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日本旅行編
シューゴとの演奏
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『素敵! シューゴはこんなに素敵な場所で演奏しているんだね!』
『ミシェルさんに喜んでいただけて嬉しいです。さぁ、行きましょう!』
シューゴに案内されて演奏室の中心に向かうと、セルジュはスオウさんと一緒に右側にあるソファーに腰をかけていた。
『すごい! 観客席まであるんだね!』
『あれは僕が演奏しているときに、将臣がいつも見に来てくれていたので、設置したんです。父のソファーもあちらにありますよ』
シューゴがヴィオロンの弓で指し示した部屋の左側には、同じようにソファーが一台置かれていた。
『あそこで父が僕と母の演奏を聞いたり、僕の演奏を両親が並んで聞いたりしてたんです』
『へぇー、素敵!』
シューゴは本当に両親とスオウさんに愛されて過ごしてきたんだろう。
だからこそ、シューゴの演奏は素直でまっすぐで愛情に溢れている。
演奏って自分の人生そのもののような音がするんだよね。
僕もセルジュに会う前と出会った後は自分でも音が変わったのがわかる。
なんというか、一色の色に染まり切っていた音が、幾つもの色に広がったようなそんな感じ。
セルジュが僕の音を変えてくれたんだ。
そして、セルジュに愛されてる度にその色に深みができていく。
音楽って愛情なんだなって気づいたんだ。
だから、ユヅルの演奏を聞いた時、鳥肌がたった。
技術はもちろんプロの僕よりは劣るだろう。
でも、感情の幅が広くてぐいぐい引き込まれる。
悲しみも喜びも何もかも全て受け止めてくれる相手がいるからこそ、あれだけ全身でダイナミックに感情を乗せて弾くことができる。
まるでニコラ・ロレーヌの晩年のような美しいユヅルの音に僕は一瞬で惹かれたんだ。
シューゴとの二重奏は初めて。
二人でどんな音を奏でられるのか、楽しみでたまらない。
『何の曲にしますか?』
『それじゃあ、やっぱりここは……』
『『Salut d'amour』』
僕とシューゴの声が重なった。
やっぱりシューゴも覚えていてくれたみたいだ。
クリスマスマーケットで演奏したあの日のことを。
そして僕がユヅルの才能を知った曲でもある。
『行くよ』
僕の合図に合わせるように、僕とシューゴの演奏が始まる。
僕がセルジュに出会えた奇跡。
そしてユヅルと出会えた奇跡。
そして日本の友だちと知り合えた奇跡。
その全てに感謝しながら、セルジュへの愛を奏でる。
波瀾万丈だった僕の人生の奏でる音と違って、隣のシューゴから聞こえる美しい音は甘く優しくそして強い。
対照的に見える音が、なぜかこの上ないハーモニーとなって部屋に響いているのがわかる。
ああ、なんて心地いいんだろう。
ユヅルとはまた違う安心感と心地よさだ。
僕はセルジュだけでなく、シューゴも含めた僕に関わりのあるみんなへの愛をヴィオロンの音に乗せた。
『ふぅ……っ』
最高に気持ちがいいままに演奏を終え、僕はシューゴと顔を見合わせた。
満面の笑みで僕をみるシューゴの表情に満足していたけれど、僕たちの演奏を聞いているはずのセルジュたちからは何の反応もない。
シューゴと二人でそちらに目を向けると、セルジュもスオウさんも茫然として僕たちを見ているのがわかる。
『セルジュ!』
「将臣!」
僕たちの呼びかけにようやく反応した二人が僕たちの元に駆けつけてきた。
『どうしたの?』
『申し訳ない。あまりにも美しすぎて言葉が出なかった。天使の二重奏の邪魔ができなかったんだ』
その表情がセルジュの本心だと教えてくれる。
隣でもスオウさんが必死にシューゴに声をかけているのがわかる。
『僕の愛、受け取った?』
『もちろんだ。このまま寝室に連れて行きたいくらい興奮しているよ』
『んんっ!!』
一瞬だけベッドの上で見るセルジュの表情が見えて、身体の奥がずくんと疼いた。
その状態のままチュッと唇を重ねられて、ドキドキしてしまう。
このままじゃおかしくなりそう……そう思った瞬間、カチャリと演奏室の扉が開く音が聞こえた。
『あらあら、みんな演奏台に上がって何をしているの?』
シューゴのお母さんだ。
隣にはシューゴのお父さんとジョルジュさんとリュカの姿もある。
『ううん、なんでもないよ。お母さん。早くピアノを弾いてよ』
シューゴが取り繕うようにシューゴのお母さんに声をかけると、彼女は嬉しそうにこちらにやってきた。
『ミシェルさんに喜んでいただけて嬉しいです。さぁ、行きましょう!』
シューゴに案内されて演奏室の中心に向かうと、セルジュはスオウさんと一緒に右側にあるソファーに腰をかけていた。
『すごい! 観客席まであるんだね!』
『あれは僕が演奏しているときに、将臣がいつも見に来てくれていたので、設置したんです。父のソファーもあちらにありますよ』
シューゴがヴィオロンの弓で指し示した部屋の左側には、同じようにソファーが一台置かれていた。
『あそこで父が僕と母の演奏を聞いたり、僕の演奏を両親が並んで聞いたりしてたんです』
『へぇー、素敵!』
シューゴは本当に両親とスオウさんに愛されて過ごしてきたんだろう。
だからこそ、シューゴの演奏は素直でまっすぐで愛情に溢れている。
演奏って自分の人生そのもののような音がするんだよね。
僕もセルジュに会う前と出会った後は自分でも音が変わったのがわかる。
なんというか、一色の色に染まり切っていた音が、幾つもの色に広がったようなそんな感じ。
セルジュが僕の音を変えてくれたんだ。
そして、セルジュに愛されてる度にその色に深みができていく。
音楽って愛情なんだなって気づいたんだ。
だから、ユヅルの演奏を聞いた時、鳥肌がたった。
技術はもちろんプロの僕よりは劣るだろう。
でも、感情の幅が広くてぐいぐい引き込まれる。
悲しみも喜びも何もかも全て受け止めてくれる相手がいるからこそ、あれだけ全身でダイナミックに感情を乗せて弾くことができる。
まるでニコラ・ロレーヌの晩年のような美しいユヅルの音に僕は一瞬で惹かれたんだ。
シューゴとの二重奏は初めて。
二人でどんな音を奏でられるのか、楽しみでたまらない。
『何の曲にしますか?』
『それじゃあ、やっぱりここは……』
『『Salut d'amour』』
僕とシューゴの声が重なった。
やっぱりシューゴも覚えていてくれたみたいだ。
クリスマスマーケットで演奏したあの日のことを。
そして僕がユヅルの才能を知った曲でもある。
『行くよ』
僕の合図に合わせるように、僕とシューゴの演奏が始まる。
僕がセルジュに出会えた奇跡。
そしてユヅルと出会えた奇跡。
そして日本の友だちと知り合えた奇跡。
その全てに感謝しながら、セルジュへの愛を奏でる。
波瀾万丈だった僕の人生の奏でる音と違って、隣のシューゴから聞こえる美しい音は甘く優しくそして強い。
対照的に見える音が、なぜかこの上ないハーモニーとなって部屋に響いているのがわかる。
ああ、なんて心地いいんだろう。
ユヅルとはまた違う安心感と心地よさだ。
僕はセルジュだけでなく、シューゴも含めた僕に関わりのあるみんなへの愛をヴィオロンの音に乗せた。
『ふぅ……っ』
最高に気持ちがいいままに演奏を終え、僕はシューゴと顔を見合わせた。
満面の笑みで僕をみるシューゴの表情に満足していたけれど、僕たちの演奏を聞いているはずのセルジュたちからは何の反応もない。
シューゴと二人でそちらに目を向けると、セルジュもスオウさんも茫然として僕たちを見ているのがわかる。
『セルジュ!』
「将臣!」
僕たちの呼びかけにようやく反応した二人が僕たちの元に駆けつけてきた。
『どうしたの?』
『申し訳ない。あまりにも美しすぎて言葉が出なかった。天使の二重奏の邪魔ができなかったんだ』
その表情がセルジュの本心だと教えてくれる。
隣でもスオウさんが必死にシューゴに声をかけているのがわかる。
『僕の愛、受け取った?』
『もちろんだ。このまま寝室に連れて行きたいくらい興奮しているよ』
『んんっ!!』
一瞬だけベッドの上で見るセルジュの表情が見えて、身体の奥がずくんと疼いた。
その状態のままチュッと唇を重ねられて、ドキドキしてしまう。
このままじゃおかしくなりそう……そう思った瞬間、カチャリと演奏室の扉が開く音が聞こえた。
『あらあら、みんな演奏台に上がって何をしているの?』
シューゴのお母さんだ。
隣にはシューゴのお父さんとジョルジュさんとリュカの姿もある。
『ううん、なんでもないよ。お母さん。早くピアノを弾いてよ』
シューゴが取り繕うようにシューゴのお母さんに声をかけると、彼女は嬉しそうにこちらにやってきた。
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四葩さま。コメントありがとうございます!
ふふ🤭四人だけの演奏。
セルジュと将臣は最高でしたね。
でもかなり興奮しまくったところでママたちが来ちゃって危ないところでした(笑)
ちょこっと注意はあったりするかもwww
いぬぞ〜さま。コメントありがとうございます!
そうでした!日本旅行が決まって、どこかのタイミングでお泊まりしてもらおう計画をしていたはずですからそこからの準備ですね。
わずかな時間でも喜んでもらえるくらい整えられるのはほんとすごいですよね。
愛子ママと花織ママの楽しい準備の様子が想像できますね。
あ、秀吾も一緒にしてますね。きっと。
四葩さま。コメントありがとうございます!
ふふ🤭やっぱりフランス勢は誰もが独占欲強めですよね。
将臣も意外と独占欲強めでしたね(笑)
家だから余計に思っちゃったのかな。
旦那たちメロメロのコンサートどうぞお楽しみに❤️