ひとりぼっちになった僕は新しい家族に愛と幸せを教えてもらいました

波木真帆

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最高の夜に!

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<side昇>

直くんが、磯山に……。
同じ苗字というだけで今までよりもずっと親密な存在になれた気がしてくるから不思議だ。

今日はパーティーか。

直くんのあの様子を見ていると、今までパーティーの類はしてもらったことはないだろう。
なんせ、365日毎日同じものばかり食べさせられていたというのだから、誕生日なんてものも祝ってもらっているはずがない。

ということは、今日のケーキが初めてのデコレーションケーキか。
それなら、母さんにとびきりのケーキ屋を紹介してもらわないといけないな。
母さんなら直くんが好きそうなケーキをたくさん知っているはずだ。

ああ、今日の夜のことを考えるだけでワクワクが止まらない。

ウキウキしながら制服に着替えて部屋を出ると、直くんが俺に向かってかけてくる。
くそっ、ものすごく可愛い!

ほんのり頬を染めてやってきた直くんは小さなバッグを手に持っている。

これは……? と思っていると、

「あの、おにぎり。学校で食べてください」

と手渡された。

俺のために、直くんが……。

そう思うだけで胸が高鳴った。

「――っ!! 直くん、ありがとう!!」

愛しい人の手作りのおにぎりをもらえるなんて!
俺はなんて幸せ者なんだろう。

今夜は直くんの記憶にしっかりと刻み込まれるような楽しいパーティーにしてみせる!

そう胸に誓いながら、俺は家を出た。

<side磯山卓>

「絢斗、毅に電話をするから、今日は早く事務所に行くよ」

「うん、今日来てもらえるといいね」

「なんだ、気付いたのか?」

「うん、昇くんならきっと二葉さんたちを誘うと思ってたから。二人がフランスに行っちゃう前にいい報告ができてよかったね」

「ああ、そうだな」

さすが私の絢斗はなんでもお見通しというわけか。

「じゃあ、行ってくるよ」

「パパ、行ってらっしゃい」

「ああ、直くん。行ってくるよ。絢斗」

私が絢斗に視線を向けると、その意図に気づいてくれたようで、笑顔で私に顔を近づけ、

「ふふっ。卓さん、行ってらっしゃい」

と言いながらチュッと唇を重ねてくれた。

「えっ……」

頬を赤らめて驚きを見せる直くんだが、その表情に嫌悪感はない。

「家族の前では、愛し合う夫夫ふうふはこうして、家を出る時と帰ってきた時に唇を重ねるんだよ」

「そう、なんですか……」

「ああ、私たちが直くんの前でいつもの挨拶ができるようになったのは、私たちが家族になった証拠だよ」

「家族……はい。そうですね! 嬉しいです」

これで気兼ねなく、絢斗とのスキンシップを楽しめるようになるな。
この教育が将来、昇との甘い生活の礎になると思えばきっと昇も邪魔はしないだろう。

久しぶりに玄関でのキスの見送りにウキウキしながら事務所に向かい、毅に連絡を入れた。

ーおはよう、兄さん。

ーああ、今、少し話をしても構わないか?

ーもちろん。

ーフランス行きの準備はできているのか?

ーそれは大丈夫。もう手続きも終わってるし、来週末には行くことになってる。

ーそうか。それならよかった。

ー昇はどうしてる? なかなか連絡が来ないもんだからそろそろこちらから連絡しようと思っていたんだ。

ーああ、昇はしっかりやってくれているよ。受験勉強はもちろん、うちの大事な直純くんのこともな。悪かったな。最近急激にいろいろあったものだから。

ー直純くんだったか。その子は今は?

ーああ、詳しいことは後でゆっくり話すつもりだが、彼を私の息子として引き取ることにしたんだ。

ーはっ? えっ、それって……本当に?

ーああ、もちろん本当のことだ。

ーでも、彼には父親がいるんじゃなかったか?

ーああ、その父親から決別の手紙が来た。

ーえっ……。

ー父親なりに悩んだ結果のようだがな。それで、話し合って、彼も私たちの家族になることを受け入れてくれたんだ。

ーそうか……。そのことは絢斗さんも納得をしているの?

ーもちろん。大喜びしているよ。

ーそうか、それなら安心した。

ーそれで今夜、お祝いをしようと思うんだが、二葉さんも一緒に来てくれないか?

ーわかった。二葉にも話しておくよ。

ー後で昇からも連絡が来るだろうから対応してやってくれ。

ーわかった。

そう言って、電話は切れた。

毅もずっと直くんのことを気にしてくれていたんだろう。

毅たちがフランスに行く前に良い報告ができてよかった。
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