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番外編
夢か現実か 4
ささっと終わらせようかと思っていたんですが、いろんな人を出したくなってしまったのでもう少し続くかも。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
「ねぇ、ちょっと、君」
「えっ?」
透也のことばかり見ていたから後ろから突然声をかけられて驚いた。
「――っ!!」
振り返った俺の目に飛び込んできた、にやけた男の顔に血の気が引く。
な、なんでここに、宏樹が?
あまりにも突然の再会に言葉も出ずに立ち尽くすしかできなかった。
「可愛いなと思って声かけたんだけど、そっちも俺に一目惚れしちゃった感じ?」
「なっ、ちが――っ」
「いいって、いいって。俺バイだからわかるんだよね、そっち系のヤツって。君もそうなんだろう?」
「ひっ――!!」
耳元で囁かれて全身に鳥肌が立つ。気持ち悪くてたまらない。
何もいえずにいると、肩を抱かれて連れて行かれそうになる。
離せっ!
そう言いたいのに声が出ない。
すると突然大きな手に腕が引っ張られたと思ったら、大きな胸に包み込まれた。
「ちょっと、この子俺の連れなんだけど、勝手にどこに連れて行こうとしてるわけ?」
この声、透也だ。
俺をふわっと包み込む匂いも透也そのもの。間違うはずがない。
さっきまでの気持ち悪さが一気に安心へと変わっていく。
「はぁ? なんだ、お前。邪魔すんなよ」
「聞こえなかったのか? 俺の連れだって言ってんだよ」
「後から来てふざけんな――ったた!」
透也に殴りかかろうとした宏樹はその手をぎゅっと捻りあげられてあっという間に悲鳴を上げた。
「まだなんかしようってのか?」
「くそっ、わかったから離せよ!」
「他のお客さんの邪魔だからさっさと出ていけよな!」
透也が捻りあげていた腕を離すと、宏樹はさっと俺たちから離れた。
「連れなら、そんな可愛いの一人で歩かせるなよな! 紛らわしい!」
そんな捨て台詞を残すと、よほど気まずかったんだろう。
足早に店を出て行った。
「大丈夫ですか?」
「あ、うん。迷惑かけちゃってごめん」
相手が宏樹じゃなければ俺だって一人で対処もできたのに、あいつだったから気持ち悪くて動けなかった。
思い出すだけでも身体が震える。
抱きしめてくれている腕に抱きつき、震えながら透也を見上げて謝ると、透也の顔がみるみるうちに赤く染まっていく。
「んっ? 透也? どうした?」
「えっ、あっ、あの……」
なぜか戸惑いを見せる透也の後ろから、宇佐美くんが顔を見せた。
「主任、大丈夫ですか? 急に変なのに絡まれてびっくりしましたよ」
「えっ、あっ!」
宇佐美くんの姿を見て、今の状況を思い出した。
そうだ、透也とは今が初対面なんだっけ?
宏樹に出会ったことでそんなことすっかり頭から飛んでしまってた。
透也の匂いに包まれて安心しきってたな。どうしよう。
「とりあえず、外に出ましょうか。さっきの騒ぎで注目浴びちゃってますよ」
宇佐美くんに促されるように急いで俺たちも店を出た。
これからどうしようかと思っていると、透也は俺の手を離すことなく笑顔で口を開いた。
「すぐ近くに兄が働いている店があるのでそこに行きましょう」
「え、あ、うん」
有無を言わさずと言った様子で、透也と宇佐美くんに挟まれながらそこに連れて行かれる。
もしかしたらまた変なのに絡まれると心配されているのかもしれない。
でも俺が一番年上なのに、年下二人に守られるって……どういう状態だよ。
っていうか、兄って、祥也さんだよな?
そういえば高校卒業してから日本料理店で修行してL.Aにお店出したんだっけ。
このお店で大夢くんと出会ったって言ってたし、五年前ならギリ、大夢くんも働いてるかも……。
二人が働いているのを見られるかも……そう思ったら、なんだかちょっと楽しみになってしまった。
「ここですよ」
「うわっ、すごいな」
連れて行かれたのは、五つ星の日本料理店。
話には聞いていたけど、実際に入るのは初めてだ。
けれど、透也も宇佐美くんも物怖じする様子を一切見せずに普通に中に入っていく。
普段は俺と同じように見えるけれど、やっぱりこういうところはセレブな日下部一族なんだなと思ってしまう。
中に入るとすぐに店員さんがやってくる。
「いらっしゃいませ、お待ちしておりました」
笑顔で声をかけてくれるその彼こそが、大夢くん。
思わず声をかけそうになったのを必死に抑えて、彼に案内されながら部屋に向かった。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
「ねぇ、ちょっと、君」
「えっ?」
透也のことばかり見ていたから後ろから突然声をかけられて驚いた。
「――っ!!」
振り返った俺の目に飛び込んできた、にやけた男の顔に血の気が引く。
な、なんでここに、宏樹が?
あまりにも突然の再会に言葉も出ずに立ち尽くすしかできなかった。
「可愛いなと思って声かけたんだけど、そっちも俺に一目惚れしちゃった感じ?」
「なっ、ちが――っ」
「いいって、いいって。俺バイだからわかるんだよね、そっち系のヤツって。君もそうなんだろう?」
「ひっ――!!」
耳元で囁かれて全身に鳥肌が立つ。気持ち悪くてたまらない。
何もいえずにいると、肩を抱かれて連れて行かれそうになる。
離せっ!
そう言いたいのに声が出ない。
すると突然大きな手に腕が引っ張られたと思ったら、大きな胸に包み込まれた。
「ちょっと、この子俺の連れなんだけど、勝手にどこに連れて行こうとしてるわけ?」
この声、透也だ。
俺をふわっと包み込む匂いも透也そのもの。間違うはずがない。
さっきまでの気持ち悪さが一気に安心へと変わっていく。
「はぁ? なんだ、お前。邪魔すんなよ」
「聞こえなかったのか? 俺の連れだって言ってんだよ」
「後から来てふざけんな――ったた!」
透也に殴りかかろうとした宏樹はその手をぎゅっと捻りあげられてあっという間に悲鳴を上げた。
「まだなんかしようってのか?」
「くそっ、わかったから離せよ!」
「他のお客さんの邪魔だからさっさと出ていけよな!」
透也が捻りあげていた腕を離すと、宏樹はさっと俺たちから離れた。
「連れなら、そんな可愛いの一人で歩かせるなよな! 紛らわしい!」
そんな捨て台詞を残すと、よほど気まずかったんだろう。
足早に店を出て行った。
「大丈夫ですか?」
「あ、うん。迷惑かけちゃってごめん」
相手が宏樹じゃなければ俺だって一人で対処もできたのに、あいつだったから気持ち悪くて動けなかった。
思い出すだけでも身体が震える。
抱きしめてくれている腕に抱きつき、震えながら透也を見上げて謝ると、透也の顔がみるみるうちに赤く染まっていく。
「んっ? 透也? どうした?」
「えっ、あっ、あの……」
なぜか戸惑いを見せる透也の後ろから、宇佐美くんが顔を見せた。
「主任、大丈夫ですか? 急に変なのに絡まれてびっくりしましたよ」
「えっ、あっ!」
宇佐美くんの姿を見て、今の状況を思い出した。
そうだ、透也とは今が初対面なんだっけ?
宏樹に出会ったことでそんなことすっかり頭から飛んでしまってた。
透也の匂いに包まれて安心しきってたな。どうしよう。
「とりあえず、外に出ましょうか。さっきの騒ぎで注目浴びちゃってますよ」
宇佐美くんに促されるように急いで俺たちも店を出た。
これからどうしようかと思っていると、透也は俺の手を離すことなく笑顔で口を開いた。
「すぐ近くに兄が働いている店があるのでそこに行きましょう」
「え、あ、うん」
有無を言わさずと言った様子で、透也と宇佐美くんに挟まれながらそこに連れて行かれる。
もしかしたらまた変なのに絡まれると心配されているのかもしれない。
でも俺が一番年上なのに、年下二人に守られるって……どういう状態だよ。
っていうか、兄って、祥也さんだよな?
そういえば高校卒業してから日本料理店で修行してL.Aにお店出したんだっけ。
このお店で大夢くんと出会ったって言ってたし、五年前ならギリ、大夢くんも働いてるかも……。
二人が働いているのを見られるかも……そう思ったら、なんだかちょっと楽しみになってしまった。
「ここですよ」
「うわっ、すごいな」
連れて行かれたのは、五つ星の日本料理店。
話には聞いていたけど、実際に入るのは初めてだ。
けれど、透也も宇佐美くんも物怖じする様子を一切見せずに普通に中に入っていく。
普段は俺と同じように見えるけれど、やっぱりこういうところはセレブな日下部一族なんだなと思ってしまう。
中に入るとすぐに店員さんがやってくる。
「いらっしゃいませ、お待ちしておりました」
笑顔で声をかけてくれるその彼こそが、大夢くん。
思わず声をかけそうになったのを必死に抑えて、彼に案内されながら部屋に向かった。
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