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番外編
私の運命
お待たせしました。
ようやくアダム視点のお話です。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
「アダム、お前もそろそろ嫁取りの時期だな」
「父上。またその話ですか。以前もお伝えしましたが、私は嫁を取る気はないのです。父上もご存じでしょう? 私が女性を恋愛対象として見られないということは」
「ああ、よくわかっている。だが、我がスタインフェルドの嫁になるのは女性とは限らないことはわかっているだろう?」
そう。
わがスタインフェルド一族には神に与えられた力があり、その力で男女の関係なく孕ませることができる。
だから私の恋愛対象が男であっても何ら問題はないのだ。
「お前ももうすぐ30になろうとしている。スタインフェルド嫡男として30までにはどうしても嫁を見つけなければいけない。これは避けることのできない決まりだ」
「どうしても嫁を取らなければいけないのでしたら、私を一族から外していただいても結構です」
「お前……なぜだ? なぜ、それほどまでに嫁取りを嫌がるのだ?」
「私は……神の定めたもうた相手ではなく、自分で運命を探したい。男ならば誰でもいいのではありません」
「なんだ、そんな瑣末な事を気にしていたのか?」
「瑣末なこと? 私にとってそれは瑣末なことではありません。これから長い人生を共に過ごす相手は心から愛した人がいい。それは重大な事です」
私は必死に食い下がった。
だが、父上はそんな私を見て笑みを浮かべた。
「お前は神の力をまだわかっていないようだな」
「えっ?」
「神が本人の意思を無視して相手を選ぶわけがないだろう? 神はいつでも我々の相手には運命を与えてくださる。キャロラインもそうだ。神が引き合わせてくれた瞬間キャロラインに心から惹かれ、恋に落ちた。お前もそうだ、神はお前の性的嗜好もすでにわかってくださっているはずだ。お前が望む運命の相手を与えてくださるはずだぞ」
「本当に……?」
「ああ。お前が臆病になる気持ちもわからんではない。だが、我々一族に全ての力を与えてくださった神の御力をもっと信頼すべきではないか?」
父上の言葉が胸に突き刺さる。
私は恋に怯えていたのだろうか。
今まで誰にも心惹かれることなどなく過ごしてきた私が、本当に心からその相手を愛することができるのかと。
「お前が覚悟を決めたら、この写真を見るんだな」
そう言って、父上は私の前に1通の大きな封筒を置いた。
「これは?」
「お前の運命の相手の情報が書かれた調査資料だ。本人の写真、住所、そして、今までの経歴全てが書かれている。お前が封を開けた瞬間、その相手の元に金の手紙が送られる」
「私の意思は無関係に手紙が送られるのですか?」
「ふふっ。お前が封を開けた時点で意思が決まったということだろう?」
「――っ!」
そうだ。
その覚悟を決めて封を開けるのだ。
「わかったな?」
「はい。その代わり、私が封を開けなければこれから先嫁取りの話はしないでください」
「ふふっ。わかった。だが、お前は絶対に開ける。そう信じている。期限は1週間だ」
そう言って父上は部屋から出て行った。
あの自信満々な父上の表情が気になる。
私は封を開ける気などさらさらないが……。
そう言いつつも、テーブルに置かれた封筒がやけに目につく。
だが、開けてしまえば中にいる彼を嫁としてそばに置かなくてはいけなくなる。
私は運命をそんな簡単に決めたくないのだ。
結局封を開けることなくその日の夜を迎えた。
――アダム、アダム……。
誰だ? 私を名前で呼ぶのは……。
――ふふっ。僕だよ。
見たことのない美しい子が私に微笑みかける。
その笑顔を見た瞬間、身体の中を電流のような激しい衝撃が襲った。
なんだ?
この気持ちは……。
心臓が熱く鼓動する。
今まで感じたことのない胸の高鳴りに声を出すこともできず、ただにこやかな笑顔を見せる彼を見つめるだけ。
まさか、本当に彼が私の運命なのか?
神は本当に私に運命の相手を与えてくださったのか?
彼の美しい漆黒の髪が風に靡いているのが見える。
ああ、その艶やかな黒髪に触れたい。
そして、その小さくて形の良い唇を奪いたい……。
目の前で美しい微笑みを見せる彼にそっと手を伸ばし、もう少しで触れそうだと思った瞬間、
「――っ!! 何だ、夢か……」
目を覚ました。
だが、激しい鼓動も、あの胸のときめきも夢ではない。
神が私に最後の機会を与えてくれたのか……。
もう一度、彼の微笑みを見たい。
その思いで、私はフラフラと寝室を出て、リビングのテーブルに置かれたままになっていた封筒を手に取った。
これを開ければ、彼に金の手紙が……。
だが、もしさっきの彼ではなかったら?
暫し葛藤を繰り返したものの、先ほどの彼の笑顔がどうしても頭から離れず私はとうとう封を開けてしまった。
そして、恐る恐る取り出した写真には
「……彼、だ……」
夢で見たままの美しい彼の姿。
名はソウタというらしい。
ああ、私のソウタ。
神の与えてくれた運命に写真を持つ手が震える。
あれほど嫁を取るのを嫌がっていたというのに私も現金なものだ。
今は彼を花嫁にしたい!! ということで頭がいっぱいだ。
早く、早く私の元に来てくれ!
これからの私の人生はずべてソウタと共に歩むのだから……。
* * *
あと、その後の甘々な二人の様子を書いて完結予定です。
ようやくアダム視点のお話です。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
「アダム、お前もそろそろ嫁取りの時期だな」
「父上。またその話ですか。以前もお伝えしましたが、私は嫁を取る気はないのです。父上もご存じでしょう? 私が女性を恋愛対象として見られないということは」
「ああ、よくわかっている。だが、我がスタインフェルドの嫁になるのは女性とは限らないことはわかっているだろう?」
そう。
わがスタインフェルド一族には神に与えられた力があり、その力で男女の関係なく孕ませることができる。
だから私の恋愛対象が男であっても何ら問題はないのだ。
「お前ももうすぐ30になろうとしている。スタインフェルド嫡男として30までにはどうしても嫁を見つけなければいけない。これは避けることのできない決まりだ」
「どうしても嫁を取らなければいけないのでしたら、私を一族から外していただいても結構です」
「お前……なぜだ? なぜ、それほどまでに嫁取りを嫌がるのだ?」
「私は……神の定めたもうた相手ではなく、自分で運命を探したい。男ならば誰でもいいのではありません」
「なんだ、そんな瑣末な事を気にしていたのか?」
「瑣末なこと? 私にとってそれは瑣末なことではありません。これから長い人生を共に過ごす相手は心から愛した人がいい。それは重大な事です」
私は必死に食い下がった。
だが、父上はそんな私を見て笑みを浮かべた。
「お前は神の力をまだわかっていないようだな」
「えっ?」
「神が本人の意思を無視して相手を選ぶわけがないだろう? 神はいつでも我々の相手には運命を与えてくださる。キャロラインもそうだ。神が引き合わせてくれた瞬間キャロラインに心から惹かれ、恋に落ちた。お前もそうだ、神はお前の性的嗜好もすでにわかってくださっているはずだ。お前が望む運命の相手を与えてくださるはずだぞ」
「本当に……?」
「ああ。お前が臆病になる気持ちもわからんではない。だが、我々一族に全ての力を与えてくださった神の御力をもっと信頼すべきではないか?」
父上の言葉が胸に突き刺さる。
私は恋に怯えていたのだろうか。
今まで誰にも心惹かれることなどなく過ごしてきた私が、本当に心からその相手を愛することができるのかと。
「お前が覚悟を決めたら、この写真を見るんだな」
そう言って、父上は私の前に1通の大きな封筒を置いた。
「これは?」
「お前の運命の相手の情報が書かれた調査資料だ。本人の写真、住所、そして、今までの経歴全てが書かれている。お前が封を開けた瞬間、その相手の元に金の手紙が送られる」
「私の意思は無関係に手紙が送られるのですか?」
「ふふっ。お前が封を開けた時点で意思が決まったということだろう?」
「――っ!」
そうだ。
その覚悟を決めて封を開けるのだ。
「わかったな?」
「はい。その代わり、私が封を開けなければこれから先嫁取りの話はしないでください」
「ふふっ。わかった。だが、お前は絶対に開ける。そう信じている。期限は1週間だ」
そう言って父上は部屋から出て行った。
あの自信満々な父上の表情が気になる。
私は封を開ける気などさらさらないが……。
そう言いつつも、テーブルに置かれた封筒がやけに目につく。
だが、開けてしまえば中にいる彼を嫁としてそばに置かなくてはいけなくなる。
私は運命をそんな簡単に決めたくないのだ。
結局封を開けることなくその日の夜を迎えた。
――アダム、アダム……。
誰だ? 私を名前で呼ぶのは……。
――ふふっ。僕だよ。
見たことのない美しい子が私に微笑みかける。
その笑顔を見た瞬間、身体の中を電流のような激しい衝撃が襲った。
なんだ?
この気持ちは……。
心臓が熱く鼓動する。
今まで感じたことのない胸の高鳴りに声を出すこともできず、ただにこやかな笑顔を見せる彼を見つめるだけ。
まさか、本当に彼が私の運命なのか?
神は本当に私に運命の相手を与えてくださったのか?
彼の美しい漆黒の髪が風に靡いているのが見える。
ああ、その艶やかな黒髪に触れたい。
そして、その小さくて形の良い唇を奪いたい……。
目の前で美しい微笑みを見せる彼にそっと手を伸ばし、もう少しで触れそうだと思った瞬間、
「――っ!! 何だ、夢か……」
目を覚ました。
だが、激しい鼓動も、あの胸のときめきも夢ではない。
神が私に最後の機会を与えてくれたのか……。
もう一度、彼の微笑みを見たい。
その思いで、私はフラフラと寝室を出て、リビングのテーブルに置かれたままになっていた封筒を手に取った。
これを開ければ、彼に金の手紙が……。
だが、もしさっきの彼ではなかったら?
暫し葛藤を繰り返したものの、先ほどの彼の笑顔がどうしても頭から離れず私はとうとう封を開けてしまった。
そして、恐る恐る取り出した写真には
「……彼、だ……」
夢で見たままの美しい彼の姿。
名はソウタというらしい。
ああ、私のソウタ。
神の与えてくれた運命に写真を持つ手が震える。
あれほど嫁を取るのを嫌がっていたというのに私も現金なものだ。
今は彼を花嫁にしたい!! ということで頭がいっぱいだ。
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これからの私の人生はずべてソウタと共に歩むのだから……。
* * *
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