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恋人宣言
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「あ、あの……村山、先輩……。その人は……」
目の前にいた女子が我慢できないと言った様子で村山に問いかけると、村山はこの上なく幸せそうな表情でカールを見つめてから
「俺の恋人だよ。日本の大学に通う練習として、来週一週間俺と一緒に授業を受けることになったんだ」
と堂々と宣言した。まさか恋人とまで発表するなんて……。カールは驚く様子もなくむしろ嬉しそうだし、一体この一晩の間に二人に何があったんだ?
俺はもちろん驚いたけれど、村山に質問を投げかけた女子も半ば茫然自失といった状態で、
「えっ、こい、びと……っ?」
と呟くことしかできない様子だ。
けれど、校長室前に集まっていた他の生徒は、堂々と恋人宣言をした村山に向かって、
「きゃーっ! すごーいっ!!」
「村山先輩っ、かっこいいっ!!」
となぜか黄色い声が飛び交う。
それらのどこにも反対の声が出ないのは、村山とカールがイケメン同士だからだろうか?
まぁ、二人が一緒にいる姿は確かにお似合いだ。もう誰にも邪魔できないとでもいうように幸せに満ち溢れている。
「ねっ、大丈夫だといったろう?」
びっくりしたままの俺に村山の父さんが声をかけてくれて、俺は慌てて尋ねた。
「あの、恋人って……いつの間に?」
もちろん、ビデオチャットしかしていない頃から村山がカールに好意を抱いていたことも知っているし、昨日二人が嬉しそうに対面を果たした姿も目の当たりにしているし、カールも村山に好意を持たれても嫌そうどころか、むしろ嬉しそうにしていたし、いつかはそうなるんじゃないかとは思ってたけど、たった一晩でここまで状況が変わるとは夢にも思ってなかった。
じっくり進んだろうなと思っていただけに驚きしかない。
「あれは、龍弥がカールを守るために言ってるだけだよ」
「えっ? それって、どういうことですか?」
「龍弥と昇くんのクラスに入れてもらうことにしたから少しは安心だけど、絶対に何もないとは言い切れない。でもカールは私たちがカールの両親から預かっている大切な存在だろう? だから、日本にいる間の安心と安全を提供する義務がある。龍弥がこの学校で人気があることはわかっているし、その龍弥が恋人だと宣言すればカールに手を出してくる愚か者はこの学校にはいないだろう。そのために、この場で宣言することにしたんだ。そうすれば週明け、月曜日にカールと登校した時には、無闇に近づいてくる子はいないだろうと判断した」
「なるほど。そういうことですか」
「まぁ、それは建前上の話で、龍弥はカールに対して本気だけどね」
「ああ、やっぱりおじさんたちもわかってたんですね」
「まあね。これでも父親だから。龍弥がカールにどんな気持ちを持っているかはわかっているし、それを反対する気持ちもないよ」
「そうなんですか?」
「ああ。男性同士でも幸せだってずっと近くで見させてもらってるからね。相性の問題は性別に関わるものじゃないよ。昇くんだって、それはわかっているだろう?」
「はい。そうですね」
伯父さんと絢斗さんがずっと幸せな姿を見せてくれるからこそ、俺も、そして村山の両親もそう思えるんだろう。
「カール自身はこの恋人宣言は学校生活を円滑に過ごすための便宜上のものだと理解しているけど、あの様子を見る限りは喜んでいるのは間違い無い。まぁ、この宣言が本当になるのは時間の問題だろうな」
そう話す村山の父さんはかなり嬉しそうだった。村山の母さんもずっと可愛い息子が欲しいとうちの母さんとよく話していたし、カールが本当に村山の恋人になったら大喜びするだろうな。
俺が村山の父さんと話をしている間に、校長室に集まっていた生徒はそれぞれ教室に戻されて、あっという間に校長室の前には俺と村山の両親。そして村山とカール。あとは校長先生といつの間に来ていたのか、うちの担任の姿があった。
「じゃあ、村山。カールくんを教室に連れてきてくれ。クラスメイトに紹介しておこう。ほら、磯山も行くぞ」
「龍弥、私たちは車で待っているから、終わったらカールと戻ってきなさい」
「ああ、わかったよ。カール、行こうか」
村山の両親を見送って、俺は、村山とカールの後ろをついて行ったが、
「ノボルもこっちにおいでよ」
とカールに声をかけられ、カールを挟むように並んで歩いた。
「ああ、その方がいいな。磯山もカールくんを守ってやれば、村山も安心だろう?」
「はい。そうですね」
担任は本気で村山とカールが恋人だと思っているから、俺を護衛にさせようとしているがその方が守りやすいからいいか。担任としても、カールがここにきている間にトラブルになるのは避けたいんだろうし。
俺たちが話をしながら教室に向かっている間も、通り過ぎる教室からの視線が夥しい。数日はこんな感じだろうな。ようやく俺たちの教室に到着し、
「はーい、みんな席につけーっ!!」
と言いながら入っていく担任の後ろから、俺たち三人も教室に入った。
「もういろんな話が届いていると思うが、彼が週明けから一週間、うちの教室で短期聴講制度を利用して勉強しにくるカール・ヴァーグナーくんだ。彼は村山の家にホームステイに来ている、村山の恋人だ。余計な手出しはしないように心がけてくれ」
担任の言葉にざわつきながらも、村山とカールから漂ってくる甘い雰囲気にそれが嘘ではないと理解したクラスメイトは納得したように頷いた。
カールの席は村山の隣で、俺の通路を挟んで隣。担任は三つの席をピッタリとくっつけようとしたが、それだけは丁重に断っておいた。守るためとはいえ、カールとくっつくなんて村山が嫉妬しそうだからな。
兎にも角にも、月曜日からの授業は楽しくなりそうだ。
目の前にいた女子が我慢できないと言った様子で村山に問いかけると、村山はこの上なく幸せそうな表情でカールを見つめてから
「俺の恋人だよ。日本の大学に通う練習として、来週一週間俺と一緒に授業を受けることになったんだ」
と堂々と宣言した。まさか恋人とまで発表するなんて……。カールは驚く様子もなくむしろ嬉しそうだし、一体この一晩の間に二人に何があったんだ?
俺はもちろん驚いたけれど、村山に質問を投げかけた女子も半ば茫然自失といった状態で、
「えっ、こい、びと……っ?」
と呟くことしかできない様子だ。
けれど、校長室前に集まっていた他の生徒は、堂々と恋人宣言をした村山に向かって、
「きゃーっ! すごーいっ!!」
「村山先輩っ、かっこいいっ!!」
となぜか黄色い声が飛び交う。
それらのどこにも反対の声が出ないのは、村山とカールがイケメン同士だからだろうか?
まぁ、二人が一緒にいる姿は確かにお似合いだ。もう誰にも邪魔できないとでもいうように幸せに満ち溢れている。
「ねっ、大丈夫だといったろう?」
びっくりしたままの俺に村山の父さんが声をかけてくれて、俺は慌てて尋ねた。
「あの、恋人って……いつの間に?」
もちろん、ビデオチャットしかしていない頃から村山がカールに好意を抱いていたことも知っているし、昨日二人が嬉しそうに対面を果たした姿も目の当たりにしているし、カールも村山に好意を持たれても嫌そうどころか、むしろ嬉しそうにしていたし、いつかはそうなるんじゃないかとは思ってたけど、たった一晩でここまで状況が変わるとは夢にも思ってなかった。
じっくり進んだろうなと思っていただけに驚きしかない。
「あれは、龍弥がカールを守るために言ってるだけだよ」
「えっ? それって、どういうことですか?」
「龍弥と昇くんのクラスに入れてもらうことにしたから少しは安心だけど、絶対に何もないとは言い切れない。でもカールは私たちがカールの両親から預かっている大切な存在だろう? だから、日本にいる間の安心と安全を提供する義務がある。龍弥がこの学校で人気があることはわかっているし、その龍弥が恋人だと宣言すればカールに手を出してくる愚か者はこの学校にはいないだろう。そのために、この場で宣言することにしたんだ。そうすれば週明け、月曜日にカールと登校した時には、無闇に近づいてくる子はいないだろうと判断した」
「なるほど。そういうことですか」
「まぁ、それは建前上の話で、龍弥はカールに対して本気だけどね」
「ああ、やっぱりおじさんたちもわかってたんですね」
「まあね。これでも父親だから。龍弥がカールにどんな気持ちを持っているかはわかっているし、それを反対する気持ちもないよ」
「そうなんですか?」
「ああ。男性同士でも幸せだってずっと近くで見させてもらってるからね。相性の問題は性別に関わるものじゃないよ。昇くんだって、それはわかっているだろう?」
「はい。そうですね」
伯父さんと絢斗さんがずっと幸せな姿を見せてくれるからこそ、俺も、そして村山の両親もそう思えるんだろう。
「カール自身はこの恋人宣言は学校生活を円滑に過ごすための便宜上のものだと理解しているけど、あの様子を見る限りは喜んでいるのは間違い無い。まぁ、この宣言が本当になるのは時間の問題だろうな」
そう話す村山の父さんはかなり嬉しそうだった。村山の母さんもずっと可愛い息子が欲しいとうちの母さんとよく話していたし、カールが本当に村山の恋人になったら大喜びするだろうな。
俺が村山の父さんと話をしている間に、校長室に集まっていた生徒はそれぞれ教室に戻されて、あっという間に校長室の前には俺と村山の両親。そして村山とカール。あとは校長先生といつの間に来ていたのか、うちの担任の姿があった。
「じゃあ、村山。カールくんを教室に連れてきてくれ。クラスメイトに紹介しておこう。ほら、磯山も行くぞ」
「龍弥、私たちは車で待っているから、終わったらカールと戻ってきなさい」
「ああ、わかったよ。カール、行こうか」
村山の両親を見送って、俺は、村山とカールの後ろをついて行ったが、
「ノボルもこっちにおいでよ」
とカールに声をかけられ、カールを挟むように並んで歩いた。
「ああ、その方がいいな。磯山もカールくんを守ってやれば、村山も安心だろう?」
「はい。そうですね」
担任は本気で村山とカールが恋人だと思っているから、俺を護衛にさせようとしているがその方が守りやすいからいいか。担任としても、カールがここにきている間にトラブルになるのは避けたいんだろうし。
俺たちが話をしながら教室に向かっている間も、通り過ぎる教室からの視線が夥しい。数日はこんな感じだろうな。ようやく俺たちの教室に到着し、
「はーい、みんな席につけーっ!!」
と言いながら入っていく担任の後ろから、俺たち三人も教室に入った。
「もういろんな話が届いていると思うが、彼が週明けから一週間、うちの教室で短期聴講制度を利用して勉強しにくるカール・ヴァーグナーくんだ。彼は村山の家にホームステイに来ている、村山の恋人だ。余計な手出しはしないように心がけてくれ」
担任の言葉にざわつきながらも、村山とカールから漂ってくる甘い雰囲気にそれが嘘ではないと理解したクラスメイトは納得したように頷いた。
カールの席は村山の隣で、俺の通路を挟んで隣。担任は三つの席をピッタリとくっつけようとしたが、それだけは丁重に断っておいた。守るためとはいえ、カールとくっつくなんて村山が嫉妬しそうだからな。
兎にも角にも、月曜日からの授業は楽しくなりそうだ。
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