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番外編
夢か現実か 1
<side大智>
「ああっ、とうや……っ」
「大智! 愛してます!」
「んっ、ああっ……イくっ!!」
俺が絶頂を迎えてすぐ、俺の中で温かいものが広がっていくのを感じる。
透也もイってくれたこの瞬間、最高の幸せを感じる。
「とう、や……し、あわせ……」」
「ええ、私も幸せです。一生離しませんから……」
透也の鼓動と温もりを感じながら俺は意識を失った。
いつものようにこのまま透也が風呂場で俺の身体を清めて抱きしめながら、眠ってくれる。
そう思っていたのに……
「あれ?」
目を覚ますと妙に寒い。
なんで?
いつも透也に抱きしめられてこの上なく幸せな温もりを感じながら目を覚ますのに。
俺は身体を震わせながら起き上がった。
しんと静まり返った部屋には俺以外の気配もない。
まるで最初から俺以外誰もいなかったようだ。
俺の寝ている隣に触れてみてもシーツの冷たさを感じるだけ。
そもそもいつも寝ているベッドとも違う気がする。
ここがどこなのか、わからない恐怖に包まれて俺は急いで起きて部屋のスイッチを探した。
ようやく見つけたスイッチを押してみるとそこには驚きの光景が広がっていた。
「えっ――!! どうして、ここ?」
ここは確かに俺の家。
でも、俺の家、だったと言った方が正しいだろう。
だって、ここは……透也と出会う前に住んでいた家、だったんだから。
もしかして自宅を間違えて帰ってきた?
いや、そんなわけない。
とっくに引き払った家に入れるはずがない。
そもそも今の俺はアメリカに住んでいるんだから。
日本にも帰ってないのにそんな間違いを犯すわけがない。
じゃあ、夢?
そう思って頬を思いっきりつねってみたが痛みしか感じない。
ジンジンと痛む頬を撫でながらさらに考える。
とりあえず顔を洗ってスッキリさせてから考えよう。
ふうと一息ついて洗面所に向かった。
大学を卒業してからL.A支社に異動するまで八年も住んでいた部屋だ。
迷うことなく洗面所に着いた俺の目に飛び込んできたのは驚きの光景だった。
「なっ! えっ――!!」
鏡に映る自分の姿を見てその場に頽れた。
それでも見間違いかと思って、洗面台を支えに立ち上がって恐る恐る鏡を見つめると、そこには見慣れた顔より若そうな俺がいた。
いや、三十歳になった今でも大学生や高校生に間違われるから他の人が見たらこの違いには気づかないかもしれない。
けれど、鏡に映っている俺は昨日まで見ていた俺よりも多分五年は若そうに見える。それに気づけるのはやっぱり自分の姿だからだろう。
でも、なんで?
もうわけがわからなくなって、急いで寝室に戻りスマホを探した。
いつも枕元に置いて目覚ましアラームをかけていたから絶対にある。
枕を剥ぎ取るとスマホはあった。けれど、そこにあったのは今持っているものとは違う懐かしいスマホ。
これ、確か千鶴とお揃いのやつだっけ。
今のは透也とお揃いで買い直した少し大きめのやつだから確実に違うものだとわかる。
恐る恐るスマホを手に取って画面を見れば20⚪︎⚪︎年と書いてあった。
やっぱり……ここは俺の知っている世界よりも五年も前だ。
五年前なら透也とはまだ出会ってもない。
そもそも宏樹とも出会ってない頃だ。
まだ何も知らない。自分だけで慰めていたころだ。
えっ、待って。じゃあ俺、ここで一人で暮らしていかないといけないのか?
この部屋で、たった一人で?
あんなに透也の愛を受けていたのに。
朝から晩まで、いや寝ている間だって透也と一緒だったのに。
身体には透也に愛された感触だって残っているのに。
今更一人っきりの生活なんて耐えられる気がしない。
「ああ……どうしたらいいんだ……」
スマホを手にベッドに座り込んでいると、手の中のスマホがアラームを知らせた。
今は、透也が起こしてくれるからアラームは必要なくなったけれど、透也と出会うまではいつもこの時間に起きて仕事に出掛けていたんだ。
やばい! 仕事に行かなきゃ!
そう思ってしまうのは社会人としての性なのかもしれない。
でもこんな状態でも無断欠勤はできないし、周りへの迷惑を考えたら突然休みの連絡も入れられない。
今の俺なら五年前の仕事くらいやれないことはないし、いくしかないか。
とりあえず身支度を整え、スーツに着替えて家を出た。
駅へ向かう間も頭の中はこれからをどうするかしかない。
そんな状態でも身体は勝手に会社に向かっているんだから習慣って恐ろしいよな。
「はぁーーっ」
会社の建物の前で大きなため息をついていると後ろから
「おはようございます、杉山主任!」
と聞き慣れた声が聞こえた。
「ああっ、とうや……っ」
「大智! 愛してます!」
「んっ、ああっ……イくっ!!」
俺が絶頂を迎えてすぐ、俺の中で温かいものが広がっていくのを感じる。
透也もイってくれたこの瞬間、最高の幸せを感じる。
「とう、や……し、あわせ……」」
「ええ、私も幸せです。一生離しませんから……」
透也の鼓動と温もりを感じながら俺は意識を失った。
いつものようにこのまま透也が風呂場で俺の身体を清めて抱きしめながら、眠ってくれる。
そう思っていたのに……
「あれ?」
目を覚ますと妙に寒い。
なんで?
いつも透也に抱きしめられてこの上なく幸せな温もりを感じながら目を覚ますのに。
俺は身体を震わせながら起き上がった。
しんと静まり返った部屋には俺以外の気配もない。
まるで最初から俺以外誰もいなかったようだ。
俺の寝ている隣に触れてみてもシーツの冷たさを感じるだけ。
そもそもいつも寝ているベッドとも違う気がする。
ここがどこなのか、わからない恐怖に包まれて俺は急いで起きて部屋のスイッチを探した。
ようやく見つけたスイッチを押してみるとそこには驚きの光景が広がっていた。
「えっ――!! どうして、ここ?」
ここは確かに俺の家。
でも、俺の家、だったと言った方が正しいだろう。
だって、ここは……透也と出会う前に住んでいた家、だったんだから。
もしかして自宅を間違えて帰ってきた?
いや、そんなわけない。
とっくに引き払った家に入れるはずがない。
そもそも今の俺はアメリカに住んでいるんだから。
日本にも帰ってないのにそんな間違いを犯すわけがない。
じゃあ、夢?
そう思って頬を思いっきりつねってみたが痛みしか感じない。
ジンジンと痛む頬を撫でながらさらに考える。
とりあえず顔を洗ってスッキリさせてから考えよう。
ふうと一息ついて洗面所に向かった。
大学を卒業してからL.A支社に異動するまで八年も住んでいた部屋だ。
迷うことなく洗面所に着いた俺の目に飛び込んできたのは驚きの光景だった。
「なっ! えっ――!!」
鏡に映る自分の姿を見てその場に頽れた。
それでも見間違いかと思って、洗面台を支えに立ち上がって恐る恐る鏡を見つめると、そこには見慣れた顔より若そうな俺がいた。
いや、三十歳になった今でも大学生や高校生に間違われるから他の人が見たらこの違いには気づかないかもしれない。
けれど、鏡に映っている俺は昨日まで見ていた俺よりも多分五年は若そうに見える。それに気づけるのはやっぱり自分の姿だからだろう。
でも、なんで?
もうわけがわからなくなって、急いで寝室に戻りスマホを探した。
いつも枕元に置いて目覚ましアラームをかけていたから絶対にある。
枕を剥ぎ取るとスマホはあった。けれど、そこにあったのは今持っているものとは違う懐かしいスマホ。
これ、確か千鶴とお揃いのやつだっけ。
今のは透也とお揃いで買い直した少し大きめのやつだから確実に違うものだとわかる。
恐る恐るスマホを手に取って画面を見れば20⚪︎⚪︎年と書いてあった。
やっぱり……ここは俺の知っている世界よりも五年も前だ。
五年前なら透也とはまだ出会ってもない。
そもそも宏樹とも出会ってない頃だ。
まだ何も知らない。自分だけで慰めていたころだ。
えっ、待って。じゃあ俺、ここで一人で暮らしていかないといけないのか?
この部屋で、たった一人で?
あんなに透也の愛を受けていたのに。
朝から晩まで、いや寝ている間だって透也と一緒だったのに。
身体には透也に愛された感触だって残っているのに。
今更一人っきりの生活なんて耐えられる気がしない。
「ああ……どうしたらいいんだ……」
スマホを手にベッドに座り込んでいると、手の中のスマホがアラームを知らせた。
今は、透也が起こしてくれるからアラームは必要なくなったけれど、透也と出会うまではいつもこの時間に起きて仕事に出掛けていたんだ。
やばい! 仕事に行かなきゃ!
そう思ってしまうのは社会人としての性なのかもしれない。
でもこんな状態でも無断欠勤はできないし、周りへの迷惑を考えたら突然休みの連絡も入れられない。
今の俺なら五年前の仕事くらいやれないことはないし、いくしかないか。
とりあえず身支度を整え、スーツに着替えて家を出た。
駅へ向かう間も頭の中はこれからをどうするかしかない。
そんな状態でも身体は勝手に会社に向かっているんだから習慣って恐ろしいよな。
「はぁーーっ」
会社の建物の前で大きなため息をついていると後ろから
「おはようございます、杉山主任!」
と聞き慣れた声が聞こえた。
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