ひとりぼっちになった僕は新しい家族に愛と幸せを教えてもらいました

波木真帆

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秘密基地みたい!

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「あの、じゃあ……カールへの贈り物って……」

「直くんのために大きなぬいぐるみを買いに行こうと思っていたら、村山がおすすめのぬいぐるみ屋があるって言って連れて行ってくれたんだよ」

「村山さんって……ぬいぐるみが好きなんですか?」

「いやいや、違う違う。村山の母さんがよく行ってるぬいぐるみ屋さんなんだ。そこを紹介してもらって、俺が直くんにあげるクマを探している間に、村山もカールへの贈り物を見つけてたんだよ。ラブラドールって種類の犬のぬいぐるみ」

「ラブラドール……」

「ほら、これだよ」

僕がラブラドールを知らないのがわかるとすぐに昇さんはスマホを操作して、画面を見せてくれた。

「わぁ、可愛いワンちゃんですね」

「ワンちゃんか。直くん、可愛いな」

「えっ、そんな……っ、恥ずかしいです」

まさかそんなところを可愛いと言われるなんて思ってもなかった。

「ごめん、ごめん。揶揄ったわけじゃないよ。このラブラドールだけど、カールに雰囲気が似ているだろう?」

「あ、確かに。人懐っこそうな感じとかよく似てます」

「だろ? でも、村山はカールとビデオチャットで話をする前にこのラブラドールのぬいぐるみを選んでたんだよ」

「それ、すごいですね!」

「ああ、だから村山も早くカールに見せたかったみたいで車に乗せてきてたんだよ」

「そうだったんですね。カールが喜ぶのもわかりますね。僕も、昇さんからあのクマさんもらった時、すごく嬉しかったので」

「直くんが気に入ってくれて嬉しいよ。嘘ついてごめんね」

あのクマさんが昇さんのお家にあったものだと思っていたから、昇さんが大切にしていたものを譲ってもらえて嬉しかった。でも僕のためにわざわざ探して選んでくれたことも同じくらい嬉しかったから、昇さんが謝ることなんてない。

「謝らないでください。僕……すごく嬉しいです」

「直くん……良かった」

昇さんが思いっきりほっとした表情になって、なんだかそれがとても可愛く思えた。


「さぁ、着いたよ」

おうちの駐車場みたいな地下に車が入っていって、パパの車が止まると後ろからカールたちの車も入ってきて、パパの車の向かいに止まった。

昇さんがさっと車から降りて、僕の手を取って優しく降ろしてくれる。

同じようにパパもあやちゃんの席の扉を開けて、

「頭に気をつけて」

と声をかけながらあやちゃんを車から降ろしていた。
その時のパパと昇さんがすごくそっくりでまるで親子みたいに見えた。きっと毅パパもふーちゃんに同じようにしていたんだろうな。

「直くん、昇。こっちだよ」

パパに案内されてついていくと、駐車場からそのまま奥の扉に進んでいく。

僕たちの後ろから村山さんたちがついてきているのが分かる。
何かカールが話をしている声が聞こえるけれど、ドイツ語なのかな。僕には全然わからない。

「昇さん、カール……何を言っているんですか?」

「ああ、秘密基地に入るみたいで楽しいって。こういうお店はドイツでは見かけたことがないってさ」

「そうなんですね。でも僕もなんだかドキドキします」

「俺は父さんたちと何度か来たことがあるから知ってるけど、確かに秘密基地っぽいかもね。見た目はお店っぽくないし、でも全部個室になっているからのんびりできるよ」

「へぇ、そうなんですね。楽しみ!!」

パパが扉を開けると、すぐに

「いらっしゃいませ。磯山さま。お部屋にご案内いたします」

と着物を着た女性が声をかけてきた。

すごいな、パパ。何も言わなくてもパパだってお店の人がわかってるんだから。

案内された部屋は広々とした掘り炬燵があって座りやすそう。本ではみた事のある掘り炬燵だけど、こうして目にするのは初めてだ。ドイツで暮らすカールにとっては、畳に正座より掘り炬燵の方が楽でいいんだろうな。きっとそういうことも考えてパパはこのお店にしたんだ。さすがだな。

「最初は家族同士で座った方が話しやすいだろう」

パパの言葉に、長方形の掘り炬燵の右半分に村山さんのパパとママ。その向かいにカールと村山さん。
そして、左半分にパパとあやちゃん。その向かいに昇さんと僕がそれぞれ座った。

「料理は注文しているが、食べたいものがあれば追加してくれて構わない。それぞれ飲み物を注文しよう」

これで注文できるからと机に置かれていたタブレットをとり、

「直くんは何にする?」

と尋ねられたけれど、なんと言っていいかわからない。

「直くんは私と同じ、烏龍茶にしようか」

「はい」

あやちゃんに言われてほっとしながら頷いた。
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