1 / 24
僕の理想の男性像
しおりを挟む
小学生三年生の時、同じクラスのサッカーが上手い子を好きになった。
足が速くて、笑顔がかっこいいって思った。
でも五年生で違うクラスになって、僕は今度は同じクラスのバスケが上手な子が好きになった。
スラリと身長が高くて鍛えられた身体にドキッとした。
中学に入って、年上の英語の非常勤講師の先生がかっこいいなと思った。
だから必死に勉強して英語が得意科目になったのに、夏休みにアメリカに帰ってしまった。
新学期に入り、今度は学年トップの頭のいい子を好きになった。
その人と同じ高校に行きたくて、必死に勉強した。
でも、残念なことに彼は途中で進路を変えてしまった。
その理由は付き合い始めた彼女と同じ高校に行くため。
狙っていた高校は男子校だったから、彼はその高校に行くのを諦めた。
結局、僕は志望校を変えられないまま、県内で一番偏差値の高い高校に通うことになった。
高校生になり、周りが女子のことばかり話すのを聞いて、僕は自分が男の人にしか興味を持てない人間なのだと言うことをようやく知った。
男子校に通いながら、自分が男にしか興味を持てないことがバレたら男目当てでこの高校を目指したと思われる。
そうしたらきっと僕はひとりぼっちになって高校生活を過ごすことになるだろう。
だから、必死にみんなにはバレないようにした。
好きな女性のタイプも、周りに合わせて適当にスラリと身長が高い人って言って、全然興味もないアイドルの写真を見て可愛いと言ったりもした。
学校では自分の気持ちを抑える日々だったから、家では自分の好きなものに囲まれていたかった。
でも僕が住んでいるところではまだまだ同性愛への偏見が根強い。
両親には絶対に知られるわけにはいかなかった。
だから、僕は自分の欲望を満たすために絵を描き始めた。
元々、絵を描くのが好きだったから、自分の理想を詰め込んだ人の絵を描いた。
こんな人がいたらいいな。
そんな思いを乗せて、筆を走らせた。
足が速そうで、シックスパックの鍛えた身体をしていて、腰の位置は一体どこなんだろうと思ってしまうほど足が長くてスラリと高い身長した、そして見るからに頭の良さそうな、笑顔が優しくてかっこいい人。
これまでいいなと思っていた人の全てを網羅したような、僕の理想の男性。
こんな人と一生一緒にいられたら……
ううん、そんなのは贅沢すぎる。
こんな人と一日、いや一晩だけでも一緒に過ごして僕を愛してもらえたら……
僕はもう、その思い出だけで一生生きていける。
密かな希望を持ちながら、僕はなんとか友人にも両親にも気づかれることなく高校生活を終えた。
大学受験のとき、僕はこの田舎を離れたくて東京の大学を探した。
自分のやりたいことが学べて、そして給付型の奨学金が充実している大学。
そして見つけたのが、桜守大学だった。
一生懸命調べて、成績もなんとかなると確証を得て両親に桜守大学を受験したいと説得しようとしたけれど、何度話をしても東京に出るのは許さない。一人暮らしはさせない。大学は家から通える国立大学のみの一点張りで、結局僕は家から一時間ほどの距離にある国立大学に進学することになった。
大学の勉強はもちろんやりたいことだったから楽しい。
だけどずっと両親の監視下に置かれているようで息が詰まりそうだった。
夜中に僕が描いた理想の男性像を見ながら、その人に抱かれているのを想像してお尻に指を入れてオナニーする時も、声は出さないように必死に抑えて、下で物音がしたらすぐに動きを止めて……の繰り返し。
なかなか気持ちよくなれなくて大変だった。
どうにかして一人暮らしをしたくて、アルバイトをしようとしたけれど、働く暇があるなら実家の仕事を手伝えと言われてアルバイトは許してもらえなかった。
それどころか、そのアルバイトで父さんの会社に融資をしてくれている人の娘さんが僕を好きになったとかで、大学を辞めてその子と結婚するように言われてしまった。
その子は美人の部類に入るだろう。
だけど、僕は彼女と生活を共にするなんて考えられない。
だって、男の人が好きなんだから。
でもその理由を両親に告げることはできない。
勉強がしたいから結婚はできないと何度も訴えたけれど話を聞いてもらえず、僕が拒否をしている間に勝手に結婚話が進んでしまっていた。
女性を抱くこともできないのに結婚なんてできない。
それ以上に、誰にもこの身体を愛してもらえないまま結婚するのが嫌で仕方がなかった。
一度だけでいい。
僕の全てを気持ちよくしてくれるようなセックスがしたい。
今、行動しなければ一生後悔する。
その思いがどうしても抑えれきれずに、僕はゲイ専用のマッチングアプリをインストールした。
顔を腕と手のひらで隠し、写真を撮った。
<僕の名前はライトと言います。二十歳になったばかりのネコの大学生です。誰か僕とホテルに行って処女を貰ってもらえませんか? ホテル代は僕が出します。どうぞお願いします>
すぐにでも経験したくて、そんな誘いメッセージを自己紹介欄に書いた。
一人でも目を止めてもらえたら……そんな期待をこめて投稿すると、通知が鳴り止まないほどのメッセージが次々に送られてきた。
足が速くて、笑顔がかっこいいって思った。
でも五年生で違うクラスになって、僕は今度は同じクラスのバスケが上手な子が好きになった。
スラリと身長が高くて鍛えられた身体にドキッとした。
中学に入って、年上の英語の非常勤講師の先生がかっこいいなと思った。
だから必死に勉強して英語が得意科目になったのに、夏休みにアメリカに帰ってしまった。
新学期に入り、今度は学年トップの頭のいい子を好きになった。
その人と同じ高校に行きたくて、必死に勉強した。
でも、残念なことに彼は途中で進路を変えてしまった。
その理由は付き合い始めた彼女と同じ高校に行くため。
狙っていた高校は男子校だったから、彼はその高校に行くのを諦めた。
結局、僕は志望校を変えられないまま、県内で一番偏差値の高い高校に通うことになった。
高校生になり、周りが女子のことばかり話すのを聞いて、僕は自分が男の人にしか興味を持てない人間なのだと言うことをようやく知った。
男子校に通いながら、自分が男にしか興味を持てないことがバレたら男目当てでこの高校を目指したと思われる。
そうしたらきっと僕はひとりぼっちになって高校生活を過ごすことになるだろう。
だから、必死にみんなにはバレないようにした。
好きな女性のタイプも、周りに合わせて適当にスラリと身長が高い人って言って、全然興味もないアイドルの写真を見て可愛いと言ったりもした。
学校では自分の気持ちを抑える日々だったから、家では自分の好きなものに囲まれていたかった。
でも僕が住んでいるところではまだまだ同性愛への偏見が根強い。
両親には絶対に知られるわけにはいかなかった。
だから、僕は自分の欲望を満たすために絵を描き始めた。
元々、絵を描くのが好きだったから、自分の理想を詰め込んだ人の絵を描いた。
こんな人がいたらいいな。
そんな思いを乗せて、筆を走らせた。
足が速そうで、シックスパックの鍛えた身体をしていて、腰の位置は一体どこなんだろうと思ってしまうほど足が長くてスラリと高い身長した、そして見るからに頭の良さそうな、笑顔が優しくてかっこいい人。
これまでいいなと思っていた人の全てを網羅したような、僕の理想の男性。
こんな人と一生一緒にいられたら……
ううん、そんなのは贅沢すぎる。
こんな人と一日、いや一晩だけでも一緒に過ごして僕を愛してもらえたら……
僕はもう、その思い出だけで一生生きていける。
密かな希望を持ちながら、僕はなんとか友人にも両親にも気づかれることなく高校生活を終えた。
大学受験のとき、僕はこの田舎を離れたくて東京の大学を探した。
自分のやりたいことが学べて、そして給付型の奨学金が充実している大学。
そして見つけたのが、桜守大学だった。
一生懸命調べて、成績もなんとかなると確証を得て両親に桜守大学を受験したいと説得しようとしたけれど、何度話をしても東京に出るのは許さない。一人暮らしはさせない。大学は家から通える国立大学のみの一点張りで、結局僕は家から一時間ほどの距離にある国立大学に進学することになった。
大学の勉強はもちろんやりたいことだったから楽しい。
だけどずっと両親の監視下に置かれているようで息が詰まりそうだった。
夜中に僕が描いた理想の男性像を見ながら、その人に抱かれているのを想像してお尻に指を入れてオナニーする時も、声は出さないように必死に抑えて、下で物音がしたらすぐに動きを止めて……の繰り返し。
なかなか気持ちよくなれなくて大変だった。
どうにかして一人暮らしをしたくて、アルバイトをしようとしたけれど、働く暇があるなら実家の仕事を手伝えと言われてアルバイトは許してもらえなかった。
それどころか、そのアルバイトで父さんの会社に融資をしてくれている人の娘さんが僕を好きになったとかで、大学を辞めてその子と結婚するように言われてしまった。
その子は美人の部類に入るだろう。
だけど、僕は彼女と生活を共にするなんて考えられない。
だって、男の人が好きなんだから。
でもその理由を両親に告げることはできない。
勉強がしたいから結婚はできないと何度も訴えたけれど話を聞いてもらえず、僕が拒否をしている間に勝手に結婚話が進んでしまっていた。
女性を抱くこともできないのに結婚なんてできない。
それ以上に、誰にもこの身体を愛してもらえないまま結婚するのが嫌で仕方がなかった。
一度だけでいい。
僕の全てを気持ちよくしてくれるようなセックスがしたい。
今、行動しなければ一生後悔する。
その思いがどうしても抑えれきれずに、僕はゲイ専用のマッチングアプリをインストールした。
顔を腕と手のひらで隠し、写真を撮った。
<僕の名前はライトと言います。二十歳になったばかりのネコの大学生です。誰か僕とホテルに行って処女を貰ってもらえませんか? ホテル代は僕が出します。どうぞお願いします>
すぐにでも経験したくて、そんな誘いメッセージを自己紹介欄に書いた。
一人でも目を止めてもらえたら……そんな期待をこめて投稿すると、通知が鳴り止まないほどのメッセージが次々に送られてきた。
515
あなたにおすすめの小説
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される
秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました!
最終17位でした!応援ありがとうございます!
あらすじ
魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。
ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。
死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――?
傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる
水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
バイト先に元カレがいるんだが、どうすりゃいい?
cheeery
BL
サークルに一人暮らしと、完璧なキャンパスライフが始まった俺……広瀬 陽(ひろせ あき)
ひとつ問題があるとすれば金欠であるということだけ。
「そうだ、バイトをしよう!」
一人暮らしをしている近くのカフェでバイトをすることが決まり、初めてのバイトの日。
教育係として現れたのは……なんと高二の冬に俺を振った元カレ、三上 隼人(みかみ はやと)だった!
なんで元カレがここにいるんだよ!
俺の気持ちを弄んでフッた最低な元カレだったのに……。
「あんまり隙見せない方がいいよ。遠慮なくつけこむから」
「ねぇ、今どっちにドキドキしてる?」
なんか、俺……ずっと心臓が落ち着かねぇ!
もう一度期待したら、また傷つく?
あの時、俺たちが別れた本当の理由は──?
「そろそろ我慢の限界かも」
塩対応の同室αが実は俺の番を狙っていた
雪兎
BL
あらすじ
全寮制の名門学園に入学したΩの俺は、入寮初日から最悪の同室相手に当たった。
相手は学年でも有名な優等生α。
成績優秀、運動もできる、顔もいい。なのに——
めちゃくちゃ塩対応。
挨拶しても「……ああ」。
話しかけても「別に」。
距離も近づけないし、なぜか妙に警戒されている気がする。
(俺、そんなに嫌われてる……?)
同室なのに会話は最低限。
むしろ避けられている気さえある。
けれどある日、発情期トラブルで倒れた俺を助けてくれたのは、
その塩対応αだった。
しかも普段とは違い、必死な顔で言われる。
「……他のαに近づくな」
「お前は俺の……」
そこで言葉を飲み込む彼。
それ以来、少しずつ態度が変わり始める。
距離は相変わらず近くない。
口数も少ない。
だけど――
他のαが近づくと、さりげなく間に入る。
発情期が近いと察すると、さりげなく世話を焼く。
そして時々、独占欲を隠しきれない視線。
実は彼はずっと前から知っていた。
俺が、
自分の運命の番かもしれないΩだということを。
だからこそ距離を取っていた。
触れたら、もう止まれなくなるから。
だけど同室生活の中で、
少しずつ、確実に距離は変わっていく。
塩対応の裏に隠されていたのは――
重すぎるほどの独占欲だった。
ヒートより厄介な恋をα後輩に教え込まれる
雪兎
BL
大学三年のΩ・篠宮湊は、何事も理屈で考えるタイプ。
ヒート管理も完璧で、恋愛とは距離を置いてきた。
「フェロモンに振り回されるのは非合理的」
そう思っていたのに――。
新学期、同じゼミに入ってきた後輩は、やたら距離の近いα・高瀬蒼。
人懐っこくて優秀、なのに湊にだけ妙に構ってくる。
「先輩って、恋したことないでしょ」
「……必要ないからな」
「じゃあ俺が教えますよ。ヒートより面倒なやつ」
余裕のあるα後輩と、恋に不慣れなΩ先輩。
からかわれているはずなのに、気づけば湊の心は少しずつ乱されていく。
これは、理屈ではどうにもならない
“ヒートより厄介な恋”を教え込まれる物語。
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる