ひとりぼっちになった僕は新しい家族に愛と幸せを教えてもらいました

波木真帆

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素直に自然に

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<side絢斗>

直くんとのお揃いの帽子は本当は少しでも直くんから注目を逸らすためだったんだけど、どうも帽子姿が可愛すぎて逆に目立っちゃっているような気がしないでもない。

でも、まぁ可愛いからいいか。
卓さんと昇くんもいてくれるしね。

直くんが帽子が似合うのがわかったから、これから外出用にお揃いの帽子を増やすのもいいかもしれない。

私と直くんがお揃いの帽子をかぶっていること絶対二葉さんなら褒めてくれるはずと思っていたし、きっと可愛い直くんとのお揃いを羨ましがってくれるだろうと思ったから、ちゃんとお揃いを準備しておいた。

予想以上の喜びだったけれど、これから直くんと離れて少し寂しくなっちゃう二葉さんにはいい贈り物だったかな。

お揃いの帽子をかぶって、大好きなドーナツを口にする二葉さんんはとっても嬉しそう。

逆にちょっと静かになっちゃった直くんが気になるけれど、ドーナツが美味しすぎて集中しちゃってるかな?
そう思ってしまうくらい、ここのドーナツは絶品だった。

ドーナツを三分の一ほど食べたところで、

「あの、昇さん……」

とおずおずとした声が聞こえる。

「ああ、大丈夫。喜んでもらうよ」

直くんはホッとした表情で、昇くんがドーナツを食べる姿を見つめていた。

うちに来たばかりの頃は、苦しくても言い出せずに必死で目の前の食事を片付けていた。
ずっと満足な食事を与えられていなかったから一度にたくさんの量を食べることができないけれど、目の前に出されたものは無理してでも食べようとする。
けれど、少なすぎてもおかわりを言い出せない直くんのために、卓さんが直くんの量を見極めて出していた。

それが、昇くんも一緒に暮らすようになって、

――俺、どれだけ食べてもお腹が空くから、直純くんが食べられなくて残しても気にしないでいいよ。俺が食べるから。

と毎食のように話してくれたことで、直くんは残してもいいということを知った。

好きなものをお代わりする楽しさも知ったし、苦しい時は助けてもらうことも知った。

だから、今日のドーナツも食べきれないかもと私が言ったことに、すぐに卓さんが反応して昇くんに声をかけてくれたこともあって、直くんは二葉さんたちがいてもちゃんと昇くんに助けを求めることができた。

それが素直にできているからいい傾向だよね、本当に昇くんが直くんのそばにいてくれてよかった。

「ねぇ、そういえばね。直くん、桜守の編入試験を受けるんだよ」

「ええ、そうなんだ! じゃあ、あの可愛い制服を直くんが着るのね。絶対に似合うわ!!」

「あ、でもまだ合格しないと……」

「大丈夫よ! 直くんなら絶対に合格するわよ! じゃあ、直くん……絢斗さんの後輩になるのね。一応私の後輩でもあるけれど、中等部からは男女別になるから、男子部の方は全然わからないのよね」

「ああ、確かに。私も女子部はわからないかな。今でもあんまり交流はないみたいだしね」

私たちの会話を聞いて、昇くんがちょっとホッとしているのが見える。
きっと、可愛い直くんが女の子にモテるのを心配しているのかもしれない。

だとしても、直くんはきっと昇くんにしか興味はないはずだから気にしないでいいんだけどね。

「それで編入試験はいつ?」

「十二月の半ばに試験があって、一週間後に合否発表で、予定では三学期から通えたらいいなって。ねぇ、直くん」

「はい。それまで一生懸命勉強頑張ります!」

「その心意気は大事だけど絶対に無理はしちゃダメよ」

「はい!」

「でもそっか。じゃあ、うまくいけば桜守で修学旅行に行けるんだね」

桜守は全員が必ず中等部から高等部に上がれるわけではないけれど、例年八割くらいの生徒が高等部にそのまま上がることから、修学旅行は中学三年次でいくと決まっている。
だから、直くんは合格したら友だちができたあとに修学旅行に参加できるというわけだ。

私たちも同行者ということでついていけるし、それが楽しみで仕方がない。

「今の桜守の修学旅行はどこにいくのかな?」

「えっと、中等部は北海道と京都、そして沖縄のどれか好きなところを選ぶんだったかな。高等部はイギリス、フランス、ドイツ、アメリカ、シンガポール、オーストラリアから選ぶんだよ」

確か、敬介くんの時から変わっていないって言っていたからそれで合ってるはず。

「そうなんだ。まぁそれまでにフランスには来てもらうとして、ドイツやイギリスも楽しいかも! 直くんはどこに行って見たいとかある?」

「えっ、僕は……どこにも行ったことがないので、どれも楽しみです」

「そっか、そうだね。これからはいっぱい家族旅行できるよ!」

「――っ、はい! 嬉しいです」

まずは直近で家族で温泉。
他にもいろいろ計画してあげたいな。

そう思いながら卓さんに視線を向けると、卓さんもニコッと笑顔で返した。
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