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思い出の場所
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<sideローマン>
旦那さま用のダイニングルームに料理を運ぶと、旦那さまとマモルさまがピッタリと寄り添うように並んで座っていた。
食事の時間でさえも離れられないほどにマモルさまを溺愛なさっていることに驚きながらも、旦那さまにこんなにも大切なお方ができたことに喜びを隠せない。
『わぁ、このスープ。とっても美味しいです』
『マモルの口にあったようでよかった。パンと一緒に食べるともっと美味しいぞ』
旦那さまはパンを小さくちぎってマモルさまの口にお運びになる。
『んっ、ちょこっとおっきぃです。でもすっごく美味しいです』
『――っ、そうか。マモルの口は小さいのだな』
可愛らしいリスのようにもぐもぐさせながら召し上がる姿に思わず見惚れてしまう。
『ひぃっ!』
旦那さまからの射抜くような視線に身の危険を感じ、急いでダイニングルームから出た。
私がマモルさまの可愛らしい表情を目にしただけであの嫉妬のなさりかた……。
今までの旦那さまからは全く想像もつかない。
本当に愛するお方ができるとこんなにも変わってしまうものなのだと驚くことしかできない。
改めて使用人たちを集めて、マモルさまには余計な視線を向けないように言い含めておかなければ。
そう徹底しておかないと余計な火種を生みかねない。
このお屋敷の平穏は私がしっかり守らなければ。
私は再度自分に気合を入れ直した。
食後の紅茶をお持ちすると、
『あの、お料理どれもものすごく美味しかったです。特にお肉は柔らかくてほっぺたが落ちちゃいそうでした。美味しい夕食をありがとうございます』
と笑顔でお礼を仰ってくださった。
『お口にあいまして嬉しゅうございます。マモルさまからの嬉しいお言葉は必ずシェフにも申し伝えておきます。きっと喜ぶことでしょう』
『マモルが喜んでくれるから、我が家のシェフの腕も今以上に上がりそうだな。私も褒めていたと伝えてくれ』
『はい。旦那さまとマモルさまからのお言葉は必ず申し伝えておきます』
私がそういうとマモルさまは旦那さまと視線を合わせて嬉しそうな表情をお見せになった。
『ローマン、風呂の準備は整っているか?』
『はい。マモルさまのお着替えも全て整っております。マモルさまのシャンプーなどは専用のものをご用意しておりますので、そちらをご利用ください』
『マモルの専用のシャンプー?』
『はい。先ごろワクラさまよりお届け物がございまして、その中にマモルさま用のシャンプー、トリートメント、ボディーソープ、石鹸などが入っておりましたので、それをご準備させていただきました』
『アキラ、さすがだな……危うくマモルの肌を傷つけてしまうところだった。あとでお礼の連絡を入れておこう』
旦那さまは感心なさったようにそう仰ると、
『じゃあ、マモル。風呂に入ろうか』
とお声がけされ、そのままご一緒にお部屋に戻られた。
きっと今宵は長い夜になりそうだ。
いつ呼ばれてもいいように待機しておかなければ。
今までに拝見したことのない幸せそうな表情の旦那さまをお見送りしながら、そう自分に言い聞かせていた。
<sideセオドア>
楽しい食事を終え、次は風呂だ。
もちろんマモルと一緒に入るつもりだ。
ローマンを呼び風呂の準備が整っているかを確認すると、ローマンはマモル専用のシャンプー類も準備しているのだという。
そういえばマモルは肌が弱く、アキラが吟味したものでないと使うことができないと言っていた。
だから、可愛い石鹸を見つけても使えないのだと。
マモルの肌に触れるものはしっかりと選ばなければと思っていたのに、マモルと一緒に暮らせるようになったことが嬉しくて頭から抜け落ちてしまっていた。
聞けばこのシャンプー類はアキラが我が家に届けさせたのだという。
何も持たずに我が家にやってきたことに気づいて、急いで届けてくれたのだ。
本当に頭がさがる。
マモルのことについてはこれからはしっかりと忘れないようにしなければな。
あとでアキラにお礼とそれ以外に必要なものも尋ねておこう。
私が知らないマモルのことをアキラが知っているという事実はどうしようもないが、これから長い年月を一緒に過ごすためには大切な知識だ。
ここは嫉妬などせずしっかりと聞いておかなければな。
そう自分に言い聞かせながら、私はマモルを自室の風呂に連れて行った。
『わぁ、脱衣所だけでこんなに広いんですか! すごいですね!!』
『そんなに喜んでもらえると嬉しいよ。日本人は風呂好きだと聞いていたが本当なのだな』
『はい。お風呂大好きです。イギリスの方はあまり湯船には浸からないんですよね?』
『確かにそう言われているが、我が家にはきちんと大きな湯船もあるぞ。子どもの頃に家族で日本に旅行に行った際に、私も父も日本の風呂を気に入って、この家の風呂も改装したんだ』
『えっ、そうなんですね。ふふっ。そんなにも気に入ってくださったなんて嬉しいですね』
『いつかもう一度日本で温泉というものに入りたいんだ。マモル、一緒に行ってくれるか?』
『はい! もちろんです! 両親と最後に旅行に行ったのも温泉地だったんですよ。そこの旅館がすごく素敵だったのでセオドアと一緒に行けたら嬉しいです』
『ご両親との思い出の宿に私を連れて行ってくれるのか?』
『はい。だって、セオドアは僕の大切な人ですから――わっ!!』
笑顔でそう言ってくれるマモルの姿に私は嬉しくなって思わず抱きしめてしまった。
旦那さま用のダイニングルームに料理を運ぶと、旦那さまとマモルさまがピッタリと寄り添うように並んで座っていた。
食事の時間でさえも離れられないほどにマモルさまを溺愛なさっていることに驚きながらも、旦那さまにこんなにも大切なお方ができたことに喜びを隠せない。
『わぁ、このスープ。とっても美味しいです』
『マモルの口にあったようでよかった。パンと一緒に食べるともっと美味しいぞ』
旦那さまはパンを小さくちぎってマモルさまの口にお運びになる。
『んっ、ちょこっとおっきぃです。でもすっごく美味しいです』
『――っ、そうか。マモルの口は小さいのだな』
可愛らしいリスのようにもぐもぐさせながら召し上がる姿に思わず見惚れてしまう。
『ひぃっ!』
旦那さまからの射抜くような視線に身の危険を感じ、急いでダイニングルームから出た。
私がマモルさまの可愛らしい表情を目にしただけであの嫉妬のなさりかた……。
今までの旦那さまからは全く想像もつかない。
本当に愛するお方ができるとこんなにも変わってしまうものなのだと驚くことしかできない。
改めて使用人たちを集めて、マモルさまには余計な視線を向けないように言い含めておかなければ。
そう徹底しておかないと余計な火種を生みかねない。
このお屋敷の平穏は私がしっかり守らなければ。
私は再度自分に気合を入れ直した。
食後の紅茶をお持ちすると、
『あの、お料理どれもものすごく美味しかったです。特にお肉は柔らかくてほっぺたが落ちちゃいそうでした。美味しい夕食をありがとうございます』
と笑顔でお礼を仰ってくださった。
『お口にあいまして嬉しゅうございます。マモルさまからの嬉しいお言葉は必ずシェフにも申し伝えておきます。きっと喜ぶことでしょう』
『マモルが喜んでくれるから、我が家のシェフの腕も今以上に上がりそうだな。私も褒めていたと伝えてくれ』
『はい。旦那さまとマモルさまからのお言葉は必ず申し伝えておきます』
私がそういうとマモルさまは旦那さまと視線を合わせて嬉しそうな表情をお見せになった。
『ローマン、風呂の準備は整っているか?』
『はい。マモルさまのお着替えも全て整っております。マモルさまのシャンプーなどは専用のものをご用意しておりますので、そちらをご利用ください』
『マモルの専用のシャンプー?』
『はい。先ごろワクラさまよりお届け物がございまして、その中にマモルさま用のシャンプー、トリートメント、ボディーソープ、石鹸などが入っておりましたので、それをご準備させていただきました』
『アキラ、さすがだな……危うくマモルの肌を傷つけてしまうところだった。あとでお礼の連絡を入れておこう』
旦那さまは感心なさったようにそう仰ると、
『じゃあ、マモル。風呂に入ろうか』
とお声がけされ、そのままご一緒にお部屋に戻られた。
きっと今宵は長い夜になりそうだ。
いつ呼ばれてもいいように待機しておかなければ。
今までに拝見したことのない幸せそうな表情の旦那さまをお見送りしながら、そう自分に言い聞かせていた。
<sideセオドア>
楽しい食事を終え、次は風呂だ。
もちろんマモルと一緒に入るつもりだ。
ローマンを呼び風呂の準備が整っているかを確認すると、ローマンはマモル専用のシャンプー類も準備しているのだという。
そういえばマモルは肌が弱く、アキラが吟味したものでないと使うことができないと言っていた。
だから、可愛い石鹸を見つけても使えないのだと。
マモルの肌に触れるものはしっかりと選ばなければと思っていたのに、マモルと一緒に暮らせるようになったことが嬉しくて頭から抜け落ちてしまっていた。
聞けばこのシャンプー類はアキラが我が家に届けさせたのだという。
何も持たずに我が家にやってきたことに気づいて、急いで届けてくれたのだ。
本当に頭がさがる。
マモルのことについてはこれからはしっかりと忘れないようにしなければな。
あとでアキラにお礼とそれ以外に必要なものも尋ねておこう。
私が知らないマモルのことをアキラが知っているという事実はどうしようもないが、これから長い年月を一緒に過ごすためには大切な知識だ。
ここは嫉妬などせずしっかりと聞いておかなければな。
そう自分に言い聞かせながら、私はマモルを自室の風呂に連れて行った。
『わぁ、脱衣所だけでこんなに広いんですか! すごいですね!!』
『そんなに喜んでもらえると嬉しいよ。日本人は風呂好きだと聞いていたが本当なのだな』
『はい。お風呂大好きです。イギリスの方はあまり湯船には浸からないんですよね?』
『確かにそう言われているが、我が家にはきちんと大きな湯船もあるぞ。子どもの頃に家族で日本に旅行に行った際に、私も父も日本の風呂を気に入って、この家の風呂も改装したんだ』
『えっ、そうなんですね。ふふっ。そんなにも気に入ってくださったなんて嬉しいですね』
『いつかもう一度日本で温泉というものに入りたいんだ。マモル、一緒に行ってくれるか?』
『はい! もちろんです! 両親と最後に旅行に行ったのも温泉地だったんですよ。そこの旅館がすごく素敵だったのでセオドアと一緒に行けたら嬉しいです』
『ご両親との思い出の宿に私を連れて行ってくれるのか?』
『はい。だって、セオドアは僕の大切な人ですから――わっ!!』
笑顔でそう言ってくれるマモルの姿に私は嬉しくなって思わず抱きしめてしまった。
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