13 / 79
言葉にできない美しさ
しおりを挟む
「そろそろいい時間だ。無人島に渡りましょう」
倉橋さんに案内されながら社長室を出ると、
「砂川、一緒についてきてくれ」
と悠真を呼び出した。
仕事をしていた悠真はその手をすぐに止め、私たちの元へと走り寄ってきた。
「ゆ……砂川さんも一緒に行かれるのですか?」
「はい。人手は多い方がいいんですよ」
にっこりと微笑まれたらそれ以上尋ねるのも憚られて、私たちは3人で倉橋さんの車に乗り込んだ。
当然といえばそうなのかもしれないが、運転する倉橋さんの助手席に悠真が座っているのがなんとなく解せない。
本当は私の隣に座って欲しいのに。
無人島へ渡るには集落の奥にある倉橋さんが作ったという桟橋から船で行くらしく、私たちが西表にくる前に既に船の準備はしておいてくれたようだ。
「昨夜はせっかくの一人旅をご満喫のところ、突然相部屋をお願いしてしまって申し訳ありませんでした」
突然、倉橋さんから昨夜の詫びを言われて思わずドキッとしてしまったのは
――もし、安慶名さんが彼とそういうことになるのなら、それもまた運命ですから……。
と言われていたことを思い出したからだ。
偶然とはいえ、倉橋さんのことだ。
もしかしたら彼はこうなることを予測していたのではという気にさせられる。
それくらい倉橋さんには何か普通では考えられないような力を感じるのだ。
「いいえ、砂川さんにはいろいろと楽しいお話も聞かせていただいて1人で過ごすよりもずっと楽しい時間を過ごせました。かえって砂川さんにはご迷惑をかけてしまったかもしれません」
「私は迷惑など……。私もいつもは1人で滞在するので、お話し相手になってくださってすごく楽しかったです」
悠真は私が『砂川さん』と呼んだことを少し寂しそうにしていたが、悠真も会社モードに切り替えながらも嬉しい言葉を返してくれた。
「……それなら、よかった。心配してたんです。砂川は人見知りなところがあって、すぐには心を開かないので」
「そんなことありませんよ! 砂川さんは気遣いのできる方ですから、いろいろ考えてなさっているだけです」
倉橋さんが、悠真のことを自分がよく知っているとでも言いたげに話すのが悔しくてつい声を張り上げてしまった。
「安慶名さん……」
悠真が心配そうな声をかけてきて、ハッと我に返った。
「も、申し訳ありません」
慌てて詫びの言葉を口にすると、
「いえいえ、お気になさらず。これから一緒に働いていただく安慶名さんに大事な社員の内面をこんなにも分かっていただけているのは経営者として嬉しいことですから」
とバックミラー越しににっこりと笑って返してくれてホッとした。
そんな話をしている間に車は集落の奥にある森を抜け、明るい光の差す場所へと到着した。
「ここの海は離島の中でも群を抜いて美しいですね」
私の目の前には太陽の光に反射してキラキラとまるで宝石のように輝く海があった。
「ここは遊泳禁止ゾーンですし、泳ぎ目当ての観光客は入れませんからね。かなり貴重な場所ですよ」
そう説明しながら、倉橋さんは船体にK.Yリゾートと書かれた大きなモーターボートへと乗り込んでいく。
「さぁ、こちらへどうぞ」
倉橋さんの呼びかけに私を先に乗せようとする悠真の手を取って一緒にボートへと乗り込んだ。
私たちが乗り込んだのを確認して、
「砂川、安慶名さんを中の席に案内してくれ」
と言って、倉橋さんは1人操縦席へと向かった。
「伊織さん、こちらです」
悠真に名を呼ばれたのにホッとしながら、私は悠真に案内された席へと腰を下ろした。
コバルトブルーの海を進みながら、船は10分ほどで小さな島に到着した。
小さいと言ってもそこそこの大きさがある。
無人島はその場所や大きさによって価格もピンキリだが、この大きさとリゾート的な価値を考えれば、億に届くかどうかといったところだろうか。
設備投資や税金等を考えても決して安くない買い物だが、あの虹色の湖があるこの島は観光客誘致に事欠くことはないだろう。
観光ツアー会社を営んでいる彼にとってはかなり素晴らしい島を購入できたといえる。
こういう点においても彼は良いものを捕まえる力に長けているのだろうな。
船がゆっくりと船着場に到着し、安全を確認するためにまず倉橋さんが島に下りた。
続けて私が先に船を降りたのは悠真を安全に下ろすためだ。
私は島へ足をつけた後、振り向いて悠真に手を差し出した。
悠真は少し照れた様子で
「ありがとうございます」
と言いながら、しっかりと私の手を握りポスっと私の胸に飛び込んできた。
久しぶりの悠真の感触と匂いに離しがたくなる。
「あ、あの……安慶名さん?」
戸惑った悠真の声にハッと我に返り急いで悠真の身体を離し、倉橋さんの方を見やると彼は到着後の船の点検をしているようでこちらは見ていなかった。
ホッと息を吐くと、『ふふっ』と悠真から笑みが溢れる。
その笑みに誘われるように私も笑顔を浮かべた。
「安慶名さん、さぁこちらです」
案内された道は舗装もされていない獣道のような細い道。
周りの自然とも調和されたこの道はおそらく倉橋さんがこの島を買い取った後、自分で作ったものだろう。
倉橋さんほどの金があれば観光地として大々的に整備することも可能だろうが、きっとこの島に住む貴重な動物や昆虫のためにそうしないのだろう。
倉橋さんのこういうところが人として尊敬できる。
「足元滑りやすくなっていますのでお気をつけください」
そう注意しながら、倉橋さんは先へ先へと進んでいく。
さすが、慣れたものだな。
そういえばここのツアーは倉橋さんの案内だけと限定されていたな。
余計なトラブルを減らすためにもこの島のことを熟知した倉橋さんだけが関わっているというわけか。
なるほど。
だから、こんなにもスイスイと進むことができるんだな。
女性や子供のいる観光客相手なら気遣いもあるだろうが、今は男3人。
気遣いなんて必要ない。
そんな倉橋さんのスタンスも好感が持てた。
私は少し先を歩く倉橋さんの後ろを悠真の手を取りゆっくりと歩いていく。
悠真とここを一緒に歩けるとは思っていなかったから嬉しくてたまらない。
悠真も嬉しそうに手を握り返してくれるそれだけで嬉しさが倍増する気がした。
「もうすぐですよ」
倉橋さんの声で耳を澄ますと、本当だ。
海の音ではない水音がする。
パサっと最後に大きな木々から伸びた葉を抜けると、そこには大きな湖が広がっていた。
その驚くほど透明な美しい湖に胸が高鳴る思いがした。
が、それは虹色ではない。
倉橋さんもまだ時期には少し早いと言っていたし、少しは残念な気持ちもあったが虹色でなくともこの湖は素晴らしい景色を見せてくれた。
ここに悠真と一緒に来られただけで私は幸せなのだ。
そう思おう。
ところが、その時
「ほら、来ましたよ」
と倉橋さんの声が聞こえたと思ったら、
さっきまで透明だった水面にサーーっと色がついていく。
赤、オレンジ、黄色、緑……虹色どころか水の揺らぎによって色が何色にも変わっていく。
なんだろう、この神秘的な美しさは。
まさに言葉にできない美しさという言葉がぴったり当てはまる。
それほどこの光景は今まで見てきた景色の中で一番といえるほどの美しい光景だった。
「倉橋さん……これほどまでとは……」
ようやく絞り出した私の声に、倉橋さんは笑みを浮かべながら
「そうでしょう。よかった、今日安慶名さんに見せることができて……」
と言ってくれた。
隣にいる悠真に目を向けると、
「ここはいつ見ても本当に美しくて、同じ光景を見たことは一度もないんですよ」
と笑顔で教えてくれた。
「また一緒に見られたらいいね」
「はい。ぜひ」
悠真がぴったりと寄り添ってくれて私は天にも昇る心地だった。
倉橋さんに案内されながら社長室を出ると、
「砂川、一緒についてきてくれ」
と悠真を呼び出した。
仕事をしていた悠真はその手をすぐに止め、私たちの元へと走り寄ってきた。
「ゆ……砂川さんも一緒に行かれるのですか?」
「はい。人手は多い方がいいんですよ」
にっこりと微笑まれたらそれ以上尋ねるのも憚られて、私たちは3人で倉橋さんの車に乗り込んだ。
当然といえばそうなのかもしれないが、運転する倉橋さんの助手席に悠真が座っているのがなんとなく解せない。
本当は私の隣に座って欲しいのに。
無人島へ渡るには集落の奥にある倉橋さんが作ったという桟橋から船で行くらしく、私たちが西表にくる前に既に船の準備はしておいてくれたようだ。
「昨夜はせっかくの一人旅をご満喫のところ、突然相部屋をお願いしてしまって申し訳ありませんでした」
突然、倉橋さんから昨夜の詫びを言われて思わずドキッとしてしまったのは
――もし、安慶名さんが彼とそういうことになるのなら、それもまた運命ですから……。
と言われていたことを思い出したからだ。
偶然とはいえ、倉橋さんのことだ。
もしかしたら彼はこうなることを予測していたのではという気にさせられる。
それくらい倉橋さんには何か普通では考えられないような力を感じるのだ。
「いいえ、砂川さんにはいろいろと楽しいお話も聞かせていただいて1人で過ごすよりもずっと楽しい時間を過ごせました。かえって砂川さんにはご迷惑をかけてしまったかもしれません」
「私は迷惑など……。私もいつもは1人で滞在するので、お話し相手になってくださってすごく楽しかったです」
悠真は私が『砂川さん』と呼んだことを少し寂しそうにしていたが、悠真も会社モードに切り替えながらも嬉しい言葉を返してくれた。
「……それなら、よかった。心配してたんです。砂川は人見知りなところがあって、すぐには心を開かないので」
「そんなことありませんよ! 砂川さんは気遣いのできる方ですから、いろいろ考えてなさっているだけです」
倉橋さんが、悠真のことを自分がよく知っているとでも言いたげに話すのが悔しくてつい声を張り上げてしまった。
「安慶名さん……」
悠真が心配そうな声をかけてきて、ハッと我に返った。
「も、申し訳ありません」
慌てて詫びの言葉を口にすると、
「いえいえ、お気になさらず。これから一緒に働いていただく安慶名さんに大事な社員の内面をこんなにも分かっていただけているのは経営者として嬉しいことですから」
とバックミラー越しににっこりと笑って返してくれてホッとした。
そんな話をしている間に車は集落の奥にある森を抜け、明るい光の差す場所へと到着した。
「ここの海は離島の中でも群を抜いて美しいですね」
私の目の前には太陽の光に反射してキラキラとまるで宝石のように輝く海があった。
「ここは遊泳禁止ゾーンですし、泳ぎ目当ての観光客は入れませんからね。かなり貴重な場所ですよ」
そう説明しながら、倉橋さんは船体にK.Yリゾートと書かれた大きなモーターボートへと乗り込んでいく。
「さぁ、こちらへどうぞ」
倉橋さんの呼びかけに私を先に乗せようとする悠真の手を取って一緒にボートへと乗り込んだ。
私たちが乗り込んだのを確認して、
「砂川、安慶名さんを中の席に案内してくれ」
と言って、倉橋さんは1人操縦席へと向かった。
「伊織さん、こちらです」
悠真に名を呼ばれたのにホッとしながら、私は悠真に案内された席へと腰を下ろした。
コバルトブルーの海を進みながら、船は10分ほどで小さな島に到着した。
小さいと言ってもそこそこの大きさがある。
無人島はその場所や大きさによって価格もピンキリだが、この大きさとリゾート的な価値を考えれば、億に届くかどうかといったところだろうか。
設備投資や税金等を考えても決して安くない買い物だが、あの虹色の湖があるこの島は観光客誘致に事欠くことはないだろう。
観光ツアー会社を営んでいる彼にとってはかなり素晴らしい島を購入できたといえる。
こういう点においても彼は良いものを捕まえる力に長けているのだろうな。
船がゆっくりと船着場に到着し、安全を確認するためにまず倉橋さんが島に下りた。
続けて私が先に船を降りたのは悠真を安全に下ろすためだ。
私は島へ足をつけた後、振り向いて悠真に手を差し出した。
悠真は少し照れた様子で
「ありがとうございます」
と言いながら、しっかりと私の手を握りポスっと私の胸に飛び込んできた。
久しぶりの悠真の感触と匂いに離しがたくなる。
「あ、あの……安慶名さん?」
戸惑った悠真の声にハッと我に返り急いで悠真の身体を離し、倉橋さんの方を見やると彼は到着後の船の点検をしているようでこちらは見ていなかった。
ホッと息を吐くと、『ふふっ』と悠真から笑みが溢れる。
その笑みに誘われるように私も笑顔を浮かべた。
「安慶名さん、さぁこちらです」
案内された道は舗装もされていない獣道のような細い道。
周りの自然とも調和されたこの道はおそらく倉橋さんがこの島を買い取った後、自分で作ったものだろう。
倉橋さんほどの金があれば観光地として大々的に整備することも可能だろうが、きっとこの島に住む貴重な動物や昆虫のためにそうしないのだろう。
倉橋さんのこういうところが人として尊敬できる。
「足元滑りやすくなっていますのでお気をつけください」
そう注意しながら、倉橋さんは先へ先へと進んでいく。
さすが、慣れたものだな。
そういえばここのツアーは倉橋さんの案内だけと限定されていたな。
余計なトラブルを減らすためにもこの島のことを熟知した倉橋さんだけが関わっているというわけか。
なるほど。
だから、こんなにもスイスイと進むことができるんだな。
女性や子供のいる観光客相手なら気遣いもあるだろうが、今は男3人。
気遣いなんて必要ない。
そんな倉橋さんのスタンスも好感が持てた。
私は少し先を歩く倉橋さんの後ろを悠真の手を取りゆっくりと歩いていく。
悠真とここを一緒に歩けるとは思っていなかったから嬉しくてたまらない。
悠真も嬉しそうに手を握り返してくれるそれだけで嬉しさが倍増する気がした。
「もうすぐですよ」
倉橋さんの声で耳を澄ますと、本当だ。
海の音ではない水音がする。
パサっと最後に大きな木々から伸びた葉を抜けると、そこには大きな湖が広がっていた。
その驚くほど透明な美しい湖に胸が高鳴る思いがした。
が、それは虹色ではない。
倉橋さんもまだ時期には少し早いと言っていたし、少しは残念な気持ちもあったが虹色でなくともこの湖は素晴らしい景色を見せてくれた。
ここに悠真と一緒に来られただけで私は幸せなのだ。
そう思おう。
ところが、その時
「ほら、来ましたよ」
と倉橋さんの声が聞こえたと思ったら、
さっきまで透明だった水面にサーーっと色がついていく。
赤、オレンジ、黄色、緑……虹色どころか水の揺らぎによって色が何色にも変わっていく。
なんだろう、この神秘的な美しさは。
まさに言葉にできない美しさという言葉がぴったり当てはまる。
それほどこの光景は今まで見てきた景色の中で一番といえるほどの美しい光景だった。
「倉橋さん……これほどまでとは……」
ようやく絞り出した私の声に、倉橋さんは笑みを浮かべながら
「そうでしょう。よかった、今日安慶名さんに見せることができて……」
と言ってくれた。
隣にいる悠真に目を向けると、
「ここはいつ見ても本当に美しくて、同じ光景を見たことは一度もないんですよ」
と笑顔で教えてくれた。
「また一緒に見られたらいいね」
「はい。ぜひ」
悠真がぴったりと寄り添ってくれて私は天にも昇る心地だった。
242
あなたにおすすめの小説
ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる
cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。
「付き合おうって言ったのは凪だよね」
あの流れで本気だとは思わないだろおおお。
凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?
【完結済】極上アルファを嵌めた俺の話
降魔 鬼灯
BL
ピアニスト志望の悠理は子供の頃、仲の良かったアルファの東郷司にコンクールで敗北した。
両親を早くに亡くしその借金の返済が迫っている悠理にとって未成年最後のこのコンクールの賞金を得る事がラストチャンスだった。
しかし、司に敗北した悠理ははオメガ専用の娼館にいくより他なくなってしまう。
コンサート入賞者を招いたパーティーで司に想い人がいることを知った悠理は地味な自分がオメガだとバレていない事を利用して司を嵌めて慰謝料を奪おうと計画するが……。
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます
なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。
そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。
「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」
脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……!
高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!?
借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。
冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!?
短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
【bl】砕かれた誇り
perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。
「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」
「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」
「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」
彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。
「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」
「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」
---
いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。
私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、
一部に翻訳ソフトを使用しています。
もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、
本当にありがたく思います。
結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした
紫
BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。
実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。
オメガバースでオメガの立場が低い世界
こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです
強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です
主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です
倫理観もちょっと薄いです
というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります
※この主人公は受けです
借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる
水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる