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石垣編
<短編> 大切な思い出
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石垣島試食会の途中で停滞していますが(汗)
沖野先生とひかりのお話の感想で
『友貴也がネカフェ生活送ってた時とかに脳内に浮かんだ人とか描いてて、落ち着いた頃見返してたら崇史さんだったとかあったらいいのに……』という面白い感想をいただいたので、ささっと思い浮かんで書いてみました。
石垣編じゃなくて申し訳ないですが……楽しんでいただけると嬉しいです♡
しばらくしてから番外編の方に移します。
* * *
「これと……これは、残しておこうかな」
友貴也は今、私が友貴也の部屋から運び出してきたダンボール五箱分の荷物の片付けに勤しんでいる。
と言っても、ほとんどは砂川さんが沖縄にやってきた友貴也のために揃えたものだから、元からの友貴也の荷物はほとんどない。
けれど、さすが砂川さんというだけあって、私が気にしないようなものを厳選して揃えてくれている。
そういう心遣いがありがたい。
「この服は……もう着られないかな」
片付けをしている部屋を覗くと、友貴也がヨレヨレになった少し生地の厚いジャケットを広げてみていた。
「その服は、あっちでずっと着ていたものかな?」
「あ、はい。そうなんです。あの会社をクビになって、アパート引き払った時に着ていた服で……着替えもほとんど持たずにいたから、ネカフェで寝ている時はブランケット代わりにかけたりしてて」
あの家にある洋服の中で一際着古した感じがしていたと思ったが、そんな使い方をしていたのか……
つくづくそのネカフェで襲われなくてよかったとほっとする。
「最初に砂川さんが尋ねて来られたときもこのジャケットを着ていたんです。季節感もないし、ヨレヨレでどうみたっておかしな人だって思われても仕方ないのに、砂川さんは優しく対応して、メモをとりながら俺の話を聞いてくれて……何か思い出したら、なんでもいいからメモを取っていて欲しいって……あっ!」
「ん? どうかした?」
友貴也は何かを思い出したように声をあげ、そのジャケットの内側に手を入れていた。
「あの時渡されたメモ用紙とペンを砂川さんに返してなかったなって……あ、あったー!」
友貴也が内ポケットから取り出したメモ帳はK.Yリゾートのロゴが入った黒い手帳のようなもの。
それに使い心地が良さそうなペンが挟んであった。
「ちょっとみせて」
私が声をかけると、何も躊躇うこともなく渡してくれる。
警戒心も何も持たれていないことに安心する。
このイリオモテヤマネコは心の中に入ってくると途端に警戒がなくなるのがなんとも可愛い。
「それ、週明け会社に行った時に砂川さんに返しておきます」
友貴也は律儀にもそんなことを言っているが、多分元々友貴也に渡すつもりで持って行ったもののように見える。
ペンにもK.Yリゾートのロゴが入っているのが何よりの証拠だ。
砂川さんの自前のものなら、多分安慶名さんのイニシャルのようなものが入っていそうだ。
それくらい、安慶名さんならやるだろう。
「気にしないでいいと思うけどね。それよりこのメモ帳は何か使ったのかな?」
「えっと、砂川さんとあった後、社長とも会うことになって……その間に思い出したことを書き込んだ気が…‥藤乃くんのことで伝えておかないといけないって思ったから……」
「なるほど。ちょっとみてもいい?」
「えっ? はい。いいですよ」
私が急にそんなことを言い出したことに一瞬驚いていたようだったけれど、すぐに了承してくれた。
今更、友貴也が藤乃くんのことを深く思っていたなんて考えたりはしていないが、やはりどんなことを書いたのかは気になってしまう。
表紙を捲ると、箇条書きのようにいくつか文章が書かれているのが読める。
本当に思いつくままに書いたような感じだ。
数枚、文章のようなものが書かれている他には何もないか。
パラパラと最後のページまでめくってみようとしていると、ふっと何かが書かれているのが見えて、パッと手を止めた。
「えっ?」
メモ帳の終わりから五枚前に描かれていたのはイラスト。
絵が得意な友貴也だからそれがあっても不思議はない。
もしかしたら手持ち無沙汰で無意識に描いていたのかもしれないが、そこに描かれていた思いかけないものに私は驚きを隠せなかった。
「崇史さん? どうかしましたか? 俺、何かおかしなこと書いてました?」
茫然と立ち尽くす私のそばに駆け寄ってきた友貴也は私の手元を見て、同じように「えっ!」と声を上げた。
そして、一気に顔を赤く染めていく。
「友貴也、これは誰なのか教えてほしい」
「あ、あの、これは……その……」
友貴也がメモ帳と私を交互に見ながら、顔を真っ赤にしているそのわけは……
メモ帳に書かれていたのが、男性のイラストだったから。
しかも、どことなく私に似ている。
けれど、私のはずがない。だって、まだその時は私とはあっていなかったのだから。
「自分でもよく覚えてないんですけど……こういう人に出会えたらいいなって、多分俺の理想を描いたんだと思います」
「友貴也の、理想……?」
「はい。だから、それが崇史さんにそっくりで今すごくびっくりしてます……」
友貴也の表情を見れば、それが本当のことを話しているのはわかる。
そうか……本当に出会う前から、私たちは運命の赤い糸で繋がっていたんだ。
「友貴也、この絵を私にくれないか?」
「えっ、でも……」
「大切にとっておきたいんだ。だめか?」
「ひゃっ!」
耳元で甘く囁けば、友貴也はその場に崩れ落ちそうになる程、さらに顔を真っ赤にして小さく頷いてくれた。
「ありがとう、大切にするよ。そのお礼に今からたっぷりと、ね……」
友貴也を抱き上げて、そのまま寝室に連れ込む。
そして、友貴也の最奥にたっぷりと欲望の蜜を注ぎ込み、友貴也が深い眠りに落ちた後で私は動いた。
あのメモ帳に書かれていた絵が消えて無くならないように、しっかりと保存しておこう。
友貴也が出会う前から私を求めてくれていた大切な思い出だから……
沖野先生とひかりのお話の感想で
『友貴也がネカフェ生活送ってた時とかに脳内に浮かんだ人とか描いてて、落ち着いた頃見返してたら崇史さんだったとかあったらいいのに……』という面白い感想をいただいたので、ささっと思い浮かんで書いてみました。
石垣編じゃなくて申し訳ないですが……楽しんでいただけると嬉しいです♡
しばらくしてから番外編の方に移します。
* * *
「これと……これは、残しておこうかな」
友貴也は今、私が友貴也の部屋から運び出してきたダンボール五箱分の荷物の片付けに勤しんでいる。
と言っても、ほとんどは砂川さんが沖縄にやってきた友貴也のために揃えたものだから、元からの友貴也の荷物はほとんどない。
けれど、さすが砂川さんというだけあって、私が気にしないようなものを厳選して揃えてくれている。
そういう心遣いがありがたい。
「この服は……もう着られないかな」
片付けをしている部屋を覗くと、友貴也がヨレヨレになった少し生地の厚いジャケットを広げてみていた。
「その服は、あっちでずっと着ていたものかな?」
「あ、はい。そうなんです。あの会社をクビになって、アパート引き払った時に着ていた服で……着替えもほとんど持たずにいたから、ネカフェで寝ている時はブランケット代わりにかけたりしてて」
あの家にある洋服の中で一際着古した感じがしていたと思ったが、そんな使い方をしていたのか……
つくづくそのネカフェで襲われなくてよかったとほっとする。
「最初に砂川さんが尋ねて来られたときもこのジャケットを着ていたんです。季節感もないし、ヨレヨレでどうみたっておかしな人だって思われても仕方ないのに、砂川さんは優しく対応して、メモをとりながら俺の話を聞いてくれて……何か思い出したら、なんでもいいからメモを取っていて欲しいって……あっ!」
「ん? どうかした?」
友貴也は何かを思い出したように声をあげ、そのジャケットの内側に手を入れていた。
「あの時渡されたメモ用紙とペンを砂川さんに返してなかったなって……あ、あったー!」
友貴也が内ポケットから取り出したメモ帳はK.Yリゾートのロゴが入った黒い手帳のようなもの。
それに使い心地が良さそうなペンが挟んであった。
「ちょっとみせて」
私が声をかけると、何も躊躇うこともなく渡してくれる。
警戒心も何も持たれていないことに安心する。
このイリオモテヤマネコは心の中に入ってくると途端に警戒がなくなるのがなんとも可愛い。
「それ、週明け会社に行った時に砂川さんに返しておきます」
友貴也は律儀にもそんなことを言っているが、多分元々友貴也に渡すつもりで持って行ったもののように見える。
ペンにもK.Yリゾートのロゴが入っているのが何よりの証拠だ。
砂川さんの自前のものなら、多分安慶名さんのイニシャルのようなものが入っていそうだ。
それくらい、安慶名さんならやるだろう。
「気にしないでいいと思うけどね。それよりこのメモ帳は何か使ったのかな?」
「えっと、砂川さんとあった後、社長とも会うことになって……その間に思い出したことを書き込んだ気が…‥藤乃くんのことで伝えておかないといけないって思ったから……」
「なるほど。ちょっとみてもいい?」
「えっ? はい。いいですよ」
私が急にそんなことを言い出したことに一瞬驚いていたようだったけれど、すぐに了承してくれた。
今更、友貴也が藤乃くんのことを深く思っていたなんて考えたりはしていないが、やはりどんなことを書いたのかは気になってしまう。
表紙を捲ると、箇条書きのようにいくつか文章が書かれているのが読める。
本当に思いつくままに書いたような感じだ。
数枚、文章のようなものが書かれている他には何もないか。
パラパラと最後のページまでめくってみようとしていると、ふっと何かが書かれているのが見えて、パッと手を止めた。
「えっ?」
メモ帳の終わりから五枚前に描かれていたのはイラスト。
絵が得意な友貴也だからそれがあっても不思議はない。
もしかしたら手持ち無沙汰で無意識に描いていたのかもしれないが、そこに描かれていた思いかけないものに私は驚きを隠せなかった。
「崇史さん? どうかしましたか? 俺、何かおかしなこと書いてました?」
茫然と立ち尽くす私のそばに駆け寄ってきた友貴也は私の手元を見て、同じように「えっ!」と声を上げた。
そして、一気に顔を赤く染めていく。
「友貴也、これは誰なのか教えてほしい」
「あ、あの、これは……その……」
友貴也がメモ帳と私を交互に見ながら、顔を真っ赤にしているそのわけは……
メモ帳に書かれていたのが、男性のイラストだったから。
しかも、どことなく私に似ている。
けれど、私のはずがない。だって、まだその時は私とはあっていなかったのだから。
「自分でもよく覚えてないんですけど……こういう人に出会えたらいいなって、多分俺の理想を描いたんだと思います」
「友貴也の、理想……?」
「はい。だから、それが崇史さんにそっくりで今すごくびっくりしてます……」
友貴也の表情を見れば、それが本当のことを話しているのはわかる。
そうか……本当に出会う前から、私たちは運命の赤い糸で繋がっていたんだ。
「友貴也、この絵を私にくれないか?」
「えっ、でも……」
「大切にとっておきたいんだ。だめか?」
「ひゃっ!」
耳元で甘く囁けば、友貴也はその場に崩れ落ちそうになる程、さらに顔を真っ赤にして小さく頷いてくれた。
「ありがとう、大切にするよ。そのお礼に今からたっぷりと、ね……」
友貴也を抱き上げて、そのまま寝室に連れ込む。
そして、友貴也の最奥にたっぷりと欲望の蜜を注ぎ込み、友貴也が深い眠りに落ちた後で私は動いた。
あのメモ帳に書かれていた絵が消えて無くならないように、しっかりと保存しておこう。
友貴也が出会う前から私を求めてくれていた大切な思い出だから……
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