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番外編
楽しい夜 <前編>
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祐悟がロレーヌ総帥にプレゼントしたほろ酔い状態になる薬。
その薬を試して感想を聞かせて欲しいと持ちかけられた伊織視点のお話。
すでに悠真と伊織は西表島の新居に移り住み、甘い新婚生活を過ごしています。
楽しんでいただけると嬉しいです。
* * *
<side伊織>
美味しいステーキ肉をもらったからと、悠真と過ごす西表の自宅に倉橋さんが届けてくれた。
もちろん倉橋さんのいるところ、藤乃くんありというわけで、二人は一緒に我が家にやってきた。
せっかくだから一緒に食事をと誘い、夕食を共にすることになった。
料理人として働いていることもあって、自宅のキッチンにはかなりこだわって作ってもらった。
設計士の方とも何度も意見交換をして、一切の妥協もない満足いく仕上がりになったと思う。
おかげで毎日の料理が楽しくてたまらない。
それはきっと悠真のために作るからというのもあるのだろうが。
ステーキにはガーリックライスが合うが、お互いに夜は愛しい人との甘い夜を過ごすことは決まっている。
だから、愛しい人がキスを拒んだりしないように暗黙の了解でそれはやめておいた。
それを抜きにしても美味しい料理を作ることができる。
いや、料理人として作らなければいけない。
美味しい料理の傍にはこれまた最高のワイン。
それも倉橋さんからのお土産だ。
私たちは食べる場所を提供するだけというのも申し訳ないが、倉橋さんにとっては微々たるものらしいから気にしなくて良いのだろう。
和やかな雰囲気で食事会が始まり、藤乃くんを除いて三人でワインを楽しみ、藤乃くんだけは葡萄ジュースを楽しんでいた。彼はお酒にかなり弱い。強い酒なら多分グラスの半分も飲めないうちに酔って眠ってしまうだろう。
その点、悠真は酒豪が多くて有名な宮古島出身ということもあって、そして酒に強い家系に生まれたこともあって、顔こそ赤くなるがほとんど酔うことはない。
悠真の弟、真琴くんはあの家系には珍しく酒に弱い。
ほんの少しの酒でもすぐに酔ってしまうのだから、兄弟でこうも違うものかと思ってしまう。
しかも顔が真っ赤になる悠真と違って、顔は全く変わらないのに酔っているのだから不思議なものだ。
成瀬は一緒に晩酌ができるのは楽しそうで羨ましいと言ってくれる。
もちろん私もそれは嬉しい。
だが、以前宮古島の実家に一緒に帰省した時に、真琴くんが酔って成瀬に甘えて積極的になる姿を見たことがある。
それが少し羨ましかった。
一度でいいから悠真のあんな姿を見てみたい。
結局のところ、私も成瀬もないものねだりなのだが、いつもと違う恋人の姿が見てみたいと思うのは当然のことかもしれない。
そんなことを考えながら、楽しい夕食の時間は終わった。
「藤乃くん。美味しいケーキがあるんですが一緒に食べませんか?」
「わぁー! 食べたいです!!」
今日イリゼホテルで新作のケーキの試食をした残りを持ち帰ってきたのだが、二人で食べるには少し多いと思っていたから藤乃くんが食べてくれて助かる。
私と倉橋さんは兄弟のように仲のいい二人を愛でながら、少し離れた場所で見守っていた。
美味しい! と嬉しそうに食べる藤乃くんと、それを嬉しそうにみながらケーキを食べる悠真の姿に癒される。
そんな時、倉橋さんがそっと胸ポケットに手を入れたと思ったら小さな瓶を取り出して、私の手にそっと載せた。
「これは?」
悠真に気づかれないようにそっと尋ねれば、倉橋さんは視線だけ藤乃くんをみながら静かに説明をしてくれた。
「これは、一時的にほろ酔い状態にさせる薬です。臨床試験も終えて問題ない状態になっていますが、それを何人か試してもらって感想を聞かせてもらいたいと思ってるんです。ほら、うちは航が酒に弱いから意味がなくて」
「ほろ酔い状態に? どうしてそんなことを?」
「航もだが、酒に弱い子たちが酒に酔うと普段とは違う姿を見せてくれるんですよ。だが酒に強いパートナー相手だとそれは叶わないでしょう? だからこの薬でほろ酔い状態にさせれば、楽しい姿を見られるんじゃないかと思って作ってみたんです。意外と需要はありそうでしょう?」
倉橋さんが何もなしで作るわけがない。
おそらく需要を見越して開発したに決まっている。
そして、私たちに渡すのは試作といえどももう全て完璧な状態になっているはずだ。
これを飲めば、真琴くんと同じような状態に悠真がなるということだ。
それは試さない手はない。
「そうですね。ぜひ使わせていただいて感想をお伝えしますよ。それで私たち以外にも誰に感想をいただくつもりですか?」
「松川くんのところと、周平さんのところ、あとは何人か後輩にも感想をもらおうかと思ってますよ」
名嘉村くんと浅香さんか。
確かに彼らなら悠真と同じく酒も強い。
愛しい相手の可愛い姿が見られるなら協力するだろうな。
「なるほど。彼らなら効果が分かりそうですね。早速今夜にでも使わせてもらいますよ」
明日は悠真も私も休み。
今夜は楽しい夜になりそうだ。
その薬を試して感想を聞かせて欲しいと持ちかけられた伊織視点のお話。
すでに悠真と伊織は西表島の新居に移り住み、甘い新婚生活を過ごしています。
楽しんでいただけると嬉しいです。
* * *
<side伊織>
美味しいステーキ肉をもらったからと、悠真と過ごす西表の自宅に倉橋さんが届けてくれた。
もちろん倉橋さんのいるところ、藤乃くんありというわけで、二人は一緒に我が家にやってきた。
せっかくだから一緒に食事をと誘い、夕食を共にすることになった。
料理人として働いていることもあって、自宅のキッチンにはかなりこだわって作ってもらった。
設計士の方とも何度も意見交換をして、一切の妥協もない満足いく仕上がりになったと思う。
おかげで毎日の料理が楽しくてたまらない。
それはきっと悠真のために作るからというのもあるのだろうが。
ステーキにはガーリックライスが合うが、お互いに夜は愛しい人との甘い夜を過ごすことは決まっている。
だから、愛しい人がキスを拒んだりしないように暗黙の了解でそれはやめておいた。
それを抜きにしても美味しい料理を作ることができる。
いや、料理人として作らなければいけない。
美味しい料理の傍にはこれまた最高のワイン。
それも倉橋さんからのお土産だ。
私たちは食べる場所を提供するだけというのも申し訳ないが、倉橋さんにとっては微々たるものらしいから気にしなくて良いのだろう。
和やかな雰囲気で食事会が始まり、藤乃くんを除いて三人でワインを楽しみ、藤乃くんだけは葡萄ジュースを楽しんでいた。彼はお酒にかなり弱い。強い酒なら多分グラスの半分も飲めないうちに酔って眠ってしまうだろう。
その点、悠真は酒豪が多くて有名な宮古島出身ということもあって、そして酒に強い家系に生まれたこともあって、顔こそ赤くなるがほとんど酔うことはない。
悠真の弟、真琴くんはあの家系には珍しく酒に弱い。
ほんの少しの酒でもすぐに酔ってしまうのだから、兄弟でこうも違うものかと思ってしまう。
しかも顔が真っ赤になる悠真と違って、顔は全く変わらないのに酔っているのだから不思議なものだ。
成瀬は一緒に晩酌ができるのは楽しそうで羨ましいと言ってくれる。
もちろん私もそれは嬉しい。
だが、以前宮古島の実家に一緒に帰省した時に、真琴くんが酔って成瀬に甘えて積極的になる姿を見たことがある。
それが少し羨ましかった。
一度でいいから悠真のあんな姿を見てみたい。
結局のところ、私も成瀬もないものねだりなのだが、いつもと違う恋人の姿が見てみたいと思うのは当然のことかもしれない。
そんなことを考えながら、楽しい夕食の時間は終わった。
「藤乃くん。美味しいケーキがあるんですが一緒に食べませんか?」
「わぁー! 食べたいです!!」
今日イリゼホテルで新作のケーキの試食をした残りを持ち帰ってきたのだが、二人で食べるには少し多いと思っていたから藤乃くんが食べてくれて助かる。
私と倉橋さんは兄弟のように仲のいい二人を愛でながら、少し離れた場所で見守っていた。
美味しい! と嬉しそうに食べる藤乃くんと、それを嬉しそうにみながらケーキを食べる悠真の姿に癒される。
そんな時、倉橋さんがそっと胸ポケットに手を入れたと思ったら小さな瓶を取り出して、私の手にそっと載せた。
「これは?」
悠真に気づかれないようにそっと尋ねれば、倉橋さんは視線だけ藤乃くんをみながら静かに説明をしてくれた。
「これは、一時的にほろ酔い状態にさせる薬です。臨床試験も終えて問題ない状態になっていますが、それを何人か試してもらって感想を聞かせてもらいたいと思ってるんです。ほら、うちは航が酒に弱いから意味がなくて」
「ほろ酔い状態に? どうしてそんなことを?」
「航もだが、酒に弱い子たちが酒に酔うと普段とは違う姿を見せてくれるんですよ。だが酒に強いパートナー相手だとそれは叶わないでしょう? だからこの薬でほろ酔い状態にさせれば、楽しい姿を見られるんじゃないかと思って作ってみたんです。意外と需要はありそうでしょう?」
倉橋さんが何もなしで作るわけがない。
おそらく需要を見越して開発したに決まっている。
そして、私たちに渡すのは試作といえどももう全て完璧な状態になっているはずだ。
これを飲めば、真琴くんと同じような状態に悠真がなるということだ。
それは試さない手はない。
「そうですね。ぜひ使わせていただいて感想をお伝えしますよ。それで私たち以外にも誰に感想をいただくつもりですか?」
「松川くんのところと、周平さんのところ、あとは何人か後輩にも感想をもらおうかと思ってますよ」
名嘉村くんと浅香さんか。
確かに彼らなら悠真と同じく酒も強い。
愛しい相手の可愛い姿が見られるなら協力するだろうな。
「なるほど。彼らなら効果が分かりそうですね。早速今夜にでも使わせてもらいますよ」
明日は悠真も私も休み。
今夜は楽しい夜になりそうだ。
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