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最高のクリスマス
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直くんへのクリスマスプレゼントをネックレスにしようと決めたのは、宗一郎さんの家で餃子パーティーをした日だった。
あの日、悠真さんの首にキラッと輝くのが見えて、こっそり伊織さんに尋ねた。
「あれって伊織さんからの贈り物?」
そう聞いただけで、伊織さんは何について尋ねているのかわかったようだ。
「ああ、そうだよ。新居が完成して、二人で暮らせるようになった記念に悠真にプレゼントしたんだ」
「どうして指輪じゃなくて、ネックレス?」
二人で暮らせるようになったなら、もう夫夫同然だ。
指輪のほうがもっと記念になりそうなのに。
「指輪は結婚式を挙げるときに残しておこうと思ったんだよ。まだ宗一郎さんたちには具体的な話はしていないけど、来年春に西表島イリゼホテルで結婚式を挙げる予定にしているんだ。年が明けたら招待状を送るから、昇くんもぜひ来てくれ」
「えっ、結婚式? しかも西表のイリゼホテルで?」
「ああ、結婚式と披露宴以外にも島民の皆さんに向けてお披露目会もやるつもりだからかなり大掛かりなことになりそうだ。そのために半年以上前から二人で計画して準備しているんだよ」
「半年以上前? すごいっ」
「悠真が西表の皆さんに愛されているからね、彼らにもお披露しないと申し訳ないんだよ。私が離れている間もずっと悠真のことを見守ってくれていた人たちばかりだから」
西表島といえば二千五百人足らずの小さな島。
その全員が悠真さんのことを知っていて、みんなが悠真さんと伊織さんの結婚を祝福している。
そうなるまでにきっといろんなことがあったに違いない。
伊織さんが悠真さんを紹介してくれたのは、まだ俺が小学生の時だったもんな。
あの時はまだ伊織さんは東京に住んでて、お互いに東京と沖縄を行ったり来たりしていた。
その後、伊織さんが石垣に移って、距離は縮まったけれど、それでも離れ離れの日々が続いてようやく一緒に暮らせることになったんだ。
俺も直くんと最後まで繋がるのはまだ三年ちょっと先だけど、毎日一緒にいられる。
今更、離れ離れで生活するなんて耐えられないもんな。
「結婚式は君たちの春休みにする予定だから、必ず出席してほしい」
「うん。招待状が届いたら絶対に伯父さんに行くって話をするよ!」
俺が笑顔で返すと、伊織さんは幸せそうに笑っていた。
俺が初めて会った頃の伊織さんは、優しかったけれどこんな笑顔を見せるような人じゃなかった。
でも悠真さんを紹介してくれた時、悠真さんに向ける笑顔が俺の知っている表情とまるで違くて、あの人は伊織さんの特別な人なんだって理解した。
伊織さんの特別な人が男の人だったことは、大して驚きはなかった。
それはきっと伯父さんと絢斗さんの仲の良さを生まれた時から間近で見ていたからだろう。
だから、物心ついた時には好きな人は男とか女とか関係ないって思えるようになっていたし、俺もいつか男女問わず特別な人ができるといいなって思っていた。
直くんと出会ってすぐに特別な存在だとわかったのも生まれた時から伯父さんたちや宗一郎さんたち、それに大きくなってからも伊織さんたち、成瀬さんたちの姿を見てきたからかもしれない。
「あのさ、伊織さん……ちょっと相談があって……」
俺は直くんへのクリスマスプレゼントにネックレスを買いたいと告げた。
本当は指輪にしようかなってちょっと思ってたけど、伊織さんの話を聞いていたら、今はまだ指輪を挙げる時機じゃないって思った。それに直くんはまだ成長期。指も成長するだろうし、指輪が小さくなって入らないなんてことになったら直くんがショックを受けそうだ。
「おもちゃのネックレスなんかをあげたくないんだ。直くんへの初めてのクリスマスプレゼントは記念に残るものにしたい。だから、悠真さんのネックレスを買ったお店を紹介してほしい」
ものすごく稼いでいる伊織さんが心から愛している悠真さんに贈るネックレス。
しかも新居ができて一緒に暮らせるようになった記念のネックレスだから、かなりの値段はしそうだけど、俺だってそこそこ株や投資で稼いでいる。
悠真さんのとまではいかなくてもそこそこいいものは買えるだろう。
伊織さんは俺の気持ちを理解してくれて、その後二人で都合を合わせて宝飾店に連れて行ってくれた。
俺が選んでいる間、伊織さんはなんの口出しもせず、持っていたタブレットで仕事をしていた。
そうして見つけたのが、今、直くんの胸元で輝いているネックレスだ。
1カラットの一粒ダイヤ。
これを見た瞬間、これしかないと思えた。
俺が購入を決めてから見にきた伊織さんは、俺が選んだ宝石を見て、いいのを選んだと褒めてくれた。
そうして今日のこの日を迎えた。
「すごく綺麗です。ずっと大切にしますね!」
直くんは無邪気な笑顔を見せながら俺に抱きつき、ちゅっと直くんからキスをしてくれた。
なんのお返しもできなくて……と言っていたけれど、俺にとっては直くんが喜んでくれて、しかも直くんからキスしてくれた。それだけで最高の贈り物だ。
今年のクリスマスが直くんだけでなく、俺にとっても最高のクリスマスになったみたいだ。
あの日、悠真さんの首にキラッと輝くのが見えて、こっそり伊織さんに尋ねた。
「あれって伊織さんからの贈り物?」
そう聞いただけで、伊織さんは何について尋ねているのかわかったようだ。
「ああ、そうだよ。新居が完成して、二人で暮らせるようになった記念に悠真にプレゼントしたんだ」
「どうして指輪じゃなくて、ネックレス?」
二人で暮らせるようになったなら、もう夫夫同然だ。
指輪のほうがもっと記念になりそうなのに。
「指輪は結婚式を挙げるときに残しておこうと思ったんだよ。まだ宗一郎さんたちには具体的な話はしていないけど、来年春に西表島イリゼホテルで結婚式を挙げる予定にしているんだ。年が明けたら招待状を送るから、昇くんもぜひ来てくれ」
「えっ、結婚式? しかも西表のイリゼホテルで?」
「ああ、結婚式と披露宴以外にも島民の皆さんに向けてお披露目会もやるつもりだからかなり大掛かりなことになりそうだ。そのために半年以上前から二人で計画して準備しているんだよ」
「半年以上前? すごいっ」
「悠真が西表の皆さんに愛されているからね、彼らにもお披露しないと申し訳ないんだよ。私が離れている間もずっと悠真のことを見守ってくれていた人たちばかりだから」
西表島といえば二千五百人足らずの小さな島。
その全員が悠真さんのことを知っていて、みんなが悠真さんと伊織さんの結婚を祝福している。
そうなるまでにきっといろんなことがあったに違いない。
伊織さんが悠真さんを紹介してくれたのは、まだ俺が小学生の時だったもんな。
あの時はまだ伊織さんは東京に住んでて、お互いに東京と沖縄を行ったり来たりしていた。
その後、伊織さんが石垣に移って、距離は縮まったけれど、それでも離れ離れの日々が続いてようやく一緒に暮らせることになったんだ。
俺も直くんと最後まで繋がるのはまだ三年ちょっと先だけど、毎日一緒にいられる。
今更、離れ離れで生活するなんて耐えられないもんな。
「結婚式は君たちの春休みにする予定だから、必ず出席してほしい」
「うん。招待状が届いたら絶対に伯父さんに行くって話をするよ!」
俺が笑顔で返すと、伊織さんは幸せそうに笑っていた。
俺が初めて会った頃の伊織さんは、優しかったけれどこんな笑顔を見せるような人じゃなかった。
でも悠真さんを紹介してくれた時、悠真さんに向ける笑顔が俺の知っている表情とまるで違くて、あの人は伊織さんの特別な人なんだって理解した。
伊織さんの特別な人が男の人だったことは、大して驚きはなかった。
それはきっと伯父さんと絢斗さんの仲の良さを生まれた時から間近で見ていたからだろう。
だから、物心ついた時には好きな人は男とか女とか関係ないって思えるようになっていたし、俺もいつか男女問わず特別な人ができるといいなって思っていた。
直くんと出会ってすぐに特別な存在だとわかったのも生まれた時から伯父さんたちや宗一郎さんたち、それに大きくなってからも伊織さんたち、成瀬さんたちの姿を見てきたからかもしれない。
「あのさ、伊織さん……ちょっと相談があって……」
俺は直くんへのクリスマスプレゼントにネックレスを買いたいと告げた。
本当は指輪にしようかなってちょっと思ってたけど、伊織さんの話を聞いていたら、今はまだ指輪を挙げる時機じゃないって思った。それに直くんはまだ成長期。指も成長するだろうし、指輪が小さくなって入らないなんてことになったら直くんがショックを受けそうだ。
「おもちゃのネックレスなんかをあげたくないんだ。直くんへの初めてのクリスマスプレゼントは記念に残るものにしたい。だから、悠真さんのネックレスを買ったお店を紹介してほしい」
ものすごく稼いでいる伊織さんが心から愛している悠真さんに贈るネックレス。
しかも新居ができて一緒に暮らせるようになった記念のネックレスだから、かなりの値段はしそうだけど、俺だってそこそこ株や投資で稼いでいる。
悠真さんのとまではいかなくてもそこそこいいものは買えるだろう。
伊織さんは俺の気持ちを理解してくれて、その後二人で都合を合わせて宝飾店に連れて行ってくれた。
俺が選んでいる間、伊織さんはなんの口出しもせず、持っていたタブレットで仕事をしていた。
そうして見つけたのが、今、直くんの胸元で輝いているネックレスだ。
1カラットの一粒ダイヤ。
これを見た瞬間、これしかないと思えた。
俺が購入を決めてから見にきた伊織さんは、俺が選んだ宝石を見て、いいのを選んだと褒めてくれた。
そうして今日のこの日を迎えた。
「すごく綺麗です。ずっと大切にしますね!」
直くんは無邪気な笑顔を見せながら俺に抱きつき、ちゅっと直くんからキスをしてくれた。
なんのお返しもできなくて……と言っていたけれど、俺にとっては直くんが喜んでくれて、しかも直くんからキスしてくれた。それだけで最高の贈り物だ。
今年のクリスマスが直くんだけでなく、俺にとっても最高のクリスマスになったみたいだ。
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