旧天沢家別邸で幸せのお裾分けいただきました

波木真帆

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番外編

器の大きさ <後編>

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ー実は……

私は先ほど千里さんから聞いた話を全て伝えた。
陽仁くんなら「それは許可できませんね」と言うだろうと思っていた、のだが……

ーああ、なんだ。それなら問題ないですよ。

思わぬ言葉が返ってきてひっくり返りそうなくらい驚いた。

ーえっ? まさか、本当に?

ーええ。これまでも二人で行かせてますから。

あれほど千里さんを溺愛しているのに、まさかこんなところで寛容だとは思いもしなかった。

ーじゃあ、千里さんが運転して? それはやっぱりタクシーですか?

ーえっ? ああ、そういうことですか。

陽仁くんは私の問いかけに急に大声で笑い始めた。

ー陽仁くん、どうかしたか?

ーいえ。瑛一くんが心配している理由がわかりました。スイーツビュッフェには二人で行かせてますが、もちろん私が車で送迎しているんですよ。

ーえっ? そう、げい……

ーええ。銀座まで千里と和泉さんを二人だけ私が行かせるわけがないでしょう? イリゼホテルの個室まで送って、二人がスイーツビュッフェを楽しんでいる間、その個室の隣で読書をして過ごしてたんですよ。

ーあ、ああ……なるほど……

これまでどうしているのかなんて聞いたこともなかったから、まさかそんなことになっていたなんて思わなかった。

ー千里が瀬里さんと和泉さんと一緒に行くなら、それぞれの車で送迎してイリゼホテルで待ち合わせでもいいですね。

確かに。ドライブがてら二人っきりで東京に行くのもいい。
合流して瀬里さんがスイーツビュッフェを楽しんだら、横浜あたりまで足を伸ばすのもいいか。

ー三人がケーキを楽しんでいる間は、私たちも三人で隣の部屋で寛いで待っていたらいいですよ。私たちが待つ部屋には千里たちの部屋の様子が見られるモニターがついてますから、退屈はしないと思いますよ。

ーモニターまで……

イリゼホテルとは、なんと至れり尽くせりなんだろう。
これまで特に主体的に利用する機会はなかったが、瀬里さんと出会うきっかけになったあの結婚式でイリゼホテルのオーナーと知り合い、そしてオーナーの恋人の蓮見周平さんの助言のおかげで、瀬里さんがここで一緒に仕事をできるようになった。その上、こんなにも素晴らしい部屋を提供してくれるとは……
これからはイリゼホテルを常宿にしよう。
イリゼホテルなら瀬里さんといつでも楽しい時間が過ごせそうだ。

ー瑛一くんも心配だったんでしょう?

ーええ。千里さんから話を聞いた時は絶対に無理だと思いましたよ。でも今頃、千里さんから話を聞いた瀬里さんがいく気になっているだろうと思うと、どうやって断ろうかと考えてました。

ーははっ。瑛一くんのそんなところが見られるなんて思わなかったな。とにかく、スイーツビュッフェは問題ありませんから快く行かせてあげましょう。

ーわかりました。次の休みだと言ってましたから、すぐですね。

そうして、私たちは銀座で合流することを決め電話を切った。

まさかそんなカラクリがあったとは夢にも思わなかったな。
陽仁くんの器が大きすぎると思っていたが、そうではなかった。

それにしても瀬里さんと千里さん、そして和泉さんがスイーツを楽しみながらどんな話をするか、それをこっそりと聞けるなんてかなり興味がある。

もし、瀬里さんが私への不満をこぼしたら、それはしっかりと受け止めて瀬里さんに嫌われないように努力できる。
逆に私への惚気を口にしてくれたら……
その日は手加減できる気がしないな。

やはりその日は横浜で泊まりにするのもいいか。

幸いなことに今度の休みは二連休。
愛しい瀬里さんと甘い時間を過ごすにはもってこいだ。
スイーツビュッフェより甘い瀬里さんの身体を堪能させてもらおうか。

そんなことを考えながら、私は瀬里さんの元に向かった。
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感想 48

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みんなの感想(48件)

四葩(よひら)
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2025.11.06 波木真帆

四葩さま。コメントありがとうございます!
瀬里は東京近郊の高校を卒業してブライダルプランナーの専門学校に通っていたりとかありそうですね。
要と歩夢が通っていたのは東京近郊の名門私立高校。しかも寮住まい。
一帆は母親と二人暮らしだったので私立に通えていたかどうか微妙なところですが優秀なので奨学金をもらって通っていた可能性はなくはないですねぇ。
瀬里が同じ学校でも歩夢ともかなり歳が離れているので、あったことはないかも。
でも同じ学校という共通点はありますね。

可愛い瀬里が母親に気に入られるのは間違いないので瑛一があわせるのが気が重いのは当然かもしれないですね。でも瀬里争奪戦……勝つのはやっぱり瑛一でしょうね。

解除
四葩(よひら)
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2025.10.15 波木真帆

四葩さま。コメントありがとうございます!
今まではなんとも思ってなかったけれど、可愛い自分のにゃんこがしてくれるのを見るとつい他の人でも思い出しちゃう。
将臣が全て秀吾に見えちゃうのと同じですね(笑)

にゃんこたちが個室に集まってスイーツビュッフェ。
旦那たちはそんな可愛いニャンコの戯れを見ているだけで幸せになれそうですね。


ものすごい資産持ちなので六万くらい大したことないというか、普通にワイン一本買うだけでも余裕でその器楽超えそうですもんね。
>愛するにゃんこのためには限度額とは?
どれくらいなんでしょうかねぇ。
某社長に関していえば、限度額なんてなさそうですけど(笑)

可愛いにゃんこが集まる日はセキュリティもかなり厳しくなってそうですよねwww

解除
いぬぞ~
2025.10.09 いぬぞ~
ネタバレ含む
2025.10.15 波木真帆

いぬぞ〜さま。コメントありがとうございます!
送迎しないわけないですよね、ちゃーんと個室に入れるまで確認するのが旦那です(笑)
今までは千里と和泉を乗せて運転手に徹してましたからね。
後部座席で楽しそうにしているのをミラー越しに楽しむくらいでしたよね。
それがこれからは銀座往復ドライブデートできるので陽仁にとってもラッキーですね。

敬介はせっかくなのであの結婚式に出ていたニャンコたちみんなに招待状を送りたいと思ってそうですが
直くんはテスト期間かもしれないので今回は招待せず(多分次回は参加ですね)佳史や史紀は仕事上(平日なので)無理そうですがいっくんは来てるかもですね。
後は仲良しの悠真とかきてたりして(笑)
楽しいスイーツビュッフェになりそうですね。

ふふ🤭旦那同士の情報交換の場にもいいですよね。
ここのカップルルームでお泊まりとか瀬里も大喜びしそうですね。

このままここにお泊まりが時間的にもニャンコの疲れ具合にとってもいいかもですね。

呼び方。やっぱり瑛一さんでしたか。
どっちだったかな〜って思ってたんですよねぇ。
まぁでも幼馴染で働いているうちに昔の呼び方で……にしときましょうか(笑)

解除

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