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思わぬ縁
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<side卓>
「卓さん。お父さん、着いたって」
「そうか、思った以上に早かったな。私は昇に伝えてくるから、絢斗はお父さんを出迎えておいで」
「うん。行ってくるね」
本当は一緒についていこうかと思ったけれど、久しぶりの親子の対面を邪魔したくはない。そこまで嫉妬深くないというところは見せておかないとな。
嬉しそうに裏口から駐車場に下りていく絢斗を見送って、私は昇と直くんがいる部屋の扉を叩いた。
「伯父さん」
「直くんの様子はどうだ?」
「うん。少し熱い以外は特に問題はなさそう。落ち着いて寝てるよ」
「そうか。今、賢将さんがついたと連絡があった。そのままこの部屋に入ってもらうから準備しておいてくれ」
「わかった」
一旦、扉を閉めてリビングに戻り絢斗と賢将さんがくるのを待った。
今頃、絢斗が大体の話はしているだろうが、賢将さんのことだ。きっと私たちの決断を認めてくれるだろう。直くんにとっても初めての祖父という存在だ。直くんを絢斗のようにとまではいかなくても優しく接してくれたら嬉しい。
裏口の扉が開く音が聞こえて、急いで駆けつけると絢斗と賢将さんが腕を絡めて入ってきているのが見えた。賢将さん、嬉しそうだな。
「賢将さん、お久しぶりです」
「やぁ、卓くん。元気そうで安心したよ」
「今日は突然お呼びだてして申し訳ありません」
「いや、私のことを思い出してくれてよかったよ。それで早速患者に……いや、君の息子の直くんに会いたいんだが」
「――っ、はい。こちらにどうぞ」
さも当然のように息子と呼んでくれて喜びが込み上げる。
「部屋に一人で寝かせているのか?」
「いえ。今、弟が海外赴任中で、昇が我が家で一緒に生活をしているので、昇が直くんを見てくれています」
「そうか、昇にも会えるのか。大きくなったろうな」
昇の名前を聞いて優しい微笑みを浮かべる。賢将さんは甥の昇を自分の孫のように可愛がってくれていたからな。最後に会った時はまだ昇は小学生だった。すっかり大人の男に成長しているからきっと驚くだろう。
「さぁ、どうぞ」
「失礼するよ」
「大おじさん! お久しぶりです!」
「おお、昇か。大きくなったな、元気か?」
「はい」
「身長も高くなったな。私より高いじゃないか。毅くんも高いから遺伝だな」
あの時の昇は賢将さんを見上げていたからなんとも不思議な感じだ。
「それで直くんは……」
「こっちです」
昇が賢将さんをベッドに案内すると、眠っている直くんを見て賢将さんが固まった。
「――っ!! この子……」
「お父さん? どうかしたの?」
「いや、アフリカから日本に帰る時にドバイで乗り継ぎの時間が長くて少し観光をしたんだ。そのときにカフェでトラブルにあってね。声をかけてくれた日本人がこの子の写真を持っていたんだよ」
「えっ? 本当に?」
「ああ。間違いないよ。可愛かったからよく覚えている」
「じゃあ、それって……」
「さっきの絢斗の話から考えても多分、この子の父親だろう。同じ日本から来たということで話が盛り上がってね。私が絢斗の写真を見せたから、彼も息子がいると言って写真を見せてくれたんだ。会いたいけど、今は会えないから必死で頑張るしかないって話をしていたよ。海外赴任で頑張っている日本人はドバイにはいっぱいいるから、彼もその類だと思っていたがそういう理由だったのだな」
そうか……。やっぱり直くんを忘れられずにいたんだな。それはそうか。本当の息子だからな。あの母親から守ることは難しかったのだろうが、きっと彼なりに直くんを大切にしていたんだろう。いつか本当に二人が再会できるようにしてやりたいものだ。
「お父さん、その話はまた後で。先に直くんの診察をお願い」
「ああ。わかった」
賢将さんは持ってきた鞄からいくつか道具を取り出して、診察を始めた。その道具がかなり年季が入っていながらもとても綺麗だからきっとアフリカで共に戦ってきた相棒なのだろうということはすぐにわかった。
「うん。疲れからくる熱発だな。特に他の症状はなさそうだ。少し痩せているのは気になるが……」
「これでも体重は増えてきているんだよ」
「そうか、卓くんがしっかりとやっているんだな。このまましばらく寝かせておいたら夜には熱も下がるよ。ゆっくり休ませたらいい」
「よかった。お父さん、ありがとう」
「昇、起きるまでそばについててやるといい」
「はい。わかりました」
直くんを昇に託し、私たちは賢将さんと共にリビングに戻った。
「卓さん。お父さん、着いたって」
「そうか、思った以上に早かったな。私は昇に伝えてくるから、絢斗はお父さんを出迎えておいで」
「うん。行ってくるね」
本当は一緒についていこうかと思ったけれど、久しぶりの親子の対面を邪魔したくはない。そこまで嫉妬深くないというところは見せておかないとな。
嬉しそうに裏口から駐車場に下りていく絢斗を見送って、私は昇と直くんがいる部屋の扉を叩いた。
「伯父さん」
「直くんの様子はどうだ?」
「うん。少し熱い以外は特に問題はなさそう。落ち着いて寝てるよ」
「そうか。今、賢将さんがついたと連絡があった。そのままこの部屋に入ってもらうから準備しておいてくれ」
「わかった」
一旦、扉を閉めてリビングに戻り絢斗と賢将さんがくるのを待った。
今頃、絢斗が大体の話はしているだろうが、賢将さんのことだ。きっと私たちの決断を認めてくれるだろう。直くんにとっても初めての祖父という存在だ。直くんを絢斗のようにとまではいかなくても優しく接してくれたら嬉しい。
裏口の扉が開く音が聞こえて、急いで駆けつけると絢斗と賢将さんが腕を絡めて入ってきているのが見えた。賢将さん、嬉しそうだな。
「賢将さん、お久しぶりです」
「やぁ、卓くん。元気そうで安心したよ」
「今日は突然お呼びだてして申し訳ありません」
「いや、私のことを思い出してくれてよかったよ。それで早速患者に……いや、君の息子の直くんに会いたいんだが」
「――っ、はい。こちらにどうぞ」
さも当然のように息子と呼んでくれて喜びが込み上げる。
「部屋に一人で寝かせているのか?」
「いえ。今、弟が海外赴任中で、昇が我が家で一緒に生活をしているので、昇が直くんを見てくれています」
「そうか、昇にも会えるのか。大きくなったろうな」
昇の名前を聞いて優しい微笑みを浮かべる。賢将さんは甥の昇を自分の孫のように可愛がってくれていたからな。最後に会った時はまだ昇は小学生だった。すっかり大人の男に成長しているからきっと驚くだろう。
「さぁ、どうぞ」
「失礼するよ」
「大おじさん! お久しぶりです!」
「おお、昇か。大きくなったな、元気か?」
「はい」
「身長も高くなったな。私より高いじゃないか。毅くんも高いから遺伝だな」
あの時の昇は賢将さんを見上げていたからなんとも不思議な感じだ。
「それで直くんは……」
「こっちです」
昇が賢将さんをベッドに案内すると、眠っている直くんを見て賢将さんが固まった。
「――っ!! この子……」
「お父さん? どうかしたの?」
「いや、アフリカから日本に帰る時にドバイで乗り継ぎの時間が長くて少し観光をしたんだ。そのときにカフェでトラブルにあってね。声をかけてくれた日本人がこの子の写真を持っていたんだよ」
「えっ? 本当に?」
「ああ。間違いないよ。可愛かったからよく覚えている」
「じゃあ、それって……」
「さっきの絢斗の話から考えても多分、この子の父親だろう。同じ日本から来たということで話が盛り上がってね。私が絢斗の写真を見せたから、彼も息子がいると言って写真を見せてくれたんだ。会いたいけど、今は会えないから必死で頑張るしかないって話をしていたよ。海外赴任で頑張っている日本人はドバイにはいっぱいいるから、彼もその類だと思っていたがそういう理由だったのだな」
そうか……。やっぱり直くんを忘れられずにいたんだな。それはそうか。本当の息子だからな。あの母親から守ることは難しかったのだろうが、きっと彼なりに直くんを大切にしていたんだろう。いつか本当に二人が再会できるようにしてやりたいものだ。
「お父さん、その話はまた後で。先に直くんの診察をお願い」
「ああ。わかった」
賢将さんは持ってきた鞄からいくつか道具を取り出して、診察を始めた。その道具がかなり年季が入っていながらもとても綺麗だからきっとアフリカで共に戦ってきた相棒なのだろうということはすぐにわかった。
「うん。疲れからくる熱発だな。特に他の症状はなさそうだ。少し痩せているのは気になるが……」
「これでも体重は増えてきているんだよ」
「そうか、卓くんがしっかりとやっているんだな。このまましばらく寝かせておいたら夜には熱も下がるよ。ゆっくり休ませたらいい」
「よかった。お父さん、ありがとう」
「昇、起きるまでそばについててやるといい」
「はい。わかりました」
直くんを昇に託し、私たちは賢将さんと共にリビングに戻った。
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