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これって現実?
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「ぐはっ――っ!!」
苦しげな声が微かに耳に入ってくる中、大きくて逞しい身体に抱きしめられた僕の頭上から
「もう大丈夫だよ」
と安心する声が耳に飛び込んでくる。
えっ?
この声って……。
そっと見上げると、そこには優一さんの姿があった。
なんでここに優一さんが?
「あ、あの……」
「怖い思いをさせて悪かった」
「いえ、そ、んな……あの、でも、なんでここに……?」
「詳しいことは後で。まずはこいつをなんとかしてからだ」
混乱する僕を抱きしめたまま優一さんが鋭い視線を向けた先には、さっきまで僕を押し込もうとしていた車に寄りかかって苦しそうに踠く店長と、その店長を取り押さえている警察官二人の姿があった。
「おいっ、離せよ! 急に何しやがんだ! 俺は何もやってないだろうがっ!」
「うるさい! 静かにしろっ!」
取り押さえている警察官の人からそう怒鳴られた店長は、苦しそうに踠きながら優一さんに目を向けた。
「なっ、 お前――っ、弁護士のくせにこんなこと、していいと思ってんのか? 傷害罪で訴えてやるからな!」
「傷害罪、ね……。あなた、今の状況わかってますか? 彼への暴行罪で現行犯逮捕ですよ」
僕に向ける声とは全く違う冷ややかな声に僕の方がゾクッとしてしまう。だけど僕を抱きしめてくれる優一さんの温もりは安心感しか感じない。
「た、逮捕? はぁっ? ふざけんなよ! こんなことで逮捕なんてできるわけないだろうが! 離せよっ!」
「暴れると公務執行妨害もプラスされますよ。言っておきますが、あなたが彼にした内容は全て録画済みです」
「録画? 勝手に人のこと撮るなんてそれこそプライバシーの侵害だろうがっ!」
「犯罪行為にプライバシーの侵害も何もないでしょうが。それに……ちょっと失礼」
そっと僕に目をやると、優一さんは僕の上着の内ポケットにスッと手を入れそこから何かを取り出した。
えっ? 何これ? 僕、こんなの入れてたっけ?
驚く僕を横目に優一さんは取り出したものを店長と警察官さんに見せながらボタンを押した。
――お前は俺の下で従順に働いてればいいんだよ。ほら、さっさと戻ってきて働けっ!
どうやらボイスレコーダーだったらしいそれからさっきの店長の言葉が響き渡り、店長の顔色がどんどん青褪めていく。
「彼への強要罪も追加されそうですね。それに……あなたが掴んだ指の跡がくっきりと残っている彼のこの腕、これこそ傷害罪ですね。医師の診断書も提出しますので逃げられませんよ」
僕の腕を持ち上げてはっきりと言い切ると、店長はもうすっかり力が抜けてしまったようで膝から崩れ落ちた。
「ほら、しっかり立てっ!」
結局店長は二人の警察官さんに引き摺られるように、パトカーに乗せられていった。
僕は目の前で起こる出来事がドラマや映画のように感じられて小さくなっていくパトカーをただ茫然と見つめていた。
「真琴くん、大丈夫?」
その声でハッと我に返り、慌てて優一さんを見ると、さっきまでの厳しい顔が嘘のように僕を優しく見つめていた。
「あ、はい。だ、いじょう、ぶです……」
「全然大丈夫じゃなさそうだな。このまますぐに部屋でゆっくりさせたいんだけど、証拠が消える前に病院で診察を受けさせたいんだ。私がついていくから、一緒に病院に行ってくれないか?」
大した怪我でもないし全然平気だけど、こんなにも心配してくれている優一さんにこれ以上心配かけたくない。
「はい。わかりました」
「よかった」
僕の言葉に優一さんは安堵のため息を漏らした。
「じゃあ、すぐに行こう!」
「わわっ!」
いきなり優一さんに抱きかかえられて驚いて優一さんの首にしがみつくと
「そうそう、そのまましがみついていて」
僕はまるでお姫さまのように抱っこされながら、少し離れた場所に停めていた優一さんの車の助手席にそっと乗せられた。
カチャっとシートベルトを閉められて、優一さんが運転席に乗り込んでくる。
「知り合いの病院がすぐ近くにあるからそこに連れていくよ」
胸ポケットからスマホを取り出しどこかへメールを送っているようだった。
おそらくその病院に連絡してくれたんだろう。
「じゃあ、行くよ」
すぐ近くと言っていた通り、五分ほどで車は病院に到着した。
駐車場に車を停めると、優一さんは病院ではなくその病院に隣接している大きな家の方に入って行った。
「あの、ここって……?」
「今日病院は休診日だからね。こっちで診てもらおうと思って。さっきメール送っておいたから大丈夫だよ」
そう言いながら入っていく家は優一さんの事務所のお屋敷と負けず劣らずの大きなお家で驚いてしまう。
そりゃあこんなに大きなお家を持っている知り合いさんがいっぱいいれば、あの大きな家も大したことないなんて言えるんだな……。
優一さんって凄すぎる。
苦しげな声が微かに耳に入ってくる中、大きくて逞しい身体に抱きしめられた僕の頭上から
「もう大丈夫だよ」
と安心する声が耳に飛び込んでくる。
えっ?
この声って……。
そっと見上げると、そこには優一さんの姿があった。
なんでここに優一さんが?
「あ、あの……」
「怖い思いをさせて悪かった」
「いえ、そ、んな……あの、でも、なんでここに……?」
「詳しいことは後で。まずはこいつをなんとかしてからだ」
混乱する僕を抱きしめたまま優一さんが鋭い視線を向けた先には、さっきまで僕を押し込もうとしていた車に寄りかかって苦しそうに踠く店長と、その店長を取り押さえている警察官二人の姿があった。
「おいっ、離せよ! 急に何しやがんだ! 俺は何もやってないだろうがっ!」
「うるさい! 静かにしろっ!」
取り押さえている警察官の人からそう怒鳴られた店長は、苦しそうに踠きながら優一さんに目を向けた。
「なっ、 お前――っ、弁護士のくせにこんなこと、していいと思ってんのか? 傷害罪で訴えてやるからな!」
「傷害罪、ね……。あなた、今の状況わかってますか? 彼への暴行罪で現行犯逮捕ですよ」
僕に向ける声とは全く違う冷ややかな声に僕の方がゾクッとしてしまう。だけど僕を抱きしめてくれる優一さんの温もりは安心感しか感じない。
「た、逮捕? はぁっ? ふざけんなよ! こんなことで逮捕なんてできるわけないだろうが! 離せよっ!」
「暴れると公務執行妨害もプラスされますよ。言っておきますが、あなたが彼にした内容は全て録画済みです」
「録画? 勝手に人のこと撮るなんてそれこそプライバシーの侵害だろうがっ!」
「犯罪行為にプライバシーの侵害も何もないでしょうが。それに……ちょっと失礼」
そっと僕に目をやると、優一さんは僕の上着の内ポケットにスッと手を入れそこから何かを取り出した。
えっ? 何これ? 僕、こんなの入れてたっけ?
驚く僕を横目に優一さんは取り出したものを店長と警察官さんに見せながらボタンを押した。
――お前は俺の下で従順に働いてればいいんだよ。ほら、さっさと戻ってきて働けっ!
どうやらボイスレコーダーだったらしいそれからさっきの店長の言葉が響き渡り、店長の顔色がどんどん青褪めていく。
「彼への強要罪も追加されそうですね。それに……あなたが掴んだ指の跡がくっきりと残っている彼のこの腕、これこそ傷害罪ですね。医師の診断書も提出しますので逃げられませんよ」
僕の腕を持ち上げてはっきりと言い切ると、店長はもうすっかり力が抜けてしまったようで膝から崩れ落ちた。
「ほら、しっかり立てっ!」
結局店長は二人の警察官さんに引き摺られるように、パトカーに乗せられていった。
僕は目の前で起こる出来事がドラマや映画のように感じられて小さくなっていくパトカーをただ茫然と見つめていた。
「真琴くん、大丈夫?」
その声でハッと我に返り、慌てて優一さんを見ると、さっきまでの厳しい顔が嘘のように僕を優しく見つめていた。
「あ、はい。だ、いじょう、ぶです……」
「全然大丈夫じゃなさそうだな。このまますぐに部屋でゆっくりさせたいんだけど、証拠が消える前に病院で診察を受けさせたいんだ。私がついていくから、一緒に病院に行ってくれないか?」
大した怪我でもないし全然平気だけど、こんなにも心配してくれている優一さんにこれ以上心配かけたくない。
「はい。わかりました」
「よかった」
僕の言葉に優一さんは安堵のため息を漏らした。
「じゃあ、すぐに行こう!」
「わわっ!」
いきなり優一さんに抱きかかえられて驚いて優一さんの首にしがみつくと
「そうそう、そのまましがみついていて」
僕はまるでお姫さまのように抱っこされながら、少し離れた場所に停めていた優一さんの車の助手席にそっと乗せられた。
カチャっとシートベルトを閉められて、優一さんが運転席に乗り込んでくる。
「知り合いの病院がすぐ近くにあるからそこに連れていくよ」
胸ポケットからスマホを取り出しどこかへメールを送っているようだった。
おそらくその病院に連絡してくれたんだろう。
「じゃあ、行くよ」
すぐ近くと言っていた通り、五分ほどで車は病院に到着した。
駐車場に車を停めると、優一さんは病院ではなくその病院に隣接している大きな家の方に入って行った。
「あの、ここって……?」
「今日病院は休診日だからね。こっちで診てもらおうと思って。さっきメール送っておいたから大丈夫だよ」
そう言いながら入っていく家は優一さんの事務所のお屋敷と負けず劣らずの大きなお家で驚いてしまう。
そりゃあこんなに大きなお家を持っている知り合いさんがいっぱいいれば、あの大きな家も大したことないなんて言えるんだな……。
優一さんって凄すぎる。
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