イメケンスパダリ弁護士はようやく見つけた最愛と激甘な夫夫生活始めます

波木真帆

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番外編

理央のお出かけ  2

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早々に3話でおわらなさそうと思ってタイトル変更しました(汗)
新しいキャラが喋りまくっていて、理央の出番が少ないですが……最後までお付き合いいただけると嬉しいです♡


  *   *   *


車から降りると、秀吾が理央くんと手を繋いでいてギョッとする。観月さんに知られたらとんでもないことになるんじゃないかと驚いてしまったけれど、俺の視線に気付いたのか、秀吾がにっこりと笑って小声で教えてくれた。

「今日は観月先生から許可をもらっているから大丈夫だよ」

「ああ、そうなのか。焦ったよ」

「本当にこんなことでもないと理央くんと手は繋げないもんね。じゃあ、行こっか。理央くん、あっちが法学部のある建物だよ」

理央くんに指差しながら進んでいく秀吾は、学校の先生みたいだな。
うん、先生と生徒。よく似合ってる。

「わぁー、すごいですね。ここって学部ごとに建物が分かれてるんですか?」

「そうなんだよ。だから、あまり違う学部の人とは会うこともなくてね。会うとしたら学食とかかな。図書館だけでも三箇所あって、いくつかの学部ごとに分かれてるんだ」

「うわぁ、桜城大学って本当にすごいんですね! 僕も通えるようになったらいいなぁ」

「理央くんは頑張っているから大丈夫だよ」

秀吾が笑いかけると、理央くんは嬉しそうに微笑む。ああ、この二人が笑い合う姿……ひとりでみるのはもったいないくらい可愛いんだけど!

「こっちから入るよ」

「あっ、靴箱はないんですか?」

「うん。大学は基本土足だからね」

「そうなんですね。わぁー、なんだか大人って感じです」

可愛い会話をしている秀吾と理央くんは全く気付いていないだろうけど、二人に注がれる視線がすごい。これは……観月先生に報告だな。来年もし、理央くんが大学に通うとしたら、相当警備を入れないと危ないかもしれない。今は俺が後ろから威嚇しまくってるし、一応隣に秀吾もいるから近づいてこないけど、一人で歩かせたらさすがに危なすぎる。桜城大学の学生に限って変なのはいないとは思うけど、稀におかしな奴らが混ざっていることがあるからな。

教授たちが過ごす部屋の階直通のエレベーターに乗り込み、緑川教授の部屋を目指す。

ああ、ここを歩くのは久しぶりだな。秀吾とよく教授の部屋に呼ばれて、仕事を手伝ってたっけ。

季節ごとのリースが飾られたあの扉が緑川教授の部屋。紅葉や木の実で飾られたリースの中に小さなカボチャも見える。相変わらず可愛いリースを飾っているな。

理央くんは初めて見るリースに興味津々のようで目を輝かせながら見つめている。これも観月先生に報告だな。リースを作れる手作りキットのようなものも売っているから、理央くんに作らせてみたら喜びそうだ。

秀吾が扉を優しくノックすると、

「どうぞー」

と懐かしい声が聞こえた。

「失礼しまーす」

「やぁ、よく来てくれたね」

中に入ると、たくさんの本に囲まれた中から、緑川教授が顔を出した。

「わっ! 教授、そんなところで何をやっているんですか?」

「いや、秀吾くんに手伝ってもらう前に必要な資料を用意しておこうと思って、本棚をひっくり返していたんだけど、なかなか見つからなくて……」

「教授が仰っていたあの資料ですか?」

「そう。確か、この辺だと思ったんだけど……」

「その資料なら、あっちの棚の中ですよ。前に整理した時に伝えておきましたよ」

「あれ? そうだった? 年取ると記憶力が悪くなって困るね」

「教授はまだそんな歳じゃないですよ。ほら、片付けるのを手伝いますから、気をつけて出てきてください」

倍くらい年が離れていると言うのに、秀吾と緑川教授の関係は実に面白い。観月先生が秀吾のことを痒いところに手が届く完璧なパラリーガルだと常々仰っているが、きっとその力は緑川教授の元で育まれたに違いない。

「来て早々、変なところを見せてしまったな」

「いえ、いつも通りでむしろホッとしましたよ。あの、教授。電話でもお伝えしましたけど、こちらが観月先生の――」
「ああっ!! 君が理央くん?!! 話はいろんなところから聞いているよ。あの・・観月くんを人間的にしたんだって?」

「えっ? 人間、的……? 凌也さんはずっと人間ですよ?」

理央くんが不思議そうに小首を傾げると緑川教授は目を細めて満面の笑みを向ける。

「可愛いなぁ。そうか、観月くんはこの子のこういう無邪気なところに惹かれたんだろうね。秀吾くん、観月くんはもうメロメロでしょう?」

「はい。それはもう。でも、理央くんがいてくれるだけで仕事も捗るので、事務所としても最高ですよ」

「それならいいじゃない。お互いに必要とできる相手に出会えるのは確率が低いものだよ。君たちは幸せだと思わなきゃ!」

ああ、もうそれは俺が痛いほど感じてる。本当に秀吾と幼馴染で出会えたことに感謝しているんだ。

「さぁ、教授。お話はその辺にして、始めましょう」

「ああ。そうだね。あっちの棚だった?」

「ああ、いいですよ、僕が取ります」

秀吾は少し離れた棚から悩むこともなく、資料を取り出し持ってきた。

「本当に秀吾くんは優秀だな。今からでも観月くんに頼んで秀吾くんを私の秘書にしてもらいたいくらいだよ」

「残念ながら観月先生は手放さないと思いますよ。秀吾は本当になくてはならない存在ですから」

「なら、彼を秘書にしようか?」

「教授、冗談でもそんなことを言ったら、特別講師に来てくれる話が流れてしまいますよ」

「わぁっ! それは困る、今のは無しで!」

「ふふっ」
「ははっ」

そんな楽しい教授に、緊張していた理央くんもすっかり笑顔を見せてくれるようになっていた。
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