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第五章 (王城〜帰郷編)
花村 柊 47−2※
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「アリーお姉さま。今日はアレクお兄さまにお会いしたら、必ず『アレクさま』ってちゃんと目を見て言ってくださいね。
そして、アリーお姉さまの方から、『愛してる』っていうんです。そうしたら、きっとアレクお兄さまも素直な気持ち言ってくれると思いますよ」
「私から? そんなこと……」
「ぼく、お父さんに言われたんです」
「お父さんって、トーマ王妃??」
「はい。伝えたいことはちゃんと言葉にしないとダメだって。簡単なことだけど、意外と難しいんですよね。でも言わないと気持ちは伝わらないですよ。お父さんはいつでもアンドリューさまに愛してるって伝えてました。アンドリューさま、すごく嬉しそうでしたよ」
「アンドリュー王とトーマ王妃が……。シュウくんは本当にお二人と一緒に過ごしていたのね。アレクさまからお話は伺っていたけれど、あまりにも不思議な出来事過ぎて……でも、本当に羨ましいわ。オランディアのあの伝説のお二人に直にお会いできたなんて……」
確かにそうだろうな。
目の前にいるぼくが時空を超えて数百年も前の時代を生きたアンドリューさまやお父さんと一緒に過ごしていたなんて話を聞かされても俄には信じられない話だろう。
そもそも、ぼくが生まれたのもお父さんが神さまの力を授かったおかげだってアリーお姉さまは聞いているわけだし。
本当に不思議なことばかりだろうな。
アリーお姉さまがアレクお兄さまから予言書の存在を知らされてなかったら、急に現れたぼくのことを不審に思ってここまで仲良くしてもらえなかったかもしれない。
本当によかったな。
これも全部アンドリューさまのおかげだ。
ああやって書いておいてくれたから、こうしてお父さんの話も隠さずにできるんだよね。
「アレクお兄さまとアリーお姉さまもアンドリューさまとお父さんみたいになれますよ」
「シュウくんにそう言ってもらえると心強いわ。私、頑張って『愛してる』って言ってみるわ」
「はい。ふふっ。楽しみですね」
「シュウくんと話したら、なんでも頑張ろうって気になれたわ。今日はお話できてよかった。
サヴァンスタック領に帰ってしまったら、なかなか会えなくなるのが寂しいわ」
そうだった。
王都からフレッドの領地までは馬車で1週間くらいかかるんだっけ。
「領地に遊びに来てください。って、でも王妃さまは簡単には来れないのかな」
「いいえ、ぜひアレクさまと伺うわ。サヴァンスタック領には実はまだ行ったことがなくて……」
「そうなんですね。じゃあ、ぜひ」
「ふふっ。楽しみが増えたわ。シュウくん、今日は本当に楽しかった。オランディアに来てから、お友達とこんなに楽しい時間を過ごしたのは初めて。本当にありがとう」
「アリーお姉さま。ぼくも楽しかったです。アレクお兄さまとずっと仲良くしてくださいね」
名残惜しかったけれど、そろそろ終わりの時間だ。
またいつかアリーお姉さまとお茶会できたらいいな。
カチャリと扉を開けると、すぐ目の前にフレッドがいた。
「ずっとここにいてくれたの?」
「もちろんだよ。シュウ、楽しく過ごせたか?」
「うん、すごく楽しかった」
「そうか、ならよかった。アリーチェ王妃、シュウがお世話になりました」
フレッドがお礼を言うと、アリーお姉さまは
「すごく興味深い話ばかりで私の方が楽しく過ごさせていただいたわ。シュウくんとの時間を作ってくれてありがとう」
とにっこり笑いながらそう言ってくれた。
アリーお姉さまと離れ、部屋へと戻ると
「シュウ、興味深い話をしたと言っていたが、アリーチェ王妃とどんな話をしたんだ?」
と尋ねられた。
えーっと、話してもいいのかな……。
「アリーお姉さま、アレクお兄さまのことを『アレクサンダーさま』って呼んでたでしょ?」
「ああ、そうだな。その呼び名は以前も同じだった。それがどうかしたのか?」
「ぼくがフレッドって呼ぶのを見て羨ましいって思ったんだって。ずっと『アレクさま』って呼んでみたかったみたいで……。初めてあった時に『アレクサンダーさま』って呼んだからなかなか変えられなくて困ってたみたい」
「そうだったのか……」
「ねぇ、フレッドはぼくに会ってすぐにフレッドって呼ばせてくれたよね? あれって本当は珍しいことだったの?」
アリーお姉さまとの会話で気になっていた質問をフレッドにぶつけてみた。
今の今まで何にも不思議だとは思ってなかったんだよね。
お父さんだって、アンドリューさまのこと『アンディー』って呼んでたし。
それが普通だと思ってたな……。
「そうだな。初対面ではフレデリックと名前で呼ばせることもほとんどないな。愛称で呼ばせることは絶対にない」
「それなのに、ぼくにはどうして呼ばせてくれたの?」
「当然だろう? 私はあの中庭でシュウをひと目見た時からシュウが私の特別な人だと感じていたのだからな」
「えっ? あれだけで?」
「ああ、もちろんだよ。愛称は両親か伴侶しか呼ばせないものだからな。私の場合は両親でさえ、愛称で呼んでくれたことはなかった。だからこそ、シュウだけには誰も呼んだことのない名前で呼んで欲しかったんだ」
「フレッド……」
フレッドはそんな強い気持ちでぼくにあの時名前を教えてくれたんだ……。
「ふふっ。そうやってシュウが初めて私の名を呼んでくれた時のことは今でも昨日のことのように覚えているよ。
そして、私の名を呼んでくれたその口で、私の瞳を綺麗だと言ってくれたんだ……。いつも傷ついていた私にあの瞬間は光が差したようだったよ」
「あの時も、今もずっとフレッドの瞳は綺麗だよ。ぼく、生まれて初めてこんなに綺麗な瞳を見たって思ったもん」
「シュウの言葉がどれほど支えになったか……。あの日、シュウと出会えた光景を私は生涯忘れることはないだろうな」
「ねぇ、サヴァンスタックに帰ったらあの中庭見に行ける?」
「そうだな……。あれからしばらくはシュウがあの場所に近寄るとどこかへ行ってしまうのではないかと思って怖くて行かせられなかった。もう今はシュウがどこにも行ったりしないとわかっているから中庭にも行けるよ。帰ったら行ってみようか……というか、シュウはサヴァンスタックに帰ると言ってくれるのだな」
「当たり前だよ。ぼくにとってフレッドの帰る場所がぼくの帰る場所でもあるんだから」
そういうとフレッドは満面の笑みでぼくを抱きしめてくれた。
食事の前にゆっくりとお風呂に入ろうと誘われて、ぼくたちはお風呂場へ向かった。
ぼくが自分で脱ごうとするのを遮って、フレッドの大きな手がぼくの服を器用に脱がせていく。
お返しにぼくもと思ったけれど、いつの間に脱いだのかフレッドはすでに裸になっていた。
ぼくとは全く違う逞しい身体。
見るだけでどきっとしてしまう。
もうすっかりぼくはフレッドの虜だ。
ふと見上げるとフレッドの首筋にぼくのつけた紅い花が見える。
つけ方が弱かったのか小さくてうっすらとしているけれど、あれがフレッドがぼくのものだっていう証。
ぼくの視線を感じたのか、フレッドがその紅い花を優しく撫でる。
それはそれは愛おしそうに撫でる姿になんとなくモヤモヤしたものを感じる。
「フレッド……そっちじゃなくてぼくに触れてよ」
「――っ、シュウ!」
「あ、ちが――っ、わぁっ!!」
つい口から出てしまった言葉を慌てて訂正しようとしたけれど、一気にフレッドの胸に抱き込まれながら、耳元で
「シュウ、愛してるよ」
と囁かれた。
蕩けるような甘くて優しい声にドキドキが止まらない。
「シュウが嫉妬してくれるなんて幸せしかないな」
そうか、ぼく……なんであんなこと言っちゃったんだろうって思ってたけど、嫉妬してたんだ……。
「フレッド……ぼく、恥ずかしい。自分がつけたのに……嫉妬するなんて」
「いや、私だっていつでもそうだ。シュウの首筋につけたその紅い花も、シュウといつでも一緒にいるのだと思うだけで嫉妬してしまうのだからな」
「そうなの? フレッドもぼくと一緒?」
「ああ。だから、恥ずかしがることなんてないよ」
「良かった。嬉しい」
フレッドはぼくの言葉に満面の笑みで返すとぼくを抱きかかえ、そのままお風呂場へと入っていった。
いつものようにお互いに髪と身体を洗い合っているときに、フレッドの大きなモノを見てアリーお姉さまとの話を思い出した。
「ねぇ……フレッド」
「どうした?」
「ここからでる蜜が本当は苦くて美味しくないって知ってる?」
「ぶっ! ごほっ。ごほっ!! なっ――、ど、どうしてシュウがそれを?」
フレッドは顔を真っ赤にして目を丸くしている。
「アリーお姉さまに教えてもらったんだ。アレクお兄さまは唯一じゃないから苦くて美味しくないんだって」
「アリーチェ王妃がそんなことを?」
「うん。アリーお姉さまの周りには唯一の人がいないから、存在しないんじゃないかって思ってたみたい。でも僕たちが唯一だって知って、どうしても聞きたかったって言ってた」
「そうか……確かに隣国には唯一を見つけられるものが少ないと聞いたことがあるな」
やっぱりそうなんだ。
アリーお姉さまも会ったことないって言ってたもんね。
「苦くて美味しくないって想像もつかないけど、どんな味なんだろうね?」
「私も知らないが、飲めたものではないと聞いたことがある。だからこそ唯一は特別なのだよ」
「そっか……じゃあ、本当にアリーお姉さまはすごいんだ」
「えっ? というと……アリーチェ王妃は?」
「ああっ!! もしかしてこれって教えちゃいけないことだったよね? あ、どうしよう……アリーお姉さまに嫌われちゃうかな」
自分が蜜舐めてるのを知られたくないとか言いながら、アリーお姉さまのことをバラしちゃうなんてばかばか!!
「大丈夫。私とシュウの間に秘密ごとがある方が問題だからな。私は誰にも話したりしないよ」
「フレッド……ありがとう」
優しいフレッドの言葉にぼくは心底ホッとした。
「ねぇ、フレッド……」
「んっ? どうした?」
「ぼく……フレッドの蜜、舐めたくなっちゃった……」
「――っ!!」
びっくりしているフレッドをそのままにして、ぼくはフレッドの大きなモノを指先でツーッと撫でると、フレッドのモノは一気に天を向いて聳り立った。
「わぁっ! すごいっ!!」
「シ、シュウっ!」
目の前で大きくなる瞬間を見て、嬉しくなったぼくはフレッドの大きなモノを両手で握るとフレッドの焦った声が耳に飛び込んできた。
「んっ? だめ?」
「い、いや。だめ、ではないが……いいのか?」
「うん。だって、フレッドの可愛いもん」
「可愛い……」
ぼくに可愛いと言われて複雑そうな表情をしたフレッドが面白くて、ぼくはお風呂の床に跪いた。
フレッドが座る足の間に身体を寄せて、フレッドのモノに触れながら顔をそっと近づけた。
舌をぺろっと出して先端を舐めると、甘い甘い蜜の味がした。
「ふふっ。もう甘いよ」
「くっ――!」
舌先で先端の蜜をこそぎ取るように舐めると、蜜はどんどんどんどん溢れてくる。
「甘いのいっぱい出てくるね」
「シュウの舌が気持ち良すぎるんだ、くっ――!」
ぼくはもっと蜜を出したくて、口を最大限大きく開けてフレッドの大きなモノを口に含んだ。
いつもフレッドの張り出したところまでしか入らないのが残念だけど、それでも精一杯口を窄めて動かすと
「ああ、シュウ……最高だ、ああ、いいよ」
とフレッドの恍惚とした声が聞こえるからよしとしよう。
両手で根元を擦りながら、口も動かすとフレッドは
「ああ、もう、イクっ!!」
とぼくの口の中に甘い甘い蜜を吐き出した。
トプトプと大量に入ってくる蜜を溢さないようにゆっくり味わいながらコクコクと飲み干すと、フレッドはそんなぼくを見ながら嬉しそうに笑っていた。
「美味しいか?」
「うん、フレッドの美味しい。でも……」
「んっ? どうした?」
「多分、フレッドのだったらきっと苦くて美味しくなくても飲めてた気がする」
「シュウっ!!!」
そういうとフレッドは満面の笑みでぼくを抱きしめた。
そして、そのまま湯船に浸かったかと思えば、すぐにお風呂から出て、身体を拭くのもそこそこにあっという間に寝室へと連れて行かれた。
「フレッド……あの、」
「今度は私がシュウの蜜をいっぱい味わわせてもらうよ」
そういうが早いか、あっという間に唇を塞がれて、身体中を舐め尽くされ、あまりの快感にいつの間にか吐き出してしまっていたぼくの蜜はフレッドに余すところなく舐めとられていて、気がつけばぼくのお腹の一番奥にフレッドの蜜が大量に注がれていた。
何度注がれたのかもわからないほどの大量の蜜がぼくの中にあるのを感じる。
でもそれがちっとも嫌じゃない。
フレッドの蜜がぼくの中に留まっているだけで、なんだかとっても嬉しいんだ。
「シュウ……歯止めが効かなくて悪い」
「ふふっ。謝らないでよ。ぼく、嬉しいのに」
「そうか、そうだな。シュウの中、ものすごく最高だったよ。シュウ……愛してるよ」
チュッとキスされたその唾液すらも甘い。
本当に唯一って全身が甘いのかも……。
これが苦くて美味しくないなんて想像もつかないけれど、きっとぼくは一生その味を知らずに過ごすんだろうな。
でも、知らなくてよかった。
ぼくにはずっとフレッドだけでいい。
一生フレッドの甘い蜜だけ纏っていたい。
そう思いながら、ぼくは眠りについた。
そして、アリーお姉さまの方から、『愛してる』っていうんです。そうしたら、きっとアレクお兄さまも素直な気持ち言ってくれると思いますよ」
「私から? そんなこと……」
「ぼく、お父さんに言われたんです」
「お父さんって、トーマ王妃??」
「はい。伝えたいことはちゃんと言葉にしないとダメだって。簡単なことだけど、意外と難しいんですよね。でも言わないと気持ちは伝わらないですよ。お父さんはいつでもアンドリューさまに愛してるって伝えてました。アンドリューさま、すごく嬉しそうでしたよ」
「アンドリュー王とトーマ王妃が……。シュウくんは本当にお二人と一緒に過ごしていたのね。アレクさまからお話は伺っていたけれど、あまりにも不思議な出来事過ぎて……でも、本当に羨ましいわ。オランディアのあの伝説のお二人に直にお会いできたなんて……」
確かにそうだろうな。
目の前にいるぼくが時空を超えて数百年も前の時代を生きたアンドリューさまやお父さんと一緒に過ごしていたなんて話を聞かされても俄には信じられない話だろう。
そもそも、ぼくが生まれたのもお父さんが神さまの力を授かったおかげだってアリーお姉さまは聞いているわけだし。
本当に不思議なことばかりだろうな。
アリーお姉さまがアレクお兄さまから予言書の存在を知らされてなかったら、急に現れたぼくのことを不審に思ってここまで仲良くしてもらえなかったかもしれない。
本当によかったな。
これも全部アンドリューさまのおかげだ。
ああやって書いておいてくれたから、こうしてお父さんの話も隠さずにできるんだよね。
「アレクお兄さまとアリーお姉さまもアンドリューさまとお父さんみたいになれますよ」
「シュウくんにそう言ってもらえると心強いわ。私、頑張って『愛してる』って言ってみるわ」
「はい。ふふっ。楽しみですね」
「シュウくんと話したら、なんでも頑張ろうって気になれたわ。今日はお話できてよかった。
サヴァンスタック領に帰ってしまったら、なかなか会えなくなるのが寂しいわ」
そうだった。
王都からフレッドの領地までは馬車で1週間くらいかかるんだっけ。
「領地に遊びに来てください。って、でも王妃さまは簡単には来れないのかな」
「いいえ、ぜひアレクさまと伺うわ。サヴァンスタック領には実はまだ行ったことがなくて……」
「そうなんですね。じゃあ、ぜひ」
「ふふっ。楽しみが増えたわ。シュウくん、今日は本当に楽しかった。オランディアに来てから、お友達とこんなに楽しい時間を過ごしたのは初めて。本当にありがとう」
「アリーお姉さま。ぼくも楽しかったです。アレクお兄さまとずっと仲良くしてくださいね」
名残惜しかったけれど、そろそろ終わりの時間だ。
またいつかアリーお姉さまとお茶会できたらいいな。
カチャリと扉を開けると、すぐ目の前にフレッドがいた。
「ずっとここにいてくれたの?」
「もちろんだよ。シュウ、楽しく過ごせたか?」
「うん、すごく楽しかった」
「そうか、ならよかった。アリーチェ王妃、シュウがお世話になりました」
フレッドがお礼を言うと、アリーお姉さまは
「すごく興味深い話ばかりで私の方が楽しく過ごさせていただいたわ。シュウくんとの時間を作ってくれてありがとう」
とにっこり笑いながらそう言ってくれた。
アリーお姉さまと離れ、部屋へと戻ると
「シュウ、興味深い話をしたと言っていたが、アリーチェ王妃とどんな話をしたんだ?」
と尋ねられた。
えーっと、話してもいいのかな……。
「アリーお姉さま、アレクお兄さまのことを『アレクサンダーさま』って呼んでたでしょ?」
「ああ、そうだな。その呼び名は以前も同じだった。それがどうかしたのか?」
「ぼくがフレッドって呼ぶのを見て羨ましいって思ったんだって。ずっと『アレクさま』って呼んでみたかったみたいで……。初めてあった時に『アレクサンダーさま』って呼んだからなかなか変えられなくて困ってたみたい」
「そうだったのか……」
「ねぇ、フレッドはぼくに会ってすぐにフレッドって呼ばせてくれたよね? あれって本当は珍しいことだったの?」
アリーお姉さまとの会話で気になっていた質問をフレッドにぶつけてみた。
今の今まで何にも不思議だとは思ってなかったんだよね。
お父さんだって、アンドリューさまのこと『アンディー』って呼んでたし。
それが普通だと思ってたな……。
「そうだな。初対面ではフレデリックと名前で呼ばせることもほとんどないな。愛称で呼ばせることは絶対にない」
「それなのに、ぼくにはどうして呼ばせてくれたの?」
「当然だろう? 私はあの中庭でシュウをひと目見た時からシュウが私の特別な人だと感じていたのだからな」
「えっ? あれだけで?」
「ああ、もちろんだよ。愛称は両親か伴侶しか呼ばせないものだからな。私の場合は両親でさえ、愛称で呼んでくれたことはなかった。だからこそ、シュウだけには誰も呼んだことのない名前で呼んで欲しかったんだ」
「フレッド……」
フレッドはそんな強い気持ちでぼくにあの時名前を教えてくれたんだ……。
「ふふっ。そうやってシュウが初めて私の名を呼んでくれた時のことは今でも昨日のことのように覚えているよ。
そして、私の名を呼んでくれたその口で、私の瞳を綺麗だと言ってくれたんだ……。いつも傷ついていた私にあの瞬間は光が差したようだったよ」
「あの時も、今もずっとフレッドの瞳は綺麗だよ。ぼく、生まれて初めてこんなに綺麗な瞳を見たって思ったもん」
「シュウの言葉がどれほど支えになったか……。あの日、シュウと出会えた光景を私は生涯忘れることはないだろうな」
「ねぇ、サヴァンスタックに帰ったらあの中庭見に行ける?」
「そうだな……。あれからしばらくはシュウがあの場所に近寄るとどこかへ行ってしまうのではないかと思って怖くて行かせられなかった。もう今はシュウがどこにも行ったりしないとわかっているから中庭にも行けるよ。帰ったら行ってみようか……というか、シュウはサヴァンスタックに帰ると言ってくれるのだな」
「当たり前だよ。ぼくにとってフレッドの帰る場所がぼくの帰る場所でもあるんだから」
そういうとフレッドは満面の笑みでぼくを抱きしめてくれた。
食事の前にゆっくりとお風呂に入ろうと誘われて、ぼくたちはお風呂場へ向かった。
ぼくが自分で脱ごうとするのを遮って、フレッドの大きな手がぼくの服を器用に脱がせていく。
お返しにぼくもと思ったけれど、いつの間に脱いだのかフレッドはすでに裸になっていた。
ぼくとは全く違う逞しい身体。
見るだけでどきっとしてしまう。
もうすっかりぼくはフレッドの虜だ。
ふと見上げるとフレッドの首筋にぼくのつけた紅い花が見える。
つけ方が弱かったのか小さくてうっすらとしているけれど、あれがフレッドがぼくのものだっていう証。
ぼくの視線を感じたのか、フレッドがその紅い花を優しく撫でる。
それはそれは愛おしそうに撫でる姿になんとなくモヤモヤしたものを感じる。
「フレッド……そっちじゃなくてぼくに触れてよ」
「――っ、シュウ!」
「あ、ちが――っ、わぁっ!!」
つい口から出てしまった言葉を慌てて訂正しようとしたけれど、一気にフレッドの胸に抱き込まれながら、耳元で
「シュウ、愛してるよ」
と囁かれた。
蕩けるような甘くて優しい声にドキドキが止まらない。
「シュウが嫉妬してくれるなんて幸せしかないな」
そうか、ぼく……なんであんなこと言っちゃったんだろうって思ってたけど、嫉妬してたんだ……。
「フレッド……ぼく、恥ずかしい。自分がつけたのに……嫉妬するなんて」
「いや、私だっていつでもそうだ。シュウの首筋につけたその紅い花も、シュウといつでも一緒にいるのだと思うだけで嫉妬してしまうのだからな」
「そうなの? フレッドもぼくと一緒?」
「ああ。だから、恥ずかしがることなんてないよ」
「良かった。嬉しい」
フレッドはぼくの言葉に満面の笑みで返すとぼくを抱きかかえ、そのままお風呂場へと入っていった。
いつものようにお互いに髪と身体を洗い合っているときに、フレッドの大きなモノを見てアリーお姉さまとの話を思い出した。
「ねぇ……フレッド」
「どうした?」
「ここからでる蜜が本当は苦くて美味しくないって知ってる?」
「ぶっ! ごほっ。ごほっ!! なっ――、ど、どうしてシュウがそれを?」
フレッドは顔を真っ赤にして目を丸くしている。
「アリーお姉さまに教えてもらったんだ。アレクお兄さまは唯一じゃないから苦くて美味しくないんだって」
「アリーチェ王妃がそんなことを?」
「うん。アリーお姉さまの周りには唯一の人がいないから、存在しないんじゃないかって思ってたみたい。でも僕たちが唯一だって知って、どうしても聞きたかったって言ってた」
「そうか……確かに隣国には唯一を見つけられるものが少ないと聞いたことがあるな」
やっぱりそうなんだ。
アリーお姉さまも会ったことないって言ってたもんね。
「苦くて美味しくないって想像もつかないけど、どんな味なんだろうね?」
「私も知らないが、飲めたものではないと聞いたことがある。だからこそ唯一は特別なのだよ」
「そっか……じゃあ、本当にアリーお姉さまはすごいんだ」
「えっ? というと……アリーチェ王妃は?」
「ああっ!! もしかしてこれって教えちゃいけないことだったよね? あ、どうしよう……アリーお姉さまに嫌われちゃうかな」
自分が蜜舐めてるのを知られたくないとか言いながら、アリーお姉さまのことをバラしちゃうなんてばかばか!!
「大丈夫。私とシュウの間に秘密ごとがある方が問題だからな。私は誰にも話したりしないよ」
「フレッド……ありがとう」
優しいフレッドの言葉にぼくは心底ホッとした。
「ねぇ、フレッド……」
「んっ? どうした?」
「ぼく……フレッドの蜜、舐めたくなっちゃった……」
「――っ!!」
びっくりしているフレッドをそのままにして、ぼくはフレッドの大きなモノを指先でツーッと撫でると、フレッドのモノは一気に天を向いて聳り立った。
「わぁっ! すごいっ!!」
「シ、シュウっ!」
目の前で大きくなる瞬間を見て、嬉しくなったぼくはフレッドの大きなモノを両手で握るとフレッドの焦った声が耳に飛び込んできた。
「んっ? だめ?」
「い、いや。だめ、ではないが……いいのか?」
「うん。だって、フレッドの可愛いもん」
「可愛い……」
ぼくに可愛いと言われて複雑そうな表情をしたフレッドが面白くて、ぼくはお風呂の床に跪いた。
フレッドが座る足の間に身体を寄せて、フレッドのモノに触れながら顔をそっと近づけた。
舌をぺろっと出して先端を舐めると、甘い甘い蜜の味がした。
「ふふっ。もう甘いよ」
「くっ――!」
舌先で先端の蜜をこそぎ取るように舐めると、蜜はどんどんどんどん溢れてくる。
「甘いのいっぱい出てくるね」
「シュウの舌が気持ち良すぎるんだ、くっ――!」
ぼくはもっと蜜を出したくて、口を最大限大きく開けてフレッドの大きなモノを口に含んだ。
いつもフレッドの張り出したところまでしか入らないのが残念だけど、それでも精一杯口を窄めて動かすと
「ああ、シュウ……最高だ、ああ、いいよ」
とフレッドの恍惚とした声が聞こえるからよしとしよう。
両手で根元を擦りながら、口も動かすとフレッドは
「ああ、もう、イクっ!!」
とぼくの口の中に甘い甘い蜜を吐き出した。
トプトプと大量に入ってくる蜜を溢さないようにゆっくり味わいながらコクコクと飲み干すと、フレッドはそんなぼくを見ながら嬉しそうに笑っていた。
「美味しいか?」
「うん、フレッドの美味しい。でも……」
「んっ? どうした?」
「多分、フレッドのだったらきっと苦くて美味しくなくても飲めてた気がする」
「シュウっ!!!」
そういうとフレッドは満面の笑みでぼくを抱きしめた。
そして、そのまま湯船に浸かったかと思えば、すぐにお風呂から出て、身体を拭くのもそこそこにあっという間に寝室へと連れて行かれた。
「フレッド……あの、」
「今度は私がシュウの蜜をいっぱい味わわせてもらうよ」
そういうが早いか、あっという間に唇を塞がれて、身体中を舐め尽くされ、あまりの快感にいつの間にか吐き出してしまっていたぼくの蜜はフレッドに余すところなく舐めとられていて、気がつけばぼくのお腹の一番奥にフレッドの蜜が大量に注がれていた。
何度注がれたのかもわからないほどの大量の蜜がぼくの中にあるのを感じる。
でもそれがちっとも嫌じゃない。
フレッドの蜜がぼくの中に留まっているだけで、なんだかとっても嬉しいんだ。
「シュウ……歯止めが効かなくて悪い」
「ふふっ。謝らないでよ。ぼく、嬉しいのに」
「そうか、そうだな。シュウの中、ものすごく最高だったよ。シュウ……愛してるよ」
チュッとキスされたその唾液すらも甘い。
本当に唯一って全身が甘いのかも……。
これが苦くて美味しくないなんて想像もつかないけれど、きっとぼくは一生その味を知らずに過ごすんだろうな。
でも、知らなくてよかった。
ぼくにはずっとフレッドだけでいい。
一生フレッドの甘い蜜だけ纏っていたい。
そう思いながら、ぼくは眠りについた。
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カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました
黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。
彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。
戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。
現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと!
「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」
ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。
絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。
伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進!
迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る!
これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー!
美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。
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