120 / 137
番外編
夢か現実か 2
早々と数字表記に変えました。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
「あ、ああ。宇佐美くん。おはよう」
やっぱり宇佐美くんか。入社二年目ってところかな。
営業部のエースもまだ初々しいな。
「? どうかなさったんですか?」
「えっ? いや、なんでもないよ」
懐かしさに思わずじっくり見てしまった。
慌てて誤魔化したけれど、変に思われたかもしれないな。
「それより今日は早いな。まだ始業時間にはかなりあるぞ」
「えっ……あの、もしかして社交辞令、でしたか?」
「えっ? 社交辞令?」
なんだ? もしかして宇佐美くんと何か約束していた?
五年前……なんか約束してたっけ?
流石に覚えてないな。
必死に記憶を辿っていると宇佐美くんが残念そうな表情でゆっくりと口を開いた。
「あの、杉山主任が最近お気に入りのパン屋さんでパンを買って仕事前に休憩室で食べたら一日頑張って仕事ができるって……それで、僕もパンが好きだって話をしたら、じゃあ一緒に明日買いに行こうって昨日帰る時に誘ってくださったんですけど……」
「お気に入りのパン屋……ああっ!!」
そうだ! 千鶴に教えてもらったシナモンロールが美味しくてハマって通ってたんだ。
今は仕事が忙しくて朝に時間取れなくなって週に一度くらいしか通えなくなっていたけど、この時はほぼ毎日のように通っていたんだ。
「ごめん、ごめん。うっかりしていた。今から買いに行くところだから一緒に行こう!」
声をかけると、さっきまでの寂しげな表情が一気に明るくなった。
「杉山主任がいつも美味しそうに食べているのをこっそり見ていたんで、誘っていただけて嬉しかったんです」
「そうか、今朝はちょっとぼーっとしていて忘れていてごめん」
「いえ、今から連れて行っていただけるなら嬉しいです」
人懐っこいわんこのように笑顔でついてきてくれる宇佐美くんを見ていると、透也の顔が浮かぶ。
やっぱり従兄弟だけあって笑顔が似ているんだよな。
「ここだよ」
「わぁー、こんな場所にパン屋さんがあったなんて知りませんでした」
「私も妹に教えてもらったんだよ」
「へぇ、主任妹さんがいらっしゃるんですね。おいくつですか?」
「双子なんだ。だから同じ二十五歳だよ」
「へぇ、男女の双子なんて珍しいですね。主任が綺麗だから、きっと妹さんも綺麗なんだろうな」
サラッと俺のことを綺麗だなんて言ってくれるけれど、宇佐美くんの方がよっぽど綺麗だ。
華奢で守ってあげたくなるタイプというんだろうか。
この頃の宇佐美くんは女性が恋愛対象だったんだろうけど、この時から逞しい男性に守られる側のような気がするな。
俺はいつものシナモンロールとベーコンエピーのハーフを選ぶと、宇佐美くんは同じシナモンロールとソーセージロールを選んだ。大した金額じゃないからと言って二人分のパン代を支払い、店をでた。
会社に到着し、休憩室の前に置かれた自販機でパンの代わりだと言って、宇佐美くんがコーヒーを買ってくれた。
休憩室に置かれたトースターでパンを温めて二人で食べる。
「んー! これ美味しいですね! このシナモンロール、ピーナッツが入ってて食感が面白いです!」
想像以上に喜んでくれて嬉しい。
あっという間にパン二つを平らげて、コーヒーを飲み干した。
「う、宇佐美くんは兄弟は?」
一人っ子だとわかっていながらそんな質問をしてみた。
もしかしたら透也の話題になるかも……そんな期待をしたからだ。
「僕、一人っ子なんです。でも両親が忙しくて年の近い従兄弟の家で一緒に過ごしていたんで、兄弟みたいなものですね」
「そ、そうなのか。それなら寂しくはなかっただろう」
「そうですね。でも、三つ下の従兄弟は中学生に上がったらすぐに身長抜かれてどんどん体型も逞しくなるし、羨ましかったですよ。まぁ二つ上のお兄ちゃんの方も体格良かったんで、遺伝ですかね」
「三つ下か。じゃあ今は大学生、かな?」
「はい。あの、もし良かったらその大学生の従兄弟にあってもらえませんか?」
「えっ? な、なんで?」
「ずっと僕が仕事ができるすごい人がいるって主任のことを話していたんで会ってみたいって言われてたんです。でも今は業務以外のことを話したらダメかなと思って諦めてたんです。でも今日こうして主任とゆっくり話ができるチャンスができたので……あの、主任……ダメですか?」
「――っ!!!」
ここで透也に会っていいのか?
大学生の透也が俺を好きになるはずがない。
そうしたら俺たちの未来はどうなる?
ここはどうしたらいいんだろう?
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
「あ、ああ。宇佐美くん。おはよう」
やっぱり宇佐美くんか。入社二年目ってところかな。
営業部のエースもまだ初々しいな。
「? どうかなさったんですか?」
「えっ? いや、なんでもないよ」
懐かしさに思わずじっくり見てしまった。
慌てて誤魔化したけれど、変に思われたかもしれないな。
「それより今日は早いな。まだ始業時間にはかなりあるぞ」
「えっ……あの、もしかして社交辞令、でしたか?」
「えっ? 社交辞令?」
なんだ? もしかして宇佐美くんと何か約束していた?
五年前……なんか約束してたっけ?
流石に覚えてないな。
必死に記憶を辿っていると宇佐美くんが残念そうな表情でゆっくりと口を開いた。
「あの、杉山主任が最近お気に入りのパン屋さんでパンを買って仕事前に休憩室で食べたら一日頑張って仕事ができるって……それで、僕もパンが好きだって話をしたら、じゃあ一緒に明日買いに行こうって昨日帰る時に誘ってくださったんですけど……」
「お気に入りのパン屋……ああっ!!」
そうだ! 千鶴に教えてもらったシナモンロールが美味しくてハマって通ってたんだ。
今は仕事が忙しくて朝に時間取れなくなって週に一度くらいしか通えなくなっていたけど、この時はほぼ毎日のように通っていたんだ。
「ごめん、ごめん。うっかりしていた。今から買いに行くところだから一緒に行こう!」
声をかけると、さっきまでの寂しげな表情が一気に明るくなった。
「杉山主任がいつも美味しそうに食べているのをこっそり見ていたんで、誘っていただけて嬉しかったんです」
「そうか、今朝はちょっとぼーっとしていて忘れていてごめん」
「いえ、今から連れて行っていただけるなら嬉しいです」
人懐っこいわんこのように笑顔でついてきてくれる宇佐美くんを見ていると、透也の顔が浮かぶ。
やっぱり従兄弟だけあって笑顔が似ているんだよな。
「ここだよ」
「わぁー、こんな場所にパン屋さんがあったなんて知りませんでした」
「私も妹に教えてもらったんだよ」
「へぇ、主任妹さんがいらっしゃるんですね。おいくつですか?」
「双子なんだ。だから同じ二十五歳だよ」
「へぇ、男女の双子なんて珍しいですね。主任が綺麗だから、きっと妹さんも綺麗なんだろうな」
サラッと俺のことを綺麗だなんて言ってくれるけれど、宇佐美くんの方がよっぽど綺麗だ。
華奢で守ってあげたくなるタイプというんだろうか。
この頃の宇佐美くんは女性が恋愛対象だったんだろうけど、この時から逞しい男性に守られる側のような気がするな。
俺はいつものシナモンロールとベーコンエピーのハーフを選ぶと、宇佐美くんは同じシナモンロールとソーセージロールを選んだ。大した金額じゃないからと言って二人分のパン代を支払い、店をでた。
会社に到着し、休憩室の前に置かれた自販機でパンの代わりだと言って、宇佐美くんがコーヒーを買ってくれた。
休憩室に置かれたトースターでパンを温めて二人で食べる。
「んー! これ美味しいですね! このシナモンロール、ピーナッツが入ってて食感が面白いです!」
想像以上に喜んでくれて嬉しい。
あっという間にパン二つを平らげて、コーヒーを飲み干した。
「う、宇佐美くんは兄弟は?」
一人っ子だとわかっていながらそんな質問をしてみた。
もしかしたら透也の話題になるかも……そんな期待をしたからだ。
「僕、一人っ子なんです。でも両親が忙しくて年の近い従兄弟の家で一緒に過ごしていたんで、兄弟みたいなものですね」
「そ、そうなのか。それなら寂しくはなかっただろう」
「そうですね。でも、三つ下の従兄弟は中学生に上がったらすぐに身長抜かれてどんどん体型も逞しくなるし、羨ましかったですよ。まぁ二つ上のお兄ちゃんの方も体格良かったんで、遺伝ですかね」
「三つ下か。じゃあ今は大学生、かな?」
「はい。あの、もし良かったらその大学生の従兄弟にあってもらえませんか?」
「えっ? な、なんで?」
「ずっと僕が仕事ができるすごい人がいるって主任のことを話していたんで会ってみたいって言われてたんです。でも今は業務以外のことを話したらダメかなと思って諦めてたんです。でも今日こうして主任とゆっくり話ができるチャンスができたので……あの、主任……ダメですか?」
「――っ!!!」
ここで透也に会っていいのか?
大学生の透也が俺を好きになるはずがない。
そうしたら俺たちの未来はどうなる?
ここはどうしたらいいんだろう?
あなたにおすすめの小説
イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした
天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです!
元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。
持ち主は、顔面国宝の一年生。
なんで俺の写真? なんでロック画?
問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。
頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ!
☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。