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僕の希望
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「良かったら君の名前を教えてくれないかな?」
優しく問いかけられて僕は自分の名前を告げた。
有川ひかり。
女の子みたいな名前だって揶揄われたこともあったけれど、それは当然だ。
両親が女の子が生まれると思って考えていた名前だそうだから。
他の名前を考える時間もなくて、そのままつけたと聞いている。
アプリのハンドルネームはいい名前が思いつかなくて、ひかりをそのまま英語にした。
「ひかりくん。君の話を聞かせてほしい。でも、話したくないことは話さなくていいよ」
これまで自分の性的指向は誰にも言えなかった。
それほど心を許せる相手がいなかったから。
話したら最後、次の日には近所中に知れ渡っているかもしれないという恐怖があった。
けれど、沖野先生は違う。
その優しい声で問いかけられるとなんでも話したくなってくる。
先生ならきっと揶揄ったりせずにちゃんと受け止めてもらえる。
そう信じて話をした。
これまで好きになった人が全員男性だったこと。
でも自分が住んでいた場所が田舎だから、誰にもバレないようにアプリで同じゲイの人を探したこと。
そして、『タク』さんからDMが来てお金を渡したらえっちしてもらえることになったこと。
そこまで話して、沖野先生と『タク』さんを間違えていたのを謝ってなかったことを思い出した。
「まさか違う人だとは思わなかったから……間違えてしまってごめんなさい」
心を込めて謝ると、気にしないでいいと優しい言葉が降ってくる。
本当にいい人だ。
「それより大学生ってことだけど、君はいくつかな? ここは正直に教えてくれるかな?」
大人として、僕がちゃんと成人しているかを知りたいんだろう。
未成年がこんなことをしていたら、警察に通報されたりしちゃうかな?
僕は自分の事情でえっちしてもらうから、相手の人に迷惑をかけるわけにはいかないと思っていた。
だからちゃんと自分が二十歳を超えてから行動したんだ。
僕は持っていた鞄から学生証を取り出し、二十歳だと告げた。
これで僕が成人しているって、信じてもらえるかな?
沖野先生は僕の学生証をじっくりと見ると、それをテーブルに置き、真剣な眼差しを僕に向けた。
「じゃあこれからは大人として話をさせてもらうね。男同士の恋愛や体験をすることが悪いとは私は思っていない。だが、君が使っていたようなアプリでセックスする相手を探すのは医師としてはやめたほうがいいと言わせてほしい」
今はマッチングアプリは流行っているし、大学の友人でもそれで恋人ができたとか話を聞いたことがある。
それくらい今はよくあることだと思っていただけにはっきりと否定されてドキッとしてしまう。
「あの、どうしてですか? 今は誰でもやってるって……」
震えそうになりながら尋ねると、沖野先生は病気のことを教えてくれた。
性病にかかるリスクが高い。
そして、それにかかったこともわからないまま、周りに広めてしまうかもしれない。
そう言われたら、一気に怖くなった。
確かにそうだ。
自分には病気はないのはわかっているけれど、相手はどうかわからない。
たくさんの人とそういうことをしていたらそのリスクは高くなる。
やっぱり僕には無理だ……
それを知ってしまったら、もう誰かを探してえっちしてもらうなんてできない。
「ひかりくん。そもそもあれは愛し合う行為だから、誰でもいいから処女をもらって欲しいなんて言うのはどうかと思うよ」
ど正論を言われて悲しくなる。
本当は僕だって、心から愛する人とえっちがしたかった。
でもそれを待っていたら、間に合わなくなってしまう。
僕に何か事情があるのかと察してくれた先生に、声をうわずらせながら告げた。
「あの……僕、大学を卒業したら親の決めた相手と結婚しないといけなくて……それで、その前に男の人と体験しておきたくて……」
結婚の話がなかったら、ずっと待っていられた。
だけど、僕にはもう無理なのかもしれない。
諦めるしかないか。
自分にそう言い聞かせようとしたその時、僕の耳に思いがけない言葉が聞こえた。
「そうか……それなら、私がひかりくんの初体験の相手になろう」
えっ?
先生は、今なんて?
僕の、相手に?
うそっ! 本当?
もしかしたらそれは自分の願望が聞かせた幻聴かもしれない。
その疑惑を消せないまま、先生に聞き返した。
「えっ……沖野先生が?」
「私は医師として病気の検査は欠かさずしているし、ひかりくんに病気を移すことはないと断言できる。私には恋人もパートナーもいないから問題もない。初めての体験であっても決して怖がらせないと約束するし優しくする。私なら君の初体験の相手にぴったりだと思うが、私では君の相手になれないかな?」
相手になれないなんて……
「そんなっ、先生になら僕……」
先生にえっちしてもらえると思ってずっとドキドキしていたのに、別人だとわかってどれだけ悲しかったか……
それが、また先生とえっちできる希望ができたなんて……
お願い、夢なら醒めないでほしい。
そう願いながら、先生を見つめる。
すると、先生がふっと僕に笑顔を見せてくれた。
「それじゃあ、早速私の家に行こうか。それともホテルがいい?」
先生の家か、ホテルかなんて……僕が選んでもいいの?
先生は僕が緊張しない場所にしようと、優しい提案をしてくれる。
それなら僕の希望は一つしかない。
「僕、先生のお家に行きたいです」
先生の匂いに包まれて、先生をたっぷりと感じながらえっちしてもらえたら……その思い出だけで一生生きていけるんだから。
優しく問いかけられて僕は自分の名前を告げた。
有川ひかり。
女の子みたいな名前だって揶揄われたこともあったけれど、それは当然だ。
両親が女の子が生まれると思って考えていた名前だそうだから。
他の名前を考える時間もなくて、そのままつけたと聞いている。
アプリのハンドルネームはいい名前が思いつかなくて、ひかりをそのまま英語にした。
「ひかりくん。君の話を聞かせてほしい。でも、話したくないことは話さなくていいよ」
これまで自分の性的指向は誰にも言えなかった。
それほど心を許せる相手がいなかったから。
話したら最後、次の日には近所中に知れ渡っているかもしれないという恐怖があった。
けれど、沖野先生は違う。
その優しい声で問いかけられるとなんでも話したくなってくる。
先生ならきっと揶揄ったりせずにちゃんと受け止めてもらえる。
そう信じて話をした。
これまで好きになった人が全員男性だったこと。
でも自分が住んでいた場所が田舎だから、誰にもバレないようにアプリで同じゲイの人を探したこと。
そして、『タク』さんからDMが来てお金を渡したらえっちしてもらえることになったこと。
そこまで話して、沖野先生と『タク』さんを間違えていたのを謝ってなかったことを思い出した。
「まさか違う人だとは思わなかったから……間違えてしまってごめんなさい」
心を込めて謝ると、気にしないでいいと優しい言葉が降ってくる。
本当にいい人だ。
「それより大学生ってことだけど、君はいくつかな? ここは正直に教えてくれるかな?」
大人として、僕がちゃんと成人しているかを知りたいんだろう。
未成年がこんなことをしていたら、警察に通報されたりしちゃうかな?
僕は自分の事情でえっちしてもらうから、相手の人に迷惑をかけるわけにはいかないと思っていた。
だからちゃんと自分が二十歳を超えてから行動したんだ。
僕は持っていた鞄から学生証を取り出し、二十歳だと告げた。
これで僕が成人しているって、信じてもらえるかな?
沖野先生は僕の学生証をじっくりと見ると、それをテーブルに置き、真剣な眼差しを僕に向けた。
「じゃあこれからは大人として話をさせてもらうね。男同士の恋愛や体験をすることが悪いとは私は思っていない。だが、君が使っていたようなアプリでセックスする相手を探すのは医師としてはやめたほうがいいと言わせてほしい」
今はマッチングアプリは流行っているし、大学の友人でもそれで恋人ができたとか話を聞いたことがある。
それくらい今はよくあることだと思っていただけにはっきりと否定されてドキッとしてしまう。
「あの、どうしてですか? 今は誰でもやってるって……」
震えそうになりながら尋ねると、沖野先生は病気のことを教えてくれた。
性病にかかるリスクが高い。
そして、それにかかったこともわからないまま、周りに広めてしまうかもしれない。
そう言われたら、一気に怖くなった。
確かにそうだ。
自分には病気はないのはわかっているけれど、相手はどうかわからない。
たくさんの人とそういうことをしていたらそのリスクは高くなる。
やっぱり僕には無理だ……
それを知ってしまったら、もう誰かを探してえっちしてもらうなんてできない。
「ひかりくん。そもそもあれは愛し合う行為だから、誰でもいいから処女をもらって欲しいなんて言うのはどうかと思うよ」
ど正論を言われて悲しくなる。
本当は僕だって、心から愛する人とえっちがしたかった。
でもそれを待っていたら、間に合わなくなってしまう。
僕に何か事情があるのかと察してくれた先生に、声をうわずらせながら告げた。
「あの……僕、大学を卒業したら親の決めた相手と結婚しないといけなくて……それで、その前に男の人と体験しておきたくて……」
結婚の話がなかったら、ずっと待っていられた。
だけど、僕にはもう無理なのかもしれない。
諦めるしかないか。
自分にそう言い聞かせようとしたその時、僕の耳に思いがけない言葉が聞こえた。
「そうか……それなら、私がひかりくんの初体験の相手になろう」
えっ?
先生は、今なんて?
僕の、相手に?
うそっ! 本当?
もしかしたらそれは自分の願望が聞かせた幻聴かもしれない。
その疑惑を消せないまま、先生に聞き返した。
「えっ……沖野先生が?」
「私は医師として病気の検査は欠かさずしているし、ひかりくんに病気を移すことはないと断言できる。私には恋人もパートナーもいないから問題もない。初めての体験であっても決して怖がらせないと約束するし優しくする。私なら君の初体験の相手にぴったりだと思うが、私では君の相手になれないかな?」
相手になれないなんて……
「そんなっ、先生になら僕……」
先生にえっちしてもらえると思ってずっとドキドキしていたのに、別人だとわかってどれだけ悲しかったか……
それが、また先生とえっちできる希望ができたなんて……
お願い、夢なら醒めないでほしい。
そう願いながら、先生を見つめる。
すると、先生がふっと僕に笑顔を見せてくれた。
「それじゃあ、早速私の家に行こうか。それともホテルがいい?」
先生の家か、ホテルかなんて……僕が選んでもいいの?
先生は僕が緊張しない場所にしようと、優しい提案をしてくれる。
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