ひとりぼっちになった僕は新しい家族に愛と幸せを教えてもらいました

波木真帆

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村山家との対面

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<side昇>

直くんの食べかけのいちごクリームの入ったドーナツを口にする。
フォークももちろん直くんが使ったものだ。

父さんも、伯父さんも甘いものは普段は苦手でコーヒーだって濃い目のをブラックで飲むのに、母さんや、絢斗さんに食べさせてもらったり、残したものは美味しそうに平らげる。

もちろん、宗一郎さんも伊織さんも同じだ。

それをただ単に残したらお店の人に悪いと思って食べていると思っていたあの時の俺は子どもだったと今ならわかる。

直くんが残したものを食べずに置いて帰るなんて絶対にできない。
どれだけ甘くても、どれだけ満腹だとしても直くんの食べ残しならご馳走に見えるんだ。

きっと父さんたちも同じ気持ちに違いない。
だから、俺はゆっくりと味わいながらドーナツを食べ終えた。

すると、そのタイミングで俺のスマホが通知を伝えた。
画面を見ると村山の名前。

<家族で今、空港に着いたんだけど磯山たちはどこにいる?>

「父さん、母さん。村山の家族が空港着いたって」

「あら、早く来てくれたのね。じゃあ、瑠璃さんたちにもこっちに来てもらいましょうか?」

「わかった。そう伝えるよ」

俺は手早くここの店の名前をメッセージで送るとすぐに村山から了解のスタンプが送られてきた。

その間に父さんはスタッフさんに三人増えることを伝え、隣の席をくっつける許可を得た。

「父さん、どうやって座る?」

「そうだな。私がお前の隣に行こう。瑠璃さんには二葉と絢斗さんの間に座ってもらって、純弥じゅんやと龍弥くんにはこっちに来てもらおうか」

これなら母さんの隣が直くんになるから大丈夫か。隣には俺もいるし、いい席順だな。

席替えを無事に終えたところで、村山たちがやってきた。
父さんが入口にいる村山のおじさんに手を挙げてみせると、三人はすぐにこっちにやってきた。
母さんが立ち上がって出迎え、席に案内する。

「瑠璃さん、見送りに来てくれてありがとう! さぁさぁ、座って!」

「ありがとう! しばらく離れ離れになっちゃうんだから当たり前よ!! でもクリスマスかお正月には帰ってくるんでしょう?」

「うーん、そうね。とりあえず昇の合格が決まった時には帰ってくるのは確定だけど、クリスマスあたりは考え中なの」

「そうなの? 帰ってきてくれたら嬉しいわ」

村山の母さんが案内された席に座ると隣に座っていた絢斗さんが、

「二葉さんは、直くんが合格した頃に来たいんでしょう?」

と尋ねる。

その言葉でようやく村山の母さんも俺と直くんの存在に気づいたようで、俺たちに視線を向けた。

「あ、あなたが直純くん?」

「は、はい。磯山直純です。は、初めまして……」

「――っ!!! 可愛い!! なんて可愛いのかしら!!!」

想像以上の可愛さだったのか、村山の母さんは興奮しながら笑顔で直くんを見つめていた。

「母さん! あんまり怯えさせるなよ。直純くん、びっくりしているだろう!」

「ごめんなさい。あまりにも可愛くてびっくりしちゃったのよ。ごめんなさいね」

「い、いえ。大丈夫です」

直くんはまだ少し緊張している様子だけれど、テーブルの下で俺が手を繋いでいるから安心したようだ。

「あら、そういえば磯山って……」

「そうなの。直純くん、お義兄さんの息子になったのよ。だから、私たち親戚なのよ」

「そうなんですか?」

「ああ、我が家の可愛い息子が増えたよ」

伯父さんの嬉しそうな顔を見て、直くんも笑顔を浮かべる。
やっぱり伯父さんに息子だと言われるのが一番嬉しいみたいだ。

「絢斗さん、良かったですね。可愛い子ができて」

「本当に毎日楽しいよ。きっと、今日瑠璃さんたちの家にホームステイにくるカールくんも同じくらい可愛い子になると思うよ」

「ええ、それは多分間違いないですよ。もう楽しみで、楽しみで」

「言っとくけどカールは俺が磯山から頼まれてるんだから、世話は俺がするからな」

「はいはい。わかってるわよ」

ああ、そうか。
もう村山の両親は村山の様子にやっぱり気づいているんだな。

これが二週間だけのホームスティだけで終わらないことも全部。
カールもきっと直くんと同じくらい村山家で大切にされることだろう。

「それで合格って、どこか受験するの?」

「桜守の中等部の編入試験を受けるつもりなのよ。その合格が決まるのがちょうどクリスマス前くらいだから、その頃に帰ってきてお祝いするのもいいかなって思ってて、まだ決定じゃないんだけどね」

「ああ、そういうこと。それならその頃がいいわね。ちょうどその時にはイリゼホテルのスイーツビュッフェも始まっているし、みんなで一緒に行けるじゃない!」

「ああ、それいいかも!! 絢斗さんと直くんも一緒にいけたら楽しくなるわ! ねぇ直くん」

「はい。僕も行ってみたいです」

母さんと村山の母さんは絢斗さんと直くんを仲間に入れてすっかり話に夢中だ。
父さんと村山の父さんも伯父さんを交えて話をしている。

俺は取り残された村山と顔を見合わせた。
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