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楽しい祝いに
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「やっぱりさ、車に持っていくことにするよ。それなら車に乗ってすぐに見せられるし」
学食を食べながら、嬉しそうに村山がそんなことを言ってきた。
一瞬忘れかけていた話題を思い出し、それがあのぬいぐるみだったことを思い出した。
あれからずっと考えていたのか。
本当にカールのことでいっぱいなんだな。
半分呆れつつも、親友の見たこともない姿が見られたことが楽しい。
「ああ、いいんじゃないか。お前が選んだって聞いたらカールも喜ぶよ」
そういうと、嬉しそうな笑顔を見せた。
その表情を見た女子たちが色めき立ってる。
「私を見て村山先輩笑顔になってたー!」
「ええー、私だよ。目が合ったもん!」
勘違いしている女子が続出しているが、村山本人は耳に届いてもいないみたいだ。
でも本当にこれはすごいな。
しかも村山が無意識っぽいところがさらにすごい。
明日、カールに直接会った時の村山を見るのが楽しみだな。
学校が終わり、制服を受け取りに行くという村山をわかれて俺はそのままケーキ屋に向かった。
お祝いするって約束したもんな。
前に母さんが直くんのために買ってきたケーキの店の名前聞いておいて良かった。
イートインもあるその店には、ほとんど女性の姿しか見えないが直くんのためだ。
扉を開けかわいいドアベルの音に迎えられながら、店の中に入ると一斉に視線を感じたが、俺の目はショーケースにしか向けないことにした。
ホールケーキにしようか、それとも美味しそうなのをいくつか選ぶのもいい。
そう考えると志摩さんが持ってきてくれたあのプチケーキの詰め合わせは最高のチョイスだったな。
あんなやつがあれば最高だけどパッと見た感じなさそうだ。
「うーん、どうしようかな……」
悩みすぎてつい言葉が漏れてしまって、
「何かお探しですか? よろしければ、どなたさまにお贈りするお菓子かお伺いしてもよろしいですか?」
とスタッフさんに尋ねられてしまった。
遠慮しようかと思ったが、一人で悩んでも解決はしない気がして意見を求めることにした。
「お祝いにケーキを贈りたいんですが、一度にあまりたくさんは食べられない子なので、ホールケーキにしようか、小さなケーキをいくつか買おうか悩んでしまって……見た目を考えるとやっぱりお祝いですからホールがいいですよね?」
「そうですね、華やかさでいえばホールケーキをお買い求めになるお客さまが多くいらっしゃいますが、贈り物をいただく方のお好みのものを選ばれる方も多くいらっしゃいますよ」
「というと?」
「そうですね、ケーキということにこだわらなければこちらにどうぞ」
案内されるままについていくとそこには三十種類を超える焼き菓子が並んでいた。
「すごい!」
「はい。うちはケーキはもちろんですが、焼き菓子にも力を注いでおりまして、こちらからお好みのものを選んでいただいて箱詰めすることもできます。生菓子であるケーキよりずっと日持ち致しますので、ゆっくりと召し上がっていただけますよ」
「ああ、確かに! それはいいかも!!」
昨日、ケーキ食べたばかりだしな。
「焼き菓子にします」
「ありがとうございます。それではこちらのカゴをお使いください。お選びいただきましたら箱詰めいたしますので、レジまでお持ちくださいね」
「わかりました」
そこから焼き菓子を選ぶのも大変だったけれど、直くんが好きそうなものを中心にそれを二個ずつ選んだ。
「同じように二箱作ってください」
「承知しました」
やっぱり絢斗さんの分も一緒に有ったほうが、二人で楽しみながら食べられるだろうしな。
二人が喜んでくれるのが楽しみだ。
なんて思っていると、カランとドアベルがなり、
「きゃーっ!」
と店内が色めき立つ。
何事だろうと入り口に視線を向けると驚きの人物がそこにいた。
「あ、伯父さん!」
「んっ? なんだ、昇か。お前も来ていたのか?」
「うん。直くんから連絡もらったからお祝いにお菓子でもと思って……。伯父さんも?」
「ああ。今家庭裁判所からの帰りなんだよ。全ての手続きが終わったから二人にお祝いでもと思ってな。まさかお前も同じ考えだったとはな。それで何にしたんだ?」
「ああ。こっちだよ」
伯父さんにさっきの焼き菓子のコーナーに連れて行って、絢斗さんの分と二箱頼んだのを伝えると
「いいアイディアだな」
と笑っていた。
「スタッフさんにアドバイスもらったんだけどね。直くんなら絢斗さんも一緒の方が喜ぶと思って」
「そうだな。じゃあ、私はあれにしよう」
伯父さんが指差した方に見えたのは、上にフルーツが乗ったプリン。
「ああ、いいね!」
「昇も食べるか?」
「そうだね。みんなで食べよう」
そう返すと、伯父さんは笑ってプリンを四個頼んだ。
支払いは伯父さんがと言っていたけれど、俺からもお祝いがしたかったからここはきっちり割り勘にしておいた。
俺が帰るのが遅くなって直くんが心配するかもと思っていたけれど、伯父さんのおかげでそのまま車で一緒に帰れたし、いつもより少し遅いくらいで家に到着した。
ああ、もう磯山直純か……。
きっと喜んでるだろうな。
学食を食べながら、嬉しそうに村山がそんなことを言ってきた。
一瞬忘れかけていた話題を思い出し、それがあのぬいぐるみだったことを思い出した。
あれからずっと考えていたのか。
本当にカールのことでいっぱいなんだな。
半分呆れつつも、親友の見たこともない姿が見られたことが楽しい。
「ああ、いいんじゃないか。お前が選んだって聞いたらカールも喜ぶよ」
そういうと、嬉しそうな笑顔を見せた。
その表情を見た女子たちが色めき立ってる。
「私を見て村山先輩笑顔になってたー!」
「ええー、私だよ。目が合ったもん!」
勘違いしている女子が続出しているが、村山本人は耳に届いてもいないみたいだ。
でも本当にこれはすごいな。
しかも村山が無意識っぽいところがさらにすごい。
明日、カールに直接会った時の村山を見るのが楽しみだな。
学校が終わり、制服を受け取りに行くという村山をわかれて俺はそのままケーキ屋に向かった。
お祝いするって約束したもんな。
前に母さんが直くんのために買ってきたケーキの店の名前聞いておいて良かった。
イートインもあるその店には、ほとんど女性の姿しか見えないが直くんのためだ。
扉を開けかわいいドアベルの音に迎えられながら、店の中に入ると一斉に視線を感じたが、俺の目はショーケースにしか向けないことにした。
ホールケーキにしようか、それとも美味しそうなのをいくつか選ぶのもいい。
そう考えると志摩さんが持ってきてくれたあのプチケーキの詰め合わせは最高のチョイスだったな。
あんなやつがあれば最高だけどパッと見た感じなさそうだ。
「うーん、どうしようかな……」
悩みすぎてつい言葉が漏れてしまって、
「何かお探しですか? よろしければ、どなたさまにお贈りするお菓子かお伺いしてもよろしいですか?」
とスタッフさんに尋ねられてしまった。
遠慮しようかと思ったが、一人で悩んでも解決はしない気がして意見を求めることにした。
「お祝いにケーキを贈りたいんですが、一度にあまりたくさんは食べられない子なので、ホールケーキにしようか、小さなケーキをいくつか買おうか悩んでしまって……見た目を考えるとやっぱりお祝いですからホールがいいですよね?」
「そうですね、華やかさでいえばホールケーキをお買い求めになるお客さまが多くいらっしゃいますが、贈り物をいただく方のお好みのものを選ばれる方も多くいらっしゃいますよ」
「というと?」
「そうですね、ケーキということにこだわらなければこちらにどうぞ」
案内されるままについていくとそこには三十種類を超える焼き菓子が並んでいた。
「すごい!」
「はい。うちはケーキはもちろんですが、焼き菓子にも力を注いでおりまして、こちらからお好みのものを選んでいただいて箱詰めすることもできます。生菓子であるケーキよりずっと日持ち致しますので、ゆっくりと召し上がっていただけますよ」
「ああ、確かに! それはいいかも!!」
昨日、ケーキ食べたばかりだしな。
「焼き菓子にします」
「ありがとうございます。それではこちらのカゴをお使いください。お選びいただきましたら箱詰めいたしますので、レジまでお持ちくださいね」
「わかりました」
そこから焼き菓子を選ぶのも大変だったけれど、直くんが好きそうなものを中心にそれを二個ずつ選んだ。
「同じように二箱作ってください」
「承知しました」
やっぱり絢斗さんの分も一緒に有ったほうが、二人で楽しみながら食べられるだろうしな。
二人が喜んでくれるのが楽しみだ。
なんて思っていると、カランとドアベルがなり、
「きゃーっ!」
と店内が色めき立つ。
何事だろうと入り口に視線を向けると驚きの人物がそこにいた。
「あ、伯父さん!」
「んっ? なんだ、昇か。お前も来ていたのか?」
「うん。直くんから連絡もらったからお祝いにお菓子でもと思って……。伯父さんも?」
「ああ。今家庭裁判所からの帰りなんだよ。全ての手続きが終わったから二人にお祝いでもと思ってな。まさかお前も同じ考えだったとはな。それで何にしたんだ?」
「ああ。こっちだよ」
伯父さんにさっきの焼き菓子のコーナーに連れて行って、絢斗さんの分と二箱頼んだのを伝えると
「いいアイディアだな」
と笑っていた。
「スタッフさんにアドバイスもらったんだけどね。直くんなら絢斗さんも一緒の方が喜ぶと思って」
「そうだな。じゃあ、私はあれにしよう」
伯父さんが指差した方に見えたのは、上にフルーツが乗ったプリン。
「ああ、いいね!」
「昇も食べるか?」
「そうだね。みんなで食べよう」
そう返すと、伯父さんは笑ってプリンを四個頼んだ。
支払いは伯父さんがと言っていたけれど、俺からもお祝いがしたかったからここはきっちり割り勘にしておいた。
俺が帰るのが遅くなって直くんが心配するかもと思っていたけれど、伯父さんのおかげでそのまま車で一緒に帰れたし、いつもより少し遅いくらいで家に到着した。
ああ、もう磯山直純か……。
きっと喜んでるだろうな。
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