103 / 137
番外編
運命の相手 <中編>
前後編で終わらせるつもりが長くなりました(汗)
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
ー大智っ! どうしたんですか?
ーそんな慌ててかけてこなくても。
ー慌てますよ! 俺のこと、千鶴さんに紹介してくれるんですか?
ーああ。千鶴だけじゃなくて、千鶴の相手にも、そしてゆくゆくは父にも祖母にも、透也のことを大事な人だって紹介するつもりだよ。もう家族に隠し事をするのはやめたい。
ー大智……。
ースケジュールを調整して、透也が日本にいる間に俺も日本に行くよ。
ーそれはダメです!
ーえっ? なんで?
ー大智を一人で飛行機に乗せるはずないでしょう。俺が迎えにいきますから一緒に行きましょう。
ーそんなことのためにL.Aを往復するのか?
ーそんなことじゃないですよ。大事なことです。祖父も絶対にそうした方がいいというはずです。来週、都合をつけますから大智を迎えに行きますよ。大智のスケジュールも俺に任せてください。
さすが次期社長。
こうなったらもう止められるはずがない。
ーわかったよ。じゃあ、日本に行く日が決まったら教えてくれ。千鶴に連絡するから。
ーはい。あっ、それで千鶴さんの相手について、大智は聞いたんですか?
ーああ。長瀬さんだって。
ーそうですか、やっぱりうまくいったんだ。良かった。
ー運命の相手だって言ってたから、安心してるよ。それに……
ーそれに?
ー透也や、小田切先生、上田先生、それに顧問弁護士の礒山先生も長瀬さんのコーヒーのファンだって話をしてただろう? そんな人たちがこぞって通うようなコーヒーを淹れる人なら、人間的にも安心だって思えるから。
ー大智……。
ー帰ってきてくれるのを楽しみに待ってる。
ーええ。今回のが終わったら、その後はずっと一緒に暮らせますから。千鶴さんの件で日本に帰って、一緒にL.Aに戻った後はもう当分離れ離れにはなりませんから。
ーやっとだな。楽しみにしてる。
ーええ。俺もですよ。
チュッと電話越しに音が聞こえる。
それが余計に寂しさを増すけれど、何もない方がもっと寂しいから俺もキスを返す。
早く透也と直にキスをしたい。
そう言いたいのを必死に堪えて電話を切った。
そしてその日から数日後……
俺は、透也のいない生活に我慢の限界を迎え始めていた。
夜も熟睡できずにアラームが鳴るよりもずっと早く目が覚めてしまった。
はぁー
大きなため息をつきながら、アラームを解除しておこうとスマホを手に取ると、夜中に送られていたらしい千鶴からのメッセージを見つけた。
<報告したいことがあるので、朝時間があったら連絡ください。もし無理そうなら夜にこちらから連絡します>
報告したいこと?
先に進んだのか、それとも……
いや、そんなことはないだろう。
少し緊張しながらも、電話をかけた。
ーおはよう。千鶴。メッセージ読んだぞ。何かあったか?
いろんな可能性を感じつつも、冷静に問いかけた。
ー前に話していた人……やっぱり、運命の人だったみたい。
ーそれって……
ー長瀬さんと結婚、することになると思う。
結婚?
あまりの展開の速さに正直言って驚きしかないが、もう離れられないと感じたというのなら、ここで反対する意味もない。
父さんにもすでに報告しておめでとうと言ってもらえたのなら、俺がとやかくいうこともない。
ーそれで結婚式とか、ああいや、その前に結納か。いつになる? その時は俺も帰国するよ。
ーそんなのまだわからないよ。今日、お付き合いすることになったばっかりだし。
そう言っているけれど、運命の相手だとお互いに思っていて、結婚を前提に考えているのならすぐにでも決めた方がいい。
女性の場合には妊娠・出産の可能性もあるし、千鶴の年齢なら少しでも早く入籍はしておいた方がいいだろう。
まぁ年齢のことは言わない方が良さそうだ。
ー家族として俺も会っておいたほうがいいだろう。大きな仕事も一段落したし、妹の結婚絡みの用事なら融通も利くからさ。それに……俺も家族に恋人を紹介したいし。
もうすでに透也はスケジュールも調整してくれているだろうし……とは言わないけど。
ーえっ……それって、恋人さんも一緒に来るってこと?
ーああ。もう家族に隠し事をするのはやめようと思ってるんだ。それで認めてもらえなくても俺はもう大人だから。
ーそっか……。
千鶴の反応にやはりという思いが込み上げる。
今までずっと言えなかったこと。
透也に愛されている今なら言える。
ーその反応……やっぱり、千鶴は知ってたんだな? 俺が、その……ゲイだってこと。
ーうん。確証はなかったけど、もしかしたらそうかなって……。多分、おばあちゃんもそうだと思う。
ーやっぱりか。
二人はいつも温かい目で見てくれていた気がしていたもんな。
だけど、
ー多分だけどお父さんも気づいてるんじゃ無いかな? 確証はないだろうけど、同じようにもしかしたらとは思ってたかも。
という言葉には驚いた。
父さんは絶対に気づいていないだろうと思っていたから。
千鶴はすごく楽しそうに俺に相手のことを聞いてきた。
アメリカ人なのかと聞かれたから、同じ社宅で……とは言ったけど、さらに突っ込んで聞いてくる。
直接会った時に話そうと思っていたけど、もういいか。
ーベルンシュトルフホールディングスの、次期社長なんだ。俺の恋人。
そういうと受話器の向こうで息を呑むのを感じた。
さすがに驚いただろう。
だけど透也が運命の相手だったんだというと、
ーお兄ちゃん、おめでとう。よかったね。
と少し涙ぐんだ声で言ってくれた。
千鶴と双子でよかったと心から思える。
電話を切ってすぐに透也に電話をかけた。
ーもしもし、どうしたんですか?
ー千鶴が結婚するって。
ーええ? とんとん拍子ですね。
ーああ、父さんにも報告したっていうから、すぐに顔合わせがありそうだよ。それにはさすがに間に合わないだろうけど、二人に会いに行くのは確定だな。
ーそうですね。俺も今日、大智に連絡しようと思ってたんですけど、今週末そっちに帰って翌日、日本に向かいます。一週間休みを取ったので、その間に千鶴さんたちと会いましょう。
ーすごいな。そんなに休みが取れたのか?
ーええ。だから会えるまであともう少し待っててくださいね。
もうとっくに限界を迎えていた俺のことがわかっているみたいだ。
ーああ。会ったらすぐに抱いてくれ。
ー大智……っ!! その日は寝かせませんから。
その言葉だけを楽しみに俺は週末を待ち続けた。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
ー大智っ! どうしたんですか?
ーそんな慌ててかけてこなくても。
ー慌てますよ! 俺のこと、千鶴さんに紹介してくれるんですか?
ーああ。千鶴だけじゃなくて、千鶴の相手にも、そしてゆくゆくは父にも祖母にも、透也のことを大事な人だって紹介するつもりだよ。もう家族に隠し事をするのはやめたい。
ー大智……。
ースケジュールを調整して、透也が日本にいる間に俺も日本に行くよ。
ーそれはダメです!
ーえっ? なんで?
ー大智を一人で飛行機に乗せるはずないでしょう。俺が迎えにいきますから一緒に行きましょう。
ーそんなことのためにL.Aを往復するのか?
ーそんなことじゃないですよ。大事なことです。祖父も絶対にそうした方がいいというはずです。来週、都合をつけますから大智を迎えに行きますよ。大智のスケジュールも俺に任せてください。
さすが次期社長。
こうなったらもう止められるはずがない。
ーわかったよ。じゃあ、日本に行く日が決まったら教えてくれ。千鶴に連絡するから。
ーはい。あっ、それで千鶴さんの相手について、大智は聞いたんですか?
ーああ。長瀬さんだって。
ーそうですか、やっぱりうまくいったんだ。良かった。
ー運命の相手だって言ってたから、安心してるよ。それに……
ーそれに?
ー透也や、小田切先生、上田先生、それに顧問弁護士の礒山先生も長瀬さんのコーヒーのファンだって話をしてただろう? そんな人たちがこぞって通うようなコーヒーを淹れる人なら、人間的にも安心だって思えるから。
ー大智……。
ー帰ってきてくれるのを楽しみに待ってる。
ーええ。今回のが終わったら、その後はずっと一緒に暮らせますから。千鶴さんの件で日本に帰って、一緒にL.Aに戻った後はもう当分離れ離れにはなりませんから。
ーやっとだな。楽しみにしてる。
ーええ。俺もですよ。
チュッと電話越しに音が聞こえる。
それが余計に寂しさを増すけれど、何もない方がもっと寂しいから俺もキスを返す。
早く透也と直にキスをしたい。
そう言いたいのを必死に堪えて電話を切った。
そしてその日から数日後……
俺は、透也のいない生活に我慢の限界を迎え始めていた。
夜も熟睡できずにアラームが鳴るよりもずっと早く目が覚めてしまった。
はぁー
大きなため息をつきながら、アラームを解除しておこうとスマホを手に取ると、夜中に送られていたらしい千鶴からのメッセージを見つけた。
<報告したいことがあるので、朝時間があったら連絡ください。もし無理そうなら夜にこちらから連絡します>
報告したいこと?
先に進んだのか、それとも……
いや、そんなことはないだろう。
少し緊張しながらも、電話をかけた。
ーおはよう。千鶴。メッセージ読んだぞ。何かあったか?
いろんな可能性を感じつつも、冷静に問いかけた。
ー前に話していた人……やっぱり、運命の人だったみたい。
ーそれって……
ー長瀬さんと結婚、することになると思う。
結婚?
あまりの展開の速さに正直言って驚きしかないが、もう離れられないと感じたというのなら、ここで反対する意味もない。
父さんにもすでに報告しておめでとうと言ってもらえたのなら、俺がとやかくいうこともない。
ーそれで結婚式とか、ああいや、その前に結納か。いつになる? その時は俺も帰国するよ。
ーそんなのまだわからないよ。今日、お付き合いすることになったばっかりだし。
そう言っているけれど、運命の相手だとお互いに思っていて、結婚を前提に考えているのならすぐにでも決めた方がいい。
女性の場合には妊娠・出産の可能性もあるし、千鶴の年齢なら少しでも早く入籍はしておいた方がいいだろう。
まぁ年齢のことは言わない方が良さそうだ。
ー家族として俺も会っておいたほうがいいだろう。大きな仕事も一段落したし、妹の結婚絡みの用事なら融通も利くからさ。それに……俺も家族に恋人を紹介したいし。
もうすでに透也はスケジュールも調整してくれているだろうし……とは言わないけど。
ーえっ……それって、恋人さんも一緒に来るってこと?
ーああ。もう家族に隠し事をするのはやめようと思ってるんだ。それで認めてもらえなくても俺はもう大人だから。
ーそっか……。
千鶴の反応にやはりという思いが込み上げる。
今までずっと言えなかったこと。
透也に愛されている今なら言える。
ーその反応……やっぱり、千鶴は知ってたんだな? 俺が、その……ゲイだってこと。
ーうん。確証はなかったけど、もしかしたらそうかなって……。多分、おばあちゃんもそうだと思う。
ーやっぱりか。
二人はいつも温かい目で見てくれていた気がしていたもんな。
だけど、
ー多分だけどお父さんも気づいてるんじゃ無いかな? 確証はないだろうけど、同じようにもしかしたらとは思ってたかも。
という言葉には驚いた。
父さんは絶対に気づいていないだろうと思っていたから。
千鶴はすごく楽しそうに俺に相手のことを聞いてきた。
アメリカ人なのかと聞かれたから、同じ社宅で……とは言ったけど、さらに突っ込んで聞いてくる。
直接会った時に話そうと思っていたけど、もういいか。
ーベルンシュトルフホールディングスの、次期社長なんだ。俺の恋人。
そういうと受話器の向こうで息を呑むのを感じた。
さすがに驚いただろう。
だけど透也が運命の相手だったんだというと、
ーお兄ちゃん、おめでとう。よかったね。
と少し涙ぐんだ声で言ってくれた。
千鶴と双子でよかったと心から思える。
電話を切ってすぐに透也に電話をかけた。
ーもしもし、どうしたんですか?
ー千鶴が結婚するって。
ーええ? とんとん拍子ですね。
ーああ、父さんにも報告したっていうから、すぐに顔合わせがありそうだよ。それにはさすがに間に合わないだろうけど、二人に会いに行くのは確定だな。
ーそうですね。俺も今日、大智に連絡しようと思ってたんですけど、今週末そっちに帰って翌日、日本に向かいます。一週間休みを取ったので、その間に千鶴さんたちと会いましょう。
ーすごいな。そんなに休みが取れたのか?
ーええ。だから会えるまであともう少し待っててくださいね。
もうとっくに限界を迎えていた俺のことがわかっているみたいだ。
ーああ。会ったらすぐに抱いてくれ。
ー大智……っ!! その日は寝かせませんから。
その言葉だけを楽しみに俺は週末を待ち続けた。
あなたにおすすめの小説
イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした
天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです!
元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。
持ち主は、顔面国宝の一年生。
なんで俺の写真? なんでロック画?
問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。
頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ!
☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。