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番外編
息子の可愛い恋人に会いたくて…… <後編>
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瑛一に恋人ができたらしいと春乃から報告を受けた日にすぐに慶吾さんにはその話を伝えた。
だからきっと週末には一緒に食事でもできるわねと話をしていたのだけど、慶吾さんはどうかなと笑うばかり。
それでも絶対に週末には連絡が来るはずだと思っていたのに、日付が変わろうとする時間になっても私のスマホにも慶吾さんのスマホにも何の連絡もなかった。
「もう! 瑛一ったら一体何をしているのかしら?」
「まぁまぁ落ち着きなさい。多分、もうしばらくは連絡はしてこないよ」
スマホを片手に声を荒らげていると、慶吾さんにそっと抱きしめられて宥めるように声をかけられる。
「しばらくって、どれくらい?」
「うーん、そうだな……半年くらいだろうか」
「えっ? 半年?」
全く予想もしていない言葉に大きな声が出た。
「半年って、どうして?」
「好きなものにはこの上なく執着する瑛一だよ。その瑛一が恋人にするくらいだ。誰にも見せたくないと思っても不思議はないよ」
「だって、家族なのに……」
「家族だからだよ。瑛一がそこまで気に入った相手なら涼葉だって絶対に気にいるだろう? そうしたら恋人との時間を涼葉に取られると思っているんだよ。今はまだ二人っきりの時間を堪能したいんだと思うよ」
慶吾さんが自信満々に言い切る姿に驚いてしまう。
「どうしてそこまでわかるの?」
「涼葉に会った頃の私がそうだったからだよ」
「えっ、でも慶吾さんはすぐにご両親に私を会わせてくれたわ」
出会った日に私の両親と一緒に食事をして、その場で私との交際を両親にお願いして認めてもらった。その数日後には私を麻生家に招待してくれて、私たちは婚約者となるまで一週間も掛からなかった。だから瑛一も恋人ができたらすぐに私たちに紹介してくれると思っていたの。
「それは、涼葉の桜守への送迎を私がしたかったからだ。お互いの両親公認の仲にならなければ、ご両親から送迎の役を代わってもらえないだろう? だからすぐに涼葉を私の婚約者にする必要があったんだ。でも母も涼葉を気に入って月に何度も連れ出すから正直困ったよ。できることなら、両親にはしばらく伝えずに涼葉を私だけのものにしたいと思っていたよ」
「慶吾さんがそんなことを思っていたなんて……」
今の今まで知らなかった……。
てっきり私とお義母さんが仲良くしているのをむしろ喜んでいると思っていたのに。
「もちろん、涼葉が母と仲良くしてくれるのはありがたかったよ。ただ私のわがままなんだ。涼葉を独り占めしたかっただけだ。だから、瑛一も同じ気持ちなんだと思う。もう少し待ってあげないか?」
慶吾さんの気持ちはよくわかる。
でも……今までずっと待っていたのは私も同じ。
ずっと春乃に可愛い息子くんの自慢をされていたんだもの。
瑛一に可愛い恋人ができたのなら、一度くらい会ってみたい。
その思いが膨らんでどうしても我慢できなかった。
翌日、お昼近くまで待って瑛一に電話をしてみた。
けれど何度鳴らしても出ない。
ひたすらに鳴らし続けるとようやく電話がつながった。
その第一声でいつもの瑛一とは違うとすぐにピンと来た。
わざと出かけているのかしら? と尋ねてみるとため息まじりに自宅にいると返答が来た。
すぐにでも恋人の元に戻りたいと言うのがありありと感じられる。
それでも私にはまだ報告しようとしない。
だから、ちょっと意地悪を言ってみた。
わざと縁談話のような話題を振ってみると、最後まで聞くこともなく断ってきた。
ー報告が遅くなりましたが、私にはもう心に決めた方がいます。その方とすでに一緒に暮らしていますし、その方以外とは添い遂げるつもりはありません。
そうはっきりと言い切った瑛一から、その恋人へのこの上ない愛が溢れていた。
瑛一にこんな相手ができたことに喜びを感じながらなんとか冷静に尋ね返した。
ーその方はどこの方なの? 紹介していただけるのよね?
ーええ、ゆくゆくはそのつもりですが今はまだそのつもりはありません。
ーどうしてなの?
ー私の中だけにまだおさめておきたいんです。誰にも見せたくない。それだけです。
慶吾さんが言った通り、瑛一から途轍もな意ほどの独占欲が感じられて驚いてしまう。
こんな瑛一初めてだわ。
ー私の愛しい人は私だけのものにしておきたいんです。
ーあら、意外と激情的なのね。瑛一さんにそんなところがあるなんて知らなかったわ。
ー私もです。彼と会って初めて自分にそんな感情があることを知りました。だからしばらくはそっとしておいてください。
瑛一の口から彼と言う言葉が出てきて、相手が男性だと知った。
それでもそれが理由で反対することなんて微塵も考えていない。
瑛一が好きになる相手ができたことだけで私は嬉しいのだから。
でも瑛一は少しばかり不安に思っていたみたい。
不用意に彼を傷つけたくない。
その言葉には彼を傷つけられたら家族との縁を切るつもりだと言うことがよくわかった。
それはきっとお相手の彼がそこを不安に思っているからこそ。
それなら余計に早く会って私たちに傷つける気などないことを伝えておきたい。
ーそれなら尚のこと、一度会わせてほしいわ。あなたの愛しい恋人も家族に祝福されていると思ったら嬉しいはずよ。何より私があなたの愛しい人に会いたいの。ずっと羨ましかったのよ。可愛い息子ができた天沢さんのところが。ようやく私にも可愛い息子ができるのね。
私の思いを伝えたら、電話越しでもわかるほど瑛一の緊張が和らいだ。
ーわかりました。それでは瀬里さんと相談して日時をお伝えします。
瑛一がここまで言えば約束を反故にすることは絶対にない。
声に出してしまいそうなほどの喜びの気持ちをグッと抑えて電話を切った。
「やったわ! 瑛一の恋人に会える!」
そうして、それから三日後。
銀座の個室があるお店で私と慶吾さん。
そして瑛一と恋人のせりさんとの顔合わせ兼食事会が行われた。
「あ、あの……わ、私……瑛一さんとおつきあいさせていただいています、日南瀬里です。お義父さまとお義母さまと会いできて光栄です」
真っ赤な顔で挨拶をする瀬里さんを一目見て、あまりの可愛さに思わず瀬里さんを抱きしめた。
「なんて可愛らしいのかしら。こんな可愛い息子ができるなんて!! 幸せだわ!!」
待ち望んだ甲斐があった。
そう思えるほど可愛い息子を抱きしめると、数秒後に瑛一に引き離された。
「すみませんが、瀬里さんは私のものです! ハグはダメですよ」
その眼差しに私は遠い昔、慶吾さんのお母さんと初めて会ったの日の慶吾さんを思い出していた。
私の隣で苦笑する慶吾さんと一緒に思わず笑みを溢した。
だからきっと週末には一緒に食事でもできるわねと話をしていたのだけど、慶吾さんはどうかなと笑うばかり。
それでも絶対に週末には連絡が来るはずだと思っていたのに、日付が変わろうとする時間になっても私のスマホにも慶吾さんのスマホにも何の連絡もなかった。
「もう! 瑛一ったら一体何をしているのかしら?」
「まぁまぁ落ち着きなさい。多分、もうしばらくは連絡はしてこないよ」
スマホを片手に声を荒らげていると、慶吾さんにそっと抱きしめられて宥めるように声をかけられる。
「しばらくって、どれくらい?」
「うーん、そうだな……半年くらいだろうか」
「えっ? 半年?」
全く予想もしていない言葉に大きな声が出た。
「半年って、どうして?」
「好きなものにはこの上なく執着する瑛一だよ。その瑛一が恋人にするくらいだ。誰にも見せたくないと思っても不思議はないよ」
「だって、家族なのに……」
「家族だからだよ。瑛一がそこまで気に入った相手なら涼葉だって絶対に気にいるだろう? そうしたら恋人との時間を涼葉に取られると思っているんだよ。今はまだ二人っきりの時間を堪能したいんだと思うよ」
慶吾さんが自信満々に言い切る姿に驚いてしまう。
「どうしてそこまでわかるの?」
「涼葉に会った頃の私がそうだったからだよ」
「えっ、でも慶吾さんはすぐにご両親に私を会わせてくれたわ」
出会った日に私の両親と一緒に食事をして、その場で私との交際を両親にお願いして認めてもらった。その数日後には私を麻生家に招待してくれて、私たちは婚約者となるまで一週間も掛からなかった。だから瑛一も恋人ができたらすぐに私たちに紹介してくれると思っていたの。
「それは、涼葉の桜守への送迎を私がしたかったからだ。お互いの両親公認の仲にならなければ、ご両親から送迎の役を代わってもらえないだろう? だからすぐに涼葉を私の婚約者にする必要があったんだ。でも母も涼葉を気に入って月に何度も連れ出すから正直困ったよ。できることなら、両親にはしばらく伝えずに涼葉を私だけのものにしたいと思っていたよ」
「慶吾さんがそんなことを思っていたなんて……」
今の今まで知らなかった……。
てっきり私とお義母さんが仲良くしているのをむしろ喜んでいると思っていたのに。
「もちろん、涼葉が母と仲良くしてくれるのはありがたかったよ。ただ私のわがままなんだ。涼葉を独り占めしたかっただけだ。だから、瑛一も同じ気持ちなんだと思う。もう少し待ってあげないか?」
慶吾さんの気持ちはよくわかる。
でも……今までずっと待っていたのは私も同じ。
ずっと春乃に可愛い息子くんの自慢をされていたんだもの。
瑛一に可愛い恋人ができたのなら、一度くらい会ってみたい。
その思いが膨らんでどうしても我慢できなかった。
翌日、お昼近くまで待って瑛一に電話をしてみた。
けれど何度鳴らしても出ない。
ひたすらに鳴らし続けるとようやく電話がつながった。
その第一声でいつもの瑛一とは違うとすぐにピンと来た。
わざと出かけているのかしら? と尋ねてみるとため息まじりに自宅にいると返答が来た。
すぐにでも恋人の元に戻りたいと言うのがありありと感じられる。
それでも私にはまだ報告しようとしない。
だから、ちょっと意地悪を言ってみた。
わざと縁談話のような話題を振ってみると、最後まで聞くこともなく断ってきた。
ー報告が遅くなりましたが、私にはもう心に決めた方がいます。その方とすでに一緒に暮らしていますし、その方以外とは添い遂げるつもりはありません。
そうはっきりと言い切った瑛一から、その恋人へのこの上ない愛が溢れていた。
瑛一にこんな相手ができたことに喜びを感じながらなんとか冷静に尋ね返した。
ーその方はどこの方なの? 紹介していただけるのよね?
ーええ、ゆくゆくはそのつもりですが今はまだそのつもりはありません。
ーどうしてなの?
ー私の中だけにまだおさめておきたいんです。誰にも見せたくない。それだけです。
慶吾さんが言った通り、瑛一から途轍もな意ほどの独占欲が感じられて驚いてしまう。
こんな瑛一初めてだわ。
ー私の愛しい人は私だけのものにしておきたいんです。
ーあら、意外と激情的なのね。瑛一さんにそんなところがあるなんて知らなかったわ。
ー私もです。彼と会って初めて自分にそんな感情があることを知りました。だからしばらくはそっとしておいてください。
瑛一の口から彼と言う言葉が出てきて、相手が男性だと知った。
それでもそれが理由で反対することなんて微塵も考えていない。
瑛一が好きになる相手ができたことだけで私は嬉しいのだから。
でも瑛一は少しばかり不安に思っていたみたい。
不用意に彼を傷つけたくない。
その言葉には彼を傷つけられたら家族との縁を切るつもりだと言うことがよくわかった。
それはきっとお相手の彼がそこを不安に思っているからこそ。
それなら余計に早く会って私たちに傷つける気などないことを伝えておきたい。
ーそれなら尚のこと、一度会わせてほしいわ。あなたの愛しい恋人も家族に祝福されていると思ったら嬉しいはずよ。何より私があなたの愛しい人に会いたいの。ずっと羨ましかったのよ。可愛い息子ができた天沢さんのところが。ようやく私にも可愛い息子ができるのね。
私の思いを伝えたら、電話越しでもわかるほど瑛一の緊張が和らいだ。
ーわかりました。それでは瀬里さんと相談して日時をお伝えします。
瑛一がここまで言えば約束を反故にすることは絶対にない。
声に出してしまいそうなほどの喜びの気持ちをグッと抑えて電話を切った。
「やったわ! 瑛一の恋人に会える!」
そうして、それから三日後。
銀座の個室があるお店で私と慶吾さん。
そして瑛一と恋人のせりさんとの顔合わせ兼食事会が行われた。
「あ、あの……わ、私……瑛一さんとおつきあいさせていただいています、日南瀬里です。お義父さまとお義母さまと会いできて光栄です」
真っ赤な顔で挨拶をする瀬里さんを一目見て、あまりの可愛さに思わず瀬里さんを抱きしめた。
「なんて可愛らしいのかしら。こんな可愛い息子ができるなんて!! 幸せだわ!!」
待ち望んだ甲斐があった。
そう思えるほど可愛い息子を抱きしめると、数秒後に瑛一に引き離された。
「すみませんが、瀬里さんは私のものです! ハグはダメですよ」
その眼差しに私は遠い昔、慶吾さんのお母さんと初めて会ったの日の慶吾さんを思い出していた。
私の隣で苦笑する慶吾さんと一緒に思わず笑みを溢した。
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