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<閑話> 磯山先生からの誘い
卓から電話が来た時の一眞sideのお話です。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
<side櫻葉一眞>
今日は午後から一花と征哉くんが遊びにきてくれた。
グリも一緒に連れてきてくれたから、フランも大喜びだ。
一花の膝にグリが座り、フランが横に寄り添うように座ったその可愛い姿を私は写真に収めた。
時折フランがグリの顔を舐めたりしているのを見て一花は嬉しそうに笑っていた。
「グリ、ずっとフランに会いたそうにしていたから今日連れてきてよかった」
「そうか、フランもグリに会いたそうだったよ。もちろん一花にもな」
フランに今日、一花が遊びにきてくれることを伝えたらずっと玄関の前で座って待っていた。
それくらい一花が来るのを楽しみにしている。
その上、グリも一緒だったから余計に嬉しかったんだろう。
「たまにはグリを我が家で預かってもいいよ。その方がフランも喜ぶ」
「それはいいですね。フランとグリにはずっと仲良くしてもらいたいですから」
私の提案に征哉くんはすかさず食いついてきた。
きっとグリがいない日は一花を独占したいのだろう。
一花とフラン、そしてグリが楽しそうに遊んでいるのを見守っているとテーブルに置いていたスマホが振動を告げた。
その画面表示を見ると珍しく磯山先生の名前がある。
この年の瀬に何かあったのだろうか。
不思議に思いつつも電話を取り、今一花と征哉くんが来ていることを告げた。
すると、磯山先生は今家族で青山にいるという。
その中には迫田くんとラシード殿下もいるようだ。
クリスマスのサプライズがうまく行ったことは聞いていた。
そして直くんの願いを汲んで正月まで日本に滞在したいとの話も来ていた。
もちろん、その願いを聞き入れない私ではない。
最初こそ迫田くんが、あの女の償いのために私の元で働くと言い出して中東に行ってもらったが、秘書から彼の真面目な勤務態度と想像以上の働きのおかげで中東での新規事業は飛躍的な発展を遂げている。
もちろんラシード殿下が後押しをしてくださっているのも大きな要因の一つだが、それも迫田くんの働きがなければここまで進んではいなかっただろう。
それほど一生懸命働いてくれるのは、本気で私や一花への償いの気持ちが大きい。
だがそもそも彼には何の罪もない。
知らずにあの女と結婚して、家族になっていただけ。
それなのに、息子を守るために一人で償うことを決めた。
それだけ真面目ないい人間なのだ。
だからラシード殿下も彼自身はもちろん人柄にも惹かれたのだろう。
迫田くんの報告が伝えられるたびに、私の迫田くんへの気持ちはどんどん浄化していった。
今はあの女と過ごした日々を全て忘れて幸せになってほしいとさえ思う。
そう思っていた私に、磯山先生はこんな提案をしてきた。
―今から、みんなでお茶をする予定で……桜カフェに行こうと思っているのですが……もし、よかったら櫻葉さんも来られませんか? よければ征哉くんと一花くんも一緒に。
今から一花と征哉くんも一緒に迫田くんに会う。
その提案にすぐに反応できなかったが、どうしてそんな提案をしてきたのか理由がわかるからこそ無下にはできなかった。
征哉くんと一花本人の気持ちを確かめてから返事をするために一旦電話を切った。
そして、私は二人に今の電話の内容を伝えることにした。
「一花、征哉くんもちょっと話を聞いてほしい」
「パパ、どうしたんですか?」
無邪気な笑顔で尋ねてくる一花と、少し心配そうな征哉くんの表情を見ながら話をした。
「実は今、磯山先生から桜カフェでお茶をしないかと誘いを受けたんだ。直くんと直くんのお父さんも一緒のようだよ」
その言葉に征哉くんはハッとした表情を見せた。
一花も直くんの父親が今、海外で働いていることも知っている。
どんな反応をするだろうか。
すると一花はこの上ない可愛らしい笑顔を見せた。
「わぁ! 直くんと直くんのお父さんも一緒に桜カフェで会えるなんて嬉しいです」
「一花、本当に大丈夫か?」
「えっ、はい。僕は大丈夫です。だって、仲良しの直くんのお父さんですよ。お父さんは何も悪いことはしてないじゃないですか」
そう無邪気にいってくれる笑顔にホッとする。
「そう、だな。それじゃあお茶をしに行こうか」
「はい。グリとフランは連れていったらだめですか?」
「大丈夫。ペットも同伴できる個室があるからそこで会えばいい」
「よかったー。ねー、フラン。グリ」
一花が声をかけるとフランもグリも嬉しそうな声をあげる。
「せっかくだから私たちが行くことは内緒にしておこうか。サプライズだよ」
「わぁー! それ楽しそう!」
征哉くんも一花の決断を支持し、みんなで桜カフェに行くことになった。
磯山先生に今から桜カフェに行くこと、そしてサプライズにしたいから直くんたちには内緒でと伝え電話を切った。
すぐに桜カフェに連絡を入れて、磯山先生が来たら奥の個室に案内するように指示をしておいた。
そうして私たちはフランとグリを連れて家を出たのだった。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
<side櫻葉一眞>
今日は午後から一花と征哉くんが遊びにきてくれた。
グリも一緒に連れてきてくれたから、フランも大喜びだ。
一花の膝にグリが座り、フランが横に寄り添うように座ったその可愛い姿を私は写真に収めた。
時折フランがグリの顔を舐めたりしているのを見て一花は嬉しそうに笑っていた。
「グリ、ずっとフランに会いたそうにしていたから今日連れてきてよかった」
「そうか、フランもグリに会いたそうだったよ。もちろん一花にもな」
フランに今日、一花が遊びにきてくれることを伝えたらずっと玄関の前で座って待っていた。
それくらい一花が来るのを楽しみにしている。
その上、グリも一緒だったから余計に嬉しかったんだろう。
「たまにはグリを我が家で預かってもいいよ。その方がフランも喜ぶ」
「それはいいですね。フランとグリにはずっと仲良くしてもらいたいですから」
私の提案に征哉くんはすかさず食いついてきた。
きっとグリがいない日は一花を独占したいのだろう。
一花とフラン、そしてグリが楽しそうに遊んでいるのを見守っているとテーブルに置いていたスマホが振動を告げた。
その画面表示を見ると珍しく磯山先生の名前がある。
この年の瀬に何かあったのだろうか。
不思議に思いつつも電話を取り、今一花と征哉くんが来ていることを告げた。
すると、磯山先生は今家族で青山にいるという。
その中には迫田くんとラシード殿下もいるようだ。
クリスマスのサプライズがうまく行ったことは聞いていた。
そして直くんの願いを汲んで正月まで日本に滞在したいとの話も来ていた。
もちろん、その願いを聞き入れない私ではない。
最初こそ迫田くんが、あの女の償いのために私の元で働くと言い出して中東に行ってもらったが、秘書から彼の真面目な勤務態度と想像以上の働きのおかげで中東での新規事業は飛躍的な発展を遂げている。
もちろんラシード殿下が後押しをしてくださっているのも大きな要因の一つだが、それも迫田くんの働きがなければここまで進んではいなかっただろう。
それほど一生懸命働いてくれるのは、本気で私や一花への償いの気持ちが大きい。
だがそもそも彼には何の罪もない。
知らずにあの女と結婚して、家族になっていただけ。
それなのに、息子を守るために一人で償うことを決めた。
それだけ真面目ないい人間なのだ。
だからラシード殿下も彼自身はもちろん人柄にも惹かれたのだろう。
迫田くんの報告が伝えられるたびに、私の迫田くんへの気持ちはどんどん浄化していった。
今はあの女と過ごした日々を全て忘れて幸せになってほしいとさえ思う。
そう思っていた私に、磯山先生はこんな提案をしてきた。
―今から、みんなでお茶をする予定で……桜カフェに行こうと思っているのですが……もし、よかったら櫻葉さんも来られませんか? よければ征哉くんと一花くんも一緒に。
今から一花と征哉くんも一緒に迫田くんに会う。
その提案にすぐに反応できなかったが、どうしてそんな提案をしてきたのか理由がわかるからこそ無下にはできなかった。
征哉くんと一花本人の気持ちを確かめてから返事をするために一旦電話を切った。
そして、私は二人に今の電話の内容を伝えることにした。
「一花、征哉くんもちょっと話を聞いてほしい」
「パパ、どうしたんですか?」
無邪気な笑顔で尋ねてくる一花と、少し心配そうな征哉くんの表情を見ながら話をした。
「実は今、磯山先生から桜カフェでお茶をしないかと誘いを受けたんだ。直くんと直くんのお父さんも一緒のようだよ」
その言葉に征哉くんはハッとした表情を見せた。
一花も直くんの父親が今、海外で働いていることも知っている。
どんな反応をするだろうか。
すると一花はこの上ない可愛らしい笑顔を見せた。
「わぁ! 直くんと直くんのお父さんも一緒に桜カフェで会えるなんて嬉しいです」
「一花、本当に大丈夫か?」
「えっ、はい。僕は大丈夫です。だって、仲良しの直くんのお父さんですよ。お父さんは何も悪いことはしてないじゃないですか」
そう無邪気にいってくれる笑顔にホッとする。
「そう、だな。それじゃあお茶をしに行こうか」
「はい。グリとフランは連れていったらだめですか?」
「大丈夫。ペットも同伴できる個室があるからそこで会えばいい」
「よかったー。ねー、フラン。グリ」
一花が声をかけるとフランもグリも嬉しそうな声をあげる。
「せっかくだから私たちが行くことは内緒にしておこうか。サプライズだよ」
「わぁー! それ楽しそう!」
征哉くんも一花の決断を支持し、みんなで桜カフェに行くことになった。
磯山先生に今から桜カフェに行くこと、そしてサプライズにしたいから直くんたちには内緒でと伝え電話を切った。
すぐに桜カフェに連絡を入れて、磯山先生が来たら奥の個室に案内するように指示をしておいた。
そうして私たちはフランとグリを連れて家を出たのだった。
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