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可愛い孫からのおねだり
<side寛>
――明日、直くんと昇をそちらに泊まらせることになるかもしれません。
ラシード殿下と保さんを伴っての外出の前日、そんな電話が卓からかかってきた。
だが、私も賢将さんも最初からそうなるだろうとわかっていた。
「私たちは構わないから、お前の都合に合わせていつでも泊まらせたらいい」
そう言ってやると、電話口からも卓の安堵した様子がわかった。
卓は直くんを心から愛しているし、昇も甥っ子として大切にしているのはわかっている。
だがそれと同時に絢斗くんのことも愛しているし、二人の時間を適度にとってやることが何よりも重要なことをわかっている。
だからこそ、私も賢将さんも卓が二人を泊まらせて欲しいと言っても反対することはない。
と言うか、私たちも直くんと昇との時間を過ごせて楽しんでいるのだから、泊まりに来てくれるのは喜びでしかない。
私たちにとっても卓にとっても、もちろん直くんと昇にとっても楽しい時間になる。
卓は泊まらせるかも……と話していたが、やはり夕方過ぎに直くんと昇をマンションに連れてきた。
来客用の駐車場まで迎えに行ったが、卓は二人を降ろして私たちに渡すと、挨拶もそこそこに帰っていった。
「直くん、今日は楽しかったかな?」
「はい! 父さんとラシードさんと一緒にあの高いタワーに上ったんです」
直くんが楽しかった様子が伝わってくるが、卓があれほど急いで絢斗くんと帰ったのはもっと別の理由がありそうだ。
「そうか、それはよかったな。他にもどこかにいったのか?」
「はい。あやちゃんが音葉屋さんに連れていってくれたんです」
「音葉屋さん? ああ、なるほど。そういうことか」
音葉屋さんと聞いただけで、私はすぐに察した。
賢将さんを見ると笑って頷いていたからおそらく賢将さんも卓があれほど急いでいたのも察したのだろう。
「いい着物が見つかったかな?」
「はい。父さんが選んでくれて……お正月が楽しみです。昇さんもかっこいい……えっと、袴を着るんですよ」
「ほお。それは楽しみだな。ここの近くの神社に行くんだろう?」
「はい。父さんとラシードさんも着物で一緒に初詣行くんです」
この話の流れだと、保さんも女性物の着物を着るのだろう。
直くんとよく似ているし、ラシード殿下もお喜びになっただろうな。
「おじいちゃまと、おじいちゃんもお着物着て一緒に初詣に行きましょう!」
「私たちも?」
もちろん一緒に初詣には行くつもりだった。
可愛い直くんたちを守るためにも必要だと思っていたが、まさか直くんに着物を着るようにねだられるとは思わなかったな。
「パパとラシードさんの着物姿、すっごくかっこよかったのでおじいちゃまとおじいちゃんのお着物も見たいです! だめ、ですか?」
可愛い孫にそんなおねだりをされて断ることなんてできるはずがない。
「もちろんいいよ。一緒に着物で初詣に行こうか」
「わぁー、やったー! 嬉しい!!」
その場で飛び跳ねて喜んでくれる直くんを見て、笑みが溢れる。
私も賢将さんも本当に可愛い孫に恵まれたものだ。
<side卓>
可愛い着物を着た絢斗を見た時から興奮していた。
そして、周平くんの店であのバスローブを見つけたらもう我慢ができなかった。
あの時から夜は絶対に二人っきりで過ごすと決めていた。
桜カフェで櫻葉さんたちとの時間を過ごして車に乗り込んで、そのまま父たちが暮らすマンションに向かった。
直くんと昇を降ろし、父と賢将さんへの挨拶もそこそにすぐにその場を離れた。
今日、初めて絢斗を助手席に乗せ自宅に向かう。
「卓さん、何か怒ってる?」
自宅に戻ることばかり考えていたから、どうも口数が減っていたようだ。
「絢斗に心配させてしまったな。悪い」
信号で停止した時に、さっと手を伸ばし、絢斗の手を握る。
「ううん、ちょっと気になっただけだよ」
「今日、ずっと絢斗と触れ合いたいと思っていたから、やっと二人っきりになって少し緊張しているみたいだ」
「卓さんが、緊張?」
信じられないという表情で私を見るが、本当に緊張しているんだ。
「ああ、だってあんなに可愛い格好をずっと見せられてきたんだ。二人になってドキドキしているんだよ」
「卓さんったら……」
正直に気持ちを告げると、絢斗は少し恥じらいながらも嬉しそうに腕を絡ませてくる。
「じゃあ、たっぷり愛し合おうね」
そんな言葉をかけられて、すぐにでも押し倒したくなるのを必死に抑えて、ようやく自宅に到着した。
それから、数時間私たちは寝室から出ることはなかった。
――明日、直くんと昇をそちらに泊まらせることになるかもしれません。
ラシード殿下と保さんを伴っての外出の前日、そんな電話が卓からかかってきた。
だが、私も賢将さんも最初からそうなるだろうとわかっていた。
「私たちは構わないから、お前の都合に合わせていつでも泊まらせたらいい」
そう言ってやると、電話口からも卓の安堵した様子がわかった。
卓は直くんを心から愛しているし、昇も甥っ子として大切にしているのはわかっている。
だがそれと同時に絢斗くんのことも愛しているし、二人の時間を適度にとってやることが何よりも重要なことをわかっている。
だからこそ、私も賢将さんも卓が二人を泊まらせて欲しいと言っても反対することはない。
と言うか、私たちも直くんと昇との時間を過ごせて楽しんでいるのだから、泊まりに来てくれるのは喜びでしかない。
私たちにとっても卓にとっても、もちろん直くんと昇にとっても楽しい時間になる。
卓は泊まらせるかも……と話していたが、やはり夕方過ぎに直くんと昇をマンションに連れてきた。
来客用の駐車場まで迎えに行ったが、卓は二人を降ろして私たちに渡すと、挨拶もそこそこに帰っていった。
「直くん、今日は楽しかったかな?」
「はい! 父さんとラシードさんと一緒にあの高いタワーに上ったんです」
直くんが楽しかった様子が伝わってくるが、卓があれほど急いで絢斗くんと帰ったのはもっと別の理由がありそうだ。
「そうか、それはよかったな。他にもどこかにいったのか?」
「はい。あやちゃんが音葉屋さんに連れていってくれたんです」
「音葉屋さん? ああ、なるほど。そういうことか」
音葉屋さんと聞いただけで、私はすぐに察した。
賢将さんを見ると笑って頷いていたからおそらく賢将さんも卓があれほど急いでいたのも察したのだろう。
「いい着物が見つかったかな?」
「はい。父さんが選んでくれて……お正月が楽しみです。昇さんもかっこいい……えっと、袴を着るんですよ」
「ほお。それは楽しみだな。ここの近くの神社に行くんだろう?」
「はい。父さんとラシードさんも着物で一緒に初詣行くんです」
この話の流れだと、保さんも女性物の着物を着るのだろう。
直くんとよく似ているし、ラシード殿下もお喜びになっただろうな。
「おじいちゃまと、おじいちゃんもお着物着て一緒に初詣に行きましょう!」
「私たちも?」
もちろん一緒に初詣には行くつもりだった。
可愛い直くんたちを守るためにも必要だと思っていたが、まさか直くんに着物を着るようにねだられるとは思わなかったな。
「パパとラシードさんの着物姿、すっごくかっこよかったのでおじいちゃまとおじいちゃんのお着物も見たいです! だめ、ですか?」
可愛い孫にそんなおねだりをされて断ることなんてできるはずがない。
「もちろんいいよ。一緒に着物で初詣に行こうか」
「わぁー、やったー! 嬉しい!!」
その場で飛び跳ねて喜んでくれる直くんを見て、笑みが溢れる。
私も賢将さんも本当に可愛い孫に恵まれたものだ。
<side卓>
可愛い着物を着た絢斗を見た時から興奮していた。
そして、周平くんの店であのバスローブを見つけたらもう我慢ができなかった。
あの時から夜は絶対に二人っきりで過ごすと決めていた。
桜カフェで櫻葉さんたちとの時間を過ごして車に乗り込んで、そのまま父たちが暮らすマンションに向かった。
直くんと昇を降ろし、父と賢将さんへの挨拶もそこそにすぐにその場を離れた。
今日、初めて絢斗を助手席に乗せ自宅に向かう。
「卓さん、何か怒ってる?」
自宅に戻ることばかり考えていたから、どうも口数が減っていたようだ。
「絢斗に心配させてしまったな。悪い」
信号で停止した時に、さっと手を伸ばし、絢斗の手を握る。
「ううん、ちょっと気になっただけだよ」
「今日、ずっと絢斗と触れ合いたいと思っていたから、やっと二人っきりになって少し緊張しているみたいだ」
「卓さんが、緊張?」
信じられないという表情で私を見るが、本当に緊張しているんだ。
「ああ、だってあんなに可愛い格好をずっと見せられてきたんだ。二人になってドキドキしているんだよ」
「卓さんったら……」
正直に気持ちを告げると、絢斗は少し恥じらいながらも嬉しそうに腕を絡ませてくる。
「じゃあ、たっぷり愛し合おうね」
そんな言葉をかけられて、すぐにでも押し倒したくなるのを必死に抑えて、ようやく自宅に到着した。
それから、数時間私たちは寝室から出ることはなかった。
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