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びっくりするほど柔らかい
<side直>
あやちゃんと一緒に作ったお正月用のリース。
さっちゃんたちもおじいちゃまたちも喜んでくれて嬉しかった。
これから手作りの鏡餅作り。
大きなお餅と小さなお餅が重ねられているあれだ。
うちの家にも飾られているのを見たことがある。
お餅の上に小さいみかんのようなものが飾られていて、あれがあるとお正月が来るんだなって感じていた。
でも飾った後のお餅がどうなるのか知らない。
「あれって飾った後はどうするんですか?」
おじいちゃまに尋ねると、優しく教えてくれた。
「鏡開きといって、一月十一日に硬くなった餅を木槌で叩いて小さくしてから、ぜんざいにしたり、油で揚げておかきにしたりして食べるんだよ」
「わぁー! すごい、食べてみたいです!」
「よし、じゃあ手作りした鏡餅をみんなで食べよう」
お餅が家で作れることも知らなかったし、鏡餅を作るのも食べるのも初めて。
僕はここでいろんな体験ができて本当に嬉しい。
しかも、お正月には作りたてのお餅も食べられるらしい。
杵と臼で作る、教科書に載っていたあのやり方で。
僕もみたことがないけれど、ラシードさんも絶対に見たことがないはずだからきっと驚くだろうな。
なんだかお正月がさらに楽しみになってきた。
リースを玄関に飾ってもらってみんなで写真を撮った。
昇さんとも交代して僕が写真を撮ったけれどみんな笑顔になってくれて嬉しかった。
お餅が出来上がるまでピアノを弾きたくて演奏室に行った。
昇さんも一緒に来てくれて嬉しい。
「何を弾こうかな」
今はすごく楽しい曲を弾きたい気分。
もうすぐお正月だし、そんな曲がいいかな。
そういえば秀吾さんからもらった楽譜の中にそれがあった気がする。
あの時もらった楽譜は、昇さんが僕のスマホに取り込んでくれていつでもその楽譜が見られるようにしてくれた。
僕はその楽譜を取り出し、さっと最後まで目を通した。
これなら大丈夫。弾けそう。
僕はピアノの前に座り、鍵盤に指を置いた。
家でも毎日ピアノを弾いているけれど、ここのピアノの感触も心地いい。
おじいちゃまの家にあるピアノも好きなんだ。
どれも僕の指にぴったりで弾いていて気持ちがいい。
僕のはしゃいだ心に連動するように楽しいメロディーが耳に入ってくる。
弾きながら昇さんに視線を向けると、笑顔で聞いてくれている。
ああ、こんなふうに楽しく演奏できるって幸せだな……
一曲目の演奏を終えると、昇さんが僕のところに来て椅子に座る僕を後ろから包み込むように抱きしめてくれる。
「今の曲、よかったですか?」
「うん。すっごくいい曲だった。直くんがすごく嬉しそうで俺も楽しくなったよ」
その言葉が嬉しくて振り返って昇さんを見上げると、昇さんの顔が近づいてきてちゅっと僕の唇に重なった。
「可愛くてキスしたくなっちゃった」
そう言ってもらえるのが嬉しい。
「僕も昇さんとキスできて嬉しいです」
素直に気持ちを告げると、昇さんがちょっと苦しげな表情を見せる。
「どうかしましたか?」
「いや、直くんが可愛すぎて困っただけ。もう一曲何か……」
昇さんがそう言いかけた時、少し離れた場所からピー、ピーと音が聞こえた。
「あれは……?」
「多分餅ができたんじゃないかな。行ってみようか」
昇さんに誘われて演奏ルームを出て、パパたちがいるリビングに向かった。
すると、白い粉が振り掛けられた低くて大きなテーブルが用意されていた。
「ここで作るんですか?」
「ああ、そうだよ。直くん、昇もエプロンをつけようか」
おじいちゃんが持ってきてくれたエプロンをつける。
昇さんがさっと紐を結んでくれてあやちゃんが三角巾を渡してくれる。
「出来立てのお餅は熱いから火傷すると危ないからね」
そう言っておじいちゃんがビニールの手袋を渡してくれる。
ピッタリと手に張り付くようなその手袋をつけたらあっという間に準備万端だ。
出来立てのお餅ってどんなんだろうな?
すごく楽しみになってきた。
「さぁ、じゃあ餅を取り出すぞ」
おじいちゃまが声をかけると、すぐにパパが立ち上がる。
「父さん。熱いですから私がやりますよ」
そういうが早いか、さっと餅つき機の蓋を開ける。
「わぁー、お餅だー!」
絵本の挿絵や教科書の写真に載っていたのと同じような真っ白で柔らかそうなお餅がたっぷりと入っている。
パパはそれを手慣れた手つきで取り出し、水に濡らした手で次々に千切っていく。
大きさのまちまちなそのお餅を白い粉につけながら形作っていくみたい。
「これは直くんが作る分だよ」
そう言って目の前に置かれた真っ白なお餅はびっくりするくらい柔らかくて気持ちが良かった。
あやちゃんと一緒に作ったお正月用のリース。
さっちゃんたちもおじいちゃまたちも喜んでくれて嬉しかった。
これから手作りの鏡餅作り。
大きなお餅と小さなお餅が重ねられているあれだ。
うちの家にも飾られているのを見たことがある。
お餅の上に小さいみかんのようなものが飾られていて、あれがあるとお正月が来るんだなって感じていた。
でも飾った後のお餅がどうなるのか知らない。
「あれって飾った後はどうするんですか?」
おじいちゃまに尋ねると、優しく教えてくれた。
「鏡開きといって、一月十一日に硬くなった餅を木槌で叩いて小さくしてから、ぜんざいにしたり、油で揚げておかきにしたりして食べるんだよ」
「わぁー! すごい、食べてみたいです!」
「よし、じゃあ手作りした鏡餅をみんなで食べよう」
お餅が家で作れることも知らなかったし、鏡餅を作るのも食べるのも初めて。
僕はここでいろんな体験ができて本当に嬉しい。
しかも、お正月には作りたてのお餅も食べられるらしい。
杵と臼で作る、教科書に載っていたあのやり方で。
僕もみたことがないけれど、ラシードさんも絶対に見たことがないはずだからきっと驚くだろうな。
なんだかお正月がさらに楽しみになってきた。
リースを玄関に飾ってもらってみんなで写真を撮った。
昇さんとも交代して僕が写真を撮ったけれどみんな笑顔になってくれて嬉しかった。
お餅が出来上がるまでピアノを弾きたくて演奏室に行った。
昇さんも一緒に来てくれて嬉しい。
「何を弾こうかな」
今はすごく楽しい曲を弾きたい気分。
もうすぐお正月だし、そんな曲がいいかな。
そういえば秀吾さんからもらった楽譜の中にそれがあった気がする。
あの時もらった楽譜は、昇さんが僕のスマホに取り込んでくれていつでもその楽譜が見られるようにしてくれた。
僕はその楽譜を取り出し、さっと最後まで目を通した。
これなら大丈夫。弾けそう。
僕はピアノの前に座り、鍵盤に指を置いた。
家でも毎日ピアノを弾いているけれど、ここのピアノの感触も心地いい。
おじいちゃまの家にあるピアノも好きなんだ。
どれも僕の指にぴったりで弾いていて気持ちがいい。
僕のはしゃいだ心に連動するように楽しいメロディーが耳に入ってくる。
弾きながら昇さんに視線を向けると、笑顔で聞いてくれている。
ああ、こんなふうに楽しく演奏できるって幸せだな……
一曲目の演奏を終えると、昇さんが僕のところに来て椅子に座る僕を後ろから包み込むように抱きしめてくれる。
「今の曲、よかったですか?」
「うん。すっごくいい曲だった。直くんがすごく嬉しそうで俺も楽しくなったよ」
その言葉が嬉しくて振り返って昇さんを見上げると、昇さんの顔が近づいてきてちゅっと僕の唇に重なった。
「可愛くてキスしたくなっちゃった」
そう言ってもらえるのが嬉しい。
「僕も昇さんとキスできて嬉しいです」
素直に気持ちを告げると、昇さんがちょっと苦しげな表情を見せる。
「どうかしましたか?」
「いや、直くんが可愛すぎて困っただけ。もう一曲何か……」
昇さんがそう言いかけた時、少し離れた場所からピー、ピーと音が聞こえた。
「あれは……?」
「多分餅ができたんじゃないかな。行ってみようか」
昇さんに誘われて演奏ルームを出て、パパたちがいるリビングに向かった。
すると、白い粉が振り掛けられた低くて大きなテーブルが用意されていた。
「ここで作るんですか?」
「ああ、そうだよ。直くん、昇もエプロンをつけようか」
おじいちゃんが持ってきてくれたエプロンをつける。
昇さんがさっと紐を結んでくれてあやちゃんが三角巾を渡してくれる。
「出来立てのお餅は熱いから火傷すると危ないからね」
そう言っておじいちゃんがビニールの手袋を渡してくれる。
ピッタリと手に張り付くようなその手袋をつけたらあっという間に準備万端だ。
出来立てのお餅ってどんなんだろうな?
すごく楽しみになってきた。
「さぁ、じゃあ餅を取り出すぞ」
おじいちゃまが声をかけると、すぐにパパが立ち上がる。
「父さん。熱いですから私がやりますよ」
そういうが早いか、さっと餅つき機の蓋を開ける。
「わぁー、お餅だー!」
絵本の挿絵や教科書の写真に載っていたのと同じような真っ白で柔らかそうなお餅がたっぷりと入っている。
パパはそれを手慣れた手つきで取り出し、水に濡らした手で次々に千切っていく。
大きさのまちまちなそのお餅を白い粉につけながら形作っていくみたい。
「これは直くんが作る分だよ」
そう言って目の前に置かれた真っ白なお餅はびっくりするくらい柔らかくて気持ちが良かった。
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