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運命の相手
やはりというか、当然というか……5話では終わりませんでした(汗)
今回はクラウスの父である国王視点。
そして次回、朔来視点で終わりの予定です。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
<sideラルド(スリズィエ王国の国王でクラウスの父)>
「なに? クラウスが?」
「はい。大層美しいお方をお連れになり、大事そうにお抱きになったままお部屋に入られました」
「その者は一体何者だ?」
「詳しいことは後からと仰ってお部屋に入られたっきりでございまして、私もまだ詳細は把握できておりません」
「ふむ。クラウスは今日、サクラの見守りに行ったのではなかったのか? もしや、サクラの世話もせずに女性の元に入り浸っていたのではあるまいな?」
「いえ。サクラの見回りに行かれたのは間違いございません。それに……おそらく、あのお方は男性だと思われます」
「なに? 男だと? だが、カミル……其方、クラウスが連れていたのは美しい者だと……」
「はい。今まで見たこともないほどお美しい人に見受けられました。例えていうならば、あの伝説の麗人のような……」
「まさか――っ!!」
クラウスの専属護衛騎士・カミルの言葉に私は息を呑んだ。
まさかそのようなことが起きようとは……。
「陛下。何かございましたか?」
「いや、なんでもない。クラウスが部屋から出てきたら、すぐに私の部屋に来るようにと伝えておいてくれ」
「はっ」
カミルが部屋を出ていったのを確認して、私は部屋の奥にある書棚に向かった。
その裏にある隠し扉を開け、中に入るとそこにはこのスリズィエ王国の重要な書物がたくさん置かれている。
その中の特に一番古い書物を手に取り、緊張に震えながら開いた。
――――このサクラを大切に見守り続けた時、再び天より麗人が訪れ、この国に繁栄をもたらす象徴となる。
ああ……やはり本当だったのだ。
あのサクラを授けられて以降、我が祖先たちがずっと見守り大切に育ててきた思いが実を結ぶ時がきたのだ。
いや、決めつけるのはまだ早い。
だが、カミルの話を聞く限り、十中八九間違いないだろう。
なんといっても、あのクラウスが……誰にも興味を持たず、この分だと無理矢理にでも、どこぞの貴族の娘と結婚させて後継を作らせるしかないと諦めていたクラウスが……大事に抱きかかえて部屋に連れ込んだというのだからな。
本当に信じられない話だ。
あのクラウスを虜にするほどに、天からの麗人はこの上なく美しいのだろうな。
まさか私の統治時代に麗人が訪れてくれるとは……なんたる幸せなことだろう。
それからしばらくは何も手につかなかった。
いつ、クラウスがその麗人の話をしにきてくれるかとソワソワしながらも、待ち続けるしか術はなかった。
それからどれくらい経っただろう。
部屋の扉が叩かれ、私は急いで扉へと駆け出した。
「父上、お話が――」
「おおっ! 待っておったぞ!! 早く入れ!!」
「は、はい」
少し驚いた様子のクラウスを急いで部屋の中に引き入れ、急いで本題に入る。
「カミルから聞いた。お前、部屋に誰かを招き入れたようだな?」
「はい。そのことで大切なお話がございます」
きた!!
やはりあの話に違いない!
「なんだ、詳しく話せ」
努めて冷静を装いながら尋ねれば、
「すぐにでも私と彼との結婚を認めていただきたく存じます」
と一歩も二歩も先行く話が飛び込んできた。
「は? な、なんといったんだ?」
あまりの驚きに冷静などどこかに吹き飛んでしまったが、クラウスはただひたすらに結婚したい、早く婚礼の儀をしたいというばかり。
「クラウス、落ち着くんだ! もっと順序立てて話せ!」
その言葉にようやく落ち着きを取り戻したらしいクラウスは彼とのことを話してくれた。
サクラに守られるように倒れていた彼を見つけ、部屋に連れ帰った。
彼はこことは違う世界でサクラの木を守ったことでこのスリズィエ王国にやってきたと話をしているらしい。
しかも、彼の名前は『サクラ』だというのだから、まさしくあの書物に書かれていた人物に間違いない。
「――私は、彼を一目見て惹かれたのです。私の伴侶となり、このスリズィエ王国の次代の王妃となるのは彼以外に考えられません。もし、父上がお許しいただけないのでしたら、私は王子としての地位を捨ててでも彼と一緒になるつもりです」
「クラウス……それほど、心惹かれたか?」
「はい。もう私は彼のいない人生など考えられません」
「あれほど他人に興味を持たなかったお前がな……。彼はお前の運命の相手だというわけだな」
「はい。そうです」
「ならば、お前が王子の地位を捨てる必要などない。すぐにでも彼との婚礼の儀の準備を整えるとしよう」
「――っ!!! 父上っ!! ありがとうございます!」
「わかっていると思うが、婚礼の儀まで決して手を出してはならぬぞ! 初夜にあの薬を渡すのだからな」
「ぐぬぅ――っ! わ、わかりました……」
初めての運命の相手を前に押し留めていられるのはせいぜい二週間といったところか……。
早く準備を進めてやらなければな。
クラウスと運命の相手・サクラ殿のために婚礼の儀の準備が、このスリズィエ王国の歴史史上最短で整った。
サクラ殿のこの世のものとは思えない美しい姿に、国民は狂喜乱舞していたが、一番狂喜乱舞していたのは夫となるクラウスの方だったろう。
婚礼の儀の間もずっとサクラ殿のことしか目に入っていないようだった。
あの血走った目。
今日の初夜を筒がなく終えられるかも心配になってきた。
サクラ殿を壊さなければ良いが……。
そんな心配をよそに無事に婚礼の儀を終えたクラウスとサクラ殿は初夜のための部屋に三日三晩籠り、愛を育み続けた。
カミルと他の騎士たちは護衛のため、初夜部屋の前で悶々と眠れない日々を過ごしたという。
今回はクラウスの父である国王視点。
そして次回、朔来視点で終わりの予定です。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
<sideラルド(スリズィエ王国の国王でクラウスの父)>
「なに? クラウスが?」
「はい。大層美しいお方をお連れになり、大事そうにお抱きになったままお部屋に入られました」
「その者は一体何者だ?」
「詳しいことは後からと仰ってお部屋に入られたっきりでございまして、私もまだ詳細は把握できておりません」
「ふむ。クラウスは今日、サクラの見守りに行ったのではなかったのか? もしや、サクラの世話もせずに女性の元に入り浸っていたのではあるまいな?」
「いえ。サクラの見回りに行かれたのは間違いございません。それに……おそらく、あのお方は男性だと思われます」
「なに? 男だと? だが、カミル……其方、クラウスが連れていたのは美しい者だと……」
「はい。今まで見たこともないほどお美しい人に見受けられました。例えていうならば、あの伝説の麗人のような……」
「まさか――っ!!」
クラウスの専属護衛騎士・カミルの言葉に私は息を呑んだ。
まさかそのようなことが起きようとは……。
「陛下。何かございましたか?」
「いや、なんでもない。クラウスが部屋から出てきたら、すぐに私の部屋に来るようにと伝えておいてくれ」
「はっ」
カミルが部屋を出ていったのを確認して、私は部屋の奥にある書棚に向かった。
その裏にある隠し扉を開け、中に入るとそこにはこのスリズィエ王国の重要な書物がたくさん置かれている。
その中の特に一番古い書物を手に取り、緊張に震えながら開いた。
――――このサクラを大切に見守り続けた時、再び天より麗人が訪れ、この国に繁栄をもたらす象徴となる。
ああ……やはり本当だったのだ。
あのサクラを授けられて以降、我が祖先たちがずっと見守り大切に育ててきた思いが実を結ぶ時がきたのだ。
いや、決めつけるのはまだ早い。
だが、カミルの話を聞く限り、十中八九間違いないだろう。
なんといっても、あのクラウスが……誰にも興味を持たず、この分だと無理矢理にでも、どこぞの貴族の娘と結婚させて後継を作らせるしかないと諦めていたクラウスが……大事に抱きかかえて部屋に連れ込んだというのだからな。
本当に信じられない話だ。
あのクラウスを虜にするほどに、天からの麗人はこの上なく美しいのだろうな。
まさか私の統治時代に麗人が訪れてくれるとは……なんたる幸せなことだろう。
それからしばらくは何も手につかなかった。
いつ、クラウスがその麗人の話をしにきてくれるかとソワソワしながらも、待ち続けるしか術はなかった。
それからどれくらい経っただろう。
部屋の扉が叩かれ、私は急いで扉へと駆け出した。
「父上、お話が――」
「おおっ! 待っておったぞ!! 早く入れ!!」
「は、はい」
少し驚いた様子のクラウスを急いで部屋の中に引き入れ、急いで本題に入る。
「カミルから聞いた。お前、部屋に誰かを招き入れたようだな?」
「はい。そのことで大切なお話がございます」
きた!!
やはりあの話に違いない!
「なんだ、詳しく話せ」
努めて冷静を装いながら尋ねれば、
「すぐにでも私と彼との結婚を認めていただきたく存じます」
と一歩も二歩も先行く話が飛び込んできた。
「は? な、なんといったんだ?」
あまりの驚きに冷静などどこかに吹き飛んでしまったが、クラウスはただひたすらに結婚したい、早く婚礼の儀をしたいというばかり。
「クラウス、落ち着くんだ! もっと順序立てて話せ!」
その言葉にようやく落ち着きを取り戻したらしいクラウスは彼とのことを話してくれた。
サクラに守られるように倒れていた彼を見つけ、部屋に連れ帰った。
彼はこことは違う世界でサクラの木を守ったことでこのスリズィエ王国にやってきたと話をしているらしい。
しかも、彼の名前は『サクラ』だというのだから、まさしくあの書物に書かれていた人物に間違いない。
「――私は、彼を一目見て惹かれたのです。私の伴侶となり、このスリズィエ王国の次代の王妃となるのは彼以外に考えられません。もし、父上がお許しいただけないのでしたら、私は王子としての地位を捨ててでも彼と一緒になるつもりです」
「クラウス……それほど、心惹かれたか?」
「はい。もう私は彼のいない人生など考えられません」
「あれほど他人に興味を持たなかったお前がな……。彼はお前の運命の相手だというわけだな」
「はい。そうです」
「ならば、お前が王子の地位を捨てる必要などない。すぐにでも彼との婚礼の儀の準備を整えるとしよう」
「――っ!!! 父上っ!! ありがとうございます!」
「わかっていると思うが、婚礼の儀まで決して手を出してはならぬぞ! 初夜にあの薬を渡すのだからな」
「ぐぬぅ――っ! わ、わかりました……」
初めての運命の相手を前に押し留めていられるのはせいぜい二週間といったところか……。
早く準備を進めてやらなければな。
クラウスと運命の相手・サクラ殿のために婚礼の儀の準備が、このスリズィエ王国の歴史史上最短で整った。
サクラ殿のこの世のものとは思えない美しい姿に、国民は狂喜乱舞していたが、一番狂喜乱舞していたのは夫となるクラウスの方だったろう。
婚礼の儀の間もずっとサクラ殿のことしか目に入っていないようだった。
あの血走った目。
今日の初夜を筒がなく終えられるかも心配になってきた。
サクラ殿を壊さなければ良いが……。
そんな心配をよそに無事に婚礼の儀を終えたクラウスとサクラ殿は初夜のための部屋に三日三晩籠り、愛を育み続けた。
カミルと他の騎士たちは護衛のため、初夜部屋の前で悶々と眠れない日々を過ごしたという。
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