ひとりぼっちになった僕は新しい家族に愛と幸せを教えてもらいました

波木真帆

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サンタとの約束

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<side卓>

久々の絢斗との二人の時間を満喫し、父は父で孫たちとのお泊まりを満喫した翌日、絢斗と二人で部屋にいると絢斗のスマホが振動を伝えた。

絢斗がスマホに目をやると相手は浅香くんのようだ。

「倉橋くんが帰国したから近々BGMについての話がしたいって。卓さん、どうする?」

スマホの画面を見せながら絢斗は私の隣に腰を下ろした。

「そうだな。直くんのプレゼントを毅たちのところまで持って行ってくれたお礼も早く言いたいし、早めに会えるようにしようか」

「うん。じゃあ、電話してみるよ」

そういうが早いか、絢斗はさっと浅香くんに電話をかけた。

ーもしもし、絢斗先生。

スピーカーから浅香くんの少し緊張した様子の声が聞こえてくる。

ーごめんね、直接話したほうが早いかと思って電話してしまった。

ーいいえ。今、ちょうど倉橋たちと食事をしているんです。だから電話いただけてよかったですよ。

ーそうなんだ、よかった。それで、例の打ち合わせだけど……

ーこちらはいつでも調整できるので、磯山先生と絢斗先生の都合に合わせられますよ。

ーあ、でも倉橋くんも参加するなら伊織くんは来られないんじゃない?

絢斗がそう思うのも無理はない。
倉橋くんが東京に来ている間は悠真くんが社長代理として西表を離れられない。
となると、伊織くんを東京に呼び出せば二人を離れ離れにさせてしまう。
数日とはいえ、それは可哀想すぎる。
そう思ってしまうのは、私が数日でも絢斗と離れるのが辛いからだ。

ー緑川教授、大丈夫ですよ。数日ならうちの名嘉村に任せておけば砂川も連れて来れます。

あちらもスピーカーで話をしていたようで倉橋くんの声が聞こえる。

ーそっか、それなら安心だね。じゃあ、卓さん……どうしようか?

絢斗に話を振られて急いで頭の中でスケジュールを確認するが、平日は絢斗との兼ね合いを考えると難しそうだ。

ーそうだな。それじゃあ週末でも構わないかな? ちょうど直くんを連れて制服の採寸に行くからその時がいい。

ーあ、うちの制服ですね。その時、一緒に教科書も販売することになってますのでお忘れなく。

ーははっ。ありがとう。忘れないようにするよ。打ち合わせの時間はそちらに合わせるから決めてくれていいよ。

ーわかりました。それでは決まりましたら絢斗先生のスマホにお送りしますね。

ーよろしく頼むよ。

そう言って電話を切った。

「倉橋くんに会えるってことは、航くんも連れてくるよね?」

「まぁそうだろうな」

彼が愛しい人を置いてくるとは考えられない。
公私共にいつでもそばに居させていると言っていたからな。

「じゃあ直くん、その日は二人のサンタさんに会えるね。お礼が言いたいって言ってたからよかった」

「ははっ。そうだったな。それにしても倉橋くんがサンタか。まさか倉橋くんも自分がサンタだと思われているなんて思ってないだろうな」

「直くんに話をしに行こう!」

「そうだな」

毅と二葉さんが直くんのマフラーをもらって喜んでいた映像まで送ってくれた二人には感謝してもしきれない。
お礼をしたいが、二人には何を返せばいいのか……。

会うまでに少し考えておかなければいけないな。


二人で部屋を出てまずは演奏ルームに向かう。
カチャリと扉を開けると直くんが奏でる美しい音色に迎えられた。

「直くん、この曲も素敵だね」

「あやちゃん! パパも!」

私たちの姿を見て喜ぶ直くんの傍には当然のように昇がいる。

浪人すると決めたが、勉強の手を緩めたわけではない昇にとっては直くんとのこのひとときが癒しなのだろう。

「伯父さんたち、何かあった?」

今はお互いの時間を楽しむ時間だから突然部屋に来たことに驚いてるようだ。

「あ、そうそう。直くん、週末にサンタさんに会えるよ」

「えっ? 週末?」

クリスマスにはまだ早いのにと思っているんだろう。
キョトンとした顔が可愛い。

「前に話していたイリゼホテルのBGMの話。打ち合わせを週末にすることになったんだけど、そこに二葉さんたちに直くんのプレゼントを運んでくれたサンタさんたちが来てくれるんだよ」

「わぁ! あのサンタさんにあえるんですか? 嬉しい! 僕、お礼が言いたかったんです!」

「直くんに会えたらきっとサンタさんたちも喜ぶよ」

本当に直くんの中では倉橋くんと藤乃くんはサンタクロースになっているんだな。

こうなると、クリスマス当日に直くんを喜ばせに来てくれる本物の・・・サンタには頑張ってもらわないといけないな。
さて、どうなるか楽しみだ。
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