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嬉しい約束
<side卓>
桜コーヒーを味わいながら、絢斗たちを愛でる。
それがなんとも幸せな時間だ。
『このサクラマッチャとやらは実に美味しい』
ラシード殿下は初めての味がかなり気に入った様子。
そんな中、征哉くんが一花くんに声をかけ箱を持っていく。
どうやら直くんへの贈り物らしい。
直くんが箱を開けると、途端に笑顔を見せる。
中から出てきたのは、フランとグリそっくりのぬいぐるみがついたキーホルダー。
『征哉くん、あれは……』
『直くんへの合格祝いを一花が浅香さんに相談したんですよ。そうしたら桜守では通学カバンにぬいぐるみのキーホルダーをつけると聞いたので、特注で作ってもらったんです。最初はグリだけにしようかと思ったんですが、一花が絶対にフランも一緒がいいと譲らなくて……母も絶対にフランとグリが一緒がいいと言い張って……でも出来上がったのをみたら、二匹が一緒で可愛らしかったので、二人の言うとおりにして正解だと思いましたよ』
未知子さんまで一緒に考えてくれていたのか。
直くんのためにありがたいことだな。
「磯山先生。あのキーホルダーにはGPSを内蔵しているんです。これがそのURLになりますので、登録したらいつでも確認できるようになりますよ」
征哉くんが私にだけ聞こえるように小さな紙を渡しながらそんなことを教えてくれる。
「あと、あれを強く握って無理やり引き千切ろうとしたら、電流が流れる仕掛けになっていますのでご注意ください。普通に触る分には全く問題はありませんからご安心を。あくまでも直くんを守るためのものですから」
一瞬心配になったが、征哉くんがつけてくれるものだから、直くんを傷つけることは決してないだろう。
直くんを外に出すのだから、万が一の対策はしっかりとしておくに限る。
「ありがとう、助かるよ」
昇が直くんにあげたクリスマスプレゼントのネックレスにも、真琴くんからもらったミサンガにも直くんを守るためにGPSがついている。本当に直くんはみんなから愛されているのがわかる。
征哉くんとそんなことを話している間に、あちらではクリスマスの話題になったようだ。
「実は僕、サンタさんに会ったんですよ!」
その声に驚いて、櫻葉さんに視線を向ける。
『どちらにサンタクロースが?』
ラシード殿下にもわかるように英語で尋ねると、征哉くんが小声で教えてくれた。
『櫻葉邸ですよ。今回、磯山先生のご実家でクリスマスパーティーをして、そこにサンタクロースが来るとお義父さんに聞いたので、私たちも一花を喜ばせようと動いたんです』
『サンタクロースは、誰に?』
直くん同様に一花くんも知り合いならどんなに変装していても気づくだろう。
『お義父さんがフランの様子を見にきてくれた甲斐さんに相談したんですよ。それですごい人を紹介してもらったんです』
『すごい人?』
『ええ、心臓外科の権威、国生公康先生です』
さらりと教えてくれたその名前に驚く。
国生公康先生といえば、成瀬くんの恩師で世界的にも有名な医師。
畑違いの私でも名前を知っている有名人だ。
ラシード殿下もその名前に聞き覚えがあるようで驚きの表情を浮かべているのがわかる。
『一花とは実際に会った事がないので、サンタクロースとしてやってきてくださって、一花は本物だと思っています』
その時の様子を思い出しているのだろう。征哉くんも櫻葉さんも嬉しそうだ。
『変装も完璧でしたからね。さすがですよ』
『それは素晴らしい。こちらもベルンシュトルフホールディングスの特別顧問の日下部さんにお願いしてサンタクロースになっていただいたんだよ』
私の言葉に今度は征哉くんが驚きの表情を見せていた。
考えてみれば一花くんと直くんを喜ばせるためにかなりのV.I.Pが力を貸してくれたのだから、これはすごい事だな。
『来年は一緒にクリスマスパーティーをするのも楽しいかもしれませんね』
『ああ、それはいい』
『私もまたタモツと参加させてもらおう』
私たちの話にラシード殿下も加わって、和やかな雰囲気に包まれた。
来年は今年よりもさらに賑やかなクリスマスになりそうだ。
「さて、そろそろ暗くなりそうだ。今日はこの辺でお開きにしようか」
櫻葉さんが声をかけると、まだまだ話し足りない様子の一花くんたちから残念そうな声が上がった。
「まだ冬休みは長い。今度は正月明けにみんなでドッグランでも行こう。一花、行きたいと言っていただろう?」
その言葉に一花くんは目を輝かせた。
「わぁー! それ楽しそう!」
「ドッグ、ラン?」
聞きなれない言葉に直くんが聞き返すが、一花くんは嬉しそうに教えてくれる。
「あのね、フランと一緒に遊べるところなんだよ。フランくらいの小さな子たちが集まる場所だから、グリも連れて行っていいんだって。みんなで遊べるよ」
その説明に直くんも目を輝かせる。
「わぁ、行きたい!」
と言うわけで、正月の予定がまた一つ埋まったようだ。
絢斗も嬉しそうだし、父たちに声をかけてもいいかもしれないな。
そうして和やかなままに櫻葉家との楽しいお茶の時間は終わった。
* * *
次回から大晦日~お正月にお話になります。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
桜コーヒーを味わいながら、絢斗たちを愛でる。
それがなんとも幸せな時間だ。
『このサクラマッチャとやらは実に美味しい』
ラシード殿下は初めての味がかなり気に入った様子。
そんな中、征哉くんが一花くんに声をかけ箱を持っていく。
どうやら直くんへの贈り物らしい。
直くんが箱を開けると、途端に笑顔を見せる。
中から出てきたのは、フランとグリそっくりのぬいぐるみがついたキーホルダー。
『征哉くん、あれは……』
『直くんへの合格祝いを一花が浅香さんに相談したんですよ。そうしたら桜守では通学カバンにぬいぐるみのキーホルダーをつけると聞いたので、特注で作ってもらったんです。最初はグリだけにしようかと思ったんですが、一花が絶対にフランも一緒がいいと譲らなくて……母も絶対にフランとグリが一緒がいいと言い張って……でも出来上がったのをみたら、二匹が一緒で可愛らしかったので、二人の言うとおりにして正解だと思いましたよ』
未知子さんまで一緒に考えてくれていたのか。
直くんのためにありがたいことだな。
「磯山先生。あのキーホルダーにはGPSを内蔵しているんです。これがそのURLになりますので、登録したらいつでも確認できるようになりますよ」
征哉くんが私にだけ聞こえるように小さな紙を渡しながらそんなことを教えてくれる。
「あと、あれを強く握って無理やり引き千切ろうとしたら、電流が流れる仕掛けになっていますのでご注意ください。普通に触る分には全く問題はありませんからご安心を。あくまでも直くんを守るためのものですから」
一瞬心配になったが、征哉くんがつけてくれるものだから、直くんを傷つけることは決してないだろう。
直くんを外に出すのだから、万が一の対策はしっかりとしておくに限る。
「ありがとう、助かるよ」
昇が直くんにあげたクリスマスプレゼントのネックレスにも、真琴くんからもらったミサンガにも直くんを守るためにGPSがついている。本当に直くんはみんなから愛されているのがわかる。
征哉くんとそんなことを話している間に、あちらではクリスマスの話題になったようだ。
「実は僕、サンタさんに会ったんですよ!」
その声に驚いて、櫻葉さんに視線を向ける。
『どちらにサンタクロースが?』
ラシード殿下にもわかるように英語で尋ねると、征哉くんが小声で教えてくれた。
『櫻葉邸ですよ。今回、磯山先生のご実家でクリスマスパーティーをして、そこにサンタクロースが来るとお義父さんに聞いたので、私たちも一花を喜ばせようと動いたんです』
『サンタクロースは、誰に?』
直くん同様に一花くんも知り合いならどんなに変装していても気づくだろう。
『お義父さんがフランの様子を見にきてくれた甲斐さんに相談したんですよ。それですごい人を紹介してもらったんです』
『すごい人?』
『ええ、心臓外科の権威、国生公康先生です』
さらりと教えてくれたその名前に驚く。
国生公康先生といえば、成瀬くんの恩師で世界的にも有名な医師。
畑違いの私でも名前を知っている有名人だ。
ラシード殿下もその名前に聞き覚えがあるようで驚きの表情を浮かべているのがわかる。
『一花とは実際に会った事がないので、サンタクロースとしてやってきてくださって、一花は本物だと思っています』
その時の様子を思い出しているのだろう。征哉くんも櫻葉さんも嬉しそうだ。
『変装も完璧でしたからね。さすがですよ』
『それは素晴らしい。こちらもベルンシュトルフホールディングスの特別顧問の日下部さんにお願いしてサンタクロースになっていただいたんだよ』
私の言葉に今度は征哉くんが驚きの表情を見せていた。
考えてみれば一花くんと直くんを喜ばせるためにかなりのV.I.Pが力を貸してくれたのだから、これはすごい事だな。
『来年は一緒にクリスマスパーティーをするのも楽しいかもしれませんね』
『ああ、それはいい』
『私もまたタモツと参加させてもらおう』
私たちの話にラシード殿下も加わって、和やかな雰囲気に包まれた。
来年は今年よりもさらに賑やかなクリスマスになりそうだ。
「さて、そろそろ暗くなりそうだ。今日はこの辺でお開きにしようか」
櫻葉さんが声をかけると、まだまだ話し足りない様子の一花くんたちから残念そうな声が上がった。
「まだ冬休みは長い。今度は正月明けにみんなでドッグランでも行こう。一花、行きたいと言っていただろう?」
その言葉に一花くんは目を輝かせた。
「わぁー! それ楽しそう!」
「ドッグ、ラン?」
聞きなれない言葉に直くんが聞き返すが、一花くんは嬉しそうに教えてくれる。
「あのね、フランと一緒に遊べるところなんだよ。フランくらいの小さな子たちが集まる場所だから、グリも連れて行っていいんだって。みんなで遊べるよ」
その説明に直くんも目を輝かせる。
「わぁ、行きたい!」
と言うわけで、正月の予定がまた一つ埋まったようだ。
絢斗も嬉しそうだし、父たちに声をかけてもいいかもしれないな。
そうして和やかなままに櫻葉家との楽しいお茶の時間は終わった。
* * *
次回から大晦日~お正月にお話になります。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
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