ひとりぼっちになった僕は新しい家族に愛と幸せを教えてもらいました

波木真帆

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幸せな朝の風景

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<side絢斗>

「ふふっ。直くんと家族になれるなんて幸せ」

「あやちゃん……僕もです」

「そうだ! 今日の朝ごはんはね、直くんがびっくりするものだから楽しみにしてて」

「えっ? 朝ごはんが、びっくり?」

意味がわからないという表情をしている直くんが可愛い。

「私の好きなものなんだよ。一緒に食べようね」

「――っ!! はいっ!!」

目を輝かせて返事をしてくれる直くんが可愛くてたまらない。

「直くん、写真撮ってもいい?」

「えっ? 僕の、ですか?」

「うん。皐月に直くんとのツーショット送ってあげようと思って。直くん、可愛いから皐月が大騒ぎしそうだけど」

「可愛いなんて、そんな……」

照れている姿も可愛い。
昇くんが溺愛しちゃうのわかるなぁ。

私はスマホを取り出して、

「直くん、こっち近づいて!」

と言って、直くんを抱き寄せた。
頬を寄せ合うほどくっついて写真を撮って二人で一緒に画面を覗き込む。

「わぁっ、直くん可愛く撮れてる!」

「あやちゃんもすっごく可愛いです」

「ふふっ。ありがとう。嬉しい。じゃあ、これ皐月に送っちゃうね」

直くんに見えるように<私の可愛い息子・直くんだよ>とメッセージを書き、写真を添付して皐月に送った。

ふふっ。今頃志良堂さんに写真を見せて本当に大騒ぎしてるかもね。
なんて思ってると、即行で電話がかかってきた。

ーもしもし、皐月?

ー絢斗! 息子って、もう決まったの?

ーうん。あれからいろいろあってね、急展開だけど直くんがそう決めてくれたんだ。

ーそっかぁ。おめでとう!! よかったね!!

ーうん。ありがとう!

ー直くん、すっごく可愛いね!

ーでしょう? 

ーうんうん! 近々会いに行っていいでしょ?

ーもちろん! 今週は予定入ってるから、来週でもぜひ志良堂さんと遊びにきてよ!

ーオッケー!! ああ、もう朝から嬉しいニュースありがとう!!

最初から最後までハイテンションのまま電話が切れた。

「ふふっ。皐月、大喜びしてたよ。聞こえてた?」

「はい。なんか、楽しそうな人ですね」

「うん。きっと直くんも気にいると思うよ。皐月もね、知り合いの子を養子にして育てたんだよ」

「えっ、そうなんですか?」

「うん。その子はもう40歳は過ぎてるかも。弁護士さんなんだよ」

「弁護士さん! パパと同じですね」

「ふふっ。そうそう。最初は卓さんと一緒に働いてたんだよ。今は西表で暮らしているよ」

伊織くんなら養子になる直くんの気持ちがよくわかるだろうから、今度会わせてもらってもいいかも……。
いや、昇くんが嫉妬しちゃうかな。
伊織くん、ものすごいイケメンだし。ふふっ。


「絢斗、鳴宮くんに連絡したのか?」

「うん。直くんとのツーショット送ったら電話かかってきちゃって」

「ああ、なるほど。驚いていただろう?」

「うん。でも直くんが可愛いから来週会いにくるって」

「そうか、じゃあ志良堂も一緒だな。私からも連絡しておこう。さぁ、そろそろこっちにおいで。焼き上がるよ」

「わぁー、直くん。行こう!」

「焼き上がる?」

不思議そうな顔をしている直くんの手を引いてダイニングテーブルに座ると、目の前に焼きたてのワッフルが置かれた。

「わぁー!! 美味しそう!!」

「これにね、生クリームとか果物とかなんでも乗せて食べていいんだよ」

ワッフルを初めて見るのだろう。
目を輝かせてくれている。

すぐに昇くんが直くんの隣に座り、あれこれと説明してあげている。
それを嬉しそうに聞きながら、直くんは生クリームとイチゴを選んだみたい。
私はゴールドキウイを選んだ。

「伯父さん、アイスも乗せていいよね?」

「ああ、好きに使っていいよ」

昇くんは卓さんから了承を得ると冷凍庫から大きなバニラアイスを取りだし、ディッシャーで器用に掬い取り、直くんのお皿に乗せた。

「あっ、昇くん。私にもお願い」

「はい。どうぞ」

「ありがとう」

卓さんがナイフとフォークで切り分けて生クリームとアイスを一緒に口に運んでくれる。
目の前では同じように昇くんが直くんに食べさせてあげていた。

「んんっ!!」
「おいひぃっ!!」

直くんが満足そうな表情を見せるのを笑顔で見つめていると、

「絢斗。アイスがついてる」

と卓さんが唇を指で拭ってくれる。
いつもならそのまま舐め取ってくれるけど、それも家族になれたから少しずつ解禁できるかな。
同じようにクリームを拭われている直くんを見ながらそんなことを思っていた。

あっという間に朝食のワッフルを食べ終わり、昇くんは学校に行く支度を始めた。

その間、直くんはソファーに座っていたけれど、

「あの、パパ……」

と卓さんに声をかけた。

「んっ? どうした?」

「あの、僕……昇さんにおにぎり作りたくて……」

「ああ、そういうことか。炊飯器にご飯が炊けているから使っていいよ。一緒にキッチンに行こうか」

「はい」

卓さんが手際よく具材を冷蔵庫から取り出し、ボウルにご飯を入れて冷ましてあげて、お皿を取り出した。
直くんはそれにお礼を言って小さな手でおにぎりを握り始めた。

本当に小さい手なのに器用に動くものだな。

中に鮭と、昆布のおにぎりを二個作り上げた直くんは嬉しそうにそれをおにぎり用の小さなお弁当箱に詰めた。

支度を終えて戻ってきた昇くんのところに走っていって、

「あの、おにぎり。学校で食べてください」

とほんのり頬を染めながら手渡すと、

「――っ!! 直くん、ありがとう!!」

と嬉しそうに受け取り、学校へ向かった。

あんなに嬉しそうな昇くんを見ていると、やっぱり私も卓さんに作りたくなってくる。
無理だと思っていたけれど、もう一度頑張ってみようかな。
そんな気になっていた。
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