年下イケメンに甘やかされすぎて困ってます

波木真帆

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番外編

夢か現実か 12

「杉山さん、杉山さん……」

名前を呼びかけたけれど、起きる気配がない。

俺は杉山さんを抱き起こしジャケットを脱がせて、ネクタイを緩めた。
ソファーに横たわらせて、ベルトを外した。
ズボンを脱がそうか悩んだけれど、シワになるといけないとなんとか自分の中で理由をつけてズボンを脱がせた。

ピッタリとしたボクサーパンツの中央にある小さな膨らみに目が釘付けになって離せない。
無意識に手を伸ばそうとしてしまい、慌てて自分の手を押さえた。

ワイシャツの下にインナーシャツをつけているのを見て、ワイシャツも脱がせた。
俺の目の前には下着姿で横たわる杉山さんの姿。

同じ男とは思えないその綺麗な姿に興奮してしまっていた。

それでも人として、眠っている相手を襲うわけにはいかない。
愛し合う時は必ず同意を得なければいけない。
それは絶対だ。

杉山さんをソファーで寝かせるわけにはいかない。
そっと抱きかかえて立ち上がる。
眠っているというのに、随分と軽くて驚いてしまう。
壊れないように大切に杉山さんを俺のベッドに運ぶ。

そういえばレポートを仕上げたばかりでシーツを替えていなかった。
本当なら綺麗なシーツに寝かせたかったが仕方がない。
これで我慢してもらおう。

さっと掛け布団をとって杉山さんをベッドに寝かせようとするが、いつの間にか掴んでいた俺の服を杉山さんが離そうとしない。

このままじゃ起こしてしまうかもしれない。
あくまでも杉山さんのためだと自分に言い聞かせて、俺も一緒にベッドに横たわった。
すぐ近くに杉山さんの顔があってドキドキする。

けれど、杉山さんは俺の理性を試すかのように俺の胸元に擦り寄ってくる。
そしていい場所を見つけたとでもいうようにすっぽりと入り込んで笑顔を見せていた。

その表情があまりにも安心しているように見えて、嬉しくなる。
と同時に、ピッタリとくっついているから杉山さんの温もりも匂いも何もかも感じて興奮してしまう。

しかも、杉山さんのあの下着の膨らみが、俺の身体に当たっててその感触がありありと感じられる。

これは、やばい……っ。

離れなきゃと思いつつも、この幸せを手放したくもない。

ああ、どうしたらいいんだろう……。

悩んでいると、杉山さんの声が微かに聞こえる。

もしかして起きた?

「目が、覚めたんですか?」

「んー、とーやー」

「――っ!!」

甘えるような可愛い声で名前を呼ばれて一気に昂る。

「あ、あの……す、杉山さん……?」

必死に呼びかけると、杉山さんは眠りながら眉を顰めた。

「だいち、っていってー」

「だ、だいち」

「ふふ、よかったぁー。もどってきたんだー」

もしかしたら一種の催眠状態になっているのかもしれない。
眠っているはずなのに、会話ができている。
でも、戻ってきたってどういうことだろう?

「あ、あの大智。どこかに行ってたんですか?」

「ごねんまえに、いってたみたいー。とーやは、おれのじゃないしー、あってもちゅーもだきしめてもくれないんだー。さみしかったー」

五年前?
俺のじゃない?
チューもしてくれない?

これが事実だとしたら、目の前にいる杉山さんは五年後の世界からやってきたということで、しかも五年後は俺と杉山さんが付き合ってるってこと?

う、うそだろ……っ。

でも頑なに杉山さんが俺を自宅に連れて行こうとしない理由はわかった気がする。
もし、五年後に戻った時に、何も知らない五年前の俺が杉山さんちを訪ねたりしたら困るもんな。
それで変な印象を与えて本当に出会えなくなってしまったら困る。

今の杉山さんが交代して五年後に行っているのか、それともこの杉山さんの中で眠っているのかわからないが、とにかく俺の腕の中にいるのは五年後の杉山さんだってことだ。

五年後……俺は杉山さんを名前で呼び、キスをして抱きしめている……。
そしてそれから先も……。

「くっ!!」

そんな姿を想像するだけでズボンの下が痛くなるほど昂っているのがわかる。

杉山さんに気づかれないように必死で腰を引くけれど、どこまで我慢していられるか……。

「とーやー、ちゅーしてー」

「えっ!」

必死に理性を保とうとしたところで、そんな爆弾が放り込まれる。

目を瞑ったまま、俺を見上げてキスをねだるその姿に俺の理性がプツンと切れてしまった。

少しだけ、重ねるだけだから……。

そうして、杉山さんの唇に自分のそれを重ね、柔らかさと甘さを感じた瞬間、目の前が目を開けていられないほど光に包まれた。

「な、なんだ? どうなっているんだ?」

一体何が何だかわからない。
それでも腕の中の杉山さんだけは必死に抱きしめていると、急にふっとその温もりが消えてしまった。

「杉山さん?? どこですか?! 声を聞かせてください!!」

必死にベッドの中を手探りしながら目を開けると、そこには誰の姿もなかった。
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