ウブな子猫はゲイアプリで出会った理想の男性に愛されたくてたまらない!

波木真帆

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番外編

僕の理想の人

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「拓哉さん。おかえりなさい!」

僕が拓哉さんと一緒に暮らすようになって数日。
仕事から帰ってきた拓哉さんを出迎えるのが、何よりも幸せな時間だ。

「ああ、ひかり。ただいま」

大きな腕で僕を抱きしめてくる。
そしていつもの……

思いっきり背伸びをして、拓哉さんにおかえりなさいのキスをする。

これは、拓哉さんからどうしてもしてほしいと頼まれたもの。
もちろん朝、出かけていく拓哉さんにもするけれど、やっぱり帰って来てくれた時のこのキスが嬉しい。

ちゅって重なるだけのキスだけど、自分から拓哉さんにするというのがまだ慣れない。
でも喜んでくれるから嬉しいんだ。

「ご飯食べますか?」

「ああ。でもちょっとその前に話したいことがあるんだ」

そう言われて胸がどきっとする。
もうここで一緒に住めなくなってしまったんじゃないかって、すぐに嫌な想像をしてしまう。

「こら、ひかり。またネガティブなことを考えているだろう? ダメだぞ」

そう言って、優しく注意しながら僕を抱きかかえてくれる。
拓哉さんはいつだってこんなに優しいのに、僕はなんでこうなんだろう……

「少し休もう」

拓哉さんは僕を抱きかかえたまま、ソファに腰を下ろした。
ギュッと抱きしめてくれると、ふわっと安心する匂いに包まれる。

「ごめんなさい、僕……」

「いや、ひかりはそれだけずっと辛い思いをして来たってことなんだろう。でも、信じてくれ。私がひかりを手放すことは一生ないってことを」

真剣な眼差しで見つめられる。拓哉さんの目に僕しか映っていないのがたまらなく嬉しい。

「はい。僕、ずっと拓哉さんのそばにいます」

「ああ、それでいい。ずっとそう思っててくれ」

抱きしめられると、拓哉さんの鼓動が聞こえる。
それがすごく安心する。

「このままでいいから、さっきの話を聞いててほしい。明日の午後、友人がうちを訪ねてくる」

「拓哉さんの、お友だちですか?」

「ああ。前に話しただろう? ひかりに私の戸籍に入ってほしいって。その手続きのための書類を持って来てくれるんだ」

「どうして、拓哉さんのお友だちが?」

不思議に思って尋ねると、拓哉さんは優しい笑みを浮かべて教えてくれた。

「友人は、弁護士なんだ。だから全ての手続きを頼んでいる」

「弁護士、さん……」

お医者さんの拓哉さんと、弁護士のお友だち。
拓哉さんって、本当にすごいんだな……

「そう。でもただの弁護士じゃないよ」

「えっ?」

ただの弁護士じゃないって、どういうこと?
驚く僕をみて、拓哉さんは楽しそうに笑いながら教えてくれた。

「この上なく優秀な弁護士だよ。なんせ、未だ負けなしの敏腕弁護士だからね」

「そんな、すごい人なんですか……」

どんな人なんだろう……

ついつい想像してみたくなる。
すると、突然拓哉さんが僕を強く抱きしめた。

「ど、どうしたんですか?」

「ごめん。ひかりが、成瀬に興味を持ったみたいだったからちょっと嫉妬した。だが、成瀬には大事な人がいるから……」

焦ったようにそんなことを言い出した拓哉さんをみて、僕は思わず笑ってしまった。

「僕はどんな人に会ったって、拓哉さん以外を好きにならないですよ。だって、拓哉さんは僕の理想の人だから」

ついでてしまった言葉に、拓哉さんが目を丸くする。
まだ内緒にしていようと思っていたのに……

「えっ? 理想の人? それはどういうことかな?」

「あ、あの……」

どうしよう……
拓哉さんに隠し事はしたくないな。
でも、引かれないか心配だ。

「ひかり?」

拓哉さんに見つめられて、僕は我慢できなくなった。

「あの、ちょっと待っててください」

「あっ、ちょ――っ」

僕は驚く拓哉さんの膝から下り、部屋に置かせてもらっていたあの大きなバッグから大切な思い出を入れていたクリアファイルを取り出した。それを持って急いでリビングに戻る。

まだ驚いたままの拓哉さんの元に戻り、僕は手に持っていたそれを差し出した。

「これ、見てもいいのかな?」

僕は小さく頷いた。
拓哉さんは僕が差し出したクリアファイルから数枚の紙を抜き取った。

「これは、私……?」

僕は、その答えに首を振って答えた。

「この人、僕の理想の人です」

「それは、どういうことだ?」

「僕が、ずっと頭に思い浮かべていた理想の人。こんな人に愛してもらいたいって、想像していた人です。だから……駅前で拓哉さんを見た時、奇跡が起きたと思いました。ずっと想像していた人が目の前にいたから……だから、僕……絶対にこの人に抱かれたいって思ったんです」

必死に思いを告げると、拓哉さんは目を丸くしたまま僕を見つめていた。

「ごめんなさい。やっぱり引きますよね……」

覚悟はしていたけど、やっぱり辛い。
一気に涙が出そうになるのを必死に堪える。

すると、拓哉さんはさっと腕を伸ばし、僕を抱き寄せた。

「引くなんて、あるはずないだろう! そんなことを言われて私がどれだけ喜んでいるか……」

「本当、ですか?」

「ああ。これ以上ない喜びだよ。ひかりがずっと私と出会うのを待っていてくれたんだからな」

そういうと、拓哉さんは僕を抱きかかえて歩き始めた。

「あ、あの……ど、どこに行くんですか?」

「寝室に決まってる。こんな可愛いことを告白されて我慢できるわけがないだろう」

そういうが早いか、僕はそのまま寝室に連れて行かれて、たっぷりと愛されまくった。
その間、ずっと愛してるよという言葉を伝えられて、僕は最高に幸せだった。

ああ……拓哉さんに出会えて本当によかった。
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感想 35

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みんなの感想(35件)

いぬぞ~
2026.01.11 いぬぞ~
ネタバレ含む
2026.01.16 波木真帆

いぬぞ〜さま。コメントありがとうございます!
最愛相手だと何度出しても濃くて量が多いからすごいですよね。
飲みたいと願っていたニャンコなので、嬉しくて仕方ないでしょうね。

ひかりは無自覚で煽ってくるタイプなんで(ニャンコはほぼそれですが笑)
旦那は落ち着く暇がないですねwww

いっくんとひかりは確かに似ているかも。
五百円のオムライス食べるために一日昼食抜いても……って頑張っちゃいそうだし。
二人を美味しい大人のお子様ランチの店に連れて行ってあげたいですね💕
また可愛いひかりが見れますね🥰

解除
いぬぞ~
2026.01.11 いぬぞ~
ネタバレ含む
2026.01.16 波木真帆

いぬぞ〜さま。コメントありがとうございます!
自分が夢見ていた事がどんどん叶っていく世界。
本当にひかりにしてみれば夢の世界ですね。

実際に使ったニャンコたちの感想を聞いて、さらに品質が良くなるんですよね。
祐悟にとってはあり難い限りですね。

ふふ🤭しっとりつやもちぷるる〜〜んが可愛い♡
でも本当そうなりますね✨

自分が先にイくよりは最愛をイかせたいですからね。
旦那の沽券に関わります(笑)

そうそう、自分だけ気持ち良くなればいいタイプ。
最悪なやつですよね。旦那さまには絶対にあり得ないですね。

解除
いぬぞ~
2026.01.11 いぬぞ~
ネタバレ含む
2026.01.16 波木真帆

いぬぞ〜さま。コメントありがとうございます!
>『悩める仔猫の相談室』
これは本当に必要かもしれませんね。
旦那ならいろいろ行動もできるでしょうが、人知れず悩んでいるニャンコたちは多いですからね。
料理できないニャンコは、あやちゃんの話聞いたらめちゃくちゃ安心しそう。
旦那たちはにゃんこができないから自分が頑張ろうと思ってくれますし、自分ができなくても美味しい食事を準備するのは可能ですから(デリバリーとか笑)
ニャンコの先輩に大丈夫って言ってもらえたらそれだけですごく安心できますね。

桜守の子自動的にこの相談室とか保健室にはたどり着けるようになるでしょうね。
理央や一花みたいなタイプは旦那さまと出会ってから、心配なことをこの相談室で教えてもらえると夫夫生活も安心できそうですね。

解除

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