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番外編
千鶴たちとの対面 11
すみません。
時間軸がブレブレになってしまっていたのでお話の訂正を入れました。
詳しくは近況ボードをご覧ください。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
「大智さん。この後の食事なんですけど、ここからそんなに離れていないんですよ。私たちはそちらに車を回しておきますから、透也さんと大智さんは歩いてそちらに向かっていただけますか? お店の場所はもう透也さんに伝えていますので」
「えっ?」
驚く俺をよそに、透也は
「じゃあ歩いていきましょうか」
とやけに楽しそうだ。
「お兄ちゃん。お店でね」
「千鶴さん。今はお姉さん、ですよ」
「あ。そうだった。じゃあ、お姉ちゃん。あとでね」
千鶴からお姉ちゃんと呼び掛けられるのがこんなにも恥ずかしいとは思わなかったけれど、この格好でお兄ちゃんと呼ばれる方がもっと恥ずかしいのだから仕方がない。
そそくさと駐車場に向かう二人を見送って、歩き始めた。
「別に一緒に乗って行ってもよかったのにな」
「だって、大智が俺と一緒に外を歩きたいと言ったんでしょう?」
「えっ? まさか……だから二人で?」
「ええ。そうです。せっかくの時間だから二人でゆっくり歩きましょうか」
そうか。俺の願いを叶えるために千鶴と長瀬さんは……。
二人とも気を遣ってくれたんだな。
それならたっぷりとその時間を堪能させてもらおうか。
俺たちは店から出たままだからピッタリと寄り添って腕を組んだ状態だけど、二人で手を繋いで歩くのもやってみたい。
「手……繋いでも、いい?」
「もちろんです」
するりと腕から離れると少し寂しい気もするけれど、大きくてあったかい手に包まれるとホッとする。
L.Aでいつも感じている安心感だ。それをこの日本でできるなんて……。
「やっぱり、いいな」
「そうですね。でも、日本でも気にせずにいつもの格好で手を繋いでも俺は気にしませんよ」
「うん。そうだな……俺が、ちょっと臆病になってたみたいだ。自分が手を繋いで見てわかる。周りなんて気にならないな」
「そうですよ。みんな自分たちのことで頭がいっぱいですから……」
そうかもしれない。
俺が今、透也のことで頭がいっぱいなように。
幸せだったら周りの反応なんて気にしないでいいんだ。
「ほら、あの二人……どうみても男性同士ですけど、手を繋いでますよ。あの人たちもきっと俺たちと同じカップルですよ」
「あ、本当だな。日本でも堂々としている人がいるんだ。俺……本当に気にしすぎだったのかもな」
ビクビクしている様子も全くないその二人に目を奪われていると、車道側を歩いていた男性が優しげな表情で隣の男性を見た。その横顔にどこか見覚えがあった。
「あれ? 透也。あの人見覚えが……」
「えっ? あっ! 本当だ! あの人、空港で会った警察の……」
「ああ、そうだ。真壁さんか!」
「じゃあ、もしかしたら隣にいるのがあのアップルパイを欲しがっていたという方かもしれませんね。あの表情を見るに絶対に恋人ですよ」
透也の言葉に納得してしまうほど、真壁さんは隣の彼に優しい目を向けていた。
そして、隣にいる彼も少し緊張しているけれどとても幸せそうで周りの目なんか気にしていないみたいだ。
警察官僚である真壁さんが堂々と手を繋いでいるんだから俺だって、透也と手を繋いだって気にする必要なんてなかったんだな。本当に俺は気にしすぎだったんだなと思う。
「あの……もしかして、ベルンシュトルフホールディングスの日下部さんですか?」
俺たちの声が聞こえていたのか、真壁さんが俺たちの存在に気づき、声をかけてきた。
「はい。日下部です。まさか一日に二度も会えるとは思いませんでしたね」
「ええ。視線を感じて振り向いたら日下部さんだったので驚きました。空港では本当に失礼いたしました」
「いえ。お気になさらず」
「あの、あの時のパートナーさんはご一緒ではないんですか? もしかしてあの件で喧嘩でもなさったんじゃないですか?」
「えっ?」
不安げな表情で真壁さんに尋ねられながらチラチラと視線を感じてどうやら俺のことが気になっていると気づいた瞬間、自分が女装していることを思い出した。
空港で男の格好で出会って、未成年と間違えられた上に、今は女装しているなんて恥ずかしいを通り越してなんて説明していいかもわからない。それなのに透也は気にする様子もなく笑顔で口を開いた。
「隣にいるこの子が空港で真壁さんとお会いした私の可愛いパートナーですよ」
「えっ? ですが日下部さんのお相手は……」
「すみません、真壁さん。ちょっと今は事情があってこんな格好をしているんですが、あの時、職質をかけられた男です」
困惑する真壁さんに耐えきれずに、正直に自分があの時の男だと告げると、
「「えっ!!」」
隣にいた男性と共に声を合わせて驚いていた。
「本当に、あの時の方ですか?」
「はい。お恥ずかしながら、そうなんです。こんな格好をお見せしてすみません」
「いいえ。そんなっ!! ものすごくお綺麗ですよ。女性にしか見えないです!! ねぇ、要さん」
「ええ。すごくお綺麗です……」
「そんな……っ」
真壁さんだけでなく、隣の彼にも褒められてしまい照れくさい気持ちが抑えられなかった。
時間軸がブレブレになってしまっていたのでお話の訂正を入れました。
詳しくは近況ボードをご覧ください。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
「大智さん。この後の食事なんですけど、ここからそんなに離れていないんですよ。私たちはそちらに車を回しておきますから、透也さんと大智さんは歩いてそちらに向かっていただけますか? お店の場所はもう透也さんに伝えていますので」
「えっ?」
驚く俺をよそに、透也は
「じゃあ歩いていきましょうか」
とやけに楽しそうだ。
「お兄ちゃん。お店でね」
「千鶴さん。今はお姉さん、ですよ」
「あ。そうだった。じゃあ、お姉ちゃん。あとでね」
千鶴からお姉ちゃんと呼び掛けられるのがこんなにも恥ずかしいとは思わなかったけれど、この格好でお兄ちゃんと呼ばれる方がもっと恥ずかしいのだから仕方がない。
そそくさと駐車場に向かう二人を見送って、歩き始めた。
「別に一緒に乗って行ってもよかったのにな」
「だって、大智が俺と一緒に外を歩きたいと言ったんでしょう?」
「えっ? まさか……だから二人で?」
「ええ。そうです。せっかくの時間だから二人でゆっくり歩きましょうか」
そうか。俺の願いを叶えるために千鶴と長瀬さんは……。
二人とも気を遣ってくれたんだな。
それならたっぷりとその時間を堪能させてもらおうか。
俺たちは店から出たままだからピッタリと寄り添って腕を組んだ状態だけど、二人で手を繋いで歩くのもやってみたい。
「手……繋いでも、いい?」
「もちろんです」
するりと腕から離れると少し寂しい気もするけれど、大きくてあったかい手に包まれるとホッとする。
L.Aでいつも感じている安心感だ。それをこの日本でできるなんて……。
「やっぱり、いいな」
「そうですね。でも、日本でも気にせずにいつもの格好で手を繋いでも俺は気にしませんよ」
「うん。そうだな……俺が、ちょっと臆病になってたみたいだ。自分が手を繋いで見てわかる。周りなんて気にならないな」
「そうですよ。みんな自分たちのことで頭がいっぱいですから……」
そうかもしれない。
俺が今、透也のことで頭がいっぱいなように。
幸せだったら周りの反応なんて気にしないでいいんだ。
「ほら、あの二人……どうみても男性同士ですけど、手を繋いでますよ。あの人たちもきっと俺たちと同じカップルですよ」
「あ、本当だな。日本でも堂々としている人がいるんだ。俺……本当に気にしすぎだったのかもな」
ビクビクしている様子も全くないその二人に目を奪われていると、車道側を歩いていた男性が優しげな表情で隣の男性を見た。その横顔にどこか見覚えがあった。
「あれ? 透也。あの人見覚えが……」
「えっ? あっ! 本当だ! あの人、空港で会った警察の……」
「ああ、そうだ。真壁さんか!」
「じゃあ、もしかしたら隣にいるのがあのアップルパイを欲しがっていたという方かもしれませんね。あの表情を見るに絶対に恋人ですよ」
透也の言葉に納得してしまうほど、真壁さんは隣の彼に優しい目を向けていた。
そして、隣にいる彼も少し緊張しているけれどとても幸せそうで周りの目なんか気にしていないみたいだ。
警察官僚である真壁さんが堂々と手を繋いでいるんだから俺だって、透也と手を繋いだって気にする必要なんてなかったんだな。本当に俺は気にしすぎだったんだなと思う。
「あの……もしかして、ベルンシュトルフホールディングスの日下部さんですか?」
俺たちの声が聞こえていたのか、真壁さんが俺たちの存在に気づき、声をかけてきた。
「はい。日下部です。まさか一日に二度も会えるとは思いませんでしたね」
「ええ。視線を感じて振り向いたら日下部さんだったので驚きました。空港では本当に失礼いたしました」
「いえ。お気になさらず」
「あの、あの時のパートナーさんはご一緒ではないんですか? もしかしてあの件で喧嘩でもなさったんじゃないですか?」
「えっ?」
不安げな表情で真壁さんに尋ねられながらチラチラと視線を感じてどうやら俺のことが気になっていると気づいた瞬間、自分が女装していることを思い出した。
空港で男の格好で出会って、未成年と間違えられた上に、今は女装しているなんて恥ずかしいを通り越してなんて説明していいかもわからない。それなのに透也は気にする様子もなく笑顔で口を開いた。
「隣にいるこの子が空港で真壁さんとお会いした私の可愛いパートナーですよ」
「えっ? ですが日下部さんのお相手は……」
「すみません、真壁さん。ちょっと今は事情があってこんな格好をしているんですが、あの時、職質をかけられた男です」
困惑する真壁さんに耐えきれずに、正直に自分があの時の男だと告げると、
「「えっ!!」」
隣にいた男性と共に声を合わせて驚いていた。
「本当に、あの時の方ですか?」
「はい。お恥ずかしながら、そうなんです。こんな格好をお見せしてすみません」
「いいえ。そんなっ!! ものすごくお綺麗ですよ。女性にしか見えないです!! ねぇ、要さん」
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真壁さんだけでなく、隣の彼にも褒められてしまい照れくさい気持ちが抑えられなかった。
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