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聖域
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「わぁーっ、真琴くんがいるっ!! 足、治ったんだね!」
あれから一週間、優一さんの自宅でゆっくりと休ませてもらった。
五日目くらいから足の痛みはほとんど無くなっていたけれど、無理したら捻挫が癖になるからと言われて大人しく部屋で過ごしていた。
その間に、住んでいたマンションから荷物が全て運び出されて、優一さんの自宅の余っている部屋に全て入れてもらうことができた。
そして、僕はと言えば、一日も早くパラリーガルとして役に立てる日が来るようにと慣れない法律用語と格闘する毎日。
おかげでこの一週間、退屈だと思う暇もなかった。
バイト予定から一週間遅れて、事務所に顔を出すと翼さんが優しく迎え入れてくれた。
「おかげさまでもうすっかり。今日から頑張ります!」
「頼もしいね。期待してるから」
にこやかな笑顔を見せてくれる翼さんにホッとした。
「翼くん。私と氷室は午前中外に出るから、真琴を頼むよ」
「はい。任せてください」
優一さんは翼さんに声をかけると、僕のそばに来てくれて
「危ないから外に出ないようにね」
と頭を優しく撫でてくれた。
「成瀬。外出る前にその甘ったるい顔なんとかしとけよ」
翼さんと寄り添いながら優一さんに呆れた表情を見せる氷室さんに
「お前、人のこと言えないだろう」
と言っているやりとりが楽しくて僕は笑ってしまった。
「じゃあ、お昼には帰ってくるから」
氷室さんと共に出かけて言った優一さんを見送ると、急に事務所の中が静まり返った気がする。ここで翼さんと二人……。
なんだか少しドキドキするなぁと思っていると、翼さんがススっと僕の横に近づいてきた。
「ねぇ、真琴くん……」
翼さんの真剣な表情に思わずドキッとする。
「は、はい。なんですか?」
「成瀬さんとお付き合い始めたってほんと??」
なぜか満面の笑みで尋ねてきた。
こんなストレートに聞かれたことに驚きながらも、優一さんからは別に隠すことじゃないから氷室さんには話しておいたからと言われているし、氷室さんが知っているなら恋人である翼さんが知ってるのも当然だ。
「は、はい。ほんとです。あの、驚かせちゃいましたか?」
「うん。話聞いて早っ! と思ったけど、事務所に連れてきた時の感じから遅かれ早かれそうなるだろうなと思ってたから付き合うことに驚きはしなかったよ」
「事務所に来た時から?」
あの時はまだ出会ったばかりでそんな感じでもなかったと思ってたけどな。
「わかるよ。だって、成瀬さんがあんな優しい表情見せてるのも初めてだったし、いつも以上にすごく紳士的だったし。誠一さんも驚いていたよ。成瀬も本当に好きな人の前なら変わるやつだったんだなって。知り合って十年以上経つけど初めて見たって言ってた」
翼さんの言葉がとても嬉しい。
氷室さんも翼さんも知らない優一さんを僕は知ってるんだ……。
なんとも言えない喜びで胸がいっぱいになる。
「ねぇ、成瀬さんの自宅ってどんな感じなの?」
「えっ? どんな感じって?」
「成瀬さん、絶対に上の自宅には入らせてくれないんだよ。僕はもちろん、誠一さんも入ったことないって言ってた。成瀬さん、かなりの秘密主義者らしいからね……きっとこの事務所で見せている顔は成瀬さんのほんの一部なんじゃないかって思ってるんだ」
そっか……本当だったんだ。
別に疑っていたわけじゃないけど、実際に話を聞いてホッとする自分がいる。
――このプライベートな空間は私の聖域だな。ここで公私をリセットする。
優一さんがそう言っていたことを思い出す。秘密主義……職業柄もあるんだろうな。その聖域に足を踏み入れることを許されているなんて……僕は本当に幸せだ。
「優一さんの部屋……すごくホッとしますよ。氷室さんの自宅もそうなんじゃないですか?」
僕の言葉に翼さんの顔がほんのり赤くなった。
きっと氷室さんの部屋も翼さんだけが入れる聖域なんだろう。
あれから一週間、優一さんの自宅でゆっくりと休ませてもらった。
五日目くらいから足の痛みはほとんど無くなっていたけれど、無理したら捻挫が癖になるからと言われて大人しく部屋で過ごしていた。
その間に、住んでいたマンションから荷物が全て運び出されて、優一さんの自宅の余っている部屋に全て入れてもらうことができた。
そして、僕はと言えば、一日も早くパラリーガルとして役に立てる日が来るようにと慣れない法律用語と格闘する毎日。
おかげでこの一週間、退屈だと思う暇もなかった。
バイト予定から一週間遅れて、事務所に顔を出すと翼さんが優しく迎え入れてくれた。
「おかげさまでもうすっかり。今日から頑張ります!」
「頼もしいね。期待してるから」
にこやかな笑顔を見せてくれる翼さんにホッとした。
「翼くん。私と氷室は午前中外に出るから、真琴を頼むよ」
「はい。任せてください」
優一さんは翼さんに声をかけると、僕のそばに来てくれて
「危ないから外に出ないようにね」
と頭を優しく撫でてくれた。
「成瀬。外出る前にその甘ったるい顔なんとかしとけよ」
翼さんと寄り添いながら優一さんに呆れた表情を見せる氷室さんに
「お前、人のこと言えないだろう」
と言っているやりとりが楽しくて僕は笑ってしまった。
「じゃあ、お昼には帰ってくるから」
氷室さんと共に出かけて言った優一さんを見送ると、急に事務所の中が静まり返った気がする。ここで翼さんと二人……。
なんだか少しドキドキするなぁと思っていると、翼さんがススっと僕の横に近づいてきた。
「ねぇ、真琴くん……」
翼さんの真剣な表情に思わずドキッとする。
「は、はい。なんですか?」
「成瀬さんとお付き合い始めたってほんと??」
なぜか満面の笑みで尋ねてきた。
こんなストレートに聞かれたことに驚きながらも、優一さんからは別に隠すことじゃないから氷室さんには話しておいたからと言われているし、氷室さんが知っているなら恋人である翼さんが知ってるのも当然だ。
「は、はい。ほんとです。あの、驚かせちゃいましたか?」
「うん。話聞いて早っ! と思ったけど、事務所に連れてきた時の感じから遅かれ早かれそうなるだろうなと思ってたから付き合うことに驚きはしなかったよ」
「事務所に来た時から?」
あの時はまだ出会ったばかりでそんな感じでもなかったと思ってたけどな。
「わかるよ。だって、成瀬さんがあんな優しい表情見せてるのも初めてだったし、いつも以上にすごく紳士的だったし。誠一さんも驚いていたよ。成瀬も本当に好きな人の前なら変わるやつだったんだなって。知り合って十年以上経つけど初めて見たって言ってた」
翼さんの言葉がとても嬉しい。
氷室さんも翼さんも知らない優一さんを僕は知ってるんだ……。
なんとも言えない喜びで胸がいっぱいになる。
「ねぇ、成瀬さんの自宅ってどんな感じなの?」
「えっ? どんな感じって?」
「成瀬さん、絶対に上の自宅には入らせてくれないんだよ。僕はもちろん、誠一さんも入ったことないって言ってた。成瀬さん、かなりの秘密主義者らしいからね……きっとこの事務所で見せている顔は成瀬さんのほんの一部なんじゃないかって思ってるんだ」
そっか……本当だったんだ。
別に疑っていたわけじゃないけど、実際に話を聞いてホッとする自分がいる。
――このプライベートな空間は私の聖域だな。ここで公私をリセットする。
優一さんがそう言っていたことを思い出す。秘密主義……職業柄もあるんだろうな。その聖域に足を踏み入れることを許されているなんて……僕は本当に幸せだ。
「優一さんの部屋……すごくホッとしますよ。氷室さんの自宅もそうなんじゃないですか?」
僕の言葉に翼さんの顔がほんのり赤くなった。
きっと氷室さんの部屋も翼さんだけが入れる聖域なんだろう。
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