溺愛弁護士の裏の顔 〜僕はあなたを信じます

波木真帆

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一緒にいたい

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「真琴……このまま、ここにずっといて欲しい」

「えっ? それって、どういう意味ですか?」

「真琴には遠回しなことを言って勘違いはさせたくないからはっきり言うよ。ここで一緒に暮らして欲しいんだ。怪我しているからとかそういうことじゃなくて、もうほんの少しの間も真琴と離れていたくないし、それに何より……あの部屋に帰したくないんだ」

「あの部屋に? どうして、ですか?」

「あの男に家を知られているだろう? 今はまだ警察にいるから大丈夫だとは思うが、あいつの仲間がもしかして襲ってくるかもしれない。私は真琴をもう二度と危険な目に遭わせたくないんだ」

ああ、そうか。
いろんなことがありすぎてすっかり頭から消え去っていた……というか、あまりにも嫌な思い出すぎて記憶から抹消してしまいたかったのかもしれない。

一気に恐怖が甦ってきて、身体が震える。
やっぱり僕、まだ怖かったんだ。

「ごめん、怖がらせるつもりはなかったんだが……」

そう言って抱きしめながら、優しく背中を撫でてくれる。
優一さんの手の温もりに震えがおさまっていく。

「優一さん……ありがとうございます。僕……優一さんがいなかったら今頃あの部屋で恐怖に怯えていたかもしれません。これからずっとあの部屋で怯えながら暮らすのは怖いです。でも……」

「でも?」

「あの部屋は兄さんの会社の社長さんがご厚意で貸してくださった部屋なので……すぐにそこを出るのは難しいかもしれないです。それに今度、兄さんが出張で上京してくるんですけど、出張の時は毎回あの部屋に一緒に泊まることになっているので、もしあの部屋に泊まれないとなると、今から部屋も探さないといけないだろうし……兄さんを困らせたくないんです」

「真琴は優しいな」

「そんなこと……」

「いや、優しいよ。あんなに怖い思いをしたのに、自分のことより周りのことばかり心配している。それは素晴らしいことだと思うけれど、今は怪我もしているんだ。もう少し自分のことを優先して考えてもいいんじゃないかな?」

優一さんの言葉は正しい。
だけど、僕はやっぱり兄さんたちを困らせたくない……。

でも、一人であの部屋に住むのは怖い……。
どうしたらいいんだろう。

「真琴……このままあの部屋に住み続けたとして……もし、お兄さんが奴に襲われて怪我でもしてしまったらどうするんだ?」

「――っ、そんな――っ」

「ごめん、酷いことを言ったな。でも、それくらい心配なんだ。ああいった暴力に走る人間は相手が真琴かどうかなんて確認もせずに感情で襲ってくることがある。私は今までそういった人間を何百人も見てきているんだ。だから、本当に心配なんだよ。ここで私が真琴を守るという事は、同時にお兄さんを危険から守るということにならないか?」

「あ――っ」

確かにそうだ。
もし、僕のせいで兄さんが怪我をして……いや、もしかしたら怪我以上のことになったりしたら……僕はきっと自分を許せない。
一生悔やんでも悔やみきれない罪を背負って生きていくことになるんだ。

そんなことにならないように優一さんは言ってくれているんだな……。

今まですごく良くしてくれた倉橋さんには申し訳ないけれど、兄さんを守るためになら、僕の答えはただひとつ。

「あの、僕……ここでお世話になりたいです」

「そうか、決めてくれるか」

「はい。ご迷惑かけちゃうかもしれないですけど……でも、僕……優一さんと一緒にいたいです」

「ああっ、真琴っ!!」

優一さんにギュッと抱きしめられて、そんなにも心配してくれていたのだなと申し訳ない以上に嬉しさが込み上げる。

「じゃあ、とりあえずお兄さんに部屋を出ることにしたと話をしようか?」

「えっ、あ、はい。そう、ですね……あ、でも……部屋を出る理由をどうやって伝えたらいいか……」

「そうだな……。なら、私がお兄さんに直接連絡しようか」

「えっ、でも……」

「大丈夫、悪いようにはしないから」

にっこりと微笑む優一さんに一瞬ドキっとしたけれど、優一さんならうまく話してくれるだろう……そう思って、お願いすることにした。

僕の番号からの方が安心するだろうからと言うのでスマホを渡し、

「後で真琴に変わるからね」

と言いながら、電話をかけ始めた。

――恐れ入ります、私……真琴さんとお付き合いをさせていただいております成瀬と申しますが――

優一さんの第一声にドキドキして、思わず布団を被ってしまった。

優一さん……僕とお付き合いしてるってちゃんと話してくれた……。
それだけで胸が熱くなってくる。

わぁー、わぁーっ!
今度兄さんに会った時、どんな顔をすればいいんだろう。

布団の中でバタバタと身悶えていると、

「真琴、真琴」

と優一さんの声が聞こえた。

慌てて布団から顔を出すと、

「お兄さんだよ」

とスマホを差し出された。

ええっ、なんて話したらいいんだろう……。

ドキドキしながら受け取り、恐る恐る耳に当てながら

――もしもし、兄さん?

そう声をかけると、至って冷静な兄さんの声が聞こえた。
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