驚きの声にびっくりさせてしまったのか、大夢くんの声も聞こえた。
咄嗟に後ろを向いたけれど、あまりの驚きにドキドキが止まらない。
考えてみたら、他の人がキスしているところ見るの初めてかも……。
一瞬だけだったけど、なんかすごく幸せそうだったな。
俺もあんなふうに透也とキス、してるんだろうか。
「大智さん、もう電話終わったの?」
「えっ、あ、はい」
俺がみてしまったのに全然気にしていない様子で祥也さんが声をかけてくる。
「ふふっ。顔赤いよ」
「それは……」
「ごめん、ごめん。二人っきりになったら我慢できなくて……でも、透也もそうだろう?」
そう言われたら、会社から帰って二人っきりになった途端、すぐにキスをしてくる透也を思い出す。
「ふふっ。図星みたいだな。恋人なんてみんな一緒だし、それに俺たち家族だから、恥ずかしがったりなんかしなくてもいいだろう?」
「家族だから……?」
「ああ。これからも透也も入れて4人で会うことだって増えるだろうし、それこそ旅行なんかにも行くこともあるかも。その間、キスはともかく、手を繋いだりイチャイチャもしないつもり? 俺は別に大夢と愛し合っているのを隠すつもりもないし、別に大智さんと透也がスキンシップ取ってても別に気にしないけど」
「そう言われれば……そうかも……」
「ふふっ。なら、恥ずかしがることもないよ。大体、仲がいいって良い事だろう?」
祥也さんに次々に言われると、それが正しいのかもという気になってくる。
確かにキスシーンはびっくりしちゃったけど、見慣れないだけかもしれないし。
他にイチャイチャしているのは気にならないしな。
見慣れてくるとキスしてても気にならなくなってくるのかもしれないな。
「ほら、中に入って」
持っていた空のお皿を俺の手から受け取ると、俺をリビングに行かせてくれた。
まだ少し顔の赤い大夢くんが座っているソファーの隣に腰を下ろすと、
「すみません、大智さん……」
と謝られてしまった。
「いや、気にしないでいいよ。見慣れなくてびっくりしちゃったけど、ここは大夢くんたちのお家だし、それに俺たち家族だから、ね」
「家族……はい、そうですね。大智さんと家族になれて嬉しいです!」
「ふふっ。俺もだよ。俺はずっとゲイなのを隠して生きてきたから、両親の前でもいつかバレるんじゃないかって緊張してたし」
「そう、だったんですか。じゃあ、ずっと一人で?」
「うーん、双子の妹と母方の祖母は多分薄々勘付いていたかも。口に出されたことはないけど、あの二人がいる時はちょっと楽に息ができてたかもな」
「そうなんですね。そういう人がいるだけで少しは違いますよね。僕は自分がゲイだって結構早くわかってて、中学生の時に母親にバレたんですけど……それからは結構大変でした。母親はそういうのを認めたくないタイプだったみたいで、そこからは家の中では空気みたいに扱われてて……それで大学に入ると同時に家を出たんですよ。もうそこからずっと実家には帰ってません」
「そうだったのか……苦しかったな」
大夢くんにそんな過去があったなんて……俺と違って順風満帆だとばかり思っていた。
だからこっちで働きたいという気持ちも強かったのかもしれないな。
俺が宏樹から離れたくてこっちに来たみたいに、大夢くんもここで家族から離れて第二の人生を歩みたかったのかも。
「そうですね、でも……祥也さんと出会って、今はこうやって幸せですから。大智さんみたいな家族もできましたし」
そう言って俺に優しい笑顔を向けてくれた瞬間、大夢くんの後ろから祥也さんがぎゅっと抱きしめた。
「わっ! 祥也さんっ、びっくりした」
「大夢が可愛い顔を大智さんに見せてるから嫉妬したんだ」
「嫉妬って……」
困った表情をしながらも、祥也さんから離れようとしない。
きっと嫉妬されて嬉しいんだな。
もし、これが俺なら……うん、離れないな。
「祥也さん……」
「ああ、いいよ。俺のことは気にしないで。それよりもちょっと大夢くんに聞きたいことがあったんだ」
「僕に聞きたいこと、ですか?」
「ああ。笹川コーポレーションにいた北原暁くんって知ってるかな?」
「えっ、はい。もちろんです。ものすごく優秀な事務員ですよ。彼がいるから、僕は安心してベルンシュトルフへの転職を決めたんです。でもどうして大智さんが彼のことを?」
「実は、彼が近々ベルンシュトルフの本社で働くことに決まったらしいんだ」
「えっ? 本社で? どうしてですか?」
そこが、気になるのは当然だよな。
とりあえず彼が被害者だということは伏せて話をしておくとしよう。
「実は――――」
俺は、笹川コーポレーションで不祥事が相次ぎ、ベルンシュトルフが吸収合併したこと、それに伴い透也が彼の実力を買って本社に配属するのを決めたと話をした。
「そうだったんですか。あまりにも突然のことで驚きましたけど、北原くんが本社に行くなら納得です。本当に彼の作る資料は素晴らしいですから」
「そうなんだ、大夢くんがそこまでいうなら本当にすごいんだろうな。それで、透也が本社に配属されるまで、彼をL.A支社に来させて働かせたいって話をしてて今度の三連休に北原くんを連れてくるみたいなんだよ。大夢くん、彼を頼んでもいいかな? 大夢くんなら一緒に働いていた仲だし、北原くんも安心すると思うんだ」
「それは全然構いませんよ。むしろ、北原くんと少しの間でも働けるなら楽しみです。あ、でも一人で来るんですか?」
「いや、それが恋人と一緒に来るらしいよ」
「えっ? 短期間なのに恋人同行ですか? それに北原くんに恋人なんて、いつの間に……」
大夢くんは北原くんが本社にやってくるということよりも、恋人がいるということに一番の驚きの表情を見せていた。
あなたにおすすめの小説
イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした
天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです!
元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。
持ち主は、顔面国宝の一年生。
なんで俺の写真? なんでロック画?
問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。
頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ!
☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。