年下イケメンに甘やかされすぎて困ってます

波木真帆

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番外編

千鶴たちとの対面 6

またおかしな方向に話が進んでいきそうですが(笑)
楽しんでいただけると嬉しいです♡

  *   *   *


<side透也>

千鶴さんから拗ねていた理由を尋ねられた大智ははぐらかしても追及されると思ったんだろう。
仕方がないとでもいう表情で理由を告げると、千鶴さんも長瀬さんも固まってしまった。

その反応に驚いていたのは大智だけ。てっきり、高校生に間違えるなんて信じられないという反応を期待していたんだろう。だが、大智の予想に反して千鶴さんも長瀬さんも間違われても不思議はないといった反応を見せた。

千鶴さんも若く見られるようだが、大学生に間違われるという言葉が大智のショックを強めてしまったらしい。
なんせ、大智はついさっき高校生に間違われてしまったんだから。

大智ははぁーーーっと大きなため息を吐くとまっすぐな目で俺を見た。

「透也、俺と千鶴が並んでたらどっちが年上に見える? 正直に言ってくれ」

ここで大智だと言ってもきっと信じないだろうし、正直に言って千鶴さんのほうが年上に見える。それは紛れもない事実だ。俺は恋人として、大智に信頼されている存在として、嘘はいえない。それでも大智のショックを和らげるように言ってみた。

「その、今の状態なら……千鶴さんの方が、少し年上に見えるかな。でも本当に少しですよ」

「もういい。わかった。自分でも童顔だってわかってたし、透也に言われたんならもう認めるしかないよな」

大智はもう一度大きなため息を吐いてから

「この話は終わりにしよう」

と笑顔を見せた。

すると、千鶴さんが突然立ち上がったかと思ったら大智のそばに近づいて、

「ちょっとお兄ちゃん、来て! 理人さん、透也さんをお願いします」

と早口で言ったかと思ったら、驚く大智の手をとってお店の奥に行ってしまった。

そのあまりの勢いに俺も長瀬さんもしばらく茫然としたまま、二人が行ってしまった先を見つめるしかなかった。

<side大智>

千鶴のほうが年上に見える、透也にまでそう言われたらもう諦めるしかない。
俺自身自分が童顔だってことはわかっていたことだし、社会人として取引先に舐められないように、外見を変えるのではなく、能力で何も言わせないようにしてきたんだから見た目が年齢に見合っていないことはわかっていたことだった。

いつもならスルーできたのに、今日は立て続けにあったから我慢できなかっただけなんだ。
大きなため息と共に自分の気持ちを整理して、この話を終わらせたつもりだった。

それなのに突然千鶴に手を取られて、あっという間にお店の奥まで連れて行かれてしまった。
こういう時の千鶴には黙って従うしかないことを俺はよく知っている。なんせ、二卵性とはいえ双子なんだから。

無言で階段を登り、扉を開けたと思ったら周りを見る余裕もなくまた扉を開けて中に入らされた。

「お兄ちゃん、ここに座って」

ようやく口を利いたと思ったら大きな鏡の前に座らされた。

「ここはなんだ?」

「私のメイクや着替えをする部屋、かな」

「それでどうしてここに?」

「あのね、私がお兄ちゃんよりも年上に見えるのは、メイクをしているからだってことをわかってもらおうかなって思って」

「あ、そうか。メイク、か……」

前にうちの支社にいた金沢さんはかなり派手なメイクをしていたけど、目の前の千鶴は彼女と比べたらかなり自然なメイクだ。それでもメイクをしたらそりゃあ大人っぽくもなるか。

「私だってメイクを落としてすっぴんになってカジュアルな私服になれば、高校生に見られるよ」

「そうか、そうだよな」

「だから、それが本当かお兄ちゃんも試してみようよ」

「試すってどうするんだ?」

俺の疑問に、千鶴は嬉しそうに微笑むとゆっくりと口を開いた。

「だから、お兄ちゃんもメイク、してみよっか」

「は? 俺が、メイク? なんで? いいよ、そんなの。俺がしたって余計におかしくなるだけだろ!」

「いいから! 静かにしてて!」

「――っ、は、はい」

必死に抵抗しようとしたけれど、千鶴がこうなったら素直にいうことを聞くしかないことを俺は知ってる。長瀬さんも千鶴のこんなところを知っているんだろうか? なんだか義弟が心配になってきたな。

それからは千鶴に目を開けてとか閉じてとか口を小さく開けてとか閉じてとか言われるがままに従い続けていたけれど、俺と鏡の前に千鶴が立っているから自分の顔を見ることもできない。
今、どんなふうになっているんだろう?

俺は母さん似で女顔とはよく言われていたけど、それは男にしては女顔に見えるってことで流石にメイクをしたって女性になれるわけじゃない。そんな俺にメイクをしたって意味もないけど、目の前の千鶴は楽しそうで邪魔はできない。とりあえず納得するまで好きにさせておけばいいか。

半ば諦めの境地でただ時が経つのを待っていた。

「お兄ちゃん、終わったよ。鏡、見てみて!」

やっとそんな声がかかって千鶴が俺の前から離れて鏡に自分の顔が写った瞬間、

「はっ? これ、誰?」

と間抜けな声をあげてしまっていた。


  *   *   *


千鶴視点のお話
『自家焙煎珈琲店で出会ったのは自分好みのコーヒーと運命の相手でした』
の方も今日更新していますのでよろしければご覧ください。
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