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番外編
勉強会の裏側 <後編>
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すっかり書いたと思っていた後編。遅くなりました(汗)
最後にある話に続いていきますが、楽しんでいただけると嬉しいです。
* * *
午後の業務の合間に伊月たちの映像を少し覗いてみた。
――ねぇ、おやつにしようか。僕、美味しいカフェオレの作り方を優一さんに習ったんだ。伊月くんの分も淹れるよ!
真琴くんの楽しげな声が聞こえてくる。
無事に課題は終わったようだな。
何の話をしていたかは後で映像の編集がてら確認させてもらうとしよう。
カフェオレを淹れてくれるという真琴くんに代わって、伊月が真琴くんからのお土産のタルトを切ろうと申し出るが、どうやらすでにタルトはカットされているようだ。
包丁で怪我をしたら危ないなんて……ユウさんがどれだけ真琴くんを溺愛しているかがわかるというものだ。
まぁその点では俺も同じだ。
伊月は自炊していたからもちろん料理はできるが、できるだけ水仕事には触れさせたくないというのが本音だ。
包丁で怪我をするのも心配だが火を使って火傷もさせたくないし、何より伊月の手を荒れさせたくない。
俺にできることは全て俺がやってあげたいと思ってしまうのだから、きっとユウさんも同じ気持ちだろう。
本当に俺とユウさんはよく似ている。
伊月は冷蔵庫からタルトを取り出し、真琴くんに断ってから少し緊張の面持ちでタルトの箱を開けた。
その表情にこういったケーキの箱を開けたことがあまりないのだということが伝わってくる。
伊月にいろんなものを少しずつ食べさせてあげたいからケーキを買うならカットケーキかと思っていたが、ホールケーキの箱を開ける楽しみは格別なもののようだ。たまにはホールで買ってみるのもいいかもしれないな。
――すっっごく、美味しそう!! これ、本当に手作り? すごすぎる!!!
箱を開けた途端、伊月の興奮した声が聞こえる。
てっきりイリゼホテルで買ってきたのかと思ったが、ユウさんが作ったのか。
料理は得意だと知っていたが、甘いものがあまり得意ではないユウさんだからお菓子なんて手作りはしないと思っていた。本当に真琴くんのためならなんでもできるんだな。すごすぎる。
俺も伊月のために手の込んだお菓子を作れるようにならないとな。
悪いが、ユウさんには負けていられない。
メラメラとユウさんへの対抗心を燃やしている間に、伊月と真琴くんのお茶の時間が始まった。
ユウさん仕込みのカフェオレに舌鼓を打つ伊月。
いつもよりは少なめだが、砂糖入りのカフェオレは俺にはかなり甘そうだ。
真琴くんも伊月と同じくらいの砂糖を淹れて美味しそうに口をつける。
――いつかは優一さんみたいにブラックで飲めるようになりたいけどなかなか難しいんだよね。
――わかる! ブラックで飲んでるのってすっごく大人でかっこいいよね。
甘いカフェオレを飲みながら、俺とユウさんのことを話題にしてくれる。
しかも伊月はブラックを飲むのが大人でかっこいいといってくれた。
俺は甘いものは嫌いじゃないが、コーヒーは必ずブラックと決めている。
伊月がそれをかっこいいといってくれるなら、コーヒーをブラックで飲むのは一生変わらないだろう。
それくらい、俺は伊月の求める恋人像であり続けたいと思う。
――うちの兄さんも普段は僕と同じでミルク入れて、砂糖も少し入れることもあるんだけど、たまにブラックで飲んでる時もあって、めちゃくちゃかっこいいんだよ!
真琴くんのお兄さんの悠真さんのことはもちろん知っている。
まだきちんと面と向かって話したことはないが、確かに彼ならブラックが似合う。
真琴くんの憧れのお兄さんか。あの人なら憧れるのもよくわかるな。
そこから話は真琴くんのお兄さんたちの話に変わっていった。
近々、ユウさんと安慶名先輩と四人で食事をするらしい。
あの二人が義兄弟になると聞いた時はかなり驚いたが、親友としての期間も長いし、気のおけない間柄だからある意味良かったと思う。
食事をした日はみんなで泊まるのかという伊月の質問に、真琴くんはすぐに否定した。
仲がいいと思っているから、伊月にしてみればそれは驚きなのだろうが、ユウさんと安慶名先輩の気持ちを考えればそれは絶対にないことはわかる。
お互いに最愛の人のパジャマ姿はもちろん、寝顔も寝起きの顔も見せたくないし、何より夜はたっぷり気兼ねなく愛し合いたい。
――僕も四人でお泊まりも楽しそうって思うんだけど、安慶名さんが兄さんと二人っきりで過ごしたいんだって。
真琴くんは理由をそう告げていたが、きっと安慶名先輩は悠真さんに全く逆のことを伝えているだろう。
ユウさんが真琴くんと二人っきりで過ごしたいのだ、と。
そう言われれば相手を思いやる兄弟が無理強いするわけないからな。
多分、真琴くんたちの実家に帰省する以外で四人での泊まりはこれから先もありえないだろう。
そう思っていると、真琴くんの口から驚きの言葉が出た。
――ねぇ、今度伊月くんとシンさんと一緒にお泊まりしようよ!
えっ、ユウさんも一緒に泊まり?
いや、真琴くんだけも絶対に無理だが、ユウさんも一緒に四人で泊まりなんて……
悠真さんと安慶名先輩でも無理なのに、俺と伊月と一緒なんて絶対に許可しないだろうが、
――わぁ! それ楽しそう!! 今度ここで泊まる?
――ここもいいけど、旅行に行こうよ!! みんなで観光地巡ったり、美味しいもの食べたり、最高じゃない?
――みんなで観光地巡り……美味しいもの食べて……すごい! それいい!!
すっかり盛り上がっている二人にダメだなんて言いにくいな……
――今日お迎えに来てもらった時に、二人で頼んでみよう!!
そう話した後は、北海道で雪を見てみたいとか、福岡で美味しいものを食べてみたいとか、京都にいってみたいとか、真琴くんの地元に行ってみたいとか、そんな話でひたすら盛り上がっていた。
俺はそっと映像を消し、ユウさんに連絡を入れた。
<迎えに行った時、ちょっと難しいお願い事をされそうなので覚悟しておいたほうがいいですよ>
そんなメッセージを送ると、
<なんとなく内容は察しがつくが、考えておくよ>
と返ってきた。
おそらくユウさんのことだから、こうなることは見越していたのかもしれない。
だが、ユウさんたちと四人での旅行の前にある人物との海外旅行の話が持ち上がり、俺は引率者としてもちろん同行することになったのだが、その任務は今までの調査以上に過酷なことになったのはいうまでもない。
最後にある話に続いていきますが、楽しんでいただけると嬉しいです。
* * *
午後の業務の合間に伊月たちの映像を少し覗いてみた。
――ねぇ、おやつにしようか。僕、美味しいカフェオレの作り方を優一さんに習ったんだ。伊月くんの分も淹れるよ!
真琴くんの楽しげな声が聞こえてくる。
無事に課題は終わったようだな。
何の話をしていたかは後で映像の編集がてら確認させてもらうとしよう。
カフェオレを淹れてくれるという真琴くんに代わって、伊月が真琴くんからのお土産のタルトを切ろうと申し出るが、どうやらすでにタルトはカットされているようだ。
包丁で怪我をしたら危ないなんて……ユウさんがどれだけ真琴くんを溺愛しているかがわかるというものだ。
まぁその点では俺も同じだ。
伊月は自炊していたからもちろん料理はできるが、できるだけ水仕事には触れさせたくないというのが本音だ。
包丁で怪我をするのも心配だが火を使って火傷もさせたくないし、何より伊月の手を荒れさせたくない。
俺にできることは全て俺がやってあげたいと思ってしまうのだから、きっとユウさんも同じ気持ちだろう。
本当に俺とユウさんはよく似ている。
伊月は冷蔵庫からタルトを取り出し、真琴くんに断ってから少し緊張の面持ちでタルトの箱を開けた。
その表情にこういったケーキの箱を開けたことがあまりないのだということが伝わってくる。
伊月にいろんなものを少しずつ食べさせてあげたいからケーキを買うならカットケーキかと思っていたが、ホールケーキの箱を開ける楽しみは格別なもののようだ。たまにはホールで買ってみるのもいいかもしれないな。
――すっっごく、美味しそう!! これ、本当に手作り? すごすぎる!!!
箱を開けた途端、伊月の興奮した声が聞こえる。
てっきりイリゼホテルで買ってきたのかと思ったが、ユウさんが作ったのか。
料理は得意だと知っていたが、甘いものがあまり得意ではないユウさんだからお菓子なんて手作りはしないと思っていた。本当に真琴くんのためならなんでもできるんだな。すごすぎる。
俺も伊月のために手の込んだお菓子を作れるようにならないとな。
悪いが、ユウさんには負けていられない。
メラメラとユウさんへの対抗心を燃やしている間に、伊月と真琴くんのお茶の時間が始まった。
ユウさん仕込みのカフェオレに舌鼓を打つ伊月。
いつもよりは少なめだが、砂糖入りのカフェオレは俺にはかなり甘そうだ。
真琴くんも伊月と同じくらいの砂糖を淹れて美味しそうに口をつける。
――いつかは優一さんみたいにブラックで飲めるようになりたいけどなかなか難しいんだよね。
――わかる! ブラックで飲んでるのってすっごく大人でかっこいいよね。
甘いカフェオレを飲みながら、俺とユウさんのことを話題にしてくれる。
しかも伊月はブラックを飲むのが大人でかっこいいといってくれた。
俺は甘いものは嫌いじゃないが、コーヒーは必ずブラックと決めている。
伊月がそれをかっこいいといってくれるなら、コーヒーをブラックで飲むのは一生変わらないだろう。
それくらい、俺は伊月の求める恋人像であり続けたいと思う。
――うちの兄さんも普段は僕と同じでミルク入れて、砂糖も少し入れることもあるんだけど、たまにブラックで飲んでる時もあって、めちゃくちゃかっこいいんだよ!
真琴くんのお兄さんの悠真さんのことはもちろん知っている。
まだきちんと面と向かって話したことはないが、確かに彼ならブラックが似合う。
真琴くんの憧れのお兄さんか。あの人なら憧れるのもよくわかるな。
そこから話は真琴くんのお兄さんたちの話に変わっていった。
近々、ユウさんと安慶名先輩と四人で食事をするらしい。
あの二人が義兄弟になると聞いた時はかなり驚いたが、親友としての期間も長いし、気のおけない間柄だからある意味良かったと思う。
食事をした日はみんなで泊まるのかという伊月の質問に、真琴くんはすぐに否定した。
仲がいいと思っているから、伊月にしてみればそれは驚きなのだろうが、ユウさんと安慶名先輩の気持ちを考えればそれは絶対にないことはわかる。
お互いに最愛の人のパジャマ姿はもちろん、寝顔も寝起きの顔も見せたくないし、何より夜はたっぷり気兼ねなく愛し合いたい。
――僕も四人でお泊まりも楽しそうって思うんだけど、安慶名さんが兄さんと二人っきりで過ごしたいんだって。
真琴くんは理由をそう告げていたが、きっと安慶名先輩は悠真さんに全く逆のことを伝えているだろう。
ユウさんが真琴くんと二人っきりで過ごしたいのだ、と。
そう言われれば相手を思いやる兄弟が無理強いするわけないからな。
多分、真琴くんたちの実家に帰省する以外で四人での泊まりはこれから先もありえないだろう。
そう思っていると、真琴くんの口から驚きの言葉が出た。
――ねぇ、今度伊月くんとシンさんと一緒にお泊まりしようよ!
えっ、ユウさんも一緒に泊まり?
いや、真琴くんだけも絶対に無理だが、ユウさんも一緒に四人で泊まりなんて……
悠真さんと安慶名先輩でも無理なのに、俺と伊月と一緒なんて絶対に許可しないだろうが、
――わぁ! それ楽しそう!! 今度ここで泊まる?
――ここもいいけど、旅行に行こうよ!! みんなで観光地巡ったり、美味しいもの食べたり、最高じゃない?
――みんなで観光地巡り……美味しいもの食べて……すごい! それいい!!
すっかり盛り上がっている二人にダメだなんて言いにくいな……
――今日お迎えに来てもらった時に、二人で頼んでみよう!!
そう話した後は、北海道で雪を見てみたいとか、福岡で美味しいものを食べてみたいとか、京都にいってみたいとか、真琴くんの地元に行ってみたいとか、そんな話でひたすら盛り上がっていた。
俺はそっと映像を消し、ユウさんに連絡を入れた。
<迎えに行った時、ちょっと難しいお願い事をされそうなので覚悟しておいたほうがいいですよ>
そんなメッセージを送ると、
<なんとなく内容は察しがつくが、考えておくよ>
と返ってきた。
おそらくユウさんのことだから、こうなることは見越していたのかもしれない。
だが、ユウさんたちと四人での旅行の前にある人物との海外旅行の話が持ち上がり、俺は引率者としてもちろん同行することになったのだが、その任務は今までの調査以上に過酷なことになったのはいうまでもない。
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