スタインフェルド家の嫁取り 〜花嫁は処女の俺?

波木真帆

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番外編

二人で話したい

<sideアダム>

「リヴァイ、私のソウタは実に愛らしいのだぞ。初めて会った時などは……」

「おおっ、それはなんと麗しい。私のノエも私を見てくれた時は……」

などと私たちはしばらくの間、コーヒーとソウタの好きな焼き菓子を楽しみながら、自分たちの伴侶をピッタリと寄り添わせ伴侶の可愛らしいところを惚気あっていたのだが、突然ソウタが私の袖を引っ張ったかと思うと、

「ねぇ、アダム。僕……ノエさんと二人でおしゃべりしたいな」

と言い出した。

「何? 二人で?」

思いがけない提案に驚いて鸚鵡返しするしかなかった私にソウタは笑顔で言葉を続けた。

「うん。僕たち同じ年で嫁になった者同士共通点もあるし、せっかく会えてお友達になれたからゆっくりとおしゃべりしたいなって」

「それは私たちがいると話せないことか?」

「あ、別にアダムが邪魔とか言うんじゃないよ。でもアダムとリヴァイさんがいると僕もノエさんもちょっと緊張しちゃって話せないから、少しだけ二人で話したいなって……。ねぇ、だめ?」

「くっ!!」

ソウタの可愛らしい顔で見上げられながらおねだりされては反対などできるはずがない。
それにこれだけのことを許せないほど狭量だとも思われたくもなかった。それほどに私はソウタを愛しているのだ。

「ああ、わかった。だが一時間だけでいいか? 私はそれ以上ソウタとは離れて過ごせない」

「うん。僕もアダムと離れるのは寂しいから一時間ね。ありがとう」

「では、私たちが部屋を離れるから、ソウタとノエはこのままこの部屋を使うがいい。ケイレブにも近づかないように言っておくから二人で過ごすといいぞ」

「わぁ、ありがとう。アダム、大好き!!」

最大限の譲歩を見せると、ソウタは嬉しそうに私の胸に飛び込んできて、ソウタの方からキスをしてくれた。
もちろん、リヴァイとノエにはソウタの可愛らしい顔など絶対に見せることはしない。さっと私の身体で隠し、ソウタの甘い口内を味わった。

「では、リヴァイ。行くとするか」

「は、はい。お供いたします」

「ソウタ、何かあればすぐにそのボタンを押すのだぞ」

連絡用のボタンを教えてからリヴァイと部屋を出た。

「あ、あの……アダムさま。本当にソウタさまとノエだけにされるのですか? あ、その……ソウタさまがノエに何かをされると言う心配ではなく、ただ単純に二人にするのが心配なだけで……」

「ああ。リヴァイ、お前の心配はよくわかっている。だが、何も心配など要らぬ、ついてくるがいい」

「は、はい」

緊張した様子でついてくるリヴァイを私に執務室に連れて行った。

「そこのソファーに座れ」

「は、はい。失礼致します」

「リヴァイ、私と二人で緊張するのはわかる。公の場ではこれからも序列通りの振る舞いが必要だが、今の私はスタインフェルド一族の総帥ではない。お前と同じ、愛する伴侶を得たばかりのただの男だと思ってくれ。そうでないとソウタがノエと友人として付き合いにくかろう」

「は、はい。もったいないお言葉、誠にありがとうございます。それではなるべく緊張しないようにさせていただきます」

「ははっ。まぁ、すぐには難しいだろうが、私もソウタという存在を得て今までの私とは違う。安心してくれ」

「ありがとうございます」

リヴァイは私の言葉に心からの笑顔を浮かべた。まさかリヴァイとこのような仲になるとは思いもしなかったがソウタがノエを友人として気に入ったのなら、私は二人が友人として過ごしやすいようにしてあげるだけだ。

「さぁ、これで二人の様子を眺めるとしよう」

「えっ? これは……?」

テーブルにモニターを置き、スイッチを押すと先ほどの部屋が映り、ソウタとノエが笑顔を見せているのが見える。

「愛しい伴侶の様子をいつでも見られるようにこの屋敷の全てにカメラを設置しているのだ。そうすれば、これから先仕事で一人にしなければいけない時間も安心だろう」

「おおっ!! 素晴らしいアイディアでいらっしゃいますね。私も帰ったらぜひそのように致します」

「ああ。それがいい。さて、二人はどんな話をしているのだろうな」

<sideソウタ>

アダムとリヴァイさんが部屋を出て行って、一気に静かになった。
二人でおしゃべりしたいと言ったはいいけど、なんて言って話しかけようかちょっと悩んでしまう。

「あ、えっと……急に二人でなんて言ってごめんね。不安にさせちゃったかな?」

「そんなっ! お声がけいただいて嬉しかったです」

「よかった……。あ、あの……僕たち同じ年だし、敬語はなしにしない?」

「えっ、でもソウタさまは総帥の……」

「アダムは確かにすごい人だけど、僕がすごいわけじゃないし。一族が集まる場所とかは多少は周りに気を遣わないといけないかもだけど、二人の時は僕は気にしないよ。ね、そうしよう。名前も呼び捨てにしよう」

「は、はい。それではそうさせて……そうだね」

「うん! それがいい!!」

笑顔でそういうと、ノエも嬉しそうに笑ってくれた。

「ノエってどこの人?」

「スペインだよ」

「へぇ、本当に世界中からお嫁さんって見つかるんだね」

「ソウタは?」

「僕は日本」

「日本か……あのまま暮らしていたら一生会えなかっただろうね」

「うん。だからこうしてノエと知り合えて嬉しい」

出会うはずのなかった人と出会えて、同じように運命の相手と巡り会えるって、本当に奇跡としか思えない。

「さっきリヴァイさんは直接ノエに会いに行ったって言っていたけど、どこに迎えにきてくれたの?」

「公園だよ。私、両親に捨てられてずっと孤児院で過ごしてたけど、成人になるからってそこを追い出されて仕方なく公園で寝起きしていたら、突然空から手紙が降ってきて宛名に私の名前が書かれててびっくりして開けたら銀色の手紙が入っていたんだ。スタインフェルド家からの手紙って話は聞いていたけど、まさか本当に来るとは思わなくてびっくりしちゃった」

すごいな、ポストじゃなくても確実に本人に届くんだ……。さすが神さまの力を持った一族だな。

「うんうん! 僕も!! うちの場合は双子の妹がいるから、てっきり妹に届いたと思ってたんだ」

「えっ? でもどうしてソウタだってわかったの?」

「実は、妹がその……処女じゃなくて……」

「ええーっ!!」

ノエが驚くのも無理はない。それくらい18まで処女を守るのは全世界の常識なんだ。

「驚くよね。でも、それが本当で……。で、なんとか僕で許してもらおうと思って妹の格好して、アダムに会いに行ったんだ。そうしたら、アダムの相手は最初から僕だって言ってくれたんだよ」

「そっか……でもソウタのことでよかったよね。もし妹さんがアダムさまの相手だったら、怖いことになってたよ」

「本当だよね」

ノエと笑い合う。こういう学校の友人みたいなノリも久しぶりで楽しい。やっぱりノエとは仲良くなれるって直感当たってたな。
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