ウブな子猫はゲイアプリで出会った理想の男性に愛されたくてたまらない!

波木真帆

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タクさんだ!

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えっ、どうしよう……

ちょっと怖いんだけど……

あまりにも次々送られてくるメッセージにどうしていいかわからなくなる。

とりあえず一番最初に送ってくれた人に返事をしてから考えたらいいか。

その間も次々に入ってくるメッセージのようやく先頭に辿り着き、メッセージを開いてみた。

<ライトくん。プロフ見たよ。初めてのネコちゃんなら、俺のような大人の男に任せたほうが安心だよ。すぐに返事ちょうだい。絶対だよ。タク>

タク、さんか……

プロフィール画像を見ると、口元から下の画像だけ。
しかも口元はスマホで隠してあって、顔はわからない。
だけど、鍛えた身体と身長が高そうなのは写真からでもわかる。

僕は何もかも初めてだし、年上の男の人に身を任せたほうが確かに安心だな……

とりあえずタクさんに決めるかどうかは別として、メッセージをくれた返事だけは返しておいたほうがいいか。

<タクさん。メッセージありがとうございます。僕なんかにメッセージを送ってくださって嬉しいです。初めての登録でいろんな人からメッセージがいっぱい届いてドキドキしています。あの、タクさんは本当に僕とホテルに行ってくれますか? 何もわからないので迷惑をかけちゃうかもしれませんがそれでも大丈夫ですか? ライト>

何度も読み返して、これなら嫌われることはないよね? とドキドキしながらも送信した。

すると、すぐにタクさんからチャットする部屋の誘いが来て、僕はそこに移動した。

<ライトくん。返事ありがとう。他の人からもいっぱいメッセージが来てるんだね。とりあえず今は俺とやりとりが始まったから、他のやつからの通知はオフにして。それがこのアプリのルールだから>

そんなチャットメールが来て、僕は慌てて他の人から届くメッセージの通知をオフにした。
知らなかった。そんなルールがあるんだな。
でも何人ともやり取りするなんて大変だから、確かに一人に絞ったほうが安心かも。

<タクさん。教えてくださってありがとうございます。早速通知をオフにしました>

<よかった。これでライトくんとゆっくり話せるね。それでプロフィールに載せてた文章だけどあれは本気なんだよね? ホテルに行きたいって、体験したいってことだよね?>

<はい。僕、事情があって直ぐにでも体験したくて……タクさんは僕とえっちしてくれますか?>

こんなにもすぐにがっついて嫌がられるのは百も承知だ。でも僕には時間がない。
ダメだって言われたらもうここでタクさんは諦めるしかないんだ。

<ははっ。積極的なネコちゃんだな。まぁ悪くないけど。それじゃあ、二十万円で君の願いをなんでも叶えるよ。準備できる?>

えっ、二十万?
それってお金払ったらすぐに体験させてくれるってこと?
どうしよう……

頭の中で自分の通帳の残高を思い出す。
もらったお小遣いとかお年玉とか使わずに取ってたけど、大学入ってから必要なものを揃えるのに使っちゃったんだ。

<えっ、お金……あの、二十万はちょっと厳しいです。十万ならなんとか用意できます>

これが僕の精一杯だ。
二十万必要ならどこかでアルバイトをしてお金を貯めてからもう一度えっちしてくれる人を探すしかない。

<そうか。本当は処女の相手なら二十は必要なんだけど、まだ大学生だもんな。いいよ、じゃあ十万で願いを叶えるよ>

そう言われて、ほっとした。
よかった、それならなんとかできる。

<ありがとうございます! あの、いつどこに行ったらいいでしょうか?>

<○月×日の夜六時に△駅のモニュメント近くのベンチにいるよ。メガネをかけているから声をかけてくれ>

<わかりました。ありがとうございます! 僕、おっきなカバンを持っていくのですぐにわかると思います>

そうしてタクさんとの約束が決まった。

僕はすぐに△駅を調べた。
すぐに都内の大きな駅が出てきた。

モニュメントって、これかな?

うちからこの駅までは……乗り換えを入れて三時間くらいで行けそう。

僕はすぐに予定を立てて、その日に備えた。
両親には東京に行くことは絶対に内緒にしないと。
約束の日は大学が休みの日。
僕のスケジュールは両親にはバレているから、どこかに出かけたらすぐに気づかれてしまう。
なんとか夜中の間にこっそりと荷物を鞄に詰めて、窓から外に投げ捨てておいた。

昼に一度母親が家に戻ってくるから、その時は何事もないように振る舞って母親を見送り、急いで家を出た。
小さな町だから、電車に乗るところを見られたら困る。

深めに被った帽子で顔を隠しつつ、やってきた電車に飛び乗った。
乗り換えの場所に手間取って、電車を一本乗り遅れてしまったけれど、なんとか約束の駅に到着した。

スマホを見たらもうすぐ六時。
よかった、間に合った。

でも想像していた以上に人が多い。
さすが東京だ。

この中からタクさんを見つけないといけないんだよな。

タクさんのほうから声をかけてきてくれたらありがたいんだけど……

そんなことを思いつつ、駅の入り口にある数段の段差の上からぐるりと辺りを見回した。

メガネ……メガネ……

でもそんな人いっぱいいるんだけど……

あ! 着いたってメッセージ送ったらわかるんじゃないかな?
いいこと思いついたとばかりに鞄からスマホを取り出そうとした時、僕の視界にベンチに座っていた男の人が飛び込んできた。

「――っ! あの人……」

僕がずっと見続けてきた理想の男性がそこにいた。
顔も、座っている姿も、全て僕の理想通り。

しかも、メガネをかけている。

あの人が、タクさんなんじゃない?

まさか、ずっと夢見ていた人にこんな形で出会うなんて…‥運命としか言いようがない。

僕は、いても立ってもいられずベンチに座っていた人のもとに駆け寄った。

本を読んでいる姿もかっこいい。
声をかけたら邪魔、しちゃうかな……

かっこいいから、少し見つめててもいいかも。

ドキドキしながら、彼が本を読んでいるのを見ていると、ふっと彼が顔を上げた。
そしてその目が僕を見る。

「――っ」

かっこよくてドキドキが止まらない。
やっぱり、この人がタクさん?

口から心臓が飛び出しそうになりながら僕は意を決して尋ねた。

「あの! タク、さんですか?」

お願い、タクさんであって!

心の中で必死に祈りながら、彼を見つめた。

すると、彼はちょっと驚きつつも僕に笑顔を見せてくれた。

「ああ、そうだよ。君は約束の……」

「は、はい! そうです! 今日はよろしくお願いします!」

僕の理想の人と出会えた……
それだけで僕は天に昇るほど嬉しかった。
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